欧州関連

Baykarが新しい自爆型無人機を発表、破壊力はShahed-136の約4倍

イラン製の自爆型無人機=Shahed-136が米国や中東諸国に問題を引き起こしている中、トルコのBaykarが新しい自爆型無人機=K2 KAMIKAZEを発表し、Shahed-136と比較して最大離陸重量も弾頭重量も約4倍という自爆型無人機として最大級の大きさと破壊力を備えている。

参考:K2 KAMIKAZE UAV TAKES THE FIELD

200kgもの弾頭を運搬可能でShahed-136よりも高度な能力を備えた自爆型無人機を低コストで大量生産できる

イラン製の自爆型無人機=Shahed-136が米国や中東諸国に問題を引き起こしており、この問題の本質は「Shahed-136が高価な長距離攻撃兵器の代替手段になる」のではなく「Shahed-136による攻撃コストと防空システムによる迎撃コストが釣り合わない」という点にあり、この問題に一定の答えと結果を残しているのはShahed-136の攻撃を日々撃退し続けているウクライナだ。

出典:UNITED24 Media

UNITED24が説明するウクライナの多層防空網は現在「①探知システム=侵入するドローンを発見、追尾し、警報を発するセキュリティ技術」「②電子戦=侵入してきたドローンの航法を妨害して野原に墜落させるか、ロシアやベラルーシに帰還させる」「③戦闘機=有効ではあるが機数と滞空時間に制限がある」「④防空システム=主に巡航ミサイルや弾道ミサイルに対して使用される。高コストかつ供給が限られているためドローンに対して使用される頻度は低い」「⑤迎撃ドローン=最も近代的な解決策であり数百機のShahed-136を撃墜可能」「⑥機動射撃部隊=ドローンを迅速に迎撃・破壊する重機関銃を装備した小型の機動車両チーム」で構成されている。

要するに「ウクライナは2022年後半にShahed-136が登場すると、2023年後半までに探知システム、電子戦、機動射撃部隊を追加し、2024年にF-16が到着し、2025年に迎撃ドローンを実用化して防空網を6層化した」という意味で、さらに民生技術とアプリを活用した分散型の指揮統制で目標=Shahed-136を捕捉して撃墜しているらしい。

特に去年追加された5層目の迎撃ドローンが非常に効果的で、Shahedタイプの自爆型無人機には迎撃ドローンで対処し「高価な迎撃ミサイルを本来の目的に使用する」という流れが出来上がりつつあり、Shahed-136への対処で高価な迎撃ミサイルを消耗している米国や中東諸国がウクライナに支援を要請しているのだが、Baykarが14日に恐ろしい自爆型無人機=K2 KAMIKAZEを発表した。

K2 KAMIKAZEの基本性能は最大離陸重量800kg、弾頭重量200kg、航続距離2,000km以上、滞空時間13時間以上で、Shahed-136と比較して最大離陸重量も弾頭重量も約4倍という自爆型無人機として最大級の大きさと破壊力を誇り、AI、センサー、ソフトウェアを駆使したK2同士の協調能力、GNSSが機能しない環境下での運用能力(EO/IRセンサーによる地形の視覚的スキャン)、EO/IRセンサーによる目標の視覚的ロックオン能力を備えているにも関わらず、Baykarは「低コストで大量生産が可能だ」と主張している。

ただし、Baykarは「研究開発プロセスにおける次のステップで『目標に弾薬だけを投下して基地に帰還できる(K2 KAMIKAZEの)バージョン」を実現し、機体の再利用の可能性を提供したい」と述べており、それだと「武装可能な無人航空機=UCAVになるのではないか」と首を傾げたくなるが、もう無人機の用途や性格を従来のカテゴリーで区別するのは困難になっているため想像力を働かせるしかない。

管理人が想像するのは「弾頭を搭載するペイロードをモジュール化して切り離せるようにする」「モジュール化したペイロードに追加のセンサーや電子戦装置を搭載できるようにする」「K2 KAMIKAZEは消耗可能で多目的なペイロードを運搬する空中プラットホームにする」ぐらいだが、200kgもの弾頭を運搬可能でShahed-136よりも高度な能力を備えた自爆型無人機が低コストで大量生産できるなら、Shahed-136撃退で効果を発揮している迎撃ドローンの存在価値はより高くなるだろう。

