中国のソーシャルメディアに登場した謎の有人機は「エンジンを3基搭載した無尾翼のデルタ翼機=成都飛機工業公司案」と「エンジンを2基搭載した可変尾翼の後退翼機=瀋陽飛機工業集団案」で、第6世代機に関連しているかもしれない2種類のデモンストレーター登場に世界中が驚いている。
参考:China Stuns With Heavy Stealth Tactical Jet’s Sudden Appearance
中国人民解放軍のJ-XDはJ-20の延長線上にはない可能性が高い
米航空戦闘軍団で司令官を務めていたケリー空軍大将は2022年9月「有人戦闘機を含む第6世代航空戦力について中国は米国とは同じ方向を追求している。つまりシグネチャーの指数関数的な減少、処理能力とセンシングの指数関数的な加速を期待している。もう1つの重要な要素はオープンミッションシステムを利用した絶え間ない改良の反復能力だろう」と言及し、J-20の後継機についても「彼らは何をやろうとしているのか十分理解している」「中国の第6世代戦闘機は現行のプラットフォームと比較して飛躍的にステルス性能が改善される」と述べた。
中国の軍用機開発に精通しているリック・ジョー氏も今年6月「中国人民解放軍の第6世代機(J-XD)は2034年までに姿を見せる」「既に様々なデモンストレーターのテストベッドが飛行している」「J-XDは動力、センサー、コンピューティング、ネットワーク分野で次世代のサブシステムとテクノロジーを採用してくるのは確実だ」「さらにJ-XDはUCAVやCCAと共同運用される可能性が高い」と言及していたが、中国のソーシャルメディア=微博上に謎の有人機が登場したため、中国の次世代戦闘機に関する話題が一気に沸騰している。
微博上に登場した謎の有人機は「エンジンを3基搭載した無尾翼のデルタ翼機=成都飛機工業公司案」と「エンジンを2基搭載した可変尾翼の後退翼機=瀋陽飛機工業集団案」で、機体サイズは成都案の方が大きく、瀋陽案の可変尾翼は水平を保つことでステルス性能と揚抗比を、可変尾翼を立てると機動性と操縦特性が高まり、成都案の機体番号は360Xなので「型式番号がJ-36になるのではないか?」と予想され、ジョー氏は第6世代機に関連したデモンストレーターが2種類も登場したことに「これが本当なら衝撃的だ」「中国は世界を驚かせる能力を持っていると証明した」と述べている。
— OedoSoldier (@OedoSoldier) December 26, 2024
米ディフェンスメディアのWarZoneも「中国が大型ステルス機を飛行させて世間を驚かせた。成都案は機体上部と胴体下部の側面にエアインテークがあり、未確認ながらJ-20向けのWS-10Cを3基搭載している。この機体はJ-20もサイズが大きく、高速飛行や高高度での運用など厳しい要求要件を達成するに3基のエンジンが必要なのかもしれない。これを比較的簡単に撮影可能な日中に飛ばしたのは中国当局の意図が働いている」と指摘した上で、成都案(WarZoneは記事を執筆した時点で瀋陽案を認識していない)について以下のように分析した。
“まだ不明な点は多いが、この機体(成都案)について確実に言えることは非常に大型で高高度を飛行可能なステルス戦術機という点だ。空中給油機の支援がなくても長距離を飛行することができ、従来の有人機よりも脅威への接近が容易になり、これまで有人戦闘機による脅威を想定していない地域で空中、地上、海上の目標を危険にさらすことができる”
Hell Yeahh
This should be PLAAF 6th gen Fighter or JHXX bomber platform pic.twitter.com/CPBOUsxVKZ
— Húrin (@Hurin92) December 26, 2024
