中国関連

中国製防空システムの欧州進出が成功、セルビアがFK-3を調達

昨年はNATO加盟国のトルコがロシア製防空システム「S-400トリウームフ」導入して注目を集めたが、今後は欧州のセルビアが中国製防空システム「FK-3」を導入したと報じられている。

参考:セルビアが中国防空ミサイルシステムを買収

NATO加盟国のロシア製防空システム採用に続き、欧州に中国製防空システムが上陸を果たす

セルビアが中国から調達した防空システム「FK-3」は中国の主力防空システム「HQ-22」の輸出バージョンで、フェーズド・アレイ・レーダー「H-200」搭載車輌×1、4連装ミサイルランチャを搭載した車輌×2、指揮管制車両×1、その他支援車両や地対空ミサイル「FK-3」計24発(予備を含む)で構成され、100km以上離れた複数の目標を追跡可能で、最大3つの目標に対し6発のミサイルを誘導(1つの目標に対して2発づつ)することが可能だ。

補足:防空システム「FK-3」を導入したセルビア側の情報では1ユニットに4連装ミサイルランチャを搭載した車輌が3つあり、最大6つの目標に対し12発のミサイルを誘導(1つの目標に対して2発づつ)できると言っている。これが正しければFK-3の性能は知られていたものよりも優れているかもしれない。

地対空ミサイルFK-3の交戦範囲は射程100km/高度50m~2万7,000m、航空機や巡航ミサイル、ターミナルフェイズの弾道ミサイル迎撃に使用することが出来るため、米国製防空システムのパトリオットPAC-3弾に匹敵すると噂されているが、本機最大の特徴は何と言ってもコストパフォーマンスの良さだろう。

出典:Jian Kang / CC BY 3.0 中国の防空システムHQ-9

中国にはロシア製防空システム「S-400」に近い性能を誇る防空システム「FD-2000(HQ-9の輸出バージョン)」があるのだが、これですら米国製防空システム「パトリオット」やロシア製防空システム「S-300」よりも低コストだと言われているのに、防空システム「FK-3」はFD-2000より製造コストが安価だといわれているため、恐らく地球上で入手可能な(一定水準の)防空システムの中で最も安価である可能性が高い。

因みにセルビアは防空システム「FK-3」を3セット取得したと言っている。

中国製レーダーは欧州の中で稼働することはNATOにとって問題になる可能性が高い

問題は欧州の中で中国製のレーダーが稼働するという点だだろう。

中国がセルビアに引き渡した防空システム「FK-3」にバックドアが仕掛けられていない保証はどこにもなく、中国人スタッフは保守名目でセルビアの防空システム「FK-3」に触れることも可能なので、今後NATO加盟国でF-35を運用している国は演習等で移動する際、セルビアとの国境沿いを避けて飛行する必要がある。

補足:セルビアは南欧州に分類される国で、経済的には2025年までにEU加盟を目指しており軍事的には中立を掲げている。しかし2008年にNATO加盟への第一歩となる情報共有協定にセルビアが署名したためNATO加盟を希望していると見られがちだが、セルビア政府や国内世論はNATO加盟を望んでいないため今後も軍事的中立を守っていく可能性が高い。

因みにセルビアは最近、欧州の国として初めて中国から無人航空機「CH-92A」を購入して注目を集めた。

出典:セルビア国防省 中国製無人航空機 CH-92A

セルビアが中国から調達した偵察及び監視任務に使用する無人航空機「CH-92A」の性能は最大速度200km/h以上、最高高度5,000m、戦闘半径250km(最大飛行時間8時間)、最大165ポンド(74kg)までの兵器を搭載することが可能でレーザー誘導ミサイルやレーザー誘導爆弾、ロケット弾などを使用した攻撃に使用することが可能だ。セルビアは同機を最大で24機調達する可能性があり、中国はセルビアに対してセルビアに対して無人航空機の製造技術を移転すると明らかにしている。

ただセルビアは軍事的中立を掲げるだけあって、米空軍が採用を決定した訓練機T-7Aレッドホークにも興味を示しており、果たして米国がどのような反応を示すのか注目される。

 

