欧州関連

現実味を増してきた英国の空母技術輸出、軽空母プログラムを進める韓国と協議を開始

英国のテレグラフ紙は空母クイーン・エリザベスの技術を韓国に輸出すると報じており、噂されていた英国による韓国への空母技術提供が現実味を増してきた。

参考:Aircraft carrier tech offered to South Korea as Royal Navy extends horizons

噂されていた英国による韓国への空母技術提供が現実味を増してきた

これまで韓国メディアはクイーン・エリザベス級空母の開発を主導した英企業バブコック・インターナショナルが「韓国の軽空母プログラムに協力を申し出ている」と報じてきたが、遂に英メディアのテレグラフ紙も「空母クイーン・エリザベスの技術を韓国に提供する」と報じ始めた。

テレグラフによれば韓国側はクイーン・エリザベス級空母が採用した先進的な省力化技術、高度の自動化された武器運搬システム、航空機を飛行甲板に運ぶためのエレベーター、統合電気推進システムなど関心を示しており、英国の国際貿易省が韓国側の担当者と非公式な協議を開始したと報じている。

特に英国のベン・ウォレス国防相と韓国の徐国防部長官は今年1月、テレビ電話方式による協議を行い2ヶ国間の防衛協力拡大合意を発表しており、両国で軽空母プログラムに関する何かしらのすり合わせがあったのかもしれない。

出典:Royal Navy / OGL v1.0 空母クイーン・エリザベス

因みに韓国側が興味を示しているクイーン・エリザベス級空母の技術はバブコックを中心とするコンソーシアム(バブコック、BAE、タレスの共同事業体)が開発したもので、クイーン・エリザベス級空母の省力化技術は米国やフランスよりも先進的だと評価されている部分だ。

特に艦の運行に関する省力化は満載6万7,600トンの巨艦を約700人程度で運行可能という点に現れており、艦の船底に近い弾薬庫から格納庫や飛行甲板に武器を運搬するシステムの高度に自動化されているため航空機の運用要員も削減に成功している。

満載排水量 搭載機 操艦要員 航空要員
クイーン・エリザベス 6万7,600t 40機+ 775人 610人
ジェラルド・R・フォード 10万1,600t 75機+ 2,180人 2,480人
シャルル・ド・ゴール 4万3,100t 30機+ 1,400人 540人

因みに空母ジェラルド・R・フォードは米海軍として初めて本格的な省力化技術を採用した艦でニミッツ級空母に比べると操艦要員が1,000人近く削減されているが、省力化を期待して採用した武器運搬システムは不具合の連続で半分程度しかまともに稼働していない。

出典:Ministère des Armées

空母シャルル・ド・ゴールは建造時期的に最も省力化技術の採用が遅れているが、約7万5,000トンの次期空母では本格的な省力化技術を採用してくる予定でシャルル・ド・ゴールと変わらない人数で運行が可能だと言われており、本格的な空母の建造経験がない韓国からすれば空母クイーン・エリザベスが採用している省力化技術は喉から手が出るほど欲しいだろう。

補足:さらにバブコックはF-35Bが搭載するエンジンやリフトファンが発生させるブラスト(噴流)を数値流体力学(CFD)シミュレーションを使用して解析、これを元にF-35Bが発艦と離陸の際に飛行甲板や駐機中の航空機に及ぼす影響を最小限に留めるレイアウトを空母クイーン・エリザベスに採用して高稼働率と整備時間短縮の両立に成功している。

どちらにしても英国と韓国の協議は始まったばかりなので本当に技術提供が行われるのかは不明だが、韓国への空母技術輸出はカナダ海軍の次期フリゲート建造契約受注を契機に復活を果たそうしている英国の防衛産業や造船業にとって追い風になるとテレグラフは報じており、英国政府も「韓国は重要な安全保障上のパートナーで我々が進めるインド太平洋地域への進出は韓国との協力関係を更に強化することに繋がる」と言っているので韓国への空母技術が現実味を増している。

もし韓国が空母クイーン・エリザベスを入手することに成功すれば相当実用的な軽空母が完成するかもしれない。

関連記事:韓国の軽空母建造にクイーン・エリザベス級空母を開発した英企業が協力?
関連記事:目的は空母技術の売り込み? 英国が空母クイーン・エリザベスの韓国寄港を希望

 

※アイキャッチ画像の出典:Royal Navy / OGL v1.0

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