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エアバスが2029年までにドイツ空軍へ無人戦闘機を提供、年内に初飛行

ドイツ空軍はCCAベースの無人戦闘爆撃機を導入して対地攻撃能力の獲得を目指しており、エアバスは13日「2029年までにドイツ空軍へ実用的な無人協調戦闘機(UCCA)システムを提供するため全速力で取り組んでいる」「年内にXQ-58A ヴァルキリーの初飛行を予定している」と発表した。

参考:Airbus is preparing two uncrewed combat aircraft from Kratos for first flight with a European mission system

自律型ミッションソフトウェアの主権を確保できない国は海外製のブラックボックス化されたソフトウェアを採用する羽目になり、データ主権を失うことになる

米空軍のNGAD、米海軍のF/A-XX、仏独西のFCAS、英伊日のGCAPには有人戦闘機に随伴可能なウイングマン(自律的飛行が可能な無人戦闘機)が設定され、有人戦闘機の代わりにリスクの高い任務の一部を肩代わりしたり、有人戦闘機の認識力や戦場に運搬するペイロードを拡張したり、価格高騰で減少傾向が続く航空戦力の量を補完できると期待されている。しかし、ウイングマンとの協調能力は次世代戦闘機のみが利用できる固有要件ではなく、既存の第5世代機や第4世代機向けに実用化が相当前倒しされている。

出典:U.S. Air Force

米空軍の有人戦闘機に随伴可能な協調戦闘機=Collaborative Combat Aircraft(CCA)は2027年に量産化を開始する見込みで、これに続くのがドイツ空軍の無人戦闘爆撃機だ。アンドゥリルとラインメタルは昨年6月「YFQ-44Aの欧州バージョンを共同開発する」と、クラトスとエアバスも昨年7月「エアバス製ミッションシステムを組み込んだXQ-58A開発で提携する」「2029年までにドイツ空軍向けの準備が整う予定だ」と、ゼネラル・アトミックスも「欧州製ミッションシステムを搭載したYFQ-42Aをドイツで生産する」と明かし、ヘルシングも昨年9月に有人機との協調と単独運用を想定した無人戦闘機=CA-1 Europaを発表した。

ラインメタルのパッパーガー最高経営責任者は「ボーイングともMQ-28ベースの無人戦闘機に関する協力について協議を行っている」「ドイツ空軍は約400機のウイングマンを要求している」「これは本当に巨大なビジネスチャンスだ」「まだ供給契約を誰が勝ち取るのかは分からない」と述べていたが、ドイツのディフェンスメディア=hartpunktは2月「ドイツ軍は数年以内に敵地深部で危険な任務を遂行可能な無人戦闘爆撃機の導入を計画している」「この無人戦闘爆撃機のベースとなるCCAは主に空対空任務に焦点を当ててきた」「ドイツ空軍は無人戦闘爆撃機の導入で対地攻撃能力の獲得を目指している」と報じた。

出典:General Atomics

“無人戦闘爆撃機は有人戦闘機と編隊を組んで飛行するCCAとは異なり、指揮機や地上ステーションとの通信が途絶した場合でも自律的に任務を完遂し、可能な限り無傷で帰還できる設計が求められる。この計画における課題は技術的要件だけでなくタイムラインにもある。ドイツ空軍は無人戦闘爆撃機の初期作戦能力(IOC)を2029年までに達成する計画だ。ゼロからの開発は時間がかかるため、ドイツ軍は海外のCCAを対象とした市場調査を実施した”

“数週間前までの内部情報によれば、限られた時間を背景に「特定のCCAを直接調達した上でドイツ軍のニーズに合わせて追加開発する方針」が有力視され、その最有力候補と目されていたのがボーイングとオーストラリアが共同開発しているMQ-28Aだ。一連の高度な試験の成功、高い技術的成熟度、独自のミッションシステム実装が可能、さらにオーストラリアの広大な無人地帯もドイツ空軍の訓練を行うのに有利で「MQ-28A調達」を後押しする要因とされていた”