※アイキャッチ画像の出典:Tyg728 / CC BY-SA 4.0 中国の防空システムHQ-9 ※FK-3ではないので注意

戦闘機導入の相場、フランスのラファール導入が高額になる理由前のページ

米空軍がF-15EをF-15EXで更新する可能性? どう考えてもノーチャンス次のページ

関連記事

  1. 中国関連

    全く機能しない? 中国視点から見た米日豪印による太平洋版NATO構想

    北京に拠点を置く中国国際研究基金シニアフェローの呉正龍氏は米日豪印4ヶ…

  2. 中国関連

    F-35製造に影響も? 中国の対ロッキード・マーティン制裁はレアアース輸出制限か

    ロッキード・マーティンは中国市場で民間旅客機を販売しているボーイングと…

  3. 中国関連

    中国、空母で運用可能な早期警戒機「KJ-600」の初飛行に成功

    中国は米海軍のE-2ホークアイによく似た固定翼タイプの早期警戒機「KJ…

  4. 中国関連

    中国が最も恐れるシナリオ、印日米豪にインド洋を抑えられること

    香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は5日、インドが両国の軍事的…

  5. 中国関連

    中国が頭を抱えるロシアのインド優遇、防空システム「S-400」納入1年短縮

    香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は29日、ロシアがインドの要…

  6. 中国関連

    無人ステルス機を運用? 中国の強襲揚陸艦に電磁式カタパルトを統合か

    中国の次世代強襲揚陸艦「076型」は電磁式カタパルトを備え固定翼タイプ…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 8月 03日

    こうやって着々と侵食していくのが中国は本当にうまいな

    • 匿名
    • 2020年 8月 03日

    これは中国の問題というより、旧ユーゴ地域がサラエボ暗殺事件当時から変われないという民族紛争に目を向けるべきだと。
    またいつ発火するかわかんない

    • 匿名
    • 2020年 8月 03日

    セルビアは中立を掲げてるらしいけど、個人的にはレッドチームにしか見えない。
    武漢肺炎事態の中でも大統領が五星紅旗に接吻し、ベオグラード市内には「習兄さん、ありがとう」という巨大看板を掲げてるじゃないか。

      • 匿名
      • 2020年 8月 03日

      味方じゃなかったら敵なんやで

        • 匿名
        • 2020年 8月 03日

        だから基本的に中立とは全てを敵に回すということなのですよね、味方ゼロですもん。
        韓国は全く理解してないみたいですけど。

          • 匿名
          • 2020年 8月 03日

          某国がどうこうでなく、歴史の教訓として。
          ペロポネソス戦争で中立を掲げた小国ミロスは、アテネに服従を迫られ拒否した挙句侵攻され、期待したスパルタの援軍も無く、無条件降伏の後、成人男性は皆殺し・女子供は奴隷にされて滅亡した。

            • 匿名
            • 2020年 8月 03日

            中国の劉表、日本の毛利元就とかもね
            作家の宮城谷さんが書くように「漁夫の利」は詭弁(*漁夫の利を得るには世界最強クラスの国力が必要)というのは確かだと思う

            • 「中国の劉表、日本の毛利元就とかもね」と書いた人です
            • 2020年 8月 03日

            すいません、コメントでは毛利元就と書きましたが、毛利輝元の間違いです

            *自分のコメントにはコメントをできないようなので親コメにぶら下げさせてもらいました

          • 匿名
          • 2020年 8月 03日

          某国がどうこうではなく歴史の教訓として。
          ペロポネソス戦争で中立を掲げた小国ミロスはアテネに侵攻され、期待したスパルタの援軍も無く無条件降伏し、成人男性は皆頃され女子供は奴隷にされて滅亡した。

            • 匿名
            • 2020年 8月 03日

            二重投稿失礼しました。

      • 匿名
      • 2020年 8月 03日

      軍事的中立のために両陣営から購入すると言っても、中国製やロシア製を買った場合、インドくらいうまく立回らないと西側諸国が販売を拒否する可能性が高いのが昨今の情勢なんだよな。
      そうなったら、中立とか言ってられない。
      ズルズルと東側に呑み込まれていくしかない。

    • 匿名
    • 2020年 8月 03日

    中国のコスパがいいのはいつものことなんだけど、単に人件費の問題だけじゃなくて研究開発費が上乗せされてない(する必要がない)ようにしか思えない。

      • 匿名
      • 2020年 8月 04日

      導入コストは低いものの、ランニングコスト、ライフサイクルコストなどを考えると、低コストといえるかどうか。
      東南アジアで導入された中国製の鉄道の顛末を知っていると、苦笑いしかでません。

    • 匿名
    • 2020年 8月 03日

    それにしても毎度毎度解析されて模倣ユニットを廉価販売されて
    市場を荒らされるのがわかっているのに、なぜロシアは中共への売却を
    是とするのだろう?

