中国関連

連続量産に突入した中国のJ-20、南シナ海方面の部隊にも配備を開始か?

中国空軍の第5航空旅団にJ-20の供給が始まっている可能性があり、これが事実なら第4世代機から第5世代機への更新スピードが加速していることになるため興味深い。

米国に「J-20が連続量産に入っている」というメッセージを伝える意図があるのかもしれない

中国空軍が保有するJ-20は150機以上だと推定(2021年6月時点)されており、現在までに安徽省の蕪湖基地(東部戦区)に駐屯する第9航空旅団、遼寧省の鞍山基地(北部戦区)に駐屯する第1航空旅団、河北省の滄州基地(北部戦区)に駐屯する第172航空旅団、甘粛省の鼎新基地(北部戦区)に駐屯する第176航空旅団に配備されているのを米空軍が衛星画像で確認している。

参考:Second Combat Brigade of PRC Air Force Likely Receives Stealth Fighter

第172航空旅団と第176航空旅団は訓練部隊とテスト部隊なので「J-20を装備した実戦部隊は第9航空旅団と第1航空旅団だけ」と思われていたが、中国のネット上で第5航空旅団(広西自治区の桂林基地/南部戦区)所属のJ-20を映したと思われる画像が出回っており、これが事実なら3番目の実戦部隊へJ-20の供給が始まっているという意味で非常に興味深い。

出典:Weibo

2021年にJ-20が配備された第1航空旅団所属機のシリアルナンバーは61120、61125、61128などが確認されており、今回確認された61160というシリアルナンバー機は第1航空旅団所属ではない可能性(中国空軍の航空旅団の定数は36機)が高く、昨年時点で次のJ-20配備先に浮上していた桂林の第5航空旅団所属機だろうと中国人達は予測している。

昨年9月に開催された珠海航空ショーでJ-20関係者は「同機の供給能力が中国空軍の要求に対応できるようになってきた」と言及、昨年12月に成都飛機工業公司も「多くの部隊が引き渡しを待っていた機体は困難な問題に直面していたが、幾つかの重要なテストをクリアしたため同社の航空機は過去最高の納入数を記録した」と発表したため中国メディアは「パズルの最終ピースだった国産エンジンの問題が解決したJ-20は連続生産に突入した」と主張。

さらに米上院軍事委員会のインホフ委員長も元インド太平洋軍司令官の証言に基づいて「中国は2025年までに第5世代戦闘機を米国より多く戦場に配備することが出来るようになる=中国がJ-20の連続生産に突入しているという意味」と昨年10月に指摘して注目を集めたが、今回確認された61160機の存在はJ-20供給量が増加していることを示しているのだろう。

出典:flickr経由 L.G. Images/Public domain

因みに中国軍機の画像や映像に映るシリアルナンバーは消されている場合が殆どで、J-20のシリアルナンバーを最近漏洩させているのは米国に「J-20が連続量産に入っている」というメッセージを伝える意図があるのかもしれない。

まぁ第5航空旅団へのJ-20供給が事実なら米空軍が近い内に発表すると思うが、中国空軍はすでに極東に配備されているF-35(在日米軍のF-35B+日本のF-35A+韓国のF-35A)を上回る数のJ-20を保有している可能性が非常に高く、2022年に中国空軍は新しいJ-20をどれだけ受け取るのかに注目が集まる。

関連記事:米上院の予想が的中か、中国のJ-20がエンジン問題を解決して大量生産の段階に突入

 

アイキャッチ画像の出典:flickr経由:SinoDefence 今日中国防/Public domain

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コメント

    • そら
    • 2022年 1月 18日

    ちょっと前まで中共の航空戦力は質的には自衛隊に優位があるとか言われてたのに、年はとりたくねえなぁ、、、
    極東における日本の立位置は、どれだけ早く改憲出来るかに掛かってるのかもね。

    40
      • 2022年 1月 18日

      一部にあった中国の空母なんて中古のオンボロだから使い物にならない、とかもそうだけどそれらを叩き台にして明らかに一歩一歩進んでる中国の技術を小馬鹿にしてたミリオタの風潮はちょっとね……
      改憲はしてもしなくてもとにかくパイロットと新鋭機の数増やすことだよなあ。あとは南西諸島のミサイルしっかりさせるかか

