スイスはF-35A導入によって「F-5E/F後継機を巡る14年間の戦い」に終止符を打ったが、スイスと米国の間で契約内容の認識が食い違い、トランプ政権の関税も国内の対米感情を悪化させ、スイス公共放送も「F-35A購入見直しの声が高まっている」「議会での議論はさけられそうもない」と報じた。
参考:Swiss Politicians Push to Cancel F-35 Fighter-Jet Deal After US Tariffs
参考:Calls mount in Switzerland for review of F-35 jet purchase
前回の入札で競合したラファール、タイフーン、グリペンに再びスポットライトがあたるかもしれない
スイスではF-5E/Fの後継機として選定されたグリペン導入が国民投票で潰され、1から後継機選定をやり直して「F-35Aを36機導入する」と発表、スイス社会民主党、緑の党、市民団体の軍隊なきスイスを目指す会で構成された反F-35イニシアチブが国民投票の実施に動いたものの、議会が国民投票実施前に契約署名を支持したため「F-5E/F後継機を巡る14年間の戦いに終止符が打たれた」と思われたが、スイスと米国の間で契約内容の認識が食い違いを見せ「計画見直し」の声が高まっている。

出典:GSoA
当時のスイス政府は契約内容について「F-35Aを固定価格で調達する」「2020年に可決された予算上限60億フランを越えることはない」と説明していたが、フィスター国防相と国防省装備局は今年6月「米国が固定価格について誤解があると主張し、スイスに6.5億フラン~13億フランの追加費用を要求している」と明かし、スイスは「固定価格で契約したためF-35Aの取得価格が変動しない」と考えていたものの、実際には「米国がロッキード・マーティンに支払う価格と『同じ価格』でF-35Aを取得できる」という意味だったらしい。
要するに「F-35Aの取得価格は原材料やエネルギー価格の高騰を受けて上昇し、米国がロッキード・マーティンに支払う価格も上昇したため『契約時に見積もられた取得価格』との差額分をスイスに請求する」という話なのだが、これは当時のスイス政府が会計検査院の警告=契約条項4.4.1(実際の価格が本契約の記載された見積もり額を越える場合でも支払いに応じることに同意する)を軽視し、定義が曖昧なまま「固定価格」という語句を使用したことに原因がある。

出典:The White House
さらにトランプ政権がスイスに39%の関税を課すと発表したため「国内の対米感情」が悪化し、スイス社会民主党や緑の党は「我々との貿易に石を投げつける国へ贈り物をすべきではない」「国民がF-35Aの調達を阻止できるよう国民投票を実施すべきだ」と要求、自由民主党も「国民が関税ショックの中で『当初予定よりも高価になったF-35Aの調達』を受け入れるかどうか分からない」「政府は契約の全面的もしくは部分的な停止を検討して潜在的な損失を受け入れるべきだ」と述べ、スイス公共放送=SWIも「F-35A購入見直しの声が高まっている」「議会での議論はさけられそうもない」と報じた。
因みに自由民主党はスイスの選択肢について「損失覚悟でF-35Aの購入契約を打ち切るか、既に支払った分だけF-35Aを購入し、不足分を欧州からの調達でカバーするかのどちらかだ」と主張しており、前回の入札で競合したラファール、タイフーン、グリペンに再びスポットライトがあたるかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:Lockheed Martin





















