中国関連

数分で米軍グアム基地を破壊!中国、極超音速ミサイル搭載爆撃機で米国牽制

環球時報の英語版「Global Times」は、中距離核戦力全廃条約が失効し、米国が中国牽制のためアジアに中距離ミサイルの事前配備を進めていることに対抗し、中国は現在、開発中の「極超音速ミサイル」で米国のグアム基地攻撃体制を整えるだろうと報じた。

参考:China’s H-6K bomber expected to be armed with hypersonic weapons

米国の中距離ミサイル事前配備に極超音速ミサイル配備で対抗する中国

1987年に米国とソ連(現在はロシア)の間で締結され、30年以上維持されてきた中距離核戦力全廃条約(INF)が8月2日失効し、米国は中国を牽制するため、アジアに地上発射型の中距離ミサイルを配備したいという意向を示している。

このような米国の動きに対し中国外務省の傳聡(フー・コング)軍縮局長は、「傍観するつもりはない」とコメントし対応策を講じる構えを見せていた。

参考:China Vows to Counter US Deployment of Midrange Arms in Asia

そして傳聡軍縮局長の発言を後押しするかのように、環球時報の英語版「Global Times」が軍事専門家の話を引用し、中国空軍が運用している戦略爆撃機「H-6K」は、現在開発中の「極超音速ミサイル」を搭載することで3,000km離れた敵の軍事拠点を数分以内に破壊できると報道した。

出典:public domain グアム島アンダーセン空軍基地上空を飛行するB-2爆撃機とF-15戦闘機

この3,000kmという数字は、中国の上海周辺から、太平洋上のグアム島に到達するということを意味する。

軍事専門家によれば、戦略爆撃機「H-6K」に極超音速ミサイルが6発搭載できれば、10機のH-6Kを出撃させれば、同時に60ヶ所の軍事拠点を破壊できるだろうと話した。

中国が開発中のステルス爆撃機「H-20」と「極超音速ミサイル」の最悪な組合せ

今回の話に出てきた戦略爆撃機「H-6K」は、旧ソ連のTu-16を1960年代に国産化したもので、何度も改良を重ねながら生産が継続されており、最新型のK型は、搭載エンジンを中国製からロシア製に変更し、機体構造や搭載されているアビオニクスも改良され、兵器搭載量が12トンまで向上している。

出典:防衛省·統合幕僚監部 宮古海峡の上空を飛ぶ中国のH-6M

しかし、1940年代後半に開発されたTu-16の設計を流用しているので性能面の古臭さはあるが、中国本土に近い空域まで「極超音速ミサイル」を運んで発射するだけの「母機」としてなら十分に役立つだろう。

現在、中国は米国のステルス爆撃機「B-2」と同じ全翼機スタイルの「H-20」を開発中で、少なくとも10トン以上の兵器搭載量を持ち、無給油で8,500km以上の飛行が可能で、高いステルス性能を持っていると噂されており、機体や搭載電子機器の地上試験が終了し、初飛行が近いと言われている。

出典:public domain オアフ島 パールハーバー海軍基地

このステルス爆撃機が完成し、射程3,000kmの「極超音速ミサイル」を搭載すれば、米海軍太平洋艦隊の根拠地であるハワイ(オアフ島)を攻撃することも可能になり、オーストラリアのシドニーも攻撃可能範囲に含まれる。

2019年中に実戦配備が始まると言われているロシアの極超音速ミサイル「アバンガルド」と合わせ、米軍の脅威になることは間違いない。

米国の上院軍事委員会委員長である共和党議員のジム・インハーフ氏は、中国やロシアの極超音速ミサイルがもたらす脅威に晒されている高価な空母システムについて、何も有効な対策を講じていない海軍の愚かさを批判し、このままでは極超音速ミサイルが空母を「時代遅れ」に追いやる「悪魔の武器」になるだろうと警告した。