      32
        • A
        • 2022年 1月 18日

        >一歩一歩進んでる中国の技術を・・・
        宇宙開発や基礎化学なども同じこと言えますね。
        やはり一歩一歩というところが大切なんでしょう。

        8
        • 匿名11号
        • 2022年 1月 19日

        ううん?
        「中古のオンボロだから使い物にならない」は、海上カジノ用と称してワリャーグが中国に回航された際に、まだ当時は残っていた中国贔屓の風潮から「空母に改装されることなんてないよ」という文脈での主張だったと記憶するから、「ミリオタの侮り」と一括りされるのはいかがなものかと。

        3
      • 無無
      • 2022年 1月 18日

      政府は改憲を後回しにしたまま防衛費の増額でことを済まそうとするだろう、
      本質から目をそらす姑息であるが、現状でこれ以上中国と緊張高めるのも上手くないから。
      いま改憲を成立させるためには、先に中国のほうから尖閣に仕掛けてもらうくらいの状況が必要、あまりにも危険な賭けになる

      13
      • 名無しさん
      • 2022年 1月 18日

      常々、今の中国軍(特に空軍と海軍)の実力を点で見てはダメだ、線で見ないと真の実力を見誤ると
      言い続けて来た
      今現在の姿(点)だけを見て「あれがダメだ、まだこれが劣る、だから大した事は無い、過大評価だ」
      と侮るのでははなくて、過去から現在までの変化を線で評価して、どう変化して行くか見据えないと
      将来の中国軍の姿を見誤る。
      中国軍はいつまでの今の姿のままで留まってはいない、どんどん先に進むし、その為に必要な人・金・
      技術の全てを今の彼等は手に入れている。
      今の中国はれっきとした先進国だ「支那人如き何が出来る」とあざ笑っていられる時代はもう終わった。

      25
        • A
        • 2022年 1月 18日

        >今の中国はれっきとした先進国だ
        そのうち日本がG7から追放されて新たに中国が加盟したりとかね。

        4
          • アイヤー
          • 2022年 1月 18日

          2100年予想でも日本はGDP4位予想なのでそれはないかと…

          15
          • 無無
          • 2022年 1月 18日

          ときに韓国民がそういう歪んだ妄想を並べるが、そもそも追放される基準とかあるのか?
          むしろG7は中国を排除する組織として機能し拡大していくと予想する、いずれはロシアやインドを取り込むつもりだろうが、逆に中国は自国中心の新たな有力国家群設立を目論むだろう

          21
          • NHG
          • 2022年 1月 18日

          G7+1で入ってたロシアがハブられたぐらいだから今の中国がどう力をつけてもG7参加はないと思う

          18
            • 名無し3等兵
            • 2022年 1月 18日

            世界経済への影響力を考えたら中国加えてG8になってもいいんだけど
            G7は自由民主主義国の集まり倶楽部って性格のもんだから、そこに
            中国を入れると専制主義国家を自由民主主義国が認めるのかってなるので
            少々具合が悪い

            3
          • online
          • 2022年 1月 18日

          極太のアナだらけだよ

          1
    • ウツボ
    • 2022年 1月 18日

    機体が他の部隊に移ってもシリアルナンバーは変わらないのが一般的だが、中国軍はその都度変える方式をとっているため、履歴を追跡したり機数を推測するのが難しく、防諜上優れているといわれている。
     
    第一航空旅団の61120、61125、61128の場合ナンバーは61X2Yとなっており、各機共通の612が旅団を表している。そしてそこから611を引くと第一旅団の1が出てくるという仕組み。
    61160の場合61X6Yと考えてよく、そこから611を引くと5となる。第5航空旅団と考えてよさそう。

    19
    • 2022年 1月 18日

    F-16Vと経国くんじゃお話にならないと思うんだけど、台湾の防空どうする気なんだろう。
    日本のF-35でも改装いずもかが両方出しても20機とかじゃ大陸から飛ばせる中国相手じゃどうにもならんのに。