ラファール、タイフーン、グリペンを購するにしても、行列の最後尾になるわけですから、2030年過ぎても最初の機体が到着するのかなというのは少し気になるところです。
日本と違って、スイスは外敵の心配すぐにする必要もないという位置ですから、好きなようにすればいいのかなあと。
ラファールはギリシャとかにやったみたいにフランス空軍の機体を渡せば早いですね
中古にはなりますが
たしかに仰る通りですね。
隣国ですから、整備も容易そうだなと。
グリペンは爆速引き渡しの条件で南米での受注を勝ち取っていたので比較的早く受け取れるかと。
スウェーデンにとってはチャンスですよね。
タイで実戦デビューしたりと、楽しみな機体だなあと。
アメリカ製エンジン積んでるグリペン買うくらいなら素直にF-35でいいんじゃないですかね…
まず維持費が段違いだし、欧州製のEJ200搭載も想定して設計されていたので大きな問題にはならないかと。
選択の大部分を占めるコスパを無視して納期を取るのかどうかって話。F-35なら遅延有りでも27年位の予定だけど他の機種を選択した場合はそれより遅くなるしかないが、それでも他全ての機種が30年を超える事はない。
1番融通が利きそうなユーロファイターはトルコの契約前なら英国生産ラインが空いて居て早期のデリバリーが出来たけど今は無理。順番待ちをするならざっくり計算でユーロファイターを本気で作るなら各国併せて年25機以上を狙えると思うがNATOとして結束して分散して量産すれば間違いなく30年前に納入出来ると思う。
もしもの話でNATOが結束して最短納入すると言うなら英国を除く生産ラインを持つ国が自国発注済みの枠をスイスに渡せば良いだけ。
こういうの、違約金がメチャ高いんですよねえ〜。
捨て金いっぱい払ってむしろ損失が拡大してでも、手を切る覚悟を決めてないと。
一時の感情で絶縁状叩きつけるとかだと、今度は国内でそんな高額な違約金、払いたくないって絶対、揉める。
WTOや議会ガン無視で関税とかディールとか言っている人たちの約束を守る義理はないのでは。
トランプ関税対外的に美しくない状況が続いてるな
スイスの国防にGen5ファイターなんて必要なの、と思ってしまうが…
スイス空軍自体が誰とどう戦うのか具体的に定義しようがないくらい
矮小な戦力しかないし。
要するに戦闘機のようなものを持っといて安心したいというお守り
のようなものだろう。
じゃあもっと安い戦闘機でいいんじゃないかな。
その御守りというのは、「米国の最新鋭であるか」が大きな意味を持つので、
正直F-35でないのであればグリペンでもラファールでもユーロファイターでもなんでもいいんですよね。
ロシアや中国製を導入するならまた別の意味で御守りというか呪符になりますが・・・。
欧州でも単純にガチンコでの装備としての性能ばかりフォーカスされることがありますが、
アメリカ製からの脱却が何を意味するかを考えない論調も見られます。
イギリスが必死にEUとアメリカの決定的な対立を避ける動きは非常にわかりやすいですよね。
米国から自立してしまえば、ロシア側に中国やインド、場合によってはトルコなどが与する可能性も格段に増すでしょう。
スイスも根っこではイギリスと同じスタンスで、装備を欧州産で代替すりゃいいってもんじゃないとはわかってそうです。
最初から割安なグリペン買っとけば良かったものの、アホなマスコミ報道と、それに煽られた大半が軍事に無知な国民による直接投票で「金の無駄!!」などと否決したのが全ての原因。サーブが怒って提案引っ込めちゃって、しかし現用機の寿命は刻一刻と減り、高価で過剰スペックなF-35を買う羽目になった。
ホンマアホやで。本邦も気をつけなければいけない。
仰る点、F-35売るため、日米貿易の高度な政治的判断・政治的反発を引き起こさないため、過大なマーケティングだったのでしょう。
自衛隊機1機が点検遅れ(?)で晴れの舞台に間に合わず、(インドなだけでなく)イギリス海軍が日本でも緊急着陸したり、どうなるのか見守りたいと思います…
(2025年8月7日 ステルス戦闘機F35B 宮崎 新田原基地に到着 自衛隊で初配備 NHK)
(2025年8月10日 鹿児島空港に英空軍F35B戦闘機が緊急着陸 けが人なし NHK)
スイス昔は民間防衛に代表されるように国民全体の防衛意識が高くて軍事リテラシーもしっかりしていたのにどうしてこうなった…
一部の声の大きい活動家に影響されてしまった結果か…
これでも世界的に見てまともな方という
世の中の流れじゃないすかね。軍隊自体人気ないし、とりわけ海軍が人気ないんですってよ。スマホの通信できないから。若者にはきつい
よくネタにされるスイス海軍か
スイスにとっては外交力のための兵器でしょうから代替でもまあ十分でしょうが
あんまり欧州で空気読んで対米不信するのもと思うのですが…逆にたかが30年程度で一枚岩でない英仏独を抱える欧州の連帯をそんなに信用できます…?
スイスみたいな中立国こそ、欧州外の米国との連帯をある種のリスクヘッジとして維持しておくべきと思いますが…
先進国はインフレや知識産業への移行で経済規模を維持したままマンパワーを減らしていき、兵器のほうも前世紀とは比べ物にならないほど複雑高度化して単価が上昇しています。これによって、これまで政治的に独立した一等国のグループに属していた比較的小さい先進国が国防を自己完結できなくなりつつある流れが加速しているように思います。
豪州のフリゲート入札に絡んでニュージーランドの主力艦更新計画について現地のウォッチャーの発信を見てたんですが、(省力化の恩恵を上回る)人材難と調達関連費用の上昇、安全保障環境の変動に対応した需要増加を考慮するともはや旧来のレベルの自立した国防を国家が提供することは困難かもしれないという意見を目にしました。リヒテンシュタインとかモナコみたいな微小国家は昔からそうですが、それが例えばスイスやニュージーランドのような一概に小さいとも言えなかった国にも波及していくのかなと感じています。国防のモラトリアム宣言は政治的な同盟への依存であり、EUや日本がそうしているような軍事同盟ありきの国家戦略がより広い領域に波及していくのかもしれないですね。
LM T-50でもいれればいいんじゃあないですかねー
同じLMだし
我が国にちょうど輸出できるような100%国産化済の戦闘機があったらな~
と、悔しがることしかできませぬ
ところで、F-35Aがキャンセルされるなら、日本がその分を追加調達して予約枠をまわしてもらえると助かるのでは?
GCAPより遅くなりそうならいらないんですけど、2030年ぐらいまでに届くのであれば…。
いうても、スイスさん、ラファールとEFは中立国の観点からして隣国は軍事的脅威になりうるので微妙ではないのでしょうかね。
スイスにとって軍事的脅威になりえないスウェーデンのグリペンが正解だったような気がします。
普通に回すとしたら枠内前倒しででまわすだけでは?>日本
この件に関しては他の国みたいにスイス人も関税や調達費用に係るあれこれよりを議論してるけど、そこそこ『国民が直接民主主義で決めた決定を覆すのか』っていう意見があって中々に興味深かった
そういやF-35の導入は投票で決めてましたね
スイスのような国土狭い山岳国家こそ戦闘機捨てて濃密な防空ミサイル網とドローン運用でいい気がする
ウクライナみたいな平坦な土地だと高所の奪い合いだけど
山岳国家の防衛戦は常に相手より高所取れてドローン戦争におけるアドバンテージめっちゃ高そう
むしろ国土が狭くて山がちだとレーダー波が届かなくて防空ミサイルの運用も制限されますがな
GCAPを進めるにあたり英国航空機産業の延命のために、英国製タイフーン買ってくださいと言いたいところですが、
納期から運用コストを考えるとグリペンE/Fですよねと思いますが、米国製航空機の運用が続いている為インチ・ヤード制の機材が多いのだろうけどその辺りは問題ないのでしょうね。
やっぱりグリペンで良いんじゃないの?