Airbus、Thales、Leonardoは23日「宇宙事業を統合するための新会社を設立する」と発表、Reutersは「SpaceXのStarlinkに対抗するためのものだ」と、Defense Newsも「欧州はSpaceXとの激しい競争に晒され、この競争に打ち勝つため巨大な宇宙産業企業を設立する」と報じた。
参考:Europe firms agree satellite merger to counter Starlink
参考:Airbus, Thales, Leonardo form European space giant amid global contest
結果的に大成功を収めたAirbusの体験を宇宙産業分野に持ち込むつもりなのだろう
欧州の宇宙開発は23ヶ国が参加する欧州宇宙機関=ESAが中心的役割を、その中でもフランスは宇宙分野の研究開発、ESAへの出資、宇宙の軍事利用に年間30億ユーロ以上を投資しており、Quilty Spaceのヘンリー氏は欧州宇宙産業の現状について「欧州で誰に電話すればいいかという問いに例えるなら、これまで宇宙産業についてはフランスが中心だった」と述べたが、ドイツのピストリウス国防相は25日「宇宙能力は陸海空の戦場を決定付ける重要な要素だ」「ドイツは宇宙分野においても大きな責任を担う覚悟がある」「サイバーセキュリティを含む宇宙安全保障に大規模投資を行う」と発表。

出典:Isar Aerospace
ドイツは宇宙能力への妨害や攻撃に対するシステム強化、宇宙ベースのレーダー、光学センサー、次世代監視衛星を活用した状況認識力の拡張、ネットワーク化され衛星群による冗長性の確保、宇宙への確実な輸送能力の確保、宇宙軍司令部内への軍事衛星運用センター設置などに5年で350億ユーロ=約6.1兆円を投資する予定で、ヘンリー氏は「ドイツの大規模投資でフランスは欧州唯一の宇宙大国でいられなくなるかもしれない」「宇宙産業の中心がフランスからドイツに傾き始めている」「今回の投資はドイツの宇宙分野における自主性拡大に対する願望の集大成で、必要ならば単独でもそれを追求する意思の現れだ」と指摘した。
但し、米国では衛星打ち上げ事業にSpaceX、Blue Origin、United Launch Allianceなどが参入し、特にSpaceXが提供するStarlinkは商用利用だけでなく軍事利用にも活用され、この技術がウクライナとロシアの戦争で「非常に有効だ」と実証されたものの、欧州にはSpaceXに匹敵する衛星打ち上げ事業者が育っておらず、Starlinkと同じ衛星通信事業も規模の面で劣勢で、Airbus、Thales、Leonardoは23日「この3社の宇宙事業を統合するための新会社を設立する」「この新会社は国家主権の宇宙開発において信頼できるパートナーとして機能する」「2027年までに新会社は営業を開始する」と発表。
Reutersも「この統合はSpaceXのStarlinkに対抗するためのものだ」と、Defense Newsも「欧州の宇宙企業はSpaceXとの激しい競争に晒されたため提携を模索してきた」「この競争に打ち勝つためAirbus、Thales、Leonardoは欧州に巨大な宇宙産業企業を設立する」と報じ、アプローチ的にはBoeing、McDonnell Douglas、Lockheedに対抗するため設立されたAirbus Industrieコンソーシアム(現在のAirbus)と同じで、結果的に大成功を収めたAirbusの体験を宇宙産業分野に持ち込むつもりなのだろう。
但し、Airbusの時と同じで統合した結果が具体的な形で目に見えるようになるまで時間はかかると思うが、それでも手をこまねいて時間を浪費するよりはマシだ。
関連記事:ドイツは宇宙安全保障にも大規模投資、5年間で6.1兆円を投資すると発表
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Sebastian Romawac





















SpaceXってイーロン・マスクっていう世界一金持ちの狂人(じゃなきゃstarshipなんて作ろうとは思わない)が本気で抱いてる「火星に植民する」って夢物語の道筋の副産物で成功してる会社だから、政治・利益が複雑に絡み合った大企業同士が連合組んで果たしてどこまで成功するか興味深いところではある
冷戦の頃とはだいぶ衛星需要は変わったものの、それでも宇宙開発は基本利益度外視なところはあるから、ある意味利益度外視で動いてるSpaceXにどこまで迫られるかね
そういえば、nVIDIAが軌道にデータセンターを打ち上げるなんてトチ狂ったニュースも見ました。
この企業もある意味クレージーなCEOのバイタリティで成長した怪物です。
電気代がタダになるから言って、本当に採算がとれるのか。
衛星コンスティレーション通信で、軌道上のAIサーバで処理して、無人機が動く未来もあるのかな。
宇宙空間のデータセンター、中国の衛星攻撃兵器とかで真っ先に狙われそうですね……
戦争で活用されたり船舶や僻地用で使われているけど、その需要だけで数千機の衛星と打ち上げ費用を折半してるんだろうか
ブルーオリジンやこのヨーロッパ連合も参加するあたり、パイの取り合いをするだけの市場がありそうってことなんだろうけど
現状で、平均1日1機、寿命の尽きた衛星を再突入させているそうで。
一回に50機とか打ち上げられるようになっていても、相当の負担です。
10年遅くね?