    5
      • hiroさん
      • 2022年 1月 18日

      いずもは米海兵隊のF-35Bで運用試験をしただけだったよね。かがはまだだし。
      それに米国抜きで日本だけで台湾救援なんて状況は有り得ないでしょう。

      11
      • 名無し
      • 2022年 1月 18日

      いずも、F35Bはスクランブル用と思う、良くて限定的な艦隊防空。

      2
    • 無印
    • 2022年 1月 18日

    米「F-22の反省でNGAD300機配備するか」
    中「ならばこちらはJ-20を500機だ」

    こんな事になったりして…

    8
    • 伝説のハムスター☆☆☆
    • 2022年 1月 18日

    あぁ~新年早々悪いニュースだね

    地味に4.5世代も向上してるし、平時はスクランブルで削られ有事には量産可能になったJ-20や射程外からの対艦ミサイル等のコンボが襲ってくる

    率直に言って地獄やで

    18
      • 破軍
      • 2022年 1月 18日

      周辺国がスクランブルで疲弊されるの分かるけど、疲弊するのは向こうも同じだからね。機体構造とか現状のエンジン寿命が西側並みでないならば、ボディブローの様に効いてくるのは向こうも同じ。エンジン寿命が短い場合、F-135みたいに待ちが発生して飛べない機体すら出てくる可能性がある、おまけに双発だし。

      仮の話、外征に必要な装備で何かしらメンテに手間が掛かる様な状態が続くならメンテ状況から中国側の動きやレベルを探れるかもとは思う。

      3
        • samo
        • 2022年 1月 18日

        仕掛ける側の方がずっと負担が少ないということは無視してはいけないよ

        仕掛ける側は、スケジュールに沿ってやってるだけなんでいくらでも休みながらできる
        スクランブル対処は緊急の対処なので、24時間休みなく常に対処を迫られるので、疲弊は比較にならないほど大きい

        25
          • md
          • 2022年 1月 18日

          台湾のF-16Vが墜落した理由は「スクランブル対処による消耗」と推測されていますし、スクランブルする側の方が疲弊しますよね。

          「対中警戒、空軍消耗に警鐘 F16V墜落で元幹部ら―台湾」
          リンク

          5
        • バーナーキング
        • 2022年 1月 18日

        平時の消耗戦で当面一番やべぇのはUAVでスクランブルさせられる事なんだよね。
        それこそほぼ一方的にこっちが削られる。

        14
        • hiroさん
        • 2022年 1月 18日

        中国は無人機を飛ばす手があるから。
        こちらは有人機でパイロットも機体も疲弊するのに、向こうは使い捨てで高笑い。

        6
    • kdw5
    • 2022年 1月 18日

    推力偏向ノズル付きのWS-15を搭載して、カナードを廃止したJ-20が生産されたとの情報もありますし、逐次改良しつつ部隊配備を進めるのは中国軍の特徴ですね。

    9
    • もり
    • 2022年 1月 18日

    正直J-20が第5世代で1番見た目好き
    重厚感とカナード翼がイカす

    13
      • のーら
      • 2022年 1月 18日

      重厚感て点ならSu-57が1番好き……て言いたいけどあれ翼がのっぺりしてるからデカく見えるだけか

      2
    • APSF
    • 2022年 1月 18日

    J-20もですが、昨年登場した艦載型のJ-35、そこから陸上型に戻すというJ-21の動向も気になります。

    4
    • hiroさん
    • 2022年 1月 18日

    西側に近い空域で運用してくれれば、実際の能力に関する情報収集が進むのがせめてもの慰めかな。
    その結果、ショックを受けるかも知れないが。

    8
    • samo
    • 2022年 1月 18日

    西側で、極東に配備されてる主力は第4世代機ばかりなので、厳しいのは間違いない
    F-35の配備を急がないとマジで危ない
    それでもかけられる金には限りがある以上、台湾等にもF-35売らないと手が足りなくなる

