独BILDは「バフムートの戦いを巡ってゼレンスキーとザルジニーの関係に亀裂が生じた」と報じており、ウクライナ軍関係者は「バフムートを保持するという判断を間違いではなかったものの(ゼレンスキーは)やり過ぎてしまった」と明かしている。
参考:Selenskyj streitet mit wichtigstem General!
報道が本当ならバフムートでの不満が漏れ聞こえてくるはずなので、現段階では「こういう話もある」程度に受け取って置いた方がいい
Economist紙は昨年末「ウクライナ国内での人気でザルジニー総司令官はゼレンスキー大統領を上回っており、これを警戒した大統領府はシルスキー陸軍司令官への交代を画策、この動きを西側諸国が心配している」と報じ、今年1月に大統領府顧問を辞任したアレストビッチ氏も「もう自由に喋ることができる。キーウ内部は権力闘争の真っ最中だ」と述べていたが、独BILDは「バフムートの戦いを巡ってゼレンスキーとザルジニーの関係に亀裂が生じた」と報じている。

出典:President Of Ukraine
BILDの話を要約すると以下の通りだ。
複数のキーウ政権筋は「戦術的な理由でザルジニー総司令官は数週間前からバフムートからの撤退を訴えていたが、ゼレンスキー大統領はバフムートを要塞と宣言して『抵抗のシンボル』にしてしまった」と明かし、BILDの取材に対してウクライナ政府は「バフムートから撤退しないという決断は正しかった」と主張しているらしい。

出典:Головнокомандувач ЗС України
BILDは「ゼレンスキーとザルジニーの関係は当初強固なものだったが、ザルジニー総司令官の説得力ある姿に人気が集まり過ぎて次の大統領候補に挙げられることも多く、ゼレンスキーや側近達はザルジニーをライバル視し、両者の関係は軍事的な枠を越え始めた」と指摘、ウクライナ軍関係者も総司令官に政治的な野心はなく「ロシア軍に勝利する」という純粋な目的に腐心しているだけで、この姿勢がバフムートに関する議論に繋がった唯一の要因だと述べている。
あるウクライナ人アナリストは匿名を条件に「バフムートで戦う兵士の大半は街に保持する理由を理解していない。ここを保持する戦略的な理由は?敵に囲まれているのに何故留まる必要があるのか?と自問自答している」と明かしており、BILDの記者も独自にバフムートで戦う何十人も兵士に話を聞いた結果「殆どの兵士は『もっと早くに撤退すべきだった』と考え、ザルジニー総司令官に主張に共感を示している」と指摘しているが、最も興味深いはウクライナ軍関係者の言葉だろう。

出典:Сухопутні війська ЗС України
この関係者は「当初のバフムートはロシア軍に対する罠だったが現在は我々に対する罠になっている。バフムートを保持する唯一の軍事的理由(ロシア軍に対する罠=有利なポジションで損失を強いる戦い)はそれだけで、3週間前にクラスナ・ホラを失ったところでバフムートから撤退すべきだった。バフムートを保持するという判断を間違いではなかったものの(ゼレンスキーは)やり過ぎてしまったんだ」と述べており、もはやバフムートはウクライナ軍を無駄に消耗させるだけで撤退時期を見誤ったという意味だ。
日本メディアが「ザルジニー総司令官とゼレンスキー大統領の確執」を取り上げているのかは知らないが、海外では結構取り上げる(本ブログでも昨年末に1度触れており、最近だとバイデン大統領がキーウを訪問した際、ザルジニー総司令官が出迎えの列にいなかったため海外メディアは両者の確執を怪しんでいた)ので、管理人的にはそこまで驚きはないものの「バフムートの戦いに関する決断にまで影響を及ぼしている」という話が事実なら事態は深刻だ。

