中国関連

中国、将来のAWACSは無人化されネットワークに統合されたものになると断言

中国は将来のAWACSについて「単一プラットフォームではなくネットワークを活用して分散化される」と言及していたが、珠海航空ショーで取材に応じた中国航空工業集団は「将来のAWACSは無人化され統合されたものになる」と断言して注目を集めている。

参考:Exclusive: Future AWACS to be unmanned, integrated: designer

単一プラットフォームに高性能なレーダーや管制機能を集約化して運用するAWCASは終焉が近い

米空軍ではE-3セントリーの老朽化や運用・維持の問題を解消するため韓国空軍、オーストラリア空軍、トルコ空軍での運用実績があり、英空軍も導入を決定しているE-7Aウェッジテイルを採用すべきだという動きが加速しているが、最終的には敵の攻撃に脆弱な大型機ベースのAWACSを取りやめ戦闘機や無人機などに搭載されたセンサーやレーダー搭載の小型衛星群などで構成された分散型ネットワークで早期警戒管制システムの機能を代行することを目指している。

典:U.S. Air Force photo/Airman 1st Class Chris Massey

NATOも2035年までにE-3を廃止して新しいプラットフォームに置き換える計画を2019年に正式発表したが、こちらも米空軍と同じようにセンサーを搭載した地上/海上/空中ベースの既存資産に宇宙ベースの監視資産を統合した分散型ネットワークでE-3が提供していた早期警戒管制システムの能力代行を想定しており、もはや単一プラットフォームに高性能なレーダーや管制機能を集約化して運用するという考え方は終わりが見えていると言ってもいい。

このような変化に合わせて中国のWACS開発陣も今年7月に開催された国営通信社「新華社」主催のセミナーで「将来のAWCASは単一プラットフォームではなく共同もしくは単独で運用可能なプラットフォーム群を含むネットワークシステムになることは間違いない」と語り、中国メディアの環球時報(Global Times)紙は「中国軍内部では次世代のAWACSについて大型機のKJ-2000や小型機のKJ-500のような有人機が良いのか、無人機ベースが良いのか議論が行われており、将来のAWCASは有人機と無人機のミックスになるかもしれない」と報じていた。

出典:Danny Yu/CC BY-SA 4.0 KJ2000

しかし現在開催中の珠海航空ショーで中国メディアの取材に応じた中国航空工業集団(AVIC)の関係者は「将来のAWACSは無人化され統合されたものになる」と断言して注目を集めている。

AVIC傘下でAWACSのプラットフォーム開発や製造を手掛ける陝西飛機工業公司の関係者は「将来の戦争でも早期警戒管制システムは必要不可欠な要素で複数の異なる種類で構成されたプラットフォーム群に進化する必要があり、AWACS機自体も無人化してよりインテリジェントなものにする必要がある」と中国メディアに明かした。

さらにAVICの広報担当者も将来の期警戒管制システムについて「各国がAWACSの将来に多大な努力を払っているが我々も同様だ」と語り、中国も米軍やNATOが取り組んでいる集約化された早期警戒管制システムの分散化を意識しているのだろう。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Sean Elliott

因みに米海軍のグレゴリー・ハリス少将も今年3月、2030年代に退役を始めるF/A-18E/Fの後継機「NGAD(Next Generation Air Dominance/米空軍のNGADとは別物でF/A-XXとも呼ばれている)」開発プログラムの下でEA-18GとE-2Dの後継機検討が始まっていると明かし、両機の後継機について「単一プラットホームではなく有人機と無人機を組み合わせたものになる」と述べており、こちらも能力の分散化と無人化を取り入れていくことを示唆している。

恐らく全ての国が無人機や分散型ネットワークを取り入れた次世代のAWACSに移行できる訳ではないので「集約化されたAWACSが直ぐに世界から消える」ということは無いと思うが、少なくとも2035年頃には欧米で統合された分散型ネットワークへの移行が始まり、中国も米国に遅れを取らないよう同じ時期にAWACSの更新を始めることを狙っているのではないだろうか?

