中国関連

米国製ヘリをパクる中国、UH-60を模倣した「Z-20 チャイニーズ・ブラックホーク」公開

10月1日に行われた中国建国70周年記念の軍事パレードで披露された航空機の中に、米国製の多目的ヘリ「UH-60 ブラックホーク」によく似たヘリが登場した。

参考:Американского “Черного ястреба” успешно скопировали в Китае

中国が手に入れた理想的な中型ヘリ「チャイニーズ・ブラックホーク」

中国建国70周年を記念した軍事パレードの航空機部門で中国は、国産の多目的ヘリ「Z-20」を初めて披露した。

このヘリは、米国のシコルスキー・エアクラフト社が製造している多目的ヘリ「UH-60 ブラックホーク」にそっくりの外見をしており、特にエアインテークの形状や角度をつけて取り付けられたテールローター、水平尾翼の取り付け位置など、UH-60の特徴的な設計をそのまま取り入れている。

恐らく「Z-20」は、米国から輸入した「S-70C-2」をリバースエンジニアリングし開発したものと見られている。

中国は米国との外交関係が親密だった1985年頃、中国軍向けに「UH-60」の設計を元にした民間バージョン「S-70C-2」を24機導入したが、その後の外交関係悪化や米国による制裁により、S-70を運用するための保守パーツ供給が絶たれてしまった。

そのため1990年代に「S-70C-2」を元に、独自の多目的ヘリ開発に着手し、2013年12月に「Z-20」の試作機が初飛行したと言われている。

中国側の情報によれば、国産の「Z-20」はメインローターのブレード数を1枚増やす(UH-60は4枚)ことで飛行制御と操縦性が向上し、輸送能力がオリジナルの「UH-60」よりも強化されていると言われており、ブラックホークの設計やデザインコンセプトを吸収(=模倣)しながらも、中国独自の技術によって別の機体に生まれ変わったらしい。

確かに真横から「Z-20」を見ると、オリジナルの「UH-60」よりも、多少ずんぐりしたフォルムに変化しているが、所詮はブラックホークの特徴を模倣し、中国独自の技術=入手することが難しいエンジンや電子機器を中国製に置き換えただけの「チャイニーズ・ブラックホーク(管理人命名)」と言わざるを得ない。

特に中国海軍にとって、空母や強襲揚陸艦で運用するのに適した中型ヘリ(10トン前後)のラインナップには、フランスのSA-321をコピーした「Z-8」か、旧ソ連製のMi-8しかなく、今年、量産化が開始されたと言われる「チャイニーズ・ブラックホーク」は、中国海軍の輸送能力や水陸両用作戦能力を飛躍的に向上させるだろう。

補足:中国海軍にはZ-8の後継機として開発されたZ-18もあるが、機体が大型で空母や強襲揚陸艦で運用するのに適しているとは言い難い。※運用出来ないという訳ではない。

出典:Public Domain SH-60B

さらに言えば、中国海軍は比較的小型の「SA-365」をライセンス生産した「Z-9」をベースにした対潜ヘリ「Z-9C」を運用しているが、機体が小さいので能力に制限があり、そのため「チャイニーズ・ブラックホーク」をベースに本格的な対潜ヘリ=SH-60 シーホークのような派生型を開発してくるのは確実だ。

中国のお家芸ともいえるリバースエンジニアリングも、もはや見慣れた感もあるが、中国に追われている米国にとっては非常に深刻な問題であると同時に、これまでの方法では対処が難しい問題でもある。

米国は、このようなやり方をとる中国に対し、圧倒的な技術革新で圧倒することを狙っているという。

米空軍は第6世代戦闘機について、長期間の開発の末、万能な戦闘機を1つ開発するのではなく、過去のセンチュリーシリーズ(F-100番台の戦闘機群の総称)のように、技術的にもコンセプト的にも「特徴」を持った数種類の戦闘機を5年程度のサイクルで次々と実用化し、対応する側の能力を飽和させることを目標にした「デジタル・センチュリーシリーズ」構想を立ち上げた。

5年程度で戦闘機を開発するには、戦闘機開発の工程に革命的なブレイクスルーが必要になるが、この辺りの話は、また別の機会に記事にしたいと思う。

追いつこうとする中国もある意味必死だが、追い抜かれないようにする米国のまた必死で、競争というのは何処までも進化を促進するが、果たしてゴールは存在するのだろうか?