    4
    • a
    • 2022年 1月 18日

    もうこの国は滅ぼされて民族浄化されるのを待つばかりだな
    無念

    3
      • はやぶさ
      • 2022年 1月 18日

      無念に思うなら、待つだけじゃなくて一緒に何か行動しようよ。

      24
        • せい
        • 2022年 1月 18日

        いいこという。
        とりあえず次の選挙のために政治家調べとくわ。

        4
    • k
    • 2022年 1月 18日

    ステルス性の怪しいデザインだよな

    3
      • TT
      • 2022年 1月 18日

      もうステルス機のデザインは、素人が外見で判断できる領域に無いよ。

      14
        • Yu
        • 2022年 1月 19日

        つまり、いかにもステルス風であっても、見掛け倒しってこともあるわけだ。

          • pja
          • 2022年 1月 19日

          J-20もステルス材料(電波吸収体など)を使用しているので、デザインだけでは判断できないということでは。
          J-20のカナードとベントラルフィンには、ステルス材料が多く使用されているとの推測がありますし。

          2
            • Dew
            • 2022年 1月 19日

            素材だけでステルス効果を得られるわけじゃないぞ
            形状や内部構造、組立製法など、いろいろな要素が絡む

              • pja
              • 2022年 1月 19日

              ですから、「J-20のステルス性能は外見で判断できない」というお話になるわけでして。
              中国は高いステルス効果を得られるように、様々な要素を研究したうえでJ-20を開発したと思いますよ。

                • バーナーキング
                • 2022年 1月 19日

                丸っ切り形状を気にしなくていい素材ならあの面倒くさいスタイルになってる訳はないので、ある程度形状ステルスが求められてるのは間違いない。
                にも関わらずカナードはともかくあのベントラルフィンその他諸々だからね。
                ステルス的に問題ないから採用したのか、空力面でどうして必要だから採用したのか、と考えれば俺は後者だと思うけどなぁ。

                3
    • F-774
    • 2022年 1月 18日

    J-20が威力を増し、大規模生産に入ったと喧伝する中国だが、西側航空戦力に対抗する性能が本当にあるのか疑わしい(今のところは)
    リンク

    同時に、J-20外観のステルス構成やF-22、F-35との類似性などあっても、日米の第5世代機に対抗できると判断できる情報がない。▼J-20が、センサー有効範囲、照準精度、マルチロール航空制圧などでF-35に対抗できなければ、大量保有しても、大きな差は出ないかもしれない。▼例えば、長距離で高精度のF-35搭載センサーがJ-20を先に発見すれば、F-35一機でJ-20編隊全機を撃滅できる。
    最後に、陸上運用J-20で日本や台湾に決定的な影響を与えらないとは言えないものの、前方基地がないと中国の航兵力投射能力は制限されたままだ。

    3
      • 成層圏
      • 2022年 1月 18日

      〉F-35一機でJ-20編隊全機を撃滅できる。

      但し、内蔵ウエポンは4発だから、F-35の四倍以上でJ20がきたら、無理だけどね。
      だから、物量は厄介なんだよ。
      ゼロ戦もこれでやられた。

      敵をあなどらず備えることが大事だよね。
      こちらは早急にロイヤルウイングマン等の随伴機を整備すべきだね。

      13
        • Ui
        • 2022年 1月 19日

        用意できればだけどね

        2
    • hai
    • 2022年 1月 18日

    J-20が威力を増し、大規模生産に入ったと喧伝する中国だが、西側航空戦力に対抗する性能が本当にあるのか疑わしい(今のところは)
    同時に、J-20外観のステルス構成やF-22、F-35との類似性などあっても、日米の第5世代機に対抗できると判断できる情報がない。▼J-20が、センサー有効範囲、照準精度、マルチロール航空制圧などでF-35に対抗できなければ、大量保有しても、大きな差は出ないかもしれない。▼例えば、長距離で高精度のF-35搭載センサーがJ-20を先に発見すれば、F-35一機でJ-20編隊全機を撃滅できる。
    最後に、陸上運用J-20で日本や台湾に決定的な影響を与えらないとは言えないものの、前方基地がないと中国の航兵力投射能力は制限されたままだ。

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