中国関連

グアム基地が中国製極超音速兵器の射程圏内に、爆撃機にDF-17を搭載して運用中か

中国空軍は米空軍のグアム島アンダーセン空軍基地を破壊する「新たな手段」を実用化させたと報じられており注目を集めている。

参考:Video Of Chinese Missile Carrier Jet Hauling What Appears To Be A Hypersonic Weapon Emerges

米国が恐れていた空中発射型極超音速兵器の存在を中国側が意図的にリークか?

グアム島のアンダーセン空軍基地に前方配備していた米空軍の戦略爆撃機は過去16年間、中国や北朝鮮に睨みを効かせていたが両国の弾道ミサイル戦力の強化に伴い、今年4月に爆撃機前方配備を中止して本土に引き上げることになったが、依然として戦略爆撃機を運用可能なアンダーセン空軍基地の戦略的価値は高く中国にとっては目の上のたんこぶと言える。

出典:public domain グアム島アンダーセン空軍基地上空を飛行するB-2爆撃機とF-15戦闘機

このアンダーセン空軍基地を排除するため中国は、最大射程4,000kmの中距離弾道ミサイル「DF-26(東風26号)」や爆撃機H-6Kに搭載して空中で発射するタイプの巡航ミサイルを運用してきたが、どれも迎撃可能なため「絶対的」な攻撃手段とは言えず、空中発射型の極超音速兵器開発を進めていると言われてきた。

ただ同兵器の存在を示すような写真も公開されてこなかったため「本当に実在する兵器」なのか謎に包まれていたが、今月17日、ネット上にH-6Nと見られる機体が極超音速兵器「DF-17」によく似た兵器を搭載して飛行している様子を収めた動画がアップされ大きな注目を集めている。

動画に登場する爆撃機は空中発射型の弾道ミサイルを運搬するH-6シリーズの最新バージョン「H-6N」だと言われており、胴体下に搭載された大型ミサイルの先端部分は中国建国70周年を記念した軍事パレードで初披露された地上発射型の極超音速兵器「DF-17」に似ているため中国空軍はすでに空中発射型DF-17を運用しているではないかと複数の海外メディアが指摘、これが事実なら空中発射型DF-17の最大到達範囲は4,000kmを超えることが予想されるためグアム島は完全に空中発射型DF-17の射程範囲に収まってしまう。

極超音速兵器「DF-17(東風17号)」は弾頭部分に極超音速滑空体を搭載しており、目標までマッハ5を超える速度で滑空しながら自由に飛行コースを変更してくるため従来の防空システムでは対処困難と言われているシロモノだ。

特にアンダーセン空軍基地(グアム島)を守るため配備されている守りは現状、DF-17迎撃に対応していない弾道ミサイル迎撃システム「THAAD」だけなので事実上、中国はアンダーセン空軍基地を高い確立で破壊する手段を手に入れたことになる。

さらにH-6Nと空中発射型DF-17の組み合わせは、アンダーセン空軍基地の代替地として整備が始まっているオーストラリアのティンダル空軍基地(豪州北部のダーウィン近郊)にもギリギリ届くため米軍からすると非常に厄介だ。

出典:negoworks / stock.adobe.com 地図データを元に航空万能論GFが作成

ただ空中発射型DF-17でアンダーセン空軍基地を破壊するためには宮古島や沖縄近海までH-6Nで運搬する必要があり、ティンダル空軍基地を破壊するためには南シナ海を超えたスールー海までH-6Nで運搬する必要があるため、DF-17を発射する前に母機を撃墜してしまえば無力化できるのが欠点と言えるが、中国空軍はH-6の後継機となるステルス爆撃機「H-20(2025年配備予定)」の開発を進めているためH-20と空中発射型DF-17の組み合わせが実用化すると対応難易度が上がるかもしれない。

どちらにしても今回の動画は偶然撮影されネット上にアップされたというよりも中国側が意図的に情報を公開した可能性が高く、これは9月に公開したプロパガンダ動画と同じで米国に「いつでも中国は戦略爆撃機運用の拠点となる米軍基地を破壊可能だ」と言いたいのだろう。

果たして米軍側は、空中発射型DF-17の登場にどのような反応を示すのか注目される。

 