出典:Boeing

“しかし、有力な情報筋から得た最新の情報によると調達プログラムに急遽変更が生じたという。事実上、直接発注の計画は白紙に戻された模様だ。関係者は「追加の検討プロセスが導入されることになった」と明かし、無人戦闘爆撃機の候補として3機種が改めて精査される。MQ-28Aに加えてクラトスのXQ-58A、未確認の第3候補機が検討対象となっている。エアバスはクラトスと共同でエアバス製ミッションシステムを組み込んだXQ-58Aを提案し「2029年までに配備が可能」と発表していた。すでに2機のXQ-58Aがマンヒングに到着している”

“提案内容の審査方法や、それに伴うタイムラインの詳細は依然として不明である。さらに無人戦闘爆撃機が1機種に絞られるのかも分かっていない。アナリストは「仮に1機種に絞られたとしても、長期的には重量級や異なる能力を持つ多様なCCAが必要になる」と予測しており、これが事実なら他の無人機メーカーにもドイツ軍納入の機会が残されている”

パッパーガー最高経営責任者が言及した「約400機のウイングマン」は有人戦闘機と編隊を組んで飛行するCCAのことを指していたのか、それともhartpunktが言及した無人戦闘爆撃機のことなのか、CCAと無人戦闘爆撃機を合わせて約400機なのかは不明だが、エアバスの防衛部門は13日「2029年までにドイツ空軍へ実用的な無人協調戦闘機(UCCA)システムを提供するため全速力で取り組んでいる」「パートナーのクラトスから取得した2機のXQ-58A ヴァルキリーに主権が確保された欧州製ミッションシステムを搭載して初飛行の準備を進めている」「年内にヴァルキリーの初飛行を予定している」と発表した。

“エアバスは現在、UCCAに自社開発の欧州製ミッションシステム=Multiplatform Autonomous Reconfigurable and Secure(MARS)を搭載している。このMARSにはAIを搭載したソフトウェア=MindShare(マインドシェア)が組み込まれており、これは搭乗していないパイロットの代わりを務めるだけでなく、多数の有人・無人プラットフォームに分散配置されることでミッション全体を連携・調整する能力も備えている”

出典:Airbus

“ヴァルキリーとMARSミッションシステムを組み合わせることで、現在の地政学的状況下でドイツおよび欧州が緊急に必要としているものを提供する。それは時間とコストをかけてゼロから開発する必要のない欧州独自のミッションシステムを搭載した実績ある飛行可能な無人戦闘機だ。私たちの目標は極めて重要な主権的側面を確保しつつ、必要な時期に信頼できる戦闘能力を提供することで、非常に手頃な価格でこれを実現できると確信している”

クラトスも「飛行実績があり現在生産中のヴァルキリーにエアバスのMARSミッションシステムを統合することで、エアバスによってミッション化されたヴァルキリーUCCAは単独、無人機チーム、有人・無人機チーミング作戦において運用可能なマルチミッション対応の手頃な価格のシステムになる。エアバスとクラトスがもたらす技術および生産面の強力な支援により、対等な国同士のウォーゲームにおいて一貫した差別化要因として特定されている「アフォーダブル・マス(手頃な価格による物量)」として購入・配備できる最適な能力を備えたシステムを実現しつつある」と言及。

出典:Airbus

さらにエアバスは「ユーロファイターがプラットフォーム間の通信接続性能を備えた「指揮機」として機能するよう、ラファエルと共同でユーロファイター向けに契約されているLitening5(目標照準ポッド)に通信接続能力を追加する改良を行っている」「ユーロファイターのアビオニクスへの小規模なアップデートと合わせて、これらの機能強化は戦闘における同機の殺傷能力を大幅に向上させることとなる」と明かし、独ディフェンスメディア=hartpunktが断片的に報じていた内容が全て事実だったと裏付けられた。