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※アイキャッチ画像の出典:Baykar

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コメント

  • コメント (14)

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    • 無印
    • 2026年 3月 16日

    動画を見た感じ、使い捨て自爆に使っても惜しくないぐらいに、TB2から高価そうなパーツを削った自爆ドローン、でしょうか
    編隊飛行が可能でリンク機能もあるのに、ランディングギアは出しっぱなし
    頭脳にはお金を使ってるけど、機体にお金は使ってなさそう

    10
    • 匿名
    • 2026年 3月 16日

    世界では、すっかり ”KAMIKAZE” が自爆機の一般名詞になってしまいましたね。

    では、海で使う自爆船は何と呼ばれるのでしょう?

    15
      •  
      • 2026年 3月 18日

      実際にKAMIKAZEボートと呼ばれていませんでしたる

    • もへもへ
    • 2026年 3月 16日

    しかしウクライナの生産能力は凄いですね。
    若年男性の多くが動員されて消耗戦ですから、それほど多くないし女性と子供を中心に国外脱出者も多数。
    さらに停電が頻発して、たまにロシアのミサイルとドローンが落ちてくる状況で、これほど多種多様なドローンを大量生産できるのは驚かされます。

    5
      • 寒い
      • 2026年 3月 16日

      ここまで大きいと自爆機としては使いづらい気もするのですがどうでしょうね?撃墜され帰還できなくてもさほど惜しくない程度のコストで、大ペイロードを活かして子ドローンを運ぶ、徘徊弾薬をばら撒くみたいな運用想定なのでしょうか?

    • イーロンマスク
    • 2026年 3月 16日

    シャヘド4台ぶんより安くないと勝負にならないのでは
    これが10万ドルでつくれるかと言えば疑問

    10
    • YF
    • 2026年 3月 16日

    帰還能力、モジュール化等やればやるほど価格が上がるわけで一番の強みを消してるような気がしますが。
    Shahed-136とは全く別のコンセプトの機体ですね。大きいのも被発見率上がりそうです。
    日本もトルコから無人機購入の検討をしていますが、(この機体を買うかどうか別にして)KAMIKAZEって名前付けられると買えないよなぁ。特に海自は…

    9
    • 朴秀
    • 2026年 3月 16日

    政府は名称に抗議してほしいところです
    上にもコメントがありますが有用性は価格次第ですかね

    8
    • たむごん
    • 2026年 3月 16日

    価格次第と言えども。

    紛争戦争の最前線の国、最前線で使われる武器販売する軍需企業は、実戦からのフィードバックがあるうえに。

    『国としての真剣度が違う』わけですから、新しく有用な兵器をドンドン開発しやすい環境にあるのでしょうね。

    1
    • AKI
    • 2026年 3月 16日

    名前は日本人にとってはカッコよく使われたくないところですが、自爆ドローン活用時代の言葉としては肯定的に捉えられ始めているのかもね。

    大型すぎると発見もされやすいでしょうから、制空権を奪ってからの攻撃に使うんでしょうかね。
    目標をロストしたら帰還も出来るタイプか?

    • 2026年 3月 16日

    日本人的にはKAMIKAZEなんてネーミングはほんとやめてほしい、せめて無人自爆機ジャンルの俗称のままであってくれ
    元の言葉は「神の威力によって吹く強い風」みたいな感じで普通の言葉なのに嫌な意味で上書きされてくのほんと耐えられん
    「回天」や「桜花」みたいにあっちのイメージに引っ張られるのは仕方ないところなんだけど、それでもマイナスイメージを助長するのはやめてほしい
    パンツにKIMONOなんて名付けた西欧人の横暴の再演はやめるんだ、いくらなんでもトルコでも許せんぞ

    4
    • 匿名
    • 2026年 3月 16日

    KAMIKAZEは無論のこと、suicideも日本人としては微妙。
    最近アメリカが発表していたone way型という呼称が普及してほしいですね。

    7
      • Authentic
      • 2026年 3月 16日

      なんとなくカミカゼという言い方があんまり使われなくなってきたような気がしてたけど
      ガッツリ引き戻された感じ

      1
      • kitty
      • 2026年 3月 17日

      カミカゼは不謹慎だからAI兵器にはYUKIKAZEを使えって運動でもしますか?

      1

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