インド太平洋関連

アジアも欧州も軍事衝突寸前、中国は軍に動員をかけギリシャは戦争準備中

アジアでは中国とインドの間で欧州ではトルコとギリシャの間で軍事的対立が高まっており、いつ大規模な軍事的衝突が始まっても不思議ではない。

中国は会談の裏で大規模な兵力展開を実施してインドへの軍事的圧力を強化

インドと中国は6日、両軍の司令官同士が会談を行いカシミール州ラダック地域の軍事的緊張感の緩和に向けて話し合いが行われたが、これと言った具体的な成果はなく「友好的かつポジティブな雰囲気の中で会談が行われ、国境地域の状況を平和的に解決することで合意した」とだけインド側が発表した。

参考:Chinese army carries out large-scale drill to check preparedness at border with India

一方の中国は、この会談の裏で印中国境に近い地域に大規模な軍の動員を行っており、現地印メディアは会談で示した「平和的に問題を解決する」という態度は見せかけで軍事的圧力を強化していると報じている。

出典:Tyg728 / CC BY-SA 4.0 99式戦車

実際、印メディアの報道通り中国人民解放軍は6日、湖北省に駐屯する数千人規模の空挺部隊に加え戦車や装甲車など大量の装備品を中国西北部(詳細な場所は非公開)に移動させたと中国中央テレビ(CCTV)が報じており、取材に応じた空挺旅団の中国軍関係者は「これだけの兵力や装備の移動を数時間でやり遂げた」とアピールしている。

要するに今回の部隊移動は「必要さえあれば中国は大規模な軍事力を何時でも何処でも直ぐに展開できる」と証明してみせたと受け取ることができ、しかも両国の会談に合わせて実施されているため、このメッセージはインドに向けて発信していることが嫌でもわかってしまう。

インド側も国境沿いの軍事的な圧力の高まりを受けて砲兵を含む複数の部隊をラダック地域へ移動させており、両国の会談結果とは裏腹に軍事的緊張は少しも緩和していないと言える。

ギリシャはトルコが自国海域で石油の掘削調査を始めえば戦争が始まるEUに訴える

一方の東地中海でも、石油の掘削調査に関連してトルコとギリシャの間で軍事的緊張が高まっている。

参考:Greece prepares for War and readies for Turkish invasion

参考:В войне Турции с Грецией Россия защитит слабого

トルコはリビアと結んだ海洋境界の協定を根拠にギリシャが自国のEEZだと主張する海域で石油の掘削調査を行うと発表したため、ギリシャのパナギオトプロス国防大臣は「軍事的手段に訴えてでも自国の権利と国境を守る」と言って牽制したが、トルコは「ギリシャが領有する島には大陸棚がなく6海里の領海しかない」と語り石油の掘削調査は合法で中止する考えはないと主張しており両国は軍事的衝突に向けて一直線だ。

ギリシャのミツォタキス首相はEUに対して、もしトルコがギリシャ領海で石油の掘削調査を始めえば戦争が始まると訴えており、EUもトルコに対してギリシャの主権を尊重するよう要請しているがトルコ側は無視を決め込んでいる。

英国メディアは「ギリシャは戦争の準備をトルコは侵略の準備を行っている」報じており、露メディアは「もしトルコとギリシャが軍事的な衝突に発展すればトルコとの関係悪化を理由にロシアはギリシャ支援に乗り出すだろう」と報じている。

このように新型コロナウイルスの影で世界は戦争勃発の危機を迎えている、しかもアジアと欧州の2ヶ所で。

関連記事:緊張感高まる東地中海、ギリシャがトルコに対して軍事力行使を示唆

 

※アイキャッチ画像の出典:Tim Felce / CC BY-SA 2.0 ギリシャ空軍のF-16

日本の零戦は選ばれるか? 米メディアが選出した史上最高の艦上戦闘機前のページ

転売目的か? ウクライナ空軍のMiG-29が持ち込んだ工場で盗まれる次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    ナゴルノ・カラバフ紛争で停戦が実現 → 停戦発効から5分後にアゼル軍が攻撃再開

    アルメニアとアゼルバイジャンが捕虜交換や戦死者の遺体回収のため一時的に…

  2. 欧州関連

    ドイツ海軍、空母「グラーフ・ツェッペリン」以来となる空母建造話?