ドイツ空軍の無人戦闘爆撃機は有人機に随伴して空対空任務をこなすCCAとは異なり「単独運用、複数の無人機による協調運用、有人機と無人機による協調運用が可能な空対地任務重視の無人戦闘機」で、ラファエル製のLitening5は通信中継機として使用することもでき、演算能力も無人戦闘機を制御するのに十分な余力があるため、無人戦闘機の制御インターフェイスにF-22がCCAを制御するのと同じタブレット方式を採用すれば、タイフーンに大規模な改修を行うことなく無人戦闘機の制御が可能になるという寸法だ。

出典:Bundeswehr/Patrik Bransmoeller

但し、この方式は事前に用意されたミッションセットを選択する形での制御になるため「フル制御実現までの橋渡し的な解決策」だが、米空軍もドイツ空軍も「無人戦闘機を一刻も早く手に入れて経験とノウハウを獲得するのが重要」と考えているため、有人戦闘機と無人戦闘機を協調させるファーストステップとしてなら妥当なものなのだろう。

因みに無人戦闘機の開発で最も重要なのはハードウェアの機体設計ではなく、自律的な機体制御を司るソフトウェア=頭脳の方で、米空軍のCCA第一弾調達を巡る戦いはYFQ-42AとYFQ-44Aの争いに見えるものの、その裏では「シールドAI提案のHivemind」と「コリンズ・エアロスペース提案のSidekick」が自律型ミッションソフトウェアの採用を巡って争っており、この部分の主権を確保できない国は海外製のブラックボックス化されたミッションソフトウェアを採用する羽目になりデータ主権を失うことになる。

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※アイキャッチ画像の出典:Airbus

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コメント

  • コメント (3)

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    • MK
    • 2026年 3月 14日

    海外の衛星や通信システムも要らなければ有人機特有の安全性能もいらない、勝手に飛ぶか近くにお目付け役の有人機が居る、半リモコンの航空機なのだから海外から買わずに自国でさっさと量産して飛行データや模擬戦闘データとるべきですよね。有人戦闘機との協調なんて一番面倒で使われると思えない部分は後回しで良いかと。有人絡むととにかく安全がらみで遅くなってしまうのだから。

    12
    • 58式素人
    • 2026年 3月 15日

    ”有人戦闘機に随伴可能な協調戦闘機”
    各国で鋭意開発中なのでしょうが、AIに拘ると実現に時間がかかるのでは?。
    言い換えると、ステルス軽爆撃機として機体を先に開発しては?、有人で。
    以前にも書きましたが…。
    AIによる無人化は後からでもできると思うので。
    あと、搭載能力が問題になりますが、合計2,000lbくらい必要では?。
    これを機体内に収める形で。嵩のあるミサイルにもある程度対応しながら。
    機体が大きくなると、当然ステルス性能に響くでしょうから、このくらいで。
    各国で開発中の無人随伴機の搭載量はおそらくもっと少ないのでは?。
    開発中ということもあるのでしょうが、情報が少ないですね。
    豪州のMQ-28A充分に大きいのでは?、と想像しますが。
    素人は、昔のHo229(笑)の現代解釈で良いように思うのですが(笑)。

    1
      • でんでん
      • 2026年 3月 16日

      半年以上前に、SAABがグリペンEにケンタウルスなるAI乗っけて経験積ませてる記事を読んだ覚えがありました
      初期の頃より加速的に成長していってる旨の内容がありましたので、どういう訓練や演習をやるかによるでしょうね
      ウクライナは現在「兵器その他を使わせてくれたら評価付けて内容送るよ」という仕組みをやってるので、ある程度行ったらウクライナ行きもある…のかなぁ?
      ウクライナがグリペンEを導入する旨のはAI関係で協議したんじゃないかと思ってます。エアバスが送ってもおかしくはないんじゃないでしょうかね

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