中国関連

カタパルト射出に対応した中国海軍のJ-15Tは能力も大幅強化、長射程のPL-15も統合か

中国の瀋陽飛機工業集団は14日、空母遼寧や山東で運用されている戦闘機J-15のアップグレードに関する写真を公開して注目を集めている。

参考:China reveals upgraded J-15 fighter jet; key aircraft carrier roles expected

アビオニクスの性能は西側の第4.5世代機と同等で搭載兵器はJ-20と同レベルのものを運用できるようになったJ-15のアップグレードバージョン

中国は空母で運用する戦闘機を調達するためSu-33の購入を試みたがSu-27SKをロシアに無断でコピーしたJ-11開発計画が発覚して交渉が決裂したと言われているが、中国は「ロシア側がSu-33の製造ライン再開に多額の費用を要求、最低でも50機のSu-33購入を要求してきたためJ-11ベースで艦載機を国産開発(ウクライナから入手したSu-33のプロトタイプT-10Kを参考にしたらしい)することにした」と主張している。

出典:flickr rhk111 / Public domain

このJ-11ベースで中国が開発した国産艦載機がJ-15で、新たにロシアから調達したSu-30MK2に影響を受けて開発したJ-16と比べると搭載しているアビオニクスや兵器が古く、もう間もなく進水式を行うと噂されている大型空母のカタパルトによる発艦にも対応しなければならないため数年前からJ-15のアップグレードバージョン=J-15Tの開発が進められていたが、中国の瀋陽飛機工業集団はJ-15Tに関連した写真を14日に公開した。

J-15Tは首脚にカタパルトのシャトルに引っ掛けるローンチ・バー(Launch Bar)を装着しただけではなく「新型のAESA式レーダーや赤外線捜索追尾システムが採用されている」と中国メディアは指摘しており、オフボアサイト発射機能を備えた短距離空対空ミサイルP-10や米空軍が特に警戒している長射程の空対空ミサイル「PL-15(AIM120を上回る交戦距離を備えている)」も統合されているらしい。

中国の軍事アナリストはJ-15Tについて「アビオニクスの性能は西側の第4.5世代機と同等で搭載兵器はJ-20と同レベルのものを運用できるようになった」と評価、スキージャンプ方式の遼寧や山東とカタパルトを装備した空母の両方で運用ができるため中国海軍の空母航空団で中心的な役割を果たすだろうと予想している。

因みに中国はJ-15T以外にもF-35Cに相当する第5世代戦闘機J-31(もしくはJ-35)、EA-18Gに相当する艦上電子戦機J-15D、E-2Dに相当する早期警戒機KJ-600の開発、バディポッドを使用した艦載機同士の空中給油能力を獲得するなどカタパルトを備えた大型空母就役に向けて地道に努力を続けており、日本にとっては非常に複雑な気分にさせてくれるニュースと言えるだろう。

関連記事:カタパルト射出に対応した中国の艦上戦闘機「J-15T」が意味するもの
関連記事:着実に実力をつける中国の空母戦力、艦載機が夜間空中給油能力を獲得
関連記事:中国、空母で運用可能な早期警戒機「KJ-600」の初飛行に成功
関連記事:中国、空母打撃群に不可欠な早期警戒機KJ-600開発が最終段階に到達か
関連記事:J-20複座型に続き今度はJ-31艦載機バージョンの実機、飛行中のJ-35を収めた写真が登場

 

※アイキャッチ画像の出典:rhk111 / public domain

英国、北極圏で実施される極秘作戦に帰国したばかりの空母クイーン・エリザベスを派遣前のページ

インド市場での生き残りを模索する米英露、フランスも軍用エンジンの現地製造を提案次のページ

関連記事

  1. 中国関連

    ペロシ米下院議長の台湾訪問が迫る中、台湾海峡は一触即発の緊張状態

    米海軍はペロシ議長の台湾訪問を支援するため空母ロナルド・レーガンを台湾…

  2. 中国関連

    長波に対するステルスを実現?中国が「次世代ステルス技術」を開発中

    中国はレーダーによる探知を回避するための技術、ステルス技術にメタマテリ…

  3. 中国関連

    中国が五輪終了後にウクライナへサイバー攻撃、ロシアの侵攻計画に加担か

    英国のThe Times紙は1日、諜報機関からの入手した情報に基づいて…

  4. 中国関連

    中国、豪州の極超音速ミサイル開発を「あらゆる国に対する挑戦」と批判

    オーストラリアは米国と共同で数ヶ月以内に極超音速ミサイルのテストを開始…

  5. 中国関連

    4隻目までは通常動力空母? 中国海軍、技術的問題で「原子力空母」建造計画を保留

    中国海軍は、通常動力式の国産空母を建造後、早い段階で「原子力空母」建造…

  6. 中国関連

    中国がサウジアラビアとFC-31輸出交渉、技術移転と現地生産を提案

    MENA地域における防衛市場の分析を行うTactical Report…

コメント

    • 匿名
    • 2021年 12月 20日

    こんな国と戦争になって勝てるのか…?

