中国関連

非ステルスがステルス機に変身? 中国人民解放軍が採用を決めた新しいステルス塗料の謎

中国人民解放軍は最近、目視やレーダーから軍用機の認識を困難にさせる新コーティングを採用したとサウスチャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)紙が報じている。

参考:Chinese warplanes to get new coatings to make them harder to detect

中国人民解放軍が新たに採用したコーティングは、非ステルス機に第5世代戦闘機並なステルス性能を付与できる?

簡単に新しいコーティングを言い表すなら、敵パイロットから目視による認識を阻害するカラーリングとレーダーが自機を捕捉することを阻害する電波吸収性もしくは反射性塗料で構成されていると言う意味で、中国人民解放軍によれば今回採用した新コーティングは戦闘機の優位性を向上させるために開発されたもので、J-20などのステルス戦闘機だけでなく非ステルス戦闘機にも効果があると言われている。

出典:グローバルタイムズ 新コーティングが施された艦上戦闘機「J-16」

特にレーダーに対するステルスを高かめる技術は2年間の試行錯誤の末に完成したと昨年8月にサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙が報じており、この技術で開発された特殊コーティングを非ステルス機に施せば、第5世代戦闘機並のステルス性能が獲得できると中国の軍事専門家が話していたものだが、どのような仕組みなのかは一切明らかにされていない。

通常、レーダーに対するステルス性能を高めるには機体形状を工夫し照射されたレーダー波を照射元とは別の方向に反らしたり、レーダー波を吸収して熱に変換する素材やコーティングを使用することでようやく第5世代戦闘機水準のステルス性能が実現できるのだが、中国はコーティングのみで第5世代戦闘機水準のステルス性能を非ステルス戦闘機に付与することが出来ると主張しているのだからにわかには信じがたい。

一応、中国の科学者達はメタマテリアルの一種である「メタ・サーフェス(人工表面)」を使用した新しいステルス技術(※1)の開発に成功するなど、まだ広く認知されていないステルス技術を実用化している可能性もあるため全否定することは難しいが、匿名を要求した情報提供者は中国のステルスコーティングの技術レベルについて米国のF-22に使用されているものより性能は良いが、F-35に使用されているものほど性能は良くないと語っている。

出典:dreamnikon / stock.adobe.com ステルス戦闘機F-22A「ラプター」

※1補足:メタ・サーフェスとは自然界には存在しない反射特性を持つ人工表面のことで、メタ・サーフェスは照射されたレーダー波の反射を人為的に制御できと言われており、中国の科学者達は世界で初めて反射するレーダー波の挙動を正確に計算するための数学モデルを完成したらしい。

このように中国のステルスコーティングの技術レベルは情報源によって異なるため今回の報道だけで判断することは難しいが、着実に改善が行われていることだけは確かで、このような努力が積み重なれば私達が見たこともないような技術を完成させることは十二分にあり得る話だ。

ただ、この新コーティングはすでに中国海軍の艦上戦闘機「J-15」が使用中で最終的に中国人民解放軍が保有する全軍用機に使用すると言っているため、中国軍機との接触機会が多い日米がいずれ新コーティングの実力を明らかにするだろう。

 

※アイキャッチ画像の出典:Show EXIF / Public Domain 艦上戦闘機「J-15」

韓国にとって悲願達成? 米空軍、T-7Xと命名された韓国製訓練機T-50をレンタル導入前のページ

欧州独占なるか? ドイツとフランスが進める「次期主力戦車開発プログラム」正式始動次のページ

関連記事

  1. 中国関連

    クアッド全体の国防支出は年間約99兆円、中国が米国との軍拡競争で勝利するのは非現実的

    米メディアのブルームバーグは「中国は軍拡競争において米国に勝利すること…

  2. 中国関連

    中国海軍向けの第5世代戦闘機J-35、高解像度画像が初登場

    今年11月に開催される珠海航空ショーで中国が開発を進めている海軍向けの…

  3. 中国関連

    連続量産に突入した中国のJ-20、南シナ海方面の部隊にも配備を開始か?