しかし、極超音速ミサイルの脅威は海軍の空母だけに留まらない。

出典:public domain グアム島アンダーセン空軍基地で保守を受けるB-2爆撃機

陸上の航空基地に配備された「F-22」や「F-35」などの高価なステルス戦闘機にとっても脅威になり、最も影響を受けるのは爆撃機「B-52」や「B-1」、ステルス爆撃機の「B-2」や「B-21(現在開発中)」の前進配備(グアムやディエゴガルシアなど)を困難にさせる可能性が高い。

もちろん日本全土も、中国の極超音速ミサイルの影響下に置かれ、陸上の固定基地や施設、停泊中の艦艇などが一瞬で破壊される可能性がある。

マッハ5.0以上で飛翔し、飛翔中のコース変更が可能な「極超音速ミサイル」を、既存の迎撃システムで防ぐのは不可能だと言われており、もし発射されれば逃げるしか無い。

これは米国にとっても頭の痛い問題だが、日本の場合、もはや逃げ場がないため本来なら同種の兵器で対応するのが「定跡」だが、日本国憲法第9条と専守防衛がそれを否定するため、実質、何も出来ない。

 

※アイキャッチ画像の出典:星海军事 / CC BY-SA 4.0 中国国立科学技術大「プロジェクト0901」ウェイブライダー

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 8月 08日

    こういうミサイルってどうにか迎撃できないもんかね…
    レーザーとか電子パルスとかで

    • 匿名
    • 2019年 8月 08日

    軍事面で後手に回る部分が出てきた現状を危惧した結果が対中貿易紛争であったりもするわけで。
    やはり、中露とその取り巻き連中とは完全に住み分けて冷戦体制に戻るべきだと思うのですわ。
    西側の自由を便利使いされてしまう現況は不公平を通り越して愚かしいとしか言えない。
    お互い睨み合っていたほうが、今よりもまだ安定的だったじゃないですか。少なくとも表面的には。
    名ばかりで不確かな同盟関係にも結束感が醸成されるし。
    ただ、一度崩れてしまった冷戦構造をどうやって再構築すればよいのか?言うほど簡単ではなさそうですが。

    1
    • 匿名
    • 2019年 8月 08日

    極超音速ミサイルがマッハ5からマッハ7で飛行したとして、直線距離で3000km飛ぶのに30分から25分くらいですね。
    数分で弾着ならIRBMのようなマッハ10以上の速度が必要でしょう。

    極超音速ミサイルは通常弾頭を使いますが、飛行コースによっては核弾道ミサイルと誤認された場合、ICBMや SLBMを使った報復措置を考えると使いづらく、アメリカの西太平洋での活動への脅しや抑え、といったところがメインでしょう

    • 名無しさん+
    • 2019年 8月 08日

    憲法9条 100害あって1理無しの欠陥品
    中国朝鮮に9条は意味無し

    1
    • 匿名
    • 2019年 8月 09日

    仰る通りです。
    南北朝鮮、中国、ロシアにとって憲法9条は日本国土防衛のための選択肢を抑え込むための便利なツールと現状なっております。

    なるほど、それで社民党が護憲、ゴケンと叫ぶ理由が理解できました。

    1
    • 匿名
    • 2019年 8月 10日

    現在防衛省は「島嶼防衛用高速滑空弾」「極超音速誘導弾」の要素研究を行っています。
    すなわち日本では、極超音速滑空弾・極超音速巡航ミサイルを開発中であり、憲法の制約で何も出来ない訳ではないです。
    先頃アメリカが発表した「ミサイル防衛の見直し」と防衛大綱に記載された「総合ミサイル防空は方向性が一致しており、今後は日米で共同開発が行われるかも知れません。

    • 匿名
    • 2019年 8月 10日

    マッハ5オーバーで十分以上飛ぶ誘導弾ってどこの国の技術でもしばらくは不可能でしょう。
    エンジンは作れても、筐体やシーカーが持つとは思えません。
    巡航域が1,2分以内の対艦ミサイルがやっとだと思います。

    まあDF-21Dとかの開発中に中国が謎のテクノロジーを開発したとか言うなら別ですが、だったら、DF-ZFみたいな滑空弾をつくる必要性がないですよね。

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