    7
      • 匿名
      • 2021年 12月 20日

      .
      さすがに自衛隊だって勝てるわけないと、理解しているさ。

      戦争しないようにするためには、自衛隊はどうしたらいいのかを考えていると思う。

      中国に勝てる気でいるのは、一部の無責任な軍事オタクどもだけだよ。

      32
        • 匿名
        • 2021年 12月 20日

        あいつらは軍事ヲタですらない
        単なる現実逃避の負け組
        日本は零戦を作れた国だから今でも中国より優れてるの繰り返し
        過去にしがみつく弱者

        29
          • 匿名
          • 2021年 12月 20日

          中国関連の時だけ、こういう手合いが湧く。

          「三戦」重視で、世論戦に力を入れてるのもわかるけど、Amazonのサクラと一緒で、分布が不自然なんだよ。

          9
            • 匿名
            • 2021年 12月 22日

            同意します

            2
            • 匿名
            • 2021年 12月 22日

            必死ですね(笑)

            1
            • 匿名
            • 2021年 12月 23日

            中国ならば、むしろ日本側をおだてて油断させる策略をとることにすら気がつかないようでは(笑)
            やはりダメだね

            2
        • 匿名
        • 2021年 12月 20日

        「自衛隊はどうしたらいいのか」ではなく「自衛隊をどうしたらいいのか」だな
        決めるのは政治家、制服組ではない。ここ勘違いしてる人いる。

        22
      • 匿名
      • 2021年 12月 20日

      台湾周辺ではもうアメリカ含めて西側は軍事力では勝てない

      5
      • 匿名
      • 2021年 12月 20日

      日本単独ではもう無理でしょうね。他の東アジアにある西側諸国軍(在日米軍や韓国軍)を考慮しても難しい。
      それを理解している自衛隊も防衛省もどの様な形で、防衛力整備を進めていくか検討しているのだと思います。
      問題は、それ以上に早く事態が動いてしまう可能性がある事ですが。

      25
      • 匿名
      • 2021年 12月 20日

      対空ミサイルや対艦ミサイルの配備増やして出血を強要するようにした方がいいんじゃないかな
      台湾と違って是が非でも取らないといけないというナショナリズム的な動機はないんだし

      15
      • 匿名
      • 2021年 12月 20日

      中国を外からの力で倒すのは難しい
      中国の政権が崩壊するのはいつも内側から

      3
      • 匿名
      • 2021年 12月 20日

      和解して平和条約でも結ぶか、マジで

        • 匿名
        • 2021年 12月 20日

        平和条約ってなんだっけ?

        1
      • 匿名
      • 2021年 12月 21日

      現時点では日米連合軍と戦ってどっちが勝つがわからないってところまでは来ているでしょうね。
      だから中国の経済力をアメリカが必死に落としにかかっている。
      そういう意味ではもう戦争は始まっていると考えた方がいい。

      1
      • 匿名
      • 2021年 12月 21日

      勝つと言うよりも、『日本と戦って得るものよりも、失うものの方が多い』状況に持って行って抑止力としている状況かな。

      1
    • 匿名
    • 2021年 12月 20日

    日本にとって複雑どころか、露骨に脅威
    中国も単純明快に、これで周囲をいっそう威圧できると悦んでますよ
    ロシア戦闘機をパクっておいて、まるでロシアが悪いみたいな話にすり替える国なんですからね

    33
    • 匿名
    • 2021年 12月 20日

    陸海空宇宙とジャブジャブ予算を突っ込んで軍の更新をしてけるのは羨ましい

    3
      • 匿名
      • 2021年 12月 20日

      育てた人が責任取って対処して欲しい

      10
        • 匿名
        • 2021年 12月 20日

        それ実はアメリカw
        湾岸戦争でアメリカ軍ハイテク兵器の圧倒的な威力を見せつけられた人民解放軍は、旧い人海戦術から近代軍へと大きく舵を切った
        支那事変での日本軍の長距離爆撃が、のちにアメリカ軍による日本本土への戦略爆撃の基礎になってる説に同じく

        10
    • 匿名
    • 2021年 12月 20日

    >PL-15(AIM120を上回る交戦距離を備えている)」も統合されているらしい。
    ソースにはそういう記述が見当たらないから現時点ではなんとも判断できない
    まあいつかは統合されるのでしょうけど

    • 匿名
    • 2021年 12月 20日

    J-15TのAESAがJ-16のAESAと同じだったら探知距離は約200~300kmですな。
    今のJ-15は確認されているシリアルナンバーだけで現在50機運用中なので、遼寧と山東分のJ-15は運用していると思われる。