※アイキャッチ画像の出典:@OedoSoldierのツイートより

トルコとウクライナが軍事協定を締結、バイラクタルTB2とエンジン技術を交換か前のページ

ナゴルノ・カラバフ紛争、2度目の停戦発効から4分後にアゼル軍が攻撃再開次のページ

関連記事

  1. 中国関連

    早ければ2021年初め? 中国海軍の電磁式カタパルト採用空母が進水間近

    中国メディアは最近、建造中の国産空母「003型」について2021年初め…

  2. 中国関連

    中国が無人潜水艦プログラムの機密を解除、UUVによる模擬潜水艦への魚雷攻撃に成功

    中国は1990年代に研究・開発が始まった無人潜水艦プログラムの機密を解…

  3. 中国関連

    艦載機のステルス化が進む中国、今度は空母にステルス無人機を配備

    最近、中国初のステルス戦闘機「J-20」の艦載機化が有力だと報じられた…

  4. 中国関連

    中国の電子戦機J-16Dが間もなく実戦投入可能に、J-20との相乗効果をアピール

    中国中央テレビ(CCTV)は6日、珠海航空ショーでデビューした電子戦機…

  5. 中国関連

    中国が2023年度の国防予算に2,247億ドルを配分、前年度から7.2%増

    中国は開幕した全人代で2023年度の予算案を公開、国防予算には1兆5,…

  6. 中国関連

    中国国営放送、米海軍のコネチカットは空母の護衛として事前配備された際に事故を起こした

    中国中央電視台(CCTV)は13日、米海軍の攻撃型原潜「コネチカット」…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 10月 18日

    H-20+DF-17実用化までのつなぎだろう。
    H-6N+DF-17は現実的にはつかえないとしても無視はできない。
    H-20+DF-17が完配備まではできるふりだけで十分。
    にしても情報戦は費用対効果高いな。

    6
      • 匿名
      • 2020年 10月 18日

      グアムよりも中国に近いフィリピンにアメリカが戦略爆撃機配備するわけないでしょ
      他の地上型配備弾道ミサイルの餌食になっちゃうよ

        • 匿名
        • 2020年 10月 18日

        返信する相手間違えてしまった

    • 共匪
    • 2020年 10月 18日

    グアムも心配ですが、日本列島はとっくに地上発射型DF-17の射程内だし、中共の弾道ミサイル発射機は数百基。BMDにも限界がある。自衛隊基地の抗たん性強化はやっているのでしょうか?

      • 匿名
      • 2020年 10月 18日

      分散パッド化は粛々と実行中ですね。精密誘導兵器相手だと、掩体の効果は薄いですし
      あと、究極的な対策としてはF-35Bと軽空母導入ですね

      4
      • 匿名
      • 2020年 10月 18日

      そもそも弾道弾を使うまでもないんじゃないかなぁ‥‥テロに偽装した破壊工作で十分そう。抗堪性もそうだけどそっちの対策の方が日本にとっては大事そう。あといい加減敵基地攻撃能力を持つか持たないかなんて寝言言ってないで対地能力を強化しろと。

      9
        • 匿名
        • 2020年 10月 18日

        前にも書いたが、防衛省はアレイからすこじま公園から丸見えで出入口も公園に直結しているのに一人の警備隊員もいない呉基地潜水艦桟橋を何とかするべきだと思う。

        12
          • 匿名
          • 2020年 10月 18日

          前にも似たようなコメント見たな
          地元の〇菱の工場なんて昼時には門番の警備員が居なくなるというガバガバ警備
          この時の時間帯を狙って簡単に工場内に潜入出来てしまい
          定期検査のイージス艦に会えてしまうというお粗末さらしい
          数年前の話だけどね、今は知らん

          4
            • 匿名
            • 2020年 10月 18日

            ちょっとまえに、アメリカの艦艇が相次いで火災を起こしてたじゃないか。

    • 匿名
    • 2020年 10月 18日

    なぁに、軍港を地下施設にしてしまえば無問題
    軍事基地を能天気に地面に晒している時代は終わったのだ

      • 匿名
      • 2020年 10月 18日

      北朝鮮は航空基地も地下に隠しているらしいね。

    • 匿名
    • 2020年 10月 18日

    あの巨大基地を無力化するのに通常弾頭何発が必要だろうか、迎撃できなくても、
    当然あちこちから米側の反撃もあるだろうし

    • 匿名
    • 2020年 10月 18日

    極超音速ミサイルでも、直進しているときは、真正面から観れば止まっているも同然なんだが。
    なんとかならんもんかな?

      • 匿名
      • 2020年 10月 18日

      DF-17は飛翔中に直進しない。
      大気圏内を縦横無尽に飛翔する。

        • 匿名
        • 2020年 10月 18日

        最近の「極超音速ミサイルが縦横無尽の軌道を取る」だけど、マッハ5とかを余裕で超えているという代物を、ただでさえ断熱圧縮でものすごい力を受けているのに、それをぐにゃぐにゃに軌道を変更するなんて、そんな推力や燃料を積んでるのだろうか?

        6
    • 匿名
    • 2020年 10月 18日

    フィリピンが使えれば、また話も変わってくるのだろうけどね。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  2. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  3. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  4. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  5. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
PAGE TOP