欧州関連

数字から見るウクライナ軍とロシア軍の戦い、11月17日以降の戦闘規模は縮小

ウクライナ軍公式発表を追っていくと11月17日以降のロシア軍戦死者数は1日平均400人以下まで急減しており、この数字が真実なら両軍の交戦レベルは随分低下したことになる。

オレシキーは電気と水道が止まり誰も居なくなったと親ロシアチャンネルが報告

ウクライナ軍の公式発表を追っていくとロシア軍は10月30日から11月16日まで毎日500人以上の戦死者を出していたことになるが、11月17日以降の戦死者数は1日平均400人以下まで急減(7日間で2,000人レベル)しており、この数字が真実なら両軍の交戦レベルは随分低下したことになる。

7月末以降に記録されたロシア軍兵士の戦死者数と戦線での動き
07月31日~08月06日 1,230人 HIMARSでヘルソン州のロシア軍を攻撃
08月07日~08月13日 1,500人 AGM-88HARMの投入、クリミアでの爆発
08月14日~08月20日 1,500人 クリミアでの爆発、ケチル市で初めて防空システムが作動
08月21日~08月27日 1,500人 HIMARSでヘルソン州のロシア軍を攻撃
08月28日~09月03日 2,550人 29日に南部司令部が反撃開始を宣言
09月04日~09月10日 3,200人 6日頃にハルキウ州で反撃を開始、バラクレヤとクピャンスクを解放
09月11日~09月17日 2,000人 イジューム解放、ハルキウ州のロシア軍がオスキル川西岸まで撤退
09月18日~09月24日 2,050人 オスキル川を渡河してリマン方面への反撃を開始
09月25日~10月01日 3,310人 オスキル川沿いやリマン周辺で拠点を解放
10月02日~10月08日 2,450人 リマン解放、ヘルソン州で反撃、ロシア軍が撤退を発表
10月09日~10月15日 2,620人 クリミア大橋爆発、ロシア軍による都市攻撃
10月16日~10月22日 2,370人 ロシア軍の攻撃で火力発電所の約半数が損傷
10月23日~10月29日 3,180人 前線に大きな変化なし
10月30日~11月05日 5,190人 前線に大きな変化なし
11月06日~11月12日 4,770人 ロシア軍が右岸から撤退、ヘルソン市解放
11月13日~11月19日 3,670人 ゼレンスキー大統領がヘルソン市訪問
11月20日~11月22日 1.120人 前線に大きな変化なし

ウクライナ軍も天候の悪化で地上戦の規模は減少傾向だが「砲撃の規模だけは依然として衰えていない」と述べており、特にドネツク州とルハンシク州で両軍の衝突が報告されているものの「戦線の変化」は確認されていない。

ウクライナ軍南部司令部は今月15日「我々の砲撃から身を守るためロシア軍はドニエプル川左岸(ヘルソン州)の要塞から15km~20km後方に移動した」と明かしていたが、オレシキーは電気と水道が止まり誰も居なくなったと親ロシアチャンネルが報告しており、ロシア軍の砲撃部隊はグレーゾーン化したドニエプル川沿いに出たり入ったりしながらヘルソン市の復興を妨害するつもりなのだろう。

出典:Google Map ヘルソン州の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

因みにウクライナ軍はキンバーン砂州やキンバーン半島にあるロシア軍の拠点を破壊したと発表、SNS上では「キンバーン半島からヘルソン州に向かえばロシア軍が築いた防御施設を迂回できる」という声もあるが、ロシア軍もオチャコフ→キンバーン砂州→キンバーン半島とウクライナ軍が進んで来ることを想定して半島のくびれ部分に防衛ラインを構築中だ。

但しスタニスラフから半島のくびれ部分は20km以内なのでウクライナ軍の砲兵部隊が攻撃を加えれば「長くは持たない」と見られており、キンバーン半島にウクライナ軍が足場を築くのかに注目が集まっている。

関連記事:ウクライナ軍、ドニエプル川右岸から撤退中のロシア軍に大ダメージを与えた可能性
関連記事:ウクライナ軍、ドニエプル川沿いからロシア軍は15km~20km後方に移動

 

※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

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コメント

    • class
    • 2022年 11月 23日

    結論のない話なんですけど、これまでロシアって
    大規模攻勢(北・東・南)→撤退/敗北→範囲を絞って攻勢→撤退/敗北→さらに範囲を絞って攻勢(今)
    を繰り返していますよね
    これからどうなるんでしょうか