“これは米空軍の空中給油機、早期警戒管制機、輸送機、偵察機、前方地域で活動する同盟国の艦艇や部隊にとって現実的な脅威となりうるだろう。さらに同機はこれまで到達も生存も出来なかった前方空域でセンサープラットフォームとして機能し、適切な耐久力を備えたウィングマンと組み合わせれば致死性と生存性は倍増するため、この機体の存在意義は非常に大きい”
成都案と瀋陽案が実用機に近い存在かは不明だが、仮に何からのデモンストレーターだったとしてもCGではなく飛行可能な実機で、仮にJ-XDに関連したテストベッドなら「第6世代機の開発テンポ」は米空軍(2020年に次世代戦闘機のプロトタイプを秘密裏に設計・製造して既に試験飛行を行っていると表明)に次ぐものになり、中国人民解放軍はJ-20とは異なる能力やコンセプトを第6世代機に求めている=J-XDはJ-20の延長線上にはないと示唆している。
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※アイキャッチ画像の出典:@RupprechtDeino
アメリカが中国を敵視してる今現在、さらに火に油を注ぐがごとくサプライズ
同盟国日本の重要性が嫌でも高まるってもんですよ
トランプは本質的には安全保障に興味ないし理解もしていないからなあ。こういうニュースがあっても、だから同盟国は国防費増やして米国製兵器買えとしか考えない。まあ実際中国が直接米国を攻撃する可能性は限りなくゼロに近いから合理的ではあるけど
この前の航空ショーで大々的に発表した方が、世界的なインパクト大きかったろうに
なんでSNSでチラ見せ「あっ、撮られちゃった(棒」みたいな事やるんだろ
間に合わなかったのかな?
珠海航空ショーの主役はJ-35でしたので…第6世代機案の試作機を出したらJ-35の存在感が薄くなります。
またこれらの機体は会社が作った第6世代機案の試作機なので、中国軍が採用しない可能性はあります。
今時点で飛行しているならエアショー時はフライアブル状態に無くてもドンガラぐらいは展示出来た筈だし、間に合わなかったと言うのはどうなのかな。
流石に現時点で採用の可能性があるかつ未知の機体を多人数かつ撮影機材が多種多様な状態のエアショーで飛ばすってのは考えられないが。
B-21のお披露目だって限られた角度かつ距離を置いて公開されてるんだし、エアショーでSu-57プロトタイプみたいな防諜関係無しの雑な公開の仕方したくないなら場所とか色々と制約多くなる。
中国は大体非公式に撮影させる→時期が来たら公式発表という流れなので。J35も非公式の目撃動画の時期を経て珠海航空ショーで発表しています
成都飛機案機は戦闘機/攻撃機として類を見ない3発エンジンのようですが、とすれば背面インテークは中央エンジン用吸気ダクトということで整合がとれますね。翼端側2枚の動翼はスポイレロンの一種ですかねえ。
瀋陽飛機案機も翼端角度可変と新機軸採用で、どちらも意欲的な設計に思えます。
なるほどー足りないパワーを補うための3発か
これならひとまず形にはできそうだ
ただ高迎え角での飛行時に十分に吸気できるのか、素人ながら疑問に思う
どうやって解決してるのか、あるいはそもそも高速で長距離を進出することに特化していると見るべきか
いずれにせよ瀋陽案の方が戦闘機っぽい構成ではある
しかしここまで突き詰めると尾翼が邪魔になってくるんだねぇ
成都案は従来通りのスプリットラダー、瀋陽案は可変機構と
無尾翼の欠点を補う方法の様々なアプローチを研究してるってとこなのかな
高速性能は予備で通常は真ん中一つだけ稼働なら面白い。
ステルスはUHFだとエンジンが見えるけど。エンジンが少し小型化できるのかな? 意味あるとは思えないが。
ターボプロップの4発機で低速飛行時に1~2発のエンジンを止め、プロペラの角度を立てて空気抵抗を減らし燃費を稼ぐ、なんて話があったと思います。
でもジェットエンジンでは空気抵抗にしかならないので意味が無いと読んだような…。
AWACSや哨戒機を使えなくするのかな
3発エンジンなら発電量とかも余裕ありそう
GCAPは間に合うのかな
3発でこの配置だと排熱の関係で真ん中は高負荷運転出来ないと思う、発電用かな?