関連記事:2035年までに廃止されるNATOのE-3、後継システムの受注にL3ハリスが挑戦を発表
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関連記事:米海軍の次期戦闘機「F/A-XX」は有人機、ただ将来の空母航空団は40%以上が無人機に

 

※アイキャッチ画像の出典:Alert5 / CC BY-SA 4.0 KJ-500

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 10月 01日

    同じ問題に対して同じような解答を出すのは、互いの実力が伯仲してるから
    やがては中国の有り様がが世界の軍事のお手本となる日もやってくるのかね

    12
    • 匿名
    • 2021年 10月 01日

    地球は狭くなったという事だな。
    様々なセンサーノードで埋め尽くす事が出来る。

    14
    • 匿名
    • 2021年 10月 01日

    これからはネットワークと無人システムの時代
    分ってはいるけど、どこまで手を広げればいいのやら

    6
      • 匿名
      • 2021年 10月 01日

      我々が知りうる範囲では防衛装備庁研究開発ビジョン「宇宙を含む広域常続型警戒監視」が参考になるのかと。
      リンク
      AWACS機能の分散化はおよそ「第2分類;搭載型センサー」に相当します。ビジョンは我が国周辺域の警戒監視を主とし「第1分類:地上設置警戒管制センサー」と連携する構想で管制機能については言及がありませんが、米空軍等の構想では遠隔敵勢力域での運用が前提で、ビジョンの地上センサー機能や管制機能をも搭載型とするより大規模なものと推測されます。
      想定する運用環境によりますが、ネットワーク機能が堅持可能なら管制機能については搭載型である必要は無いのかもしれません。

      8
        • 匿名
        • 2021年 10月 01日

        ただ、ネットワークの堅持は物理的に不可能に近いので、管制能力はなにがしかの航空機に持たせると思う
        レーダーを背負うことはなくなるだろうから、AWACSというカテゴリは消えるだろうな

        一例となると、E-6みたいな管制、中継機能に絞った管制機や、爆撃機や給油機に統合したりしたものが出てくると思う
        もっとも、E-6よりはずっと小型で省人数化した上でステルスを意識したものになるだろうし、展開されるエリアも、今よりずっと後方に配置されるだろうけど

        2
      • 匿名
      • 2021年 10月 01日

      むしろ、システム管理に必要とされる人間が増えるかもな
      AIで代替、とはいえども、AIをプラグラミングするのも人間
      当然メンテは必要になる

      4
        • 匿名
        • 2021年 10月 01日

        やがて舞台俳優はアンドロイドに置き換わり、人間は裏方に回る時代
        主役は代われど仕事としての価値は等価のまんま
        人間が誰も死なないままで戦争の勝ち負けだけは先に決するという奇妙な時代が到来するかもな

        1
      • 匿名
      • 2021年 10月 01日

      空飛ぶレーダーサイトとして一世を風靡したAWACSやAEWもプラットフォームのあり様としては
      変革期には来てますね
      なにもアンテナと指揮管制所をセットで空中に浮かす必要は無いので、アンテナだけ空中、指揮管制所は
      地上と分ければ、人間の生理的な欲求による滞空限界の制約からは解放されます
      同時に、訓練されたオペレーターを敵前の空中で危険にさらすリスクも減ります
      ただそれは理想でも、ちょっと前までは通信速度や処理能力的に無理と言われていた事が、今はどんどん
      可能になって来て、しかも空に浮かすアンテナの方が無人機でもOKとなれば、安価で、かつ使い捨て覚悟
      も可能となります
      どんどん手を付けて、どんどんノウハウ積み上げた方が勝ちな時代になりますね