      • 匿名
      • 2020年 8月 03日

      先物原油・・・ダダ下がり
      石油需要・・・ダダ下がり
      資源と兵器しか外貨稼げまへん(涙)

      せや!北方領土で金せびったろ!(笑)
      日本!崩壊したら取り返したろ! →win! win!

    • 匿名
    • 2020年 8月 03日

    なぜそこまで安く出来るのか
    中国の人件費も物価も一昔前とは比べ物にならないほど上昇してるはずだが
    最新兵器の製造なんて底辺労働者にはやらんせんだろうし

      • 匿名
      • 2020年 8月 03日

      ナチスだってV2をユダヤ人に作らせたんですけどね

      • 匿名
      • 2020年 8月 03日

      少数民族という奴隷がいますからねぇ。

      • 匿名
      • 2020年 8月 03日

      国営と価格競争なんて不可能です。彼らが欲しいのは売買利益ではなく、導入されたという結果。

      • 匿名
      • 2020年 8月 05日

      上の方にも出てますが「研究開発費を上乗せする必要がない」のがデカイんじゃないでしょうかねえ。

    • 匿名
    • 2020年 8月 03日

    ロシア涙目

    • 匿名
    • 2020年 8月 03日

    兵器にとって安さは大事な性能ですからね
    いくらバーク級が高性能でも052Dが半分の値段で建造出来れば戦術的戦略的価値は052D型に軍配が上がる

      • 匿名
      • 2020年 8月 03日

      日本の味の素が東南アジアでshareを落としいていった歴史と同じですね。味で7割だけど値段は5割の味王(味の素のパチもん)にずるずる負けていったという。

      • 匿名
      • 2020年 8月 04日

      価格も大事ですが、信頼性はさらに大事です。
      なんだかんだと言われるバーグ級ですが、世界中でドンパチをやらかし続ける大国のノウハウが、そこには生きています。
      それに引き換え、なにかと引き合いに出されがちの052D型ですが、実際のところはよくわかりません。

      鳴り物入りで登場した製品が、実用に耐えず、罵倒され表舞台から退場することもままあるのが、世の中です。
      コストと評判だけで価値が決まるほど、兵器の世界は単純ではありません。

    • 匿名
    • 2020年 8月 03日

    今どきホーククラスのミサイル…
    長生きだねえ

    • 匿名
    • 2020年 8月 03日

    いつ返品されるか賭けようぜ( oωo )
    × コスパがいい
    〇 粗悪品のバッタ売り
    安物買いの銭失いはいけませんねぇ

    • 匿名
    • 2020年 8月 03日

    セルビアが購入を決定したのは技術開発が目的だろう。セルビアの国防体系に組み込むには数が少なすぎるから、実射含めた実験用の器材としの運用も考慮に入れたかな。

    それより中国と言えば尖閣。これは個人的な予想で外れて欲しいが、多分明日(8月4日)から数日の内に天候次第で尖閣に漁船団(海上民兵入り)が侵入してくると思う。目的はアメリカの誘因や日本への脅しだと思うが、尖閣諸島の島に上陸する可能性が高い。
    海保が何の役にも立たないムダ金組織と判明する以外日本には利益が無いので、外れてほしいがはたしてどうなる事やら。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的雑学

    ようやく本領発揮、世界最強の戦闘機F-22Aが「神の視点」を味方に提供
  2. 軍事的雑学

    着実にレベルアップを果たす日本の対潜哨戒機P-1、2020年度から「能力向上型」…
  3. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  4. 米国関連

    本当に笑えない、米空母ジェラルド・R・フォードを苦しめるエレベーターの呪い
  5. 軍事的雑学

    空飛ぶスナイパー? ロシアの戦闘機「Su-57」は米軍の航空支配を効果的に破壊す…
PAGE TOP