    3
    • 匿名
    • 2021年 12月 20日

    もう潜水艦でも航空機でもいいからミサイルキャリアー作って電子戦能力と対テロ能力に特化して徹底的に非対称戦に引きずり込むしかないのか…

    あとF-15JSI能力改修はよ

    5
      • 匿名
      • 2021年 12月 20日

      正しい。
      戦車、火砲を200両門位にさらに減らし電磁波、対艦ミサイル、防空に命をかけた方がいい。
      離島に戦車やMCV普段から配置しとくのもね。
      展開なんてする能力ないし。

      4
        • 匿名
        • 2021年 12月 20日

        そこまで離島防衛、島国装備に特化してしまうと逆に脆弱性が生まれかねない、敵は常にこちらの逆側を攻める
        防衛費を増やし、自衛隊を拡大して幅広い組織に改変しないとな

        15
          • 匿名
          • 2021年 12月 21日

          拡大は無理っしょ
          現状維持で中身拡大で。

          1
      • イーグルクロウ
      • 2021年 12月 20日

      そこでF―15EXの出番ですよ!!

      1
    • 匿名
    • 2021年 12月 20日

    ウクライナ「俺らの渡した技術が立派に成長して嬉しいよ」
    中国「お前はもう洋ナシアル」

    14
    • 匿名
    • 2021年 12月 20日

    東南アジアを実質自国の勢力下に置くところまでは確実にするだろう
    太平洋はどこまで進出できるかはわからない、日本、台湾、アメリカの踏ん張り次第。

    13
    • 匿名
    • 2021年 12月 20日

    何年か後には、九州の太平洋や尖閣に常に空母がいて、毎日領空ギリギリをかすめてくるのか…

    1
      • 匿名
      • 2021年 12月 20日

      それは流石に無理だろう。
      6隻位じゃ、南シナ海にも出さなきゃならんし、常駐は無理だろう。

      2
        • 匿名
        • 2021年 12月 20日

        6隻もあれば十分だろ

        13
    • すえすえ
    • 2021年 12月 20日

    日本としては攻勢に出るのは無理でしょうねできるのは侵攻してきた場合にできる限り多くの出血を強要するようにするしか
    抑止力の維持をする方法はないと思う。
    台湾も同じですが

    1
      • 匿名
      • 2021年 12月 20日

      相手は出血(兵力の損耗)なんてなんとも思わない
      出血狙った戦術をとったら圧倒的物量でこっちは息の根止められる

      10
        • 匿名
        • 2021年 12月 21日

        もし損耗を気にしないような国ならなんでベトナム北部から撤退したのかね?余裕ぶっこいてたら想像したよりベトナムが強くて、これ以上戦争しても得しない、損の方が大きいと思ったからじゃないの?

        2
    • 匿名
    • 2021年 12月 20日

    ってか、ロシアはそろそろ怒れよ。
    パクられて、アプデ費用伝えたらキレられて。

    そりゃ敵の敵は味方かもしれんが、米国より遠慮ねぇぞ、中国は。

    1
      • 匿名
      • 2021年 12月 20日

      仲良く遊覧飛行してるじゃんw

      11
      • 匿名
      • 2021年 12月 20日

      軍同士の機密通信すら統合始めてます…

      7
      • 匿名
      • 2021年 12月 20日

      そろそろ気づこうよ、、、ロシアは中国に売る武器がパクられる前提で中国の軍事力強化を意図的に主導してるのさ。

      金や権利の問題を追求するより、米軍の圧力をロシアと中国に分散させる方が重要と考えてるんだろ。

      12
        • 匿名
        • 2021年 12月 20日

        そして、中華に喰われる。
        プーチン後は、モスクワ大公国に戻る。

        2
    • 匿名
    • 2021年 12月 21日

    ああ、こーりゃまた厄介な…

    • 匿名
    • 2021年 12月 21日

    確かに脅威ではあるだろうがこいつに積むエンジンは国産なのかね。AL-31F供給の話は無いし、国産エンジンの信頼性が上がっていなければ運用制限や期待損失が増える。機体サイズ重量は現状世界トップクラスでエンジン寿命増/燃費向上とかが図られないと機数増やせば増やすほど予算面の負担がきつくなってくる。

    少なくともエンジンに関してここ10年以内に格段の進歩が無いのなら、中国の戦闘機のエンジン事情はF135-PW-100以上にお寒い状況かも知れない。悪天候時に飛べばエンジンへの負荷は増えるし、無理をさせればエンジン寿命が減る。確かに周辺国へのスクランブルは脅威に感じるがその裏で半端なエンジンに寄る負荷がボディブローのように効いてくる可能性もあると思っている。日本や台湾の機体寿命すり減らす以上、中国側がノーダメージなんてあり得ない訳で実際この勢いってどこまで続くんだろうなってのは気になる所。

    1番怖いのは中国製エンジンが西側並になる事で費用面での負担が軽くなるのは勘弁して欲しい。

    3
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  2. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  3. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  4. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  5. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
PAGE TOP