      7
    • 匿名
    • 2021年 10月 01日

    確かにそういう可能性は極めて高いけど、果たしてそっちに全振りしていいのか?
    米海軍のLCSやバーデン・ヴュルテンベルク級フリゲートなど、滑った例もあるし(今後の脅威予想が外れた)、B-52やA-10もこんなに使われるとは当時は考えてなかった。

    一応、有人のAWACSも用意しておくのがいいと思うけどね。もちろん、無人機と連携できるようにして。
    自衛隊だと、P-1ベースで開発した方がいいと思う。自由にアップデートできるし、急に保守できませんとか言われないからね。

    6
      • 匿名
      • 2021年 10月 01日

      AWACSである必要がない
      地上管制との通信の堅持は物理的に不可能なので、
      レーダーを省いた管制機は、単独または他機種との統合なりで今後も維持されるだろうけど、レーダーは背負わなくなるのでAWACSという機種は消滅する

      3
    • 匿名
    • 2021年 10月 01日

    欧州もそう分析しとるしワイも通信技術の進歩を考えると可能と考える
    将来的にはAWACSの背中の円盤が無人で空を飛ぶことになるんかな

    🛸

    2
      • 匿名
      • 2021年 10月 01日

      F-35が最たる例で、F-35が事実上のAEW、遠隔レーダーサイトみたいなもの

      1
        • 匿名
        • 2021年 10月 01日

        それだとF-35のレーダーより先は観測できないんじゃないか

        2
          • 匿名
          • 2021年 10月 01日

          そもそも地球は丸いので、探知距離には限界があった
          AWACSみたいな大型レーダーで長距離探知したら高度をとることになるから、敵の防空艦や地上のレーダーからは丸見えになるし
          だったら、水平線を機動的に盾に使える航空機の方が使い勝手良い

    • 匿名
    • 2021年 10月 01日

    管制機能はともかく、高性能大型レーダーは空中に無いと見逃す可能性は増えそう。
    大形レーダー搭載無人機を多数上げるのがベスト。

    出来るとは思えないけど

    2
      • 匿名
      • 2021年 10月 01日

      前方進出する小型UAVに搭載可能なレーダーでは覆域が狭く広域をカバーしようとすればかなり多数が必要になる。
      ステルス化した管制機とは別の大型無人アクティブセンサー機と前方進出する小型無人パッシブセンサー機によるマルチスタティックレーダーとしての組み合わせなんてのはありそう。
      その場合は高コストにならざるを得ない広域アクティブセンサー機は少数で済む。

      • 匿名
      • 2021年 10月 01日

      レーダーだけなら飛行船みたいなドローンで良いんジャマイカ?

        • 匿名
        • 2021年 10月 01日

        既に中国が作ってる。
        飛行船型のミサイル誘導レーダー、だったかな?

        4
    • ゆう
    • 2021年 10月 01日

    レーダーをドローン(無人機)に積むなら、合成開口レーダーが向いているのでは?
    小型・多数・制御、ドローン向きと思う。

    • 匿名
    • 2021年 10月 01日

    んでも小さい機体の索敵半径は小さくて敵に近い分落とされやすいから、
    結局後詰めの大型機も必要になるんよな

    3
    • 匿名
    • 2021年 10月 02日

    成層圏プラットフォームの母艦でもいいよね

    • 匿名
    • 2021年 10月 03日

    マルチスタティック技術の応用で、レーダー波出力側は対レーダーミサイルを想定して無人機の多数配備、受信側は少数の大型有人機で情報処理とかはあるかもしれんな。
    大出力のレーダーアンテナと言う時点で無人機側も安くはならなさそうだが。

    戦闘機のネットワーク化云々はアイディアとしては面白いけど、作戦空域近付いて低空下がったり、高空でもある程度機動したら途切れる時点で安定した情報源になるとは思えない。

    • 匿名
    • 2021年 10月 04日

    これってネットでいう集中サーバー方式が、クラウドサーバー方式になったのと同じ流れに見える

    1
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