中型軍用輸送機の更新が本格化する中、エンブラエルはオランダ空軍、オーストリア空軍、チェコ空軍、韓国空軍からC-390の受注に成功し、スウェーデン国防省も9日「C-390導入交渉を開始する準備が出来ている」と、エンブラエルも「スウェーデンは戦術輸送機の近代化のためC-390を選択した」と発表した。
参考:Brazil and Sweden deepen aerospace cooperation
参考:Sweden selects the Embraer C-390 Millennium as its new military transport aircraft
まだスウェーデンと正式な契約を締結したわけではないものの、海外市場で実績を積み上げたいエンブラエルにとっては朗報
中型軍用輸送機のシェア(1,500機前後)はC-130が独占しているものの平均機齢は30年を越えており、アフガニスタン撤退やウクライナ侵攻を経験した欧州諸国は「旧式輸送機によるロジスティックシステムが時代遅れになっている」と再認識、多くの国で始まった中型軍用輸送機の更新で主役に躍り出ているのはC-130JではなくC-390で、オランダ空軍(5機)、オーストリア空軍(3機+オプション1機)、チェコ空軍(2機)、韓国空軍(3機)での採用が確定。
エンブラエルは昨年3月「サーブとスウェーデン空軍の次期戦術輸送機にC-390を共同提案することで合意した」と発表していたが、スウェーデン国防省は9日「ブラジルはグリペンE/Fの追加導入を検討しており、我々もC-390導入交渉を開始する準備が出来ている」「両国は航空宇宙分野の協力関係を深化させることで合意した」と、エンブラエルも「スウェーデンは戦術輸送機の近代化のためC-390を選択した」「当社にとって今回の決定は本当に光栄だ」「先進国の間でC-390の実力が徐々に認められつつある」と発表した。
スウェーデンにとってC-390は「複数のNATO加盟国(ポルトガル、ハンガリー、オランダ、チェコ)が採用している」という実績に加え、ブラジル空軍はAMXの後継機調達を検討中で、イタリアはM-346売却に向けた予備交渉を開始、フランスのマクロン大統領もG20に合わせてRafaleを売り込むと噂されているため、スウェーデンとしてもブラジルとの関係を強化しておきたいのだろう。
まだスウェーデンと正式な契約を締結したわけではないものの、海外市場で実績を積み上げたいエンブラエルにとっては朗報で、防衛分野におけるブラジルとスウェーデンの関係を考えればC-390導入が有耶無耶になることはないだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Embraer
ブラジル空軍を除き契約済が14機ということは約1%のシェアか。
今後加速して増えていくにしても市場制覇は遠い道だね。
チャレンジャーとして健闘を祈ります。
そのチャレンジ精神誉れ高い
試行錯誤で市場開拓に行くのは、単純に好感が持てる
C390は手軽に痒いところに届く航空機だな
短距離離陸性能を大分妥協しているので、戦術輸送機というよりは単に軍用貨物機という方がしっくりはするけれど
コスト面や亜音速の一般航路を使えるなど日常的な運搬業務の効率を大きく改善させる要素が多い
C130系統には素晴らしく驚くような実績も数多くあるが、そういった任務の発生というのもまた稀ではあるので
C390を一部のC130H後継機として選ぶ流はまだ続くだろうね
C-130が短すぎるだけで、戦術輸送機としても及第点以上の性能だと思いますが
C-130はその分速度が遅いわけですし
実際に世界のあらゆるガチの環境下で何かを輸送するとなるとC-130に信頼の面で勝てるかだと思う。
酷い地形でも着陸して兵士を回収するとかC-390で真似出来るのかと思うし、まともな空港や基地、たまに転圧された滑走路を行き来するならどちらが上かって話じゃないだろうか?