    ドイツ海軍は、海上輸送路確保のために、もっと多くの艦艇を必要としており…

  3. 欧州関連

    スイスがウクライナへの武器供与にゴーサイン? 法案成立は数年先の話

    ウクライナの与党は「スイスがウクライナへの武器供与にゴーサインを出した…

  4. インド太平洋関連

    韓国、極超音速兵器を開発中で2023年までにHGVを試射予定

    韓国国会の立法支援組織「国会立法調査処」は10日、米国や中国など世界の…

  5. インド太平洋関連

    タジキスタン軍が戦車でキルギスのバトケン州を攻撃、現在も交戦中

    キルギスメディアは16日、タジキスタン軍がキルギス共和国バトケン州の村…

  6. 欧州関連

    トルコ、バイラクタルTB3を搭載する強襲揚陸艦アナドルの新イメージを公開

    トルコ国防産業庁は先月末、開発に取り組む国産兵器をアピールする動画の中…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 6月 08日

    中国の時代の次はインドの時代、などと言われてるし、
    世界が中印の潰し合いを望んでいる事を両国とも知っているだろうから
    多少は考慮するだろうけど、中国が引く気が無いというか。
    今の習主席はコロナなどの問題を始め経済などの国内問題の多数の失策から、外交で譲歩する余力を持っていなさそうだからなぁ…。
    強気で押さないと自分の地位が持たないから押せ押せするしかないんだろうなぁ。

    • 匿名
    • 2020年 6月 08日

    コロナ、アメリカ内乱、香港危機、トルコ対ギリシャ、中印紛争、北朝鮮核開発、半島赤化、新生ロシア…いやはや、ろくでもない時代ですね

    もう安倍ちゃんじゃ力不足じゃね?北と中国に日和ってるし。次のリーダーは誰がいいのかねぇ。

      • 匿名
      • 2020年 6月 08日

      今の国際情勢はコロナウイルスの蔓延で、世界各国が抱えていた矛盾と摩擦が一気に噴き出して臨界点まっしぐらって状況だと思うが、今の日本には何だかんだ言っても安倍総理しか使えそうなリーダーが居ないんだよな。
      幾ら北と中国に日和っていると言っても、世界の何処かで軍事的衝突が起これば米国を支持するしか外交的選択肢が無いし、先日横田滋さん(拉致被害者横田めぐみさんの父親)が亡くなられた事で下手に日和ると国内の支持もゼロになりかねない。
      オマケに次のリーダー候補はロクデナシ揃いだから、今、安倍下ろしをやったらマジで日本は自爆ですよ?

      2
      • 名無し
      • 2020年 6月 08日

      安倍・河野ラインしかありえない、もし立件とか強酸だったら中国様に尖閣を差し出すことなり、それは太平洋の西半分を中国が支配することにつながる、その時にはアメリカは日本を経済的にも軍事的にも潰しにかかることだろう。
      安倍政権は経済ではTPPで軍事的にはダイアモンド構想で一本筋が通っている、敵と味方をはっきりと判断して基本はアメリカ支持だが日本の利益にならないなら反対する行動も行う。
      とにかく現在の世界情勢では憲法改正と防衛力を強化するしか選択肢はない、だから計画的にアメリカの兵器を導入している。
      今の日本が安倍政権だあるということは宝くじに当たったような幸運だと思う。

      2
      • 匿名
      • 2020年 6月 08日

      山本太郎しかいないでしょ

        • 匿名
        • 2020年 6月 09日

        ナイスジョーク

        1
        • 匿名
        • 2020年 6月 09日

        ハハハ、ナイスジョーク( ´∀` )b

        1
      • 匿名
      • 2020年 6月 08日

      >次のリーダーは誰がいいのかねぇ。

      その話題、絶望的な気が。

      1
      • 匿名
      • 2020年 6月 08日

      北に日和ってる? え、他の政権と比べてどんなところが?
      シナに関しては尖閣警備の強化(海保)は安倍政権になってから漸く進展したわけで。とはいえ、2Fを政権中枢に置いたりしてるのもあるし、勢いがないのには同意。
      中川(酒)がいたらと思ったりするが、カスゴミをなんとかしないと保守系のリーダーがいようとどうにもならないだろうねえ。それ以前に、シナ相手に単独で日和らないだけの国力が日本にあるのかっていう。

    • 匿名
    • 2020年 6月 08日

    習近平氏は、戦争状態と言って数年経つんだし、ずっと戦争をやらしておけば。
    シナは、いつも外交問題を棚上げして、解決しようとしない。

    シナは、そろそろ周辺の地も外国の支援も失うも身をもって感じることも必要だな。
    そして、シナ各地で独立運動が起きて、収拾がつかなければいい・・

    • 匿名
    • 2020年 6月 11日

    トルコは予想道理ロシアも完全に敵にまわしてるね
    全方位敵だらけってどっかの半島国家一緒

    • 匿名
    • 2020年 12月 06日

    習近平の時代は戦争はしないとおもう。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  2. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  3. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  4. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  5. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
PAGE TOP