単発で全てを賄おうとした結果常に高負荷運転を強いられて全てが狂ったF-35とは対象的な設計だ
とはいえエンジンは中国の技術的ネックだからおそらく双発では推力/発電力において所定の性能を満たせず、その解決策が3発であったり可変翼であったりなのだろう
逆に言えばそれだけの電気需要があるというわけでアビオニクスは十分なものが積まれてるものと思う
いずれにせよエンジン多発化も可変翼も運用コストがべらぼうに高くなる原因ではあるから、これが試作機としたら苦肉の策だろうし、そうでなく本当に実験機に過ぎないかもしれない
こういう機体を運用するからには全体として確実に制空権を取りに行く空軍を目指している、という事でもあるからなぁ
ただエンジン3発とは思い切ったもんだ
50~60年代のビジランティ戦闘機型3発仕様以来の衝撃ですな。
50~60年代、模型を風洞試験しても今一よくわからないので縮小実機を飛ばすことがままありました。シミュレーションが発達しましたものの、米でもX-32,X-35を試作して実地に試しています。そこから生まれたF-35はあの体たらくですが。
今回の機体もそうした意味合いで作った試験機なのでしょう。制式機F-117に対する概念実証機のハブブルー、EFタイフーンに対するEAPのようなものです。
戦闘機としては大型のJ-20より更にデカい三発機ってもう戦闘機ってより爆撃機に片足突っ込んでるレベルというかJ-○○じゃなくてJH-○○の方が合ってるんじゃなかろうか
エンジン1基にして失敗したF-35の教訓を生かしてますね
三発機は斬新すぎる気もしますが
アフガンやイラクで遊んだりしないで
経済成長した分の予算をまともに使うと
こんなに色々出来るんですね…
搭載しているのがJ-10向けに開発されたWSー10なあたり不安定なんじゃあないですかね>エンジン
米国がセンチュリーシリーズを作ってた時代のような勢いがありますねー。
ウクライナに費やした戦費があれば、こうした試作機の4機や5機は作れたのでしょうけど。
中国経済がイケイケだった時期に開発スタートしたと思いますから
これからも同じ調子で開発していけるとは思えませんけどね
軍事分野への投資って経済的なリターンが低いんです
アメリカが軍事分野に投資するのは基軸通貨であるドルを守るために必要だからやってるわけで
中国は何を守るためにやってるんですかね?アメリカに対するけん制?
軍拡競争で破綻したソ連の二の舞にならなきゃいいですけど
>中国は何を守るためにやってるんですかね?アメリカに対するけん制?
・米軍に勝つため。台湾有事の際はアメリカが軍事介入する可能性が高いです。
・機体更新のため。中国軍は装備品の更新が速いので、2030年代に第4.5世代機の退役が始まって、第6世代機と第5世代機が主力になると思います。
崩壊直前のソ連の軍事費は対GDP比で30%近くありました。
今の中国の軍事費は対GDP比で約1.7%なので、軍拡で破綻するのはまだまだ先だと思います。
GDPで言うと西側の方が痛い。アメリカは3%超えているし。
ヨーロッパは対ロシアで軍事費増やしているけど。核を持つロシアと全面戦争は非現実的。
西側の軍事費は2019年ごろ世界の6割あったのに、さらに激増させるわけだから。
軍事費で通貨は守れない。何に使う気なんだは、西側に対する言葉。
逆に言えば、中国がソ連並みのGDP比率軍事費を出すようになったら…と考えるだけで恐怖を感じますね。
そこまでではないとしても、寝そべり族に喝を入れ若者就職難や不景気対策として、増額はありそうに思えます。
2016年秋の中国共産党党大会において、習近平が今世紀半ばごろまでに「世界一流の軍隊」を建設する長期目標を示した、と報じられています。この言は2050年頃までに質・量共に人民解放軍が米軍を凌駕する目標を掲げたと解されています。中国史を見るに中国人の長期的野望は馬鹿にできません。
そのため各分野の基礎研究始め莫大な関連研究開発費が投入されていると言われ、その投資額は公表の軍事予算に算入されておらず、中国の実質的軍事予算規模はもっと大きいとされる所以です。先端的軍事技術のスピンオフにより民用技術基盤を牽引・底上げする期待もあるはずです。
ダブルデルタ全翼機と可変翼尾翼付きですね。
後者の方が運動性能がよいのかな?。
でも、全翼機の方が、機内容積はありそうな?。
日本のF3の決定版の形状は未だ明らかではない?様だけど、
どちら側になるのかな?。
常識的(水平尾翼有り)になりそうな気がするけれど。
ダブルデルタというと、ドラケンの前例がありますが、
スェーデンの作る次世代機(小型機・)はどんな感じでしょうか。
興味があります。
第6世代戦闘機ってストラマだと思ってたわー
F35を超えるとしたら機体の大型化で強力な探知能力と打撃力?逆に強力ジャミングで赤外線ミサイル以外無力化(エンジンパワーあるから赤外線ミサイル範囲でも優位か)?何かピンと来ない。
無人ウィングマンをAIとかで最大限使うとか?
