欧州関連

BAEがブラッドレーA4派生型を大量受注、APS搭載のM2A4E1か

BAE Systemsは12日「ブラッドレーを追加生産するため4.4億ドル以上の契約変更が確定した」「この契約には200輌以上のA4派生型が含まれる」と発表、このA4派生型とはアクティブ保護システム=Iron Fistを統合したM2A4E1である可能性が高い。

参考:The U.S. Army and BAE Systems definitized a contract modification worth over $440 million to produce additional Bradley Fighting Vehicles.

米陸軍はウクライナに提供したブラッドレーを埋め戻す資金でM2A4E1を調達

米陸軍は10年近くエイブラムス、ブラッドレー、ストライカーへのアクティブ保護システム(APS)統合を研究し、ブラッドレー向けのAPSにElbit Systems製のIron Fistを選択したが、ブラッドレーに統合されたオリジナルのIron Fistは向かってくる脅威の50%にしか対応できなかったため、Elbit SystemsとGDは統合方法を大幅に変更、レーダーや光学センサーといった各要素の統合方向や調整もブラッドレー向けに最適化され、制御ソフトウェアも手を加えたIron Fist Light Decoupled (IF-LD)を開発。

この技術を何年もかけて成熟させ結果、米陸軍は「限りなく実戦に近い環境下で脅威の70%に対応できた」と、Elbit Systemsも「ロケット弾や対戦車ミサイルに対する保護能力を維持したままドローンにも対応できると実証した」と明かし、今年3月末にIF-LD、改良された前方赤外線照準装置、降車する際の熱を抑制する環境制御ユニットを統合したM2A4E1を公開して注目を集めていたが、BAE Systemsは12日「ブラッドレーを追加生産するため4.4億ドル以上の契約変更が確定した」「この契約には200輌以上のA4派生型が含まれる」と発表。

米陸軍は資金不足のため2025年度のIF-LD調達を見送っていたが、M2A4E1公開時に「我々はウクライナに提供したブラッドレーと同数のM2A4E1調達資金(装備を埋め戻すための資金)を受け取った」と明かし、この資金は「200輌以上のM2A4E1調達が可能な規模」と予想され、BAE Systemsが12日に言及した数字とも一致する。

出典:PEO Ground Combat Systems 

つまり4.4億ドル以上の契約に含まれるA4派生型とはM2A4E1である可能性が高く、米陸軍はAPSを装備した歩兵戦闘車の本格導入を開始するのだろう。

因みにオランダもCV90向けのAPSにIron Fistを選択、Elbit Systemsも「(オランダが採用したことで)デンマーク、スウェーデン、フィンランドが運用するCV90にもIron Fistが採用されることを期待している」「ポーランドでも大きな可能性を感じている」「我々のAPSは重量に関係なく装輪車輌にも装軌車輌にも搭載できる」と述べており、主力戦車以外の戦闘車輌にもAPS採用が広がっている。

追記:Elbit Systemsは使い捨てのアクティブRF(Radio Frequency)デコイ=Nano SPEARを発表、西側戦闘機に搭載されている標準的なフレアディスペンサーから投射でき、EWシステムと連携して敵レーダー、地対空ミサイル、空対空ミサイルの脅威に対して強力な防護シールドを提供するらしい。

未知の信号に対しても機上で瞬時に解析を行い無線周波数を特定し、再プログラムが可能なデジタル無線周波数メモリ(DRFM)やデジタル周波数技術ジェネレーターを駆使して広範囲に自機の位置や速度を偽装した誤信号をばら撒く次世代の電子戦システムにミサイル接近警報システム、レーダー警報受信機、フレア・チャフディスペンサー、ダミーデコイを統合したものをデジタルステルスと呼び、特にアクティブRFデコイ分野ではLeonardoが有名だ。

Leonardoが第4世代機向けに開発したBriteCloudはAN/ALQ-260(V)1として米空軍州兵が運用するF-16にも採用されており、米海軍航空システム・コマンドは7月「消耗型アクティブデコイの供給契約(年間1,000基~2,000基)をLeonardoと締結した」と発表、消耗型アクティブデコイの要求要件はBriteCloudの能力にそっくりで、この契約にはF-35に対するサポートも含まれているため「F-35へのBriteCloud配備が確定的」と見られている。

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※アイキャッチ画像の出典:PEO Ground Combat Systems

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コメント

    • 58式素人
    • 2024年 9月 16日

    写真を見て、悪口(笑)を一つ。
    まるで、花魁の簪状態、では(笑)。
    必要と考えられるものは一通り付いているのだろうけれど。
    相手側の重機関銃弾(12.7mm?)が一発でも掠ったら、
    それでおしまいのようにも見えます。

    8
    • 分析
    • 2024年 9月 16日

    必要は発明の母なので、安価なドローン特攻等に対応した、安価な迎撃手段は徐々に開発、洗練されていくんでしょうね
    そして更にその迎撃手段では対応出来ない新たな攻撃手法が生み出されていくのでしょう
    少子高齢化が進む我が国が目指すべきは、やはり人的損耗を最小限に出来る装備だと思うので、SFチックですが光の速度で迎撃可能なレーザー装備や、電磁バリア的なもので接近するものを全て堕とすような開発が出来ればよいですね

    14
      • 田舎者
      • 2024年 9月 16日

      逆に言えば、格安無人機の飽和攻撃に対して有効な手段は、SFチックな超絶技術でなければ有人機では対抗困難ではないか?とも思えてきます。しかも、超絶防御技術の実用化が成功したとしても、有人機であることが必須とは限らないわけですし、やはりやがて無人機に駆逐されそうな予感がします。

      どうやらドラゴンドローンに続き、火炎放射器を備えた犬型ドローンの動画が出回っているようですが、銃器搭載機を含めてこれらを大量投入された戦場に防御70%のAPSが活躍の出来るのかな?と疑問に思っています。

      大量の無人機が飛び交い、潜み、活動する戦域では、有人では全く近づけず…そういう状況が増えてくるだろうと想像しています。

      5
      • イーロンマスク
      • 2024年 9月 16日

      ハマス流の同時着弾アタックは解決されたのかしら
      純粋にAPS二基必要になるし複数機による飽和攻撃には結局耐えられない気がする

      4
    • AEW&CにアクティブRFデコイ
    • 2024年 9月 16日

    ウクライナに提供するSaab 340 AEW&C に使い捨てのアクティブRFデコイを搭載してほしいなあ。
    今のままだとロシアの対AWACSミサイルにやられてしまいそうなので。
    Saab 340 AEW&Cにフレアディスペンサー搭載しているんだろうか。

    6
    • 無印
    • 2024年 9月 17日

    このてんこ盛り砲塔を見るたび、思い切って砲塔新設計した方が良くない?と思うわ

    7
      • 名無し
      • 2024年 9月 17日

      一方で、本体は見ても見ても見ても見てもM113にしか見えない。

      9
    • 理想はこの翼では届かない
    • 2024年 9月 17日

    もうゲパルトみたいな自走対空車輌を随伴させないとダメなんじゃないかしら

    6
    • Natto
    • 2024年 9月 17日

    新車のブラッドレーなんだ。
    まだ生産できるんだというのも驚く。
    スーパーホーネット式の実質は別物だけど、改良型ですでは無さそう。

    7
    • うー
    • 2024年 9月 17日

    一方、ロシア軍は砲爆撃で戦域の遮蔽物を更地にした

    APSの進化や有効性は十分に認められると思うんだけど、個人的にはコスパとしては本当にこれでいいのかいまいちわからない…いや兵士の人命、士気に関わるから単純比較できないのはわかってるんだけど…

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