 

※アイキャッチ画像の出典:YouTube動画のスクリーンショット

世界中から失笑されるドイツ軍を再建?ドイツ政府、軍の調達システム改革に着手前のページ

ドイツに残された唯一の選択肢?トーネード後継機として間に合うのは「F/A-18E/F」だけ次のページ

関連記事

  1. 中国関連

    中国、サイドバイサイド方式を採用したJ-20ベースの早期警戒型を開発中

    香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は15日、中国は世界初となる…

  2. 中国関連

    アーレイ・バーク級駆逐艦を凌駕する中国海軍の055型駆逐艦、もう間もなく4隻目が就役

    中国はアーレイ・バーク級駆逐艦を凌駕する火力と性能を兼ね揃えた055型…

  3. 中国関連

    中国軍、台湾海峡に過去最大の航空戦力を投入して軍事的圧力を強化

    中国人民解放軍は演習2日目、過去最大となる68機の航空機を台湾海峡に侵…

  4. 中国関連

    中国が極超音速兵器「DF-17」を福建省と広東省に配備、台湾や日本が射程圏内に

    中国メディアは18日、台湾に近い福建省と広東省に極超音速兵器「DF-1…

  5. 中国関連

    CGではなく実機、中国の第5世代戦闘機J-20に噂されていた複座型「J-20S」が登場

    中国空軍は第5世代戦闘機「J-20」のツインシート(複座)バージョンを…

  6. 中国関連

    沿岸部に集中していた戦力が分散? 中国がインド方面にJ-16配備を開始

    今年6月に発生したインドとの軍事的緊張の影響で、装備更新が後回しにされ…

コメント

    • 匿名
    • 2019年 10月 05日

    なんか、ブラックホークとZ-9を足して2で割ったみたいな見た目やなw

    • 匿名
    • 2019年 10月 05日

    リバースエンジニアリング+αを独自開発と言い張って元祖を遥かに超えたとか大々的に広報するのは中国版新幹線と全く同じ構図
    ですね。
    それにしても、本当に軍拡競争というものは一方で必要なものでありながら、一方で壮大で果しがない無駄であり、まさにジレンマの巣窟と言えるようなものですな。

    • 匿名
    • 2019年 10月 05日

    所詮まがい物ではありますが決して舐めたままではマズイかと思います
    なんせ彼らは金とそれをじゃぶじゃぶ突っ込んで失敗作を作っても文句を言われない環境ですから、現状まがい物しか作れてないとしてもジリジリと経験値が溜まってるという風にも思えませんか?
    ポンコツ空母や艦載出来ない艦載機、パチモンのチャイナホーク…確かに産廃の山ですがその分の経験は確実に積み重なっていると思います

    うちはじゃんじゃん色々試せませんから

    • 匿名
    • 2019年 10月 07日

    過去の運用から中国はブラックホークを気に入っているようでMi-8よりも限界上昇高度や信頼性の面でスペック以上の働きをしてくれたので評価が高い。そういうこともあってS-70を国産化したかったんだろう。以前から国産化の話は上がってたのでZ-20を待ってたクラスタは多そう

    • 匿名
    • 2020年 1月 14日

    著作権も知的財産もクソくらえ!て中国の姿勢をよくあらわしてるね。
    これに限らず他の軍兵器でもやっちゃうとこがもう怖い物知らずの無法者国家。
    ま、力があれば何やってもOkってのを国で体現しちゃってるもんなぁ・・・結局それが通用するんだが

      • 匿名
      • 2020年 9月 04日

      知財ってS-70系はもう主要なパテントは切れてるだろ?初期のバージョンなら関係パテントは全切れだろうし

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 日本関連

    国産防衛装備品の海外輸出が実現!フィリピンが日本製警戒管制レーダー「J/FPS-…
  2. 日本関連

    リチウムイオン電池採用艦!日本のそうりゅう型潜水艦11番艦「おうりゅう」就役に世…
  3. 日本関連

    着実にレベルアップを果たす日本の対潜哨戒機P-1、2020年度から「能力向上型」…
  4. 日本関連

    海外メディアも注目、横浜で護衛艦「いずも」の空母化工事が始まる
  5. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
PAGE TOP