    中国空軍の第5航空旅団にJ-20の供給が始まっている可能性があり、これ…

  4. 中国関連

    中国が改良したCH-7を公開、対称戦で求められるハイエンドUAV

    中国航天科技集団(CASC)は珠海航空ショーにCH-3、CH-4、CH…

  5. 中国関連

    早期警戒機不要論に拍車、NATOや米国が進める「AWCASシステムの分散化」に中国も追従

    中国の早期警戒管制機を開発してきた技術者達はNATOや米国に追従して「…

  6. 中国関連

    ステルス爆撃機H-20? 中国が戦略的・歴史的意義のある航空機のテストを予告

    中国の航空機開発を主導する中国航空工業集団(AVIC)が「戦略的・歴史…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 3月 24日

    中国の軍事優先思想と莫大な予算、優秀な人員は侮れませんね

    • 匿名
    • 2020年 3月 24日

    塗料の重量がかさんで機動が悪くなりそう。
    ないよりはいいのかもしれないが…。

    • 匿名
    • 2020年 3月 24日

    中国人の「出来ました」
    韓国人の「出来ます」
    日本人の「出来ません」

    は信用するな、と言う民族ジョーク。

    1
    • 匿名
    • 2020年 3月 24日

    これが事実なら革命的開発だよな!

    • 匿名
    • 2020年 3月 24日

    バカらしい、コロナを世界中にばらまいてほざくなゴミ

    1
    • 匿名
    • 2020年 3月 24日

    「最終的に中国人民解放軍が保有する全軍用機に使用する」
    はい、嘘。
    記事のトバシか中共のプロパガンダかは知らんけど嘘なのは確定。

    1
    • 匿名
    • 2020年 3月 24日

    まぁ、0か100かの世界じゃないんだから、新しい塗装ができたって事はステルスとまでは行かなくてもレーダーの索敵範囲が狭くなる事もあるだろうし、基礎的な能力の向上といった意味では効果的なのでは?

    2
    • 匿名
    • 2020年 3月 24日

    ステルス機ではなく、タイフーンとか、Su35とか、実現しなかったF-1SEなんかの低RCS機だね。

    • 匿名
    • 2020年 3月 24日

    周波数ホッピングにステルス塗料とやらが対応できるなら大したものだが

    • 匿名
    • 2020年 3月 24日

    だったら一度日本近海まで飛んできてくれ、すぐにスクランブルするから。

    • 匿名
    • 2020年 3月 24日

    軍事研究2019年10月号によるとRCSは
    J-16が5~10㎡、Su-35が1㎡、J-20が0.1㎡、F-22が0.0001㎡。

    J-16→J-20レベルは-17~-20dB程度、
    J-16→F-22レベルは-47~-50dB程度。
    減衰量自体は、J-16→J-20レベルなら可能かもしれないけど、
    J-16→F-22レベルを厚さ確保せずにだと恐らく無理﹙厚さ数cmのウレタン吸収体でのピーク値レベルの筈﹚。

    あとJ-16→J-20レベルでも、仮に機体の反射を抑えても、エンジンからの反射が駄々漏れでそちらが支配的になるだろうから、1㎡弱になれば御の字だと予想します。

      • 匿名
      • 2020年 3月 25日

      数十cm級~メートル級のピラミッド型ウレタン吸収体なら、Xバンドに対して-50dBの減衰量を確保出来たかも?
      勿論、そんなのを戦闘機の機体表面に施すのは無理ですね。

    • 匿名
    • 2020年 3月 25日

    本四連絡橋に塗られているようなものを開発したんでしょ
    物理特性を考えれば一飛行ごとに塗り直す必要があるタイプだから維持費で国が傾く

    • 匿名
    • 2020年 3月 25日

    とりあえず、デモフライトで霞が関や永田町あたりに来たら、どうでしょうかね?
    熱烈に歓迎されると思いますよ。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  2. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  3. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  4. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  5. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
PAGE TOP