兵器体系を見ると、西側は対外戦争重視というか。世界中での戦争重視だな。武器の選択が難しい。
ロシア軍の兵器はウクライナでの戦争重視だなぁ。
C-390も非舗装路での運用は実証済みですよ
「路面」ではなく「酷い地形」という話ですので離着陸滑走距離が問題になってくるかと。
純粋な中型輸送機がほしい→C-390へ
多目的輸送機がほしい→C-130JやA400Mなどへ
って感じでは?
C-2の話をして悪いんだけど、C-2の性能の「高高度高速巡航」がニッチすぎて売れないって言われるけどそれってどういうことなんでしょうか?
民間航空便のラインに合わせる必要があるほど我が国のみ過密な航空情勢(他国で似た事情の国家は現状中型輸送機の需要がない)という意味なんでしょうか?
また、空中給油機機能ってポン付けできないのでしょうか?
C-2も高床で配管通ってる型作ればいいなんて考えてしまいます。
今でもいろんな輸送機が世界の国々を飛んでるから、世界の国々は旅客機航路を飛べなくてもそこまで困ってなくてアピールポイントとして薄いんでしょ
(その高速性より価格や維持費を安くしたり、搭載量増やしてほしい)
C-130クラスの中型戦術輸送機のカスタマーでは民間エアライン空路を遠距離飛ぶ機会が
あまりないから(売りの高速性能を活かすシチュエーションがさほど思いつかない)と
解釈して宜しいのでは無いでしょうか
C-130で海外派兵とか海外派遣とか滅多にしないし、稀にあっても大半が国内の短距離利用
だと、そっちでの運航費の安さとか適合性が評価として優先でしょう
それから、自衛隊の国内輸送ではC-2ってどれぐらいの高度が常用なんでしょうね
高高度で巡航速度が出せるっても、そこまで上がって降りて来るだけでも燃料食うので
空気抵抗の大きい中低高度で最適燃費な速度で飛ぶのとで、国内輸送程度の距離なら
どっちが有利なんでしょうね
C-390は輸送・空中給油兼用機になるKC-390があるので、こちらを採用すれば輸送機とプローブ&ドローグ式空中給油機として利用できますね。
ただ、F-16とかアメリカ空軍の戦闘機・攻撃機・爆撃機が使っているフライングブーム式は給油オペレーター設備とブームが必要なのでポン付けはできず、機体本体への統合が必須です。
C-2はフライングブーム式の給油口は持ってますが、ポン付けの空中給油ポッドを作るならプローブ&ドローグ式になりそうです。
F-35BやMV-22などアメリカ海軍機・海兵隊機はプローブ&ドローグ式なので、プローブ&ドローグ給油機能を外して就役したKC-767では使えずKC-46AとKC-130Hが対応することになります。
ヘリやMV-22などの低速機はプロペラ式のKC-130Hの方が速度的に都合が良いですし、F-35BにはKC-46Aで足りると仮定するならC-2に空中給油ポッドを開発する優先度は低そうです。
EU加盟国間は旅客航空路が発達しているので、旅客航空路に乗れるC-390/KC-390は新しい価値観とセットで受け入れられそうな気がします。
日本で売れる可能性がありそうなのは、海自のC-130R後継あたりかねと思ったけど。ヘリ給油機を兼ねるんなら相対速度あわせを考えてそこそこ遅い方がいいんでよくってA400M+給油キットかな?
エンブラエルによればC-390は120ノット(時速200km弱)で巡航でき、ヘリコプターへの給油も可能だそうです
C-390もA400MもC-2と被るので日本はC-2に一本化でしょう。たくさん買ったほうがC-2も安くなるしその方がいい。
米軍が採用するなら可能性は有りかも。>海自のC-130R後継
C-130系は小規模ながら米軍での新規調達や改修運用が依然進行中で、自衛隊も特段の不満や不都合が無ければ今後とも長期に渡り使い続けると思います。
日本国内の米軍、陸自自衛隊機地を含む主要飛行場全126箇所中、1,200m以上の滑走路長があるのは107箇所(約85%)です。C-130はこれらの飛行場で最大荷貨条件でも問題なく運用できるわけで使い勝手は良いのかと。