    10
    • STIH
    • 2022年 11月 23日

    やっぱり膠着状態ですか。ヘルソン撤退は初めてロシアの方が上手だと思ったし、やっとロシアは自分の得意な戦争を行い始めたという感があります。(そのやり方の是非はともかく)
    一方のウクライナが東部戦線を押し込み切れなかった焦りが、ポーランドミサイル誤爆事件の際の言動に出ているのかと思いますし、その際のポーランドの言動に腹を立てて妙な人事をしたんじゃないかと思います。ウクライナ側の捕虜虐待が表沙汰になるのも正直時間の問題だったと思いますしね。
    この冬でロシアは軍備の再編を急ぐでしょうから、来年の2月あたりはウクライナにとって再び苦しい戦いになるんじゃないかと。

    9
      • ミリオタの猫
      • 2022年 11月 23日

      両軍の懐事情を考えれば膠着状態になるのは当然だと思いますが、ロシア軍ってそんなに有利な立場でしたっけ?
      ヘルソン撤退戦はこれまでよりはマシだった言う程度ですし(武器弾薬を相応に鹵獲されている画像が公開されている)、ロシアの得意な戦争と言っても現状は動員&囚人兵と砲弾を注ぎ込んで時間稼ぎと言う状況ですし、今後ロシア軍は軍の再編を急ぐでしょうが、肝心の補充装備が質よりも量を指向する状況に陥っているのを考えるとどこまでウクライナ軍と戦えるのか疑問が生じます
      一方のウクライナ軍は東部戦線の戦況よりも支援国が今後充分な弾薬を供給出来なくなる可能性が出ている事の方がポーランドへのミサイル着弾事件の際の言動や外務副大臣の人事に現れている様な気がします
      後、ウクライナ軍によるロシア軍捕虜への虐待疑惑ですが、元になった動画によると実はロシア軍捕虜の中に一人だけ投降を拒否して発砲した兵士が居たのが全ての原因なので、当時の状況を慎重に見極める必要が有ると思います

      16
        • STIH
        • 2022年 11月 24日

        まあ到底ロシアが有利とは言えないですけど、一方のウクライナとポーランドは隙間風は気になるところ。これが原因でウクライナ支援が滞ることが起きて、現場が戦闘に集中できなくなってしまえば、十分なスキにはなると思いますよ。無論T-62で何ができるんだって話ではありますが。
        捕虜虐待の件情報ありがとうございます。ただ今回はともかく、戦争ですから捕虜虐待くらいはあるでしょう。アメリカだってやっているんですから。ただクローズアップされるタイミングが悪い。よりによってウクライナ・ポーランドの勇み足の後で、しかもウクライナは目立った成果が見込めなさそうに見えるので、西側の団結を試される時じゃないかとは思ってます。

        2
          • ミリオタの猫
          • 2022年 11月 24日

          ウクライナとの間に隙間風が生じているはずのポーランドですが、23日に同国のブワシュチャク国防相は自国配備の予定だったドイツのパトリオットSAMをウクライナに送る様にドイツ政府に要請したとの事なので、ミサイル着弾事件とウクライナ支援は別問題と考えている様です
          後、捕虜虐待の件については同意します
          以前にもウクライナ軍には捕虜虐待の疑惑が有りましたし、彼等だって聖人君子の集団では無いのですから
          只、この状況をロシアがフェイクニュースの材料として利用しているのも事実なので、冷静に事件当時の状況を見極める必要が有るだろうなと思っています

    • ブルーピーコック
    • 2022年 11月 23日

    半島の黄色い丸の所って国立公園だよね?昔だったら天然の要害だけど、後ろからウクライナ軍が来てるし、管理人さんの言うとおり砲撃範囲内だしで守る意味ないような。ヘルソンが奪還された以上、既にセバストポリはネプチューン対艦ミサイルの射程圏内だし。

    6
    • 鳥刺
    • 2022年 11月 23日

    キンバーンまでは、上陸作戦と言うよりは舟艇機動の範囲内で渡航は可能ですが、そこに攻撃力を有する兵力を蓄積できるかとなると色々と困難はあるでしょう。翻ってロシア側も連絡路が通常の砲兵の火制下にある有様で、こちらも保持は不可能。双方の戦力比にもよりますが、現状、キンバーン半島全体がドニエプル左岸20km帯のようなグレーゾーン化する形勢のように観察されます。

    ウクライナ側から見れば、順次、沿岸部で拠点を推進して行けばクリミア北端に至るまでの地域での水陸両用潜入襲撃なども可能になってくるでしょうか。

    ウクライナは全般戦略的な意味での有位と秋季の攻勢の連続的な成功で、ロシア軍を全体に防勢に追い込んだわけですが、ここから主導権を相手に渡さずに戦争目的を満足させる勝利を得るまでには、まだ道程と冒険の必要はありますね。

    ミリタリーランドですと、全土の降雪で直近は地面の軟弱化が続くようです。

    6
    • タイヤキ
    • 2022年 11月 23日

    普通にウクライナ軍もヘルソン攻めしていた大部分の部隊はロシア軍の置き土産地雷の撤去と休息に二週間ははいるだろうから、戦線の一時的な膠着状態になるのは、仕方ないと思う。

    7
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