B-21やNGADの思想に近い
長距離攻撃能力を重視して大電力の消費にも耐えれそうだ
F35の欠点を克服してる感じかな
米空母イージスAEWを纏めて先制かな
F-35にはアウトレンジ撃ち逃げでしょうか
F-2と相対したらどうなるのか
今や中国軍の装備は部分的には米国の先を行っていますし、もしかすると我々は中国を通じてNGADの競争試作機を目の当たりにしているのかも知れませんね。
どちらの機体も新機軸モリモリだけど量産時どうなるんだろ?
これまでの戦闘機開発って斬新な設計が生まれても採用競争で負けたり、運用が短命に終わったり、後継機が平凡な設計になったりで結局淘汰されるイメージがある。
他国の何なら仮想敵国の機体とはいえ新兵器の試作機はワクワクしますね~
デルタ翼はYF‐23の排気冷却のコピーにみたいだね
後退翼の方はラプターの推力変更ノズルだな
非対象戦とかいう玩具に無駄遣いし過ぎた米軍。
前回も書きましたが、無尾翼デルタの方はインテークの設計が古典的に過ぎ、またランディングギアのカバーにもステルス設計が見られず、ここから直接的に実戦機に発展していくとは考えにくいです
要素技術研究のためのテストベッドを、さも競作にかけられている試作機かのように見せかけているというのが実態ではないでしょうか
不鮮明ですが胴体側面のインテークはダイバータ(可動式?)付ですね。背面のは側面からの画像で、同じく不鮮明ですが直前にダイバータレス・エア・インテークらしき膨らみが見えます。とすれば、設計思想に一貫性が感じられないのが気になるところです。
直感的私見に過ぎませんが、見れば見るほどステルス機を3発エンジンにすることが眼目のデモンストレータなのでは、と思えてきました。
上面/下面の時点で条件が違い過ぎるので設計を統一する意味がないかと。
四輪車の前輪と後輪のサスの構造が不統一で「一貫性がない」なんて言われないでしょ?
設計ではなく設計思想ですよ
前輪がオフ用で後輪がオン用だったら誰だって一貫性がないと思います
ダート用のカスタムとかでそんなん普通にありますよ。
同じ機体でも上面と下面では実質的な飛行条件が全く異なりますから設計だろうが設計思想だろうが統一する意味はありません。
前後サスで伝わらないならオートレース車の左右差なら伝わりますか?
オーバルコースを左回りにしか走らないオートレースで車体の諸々のサイズや形状を左右で統一する必要はないし、むしろ統一しちゃダメでしょう。
まあ、つらつら考えると、一定の機動性も求められるステルス超音速機用背面エア・インテークを実証するためのFTB、という解釈が個人的に一番収まりが良いかもです。
例示された四輪車のサス構造は、前輪と後輪で求められる機能性能が異なるなら違って当然なので不同意ですね。
>例示された四輪車のサス構造は、前輪と後輪で求められる機能性能が異なるなら違って当然なので不同意ですね。
いやまさにそういう例示なのですが。
ピッチで飛行特性の変わる固定翼機において上面インテークと下面インテークでは求められる機能性能が異なるから統一する意味がない、といってるんです。