出典:Оркестр Вагнера | Wagner ゼレンスキー大統領に対してバフムートからの撤退を呼びかける露ワグナーのプリゴジン氏
まぁBILDの報道が本当ならバフムートでの不満が漏れ聞こえてくるはずなので、現段階では「こういう話もある」程度に受け取って置いた方がいい。
追記:BILDの報道をウクライナメディアが報じ始めるとウクライナ大統領府は「ゼレンスキー大統領と軍司令官は防衛作戦を継続し、バフムートでの立場をさらに強化することで一致した」と発表、これを受けて海外メディアは「ウクライナの指導部はバフムート防衛を誓った」と報じている。
関連記事:ウクライナ軍総司令官、ロシア軍の動員計画は非常に上手くいっている
関連記事:ウクライナ大統領府のアレストビッチ顧問、ロシア側のエージェントと非難され辞任
※アイキャッチ画像の出典:President.gov.ua
ロシアもワグネルのプリゴジンと国防省の間に亀裂が走ってるらしいし、どこの国も敵よりも味方と戦い始めるのは様式美なのかな。
我らが日本も大戦中にさんざんやらかしましたね。
詳しい方々に言うのもなんですが
日本はコントロールセンターが無かったから
もっと無茶苦茶でしたね。
天皇陛下も終戦では権力を発揮しましたが
日本史から見たら天皇は本来そういう役割ではないですからね。
維新元勲ありきの政治体制が設計ミスだったのかも。
皇帝と将軍の不仲はローマ帝国以来の欧州伝統芸ですから
ここで撤退したら
その戦力は間違いなく北進してクレミンナで戦っているウクライナ軍を包囲しようとしてくるだろ
リマンだって再侵略される危険があった
だから引くに引けなかったんだろ
日本陸海軍は敵同士だから・・・
抵抗のシンボルをロシア軍に明け渡さないと決めたのなら、それを決めた者の支持者は最期まで戦い、運命を共にする他ないだろう。
バフムートで戦う兵士は最期まで戦う事を理解しなければならない。バハムートで最期まで戦うことは、この先ウクライナで最期まで戦う事と似ているのだから。
ゼレンスキーは間違いを認められない。最期まで戦うと言っている。理想と現実との乖離に目を向けない。最期まで戦うという強い決意と共に、支持者は運命を共にする。
西側世界はそれを支援している
何のポエムだろう?
やっぱりジオン公国・・・、じゃなかったキーウ大公国の復活だからですかね?
ウクライナに栄光あれえええええええええ~~!!
・・・何年か後には、虹色のシルスキーとか、ゼレンスキーみたいな感じのマンガが描かれるかもしれません。
これ自体が撤退するために相手を惑わすためのブラフなんじゃね???
客観的に見て「なぜ?」と思わせられるような軍隊の行動にはだいたい政治が絡むっていう…
そして大抵の場合現場の判断の方が正しく、現場は無駄な犠牲を強いられる事になる。
軍事戦略や戦術までに政治的な制約が絡むというのも古今東西で良くあることなのでしょうし、場所がキエフみたいな中枢なら特殊な政治判断というのもわかるんですけれど、
一進一退を繰り返すウクライナ東部戦線での形態で、しかも火砲火力が足りないと言いながら実質的な陣地死守の命令とは・・・正直アホですよねぇ。
結局ゼレンスキーはウクライナ軍の反転攻勢の力を信用してないんだと思う。
ハリコフやヘルソンでは成功したけどこれは露軍の警戒不足や補給の問題で引いたってのが大きい。
露軍が準備万端な防御を展開したクレミンナやザボリージャへは失敗しちゃってる。
これ以外にも反攻作戦を行おうとした?形跡は結構ある。ソレダール制圧直後に第46空挺が反撃を実施?やバフムートもひたすら受けに回ってただけでもないだろう。
って事から察するにゼレンスキーはバフムートを一度陥落させられると奪還は難しいと考えてるはずだからこそ撤退出来ない。
それに欧米の支援だっていつまで続くか分からないし。
戦略的価値が殆どないのに、両者の政治的象徴になり過ぎてお互い無駄に血を流したって感じですね…
ただバフムートはウクライナ軍が念入りに防御陣地を作っていたので、ロシア側がかなり出血したそうです。
バフムート攻略だけで11万人死傷したって話もありますし…どちらにせよ双方甚大な被害でしょうね…
前からバチバチだった内務省と国防省の対立とかならともかく、こんな個人と個人の確執って話はメディアがセンセーショナルに書いてるだけでいちいち真に受ける必要もないかなと。
ウクライナにしろロシアにしろね。
バフムートに拘り過ぎていると私も思うけど、この記事自体はまぐれ当りの可能性が否定できないというレベルの作り話だな。不利な時は、色々と悪い噂を立てられるものだ。
バフムートに関しては、現場の兵士は徹底抗戦を望み、撤退を拒んでいるというインタビューの記事もあった。その記事は直接インタビューしてあっただけに、こういう匿名の記事というのは信憑性が乏しい。
>現場の兵士は徹底抗戦を望み、撤退を拒んでいるというインタビューの記事もあった。
言わされてるだけ、と考えることも出来ないんですね、そんなにゼレンスキーが大好きなの?そもそもウクライナ軍、政府が認めてない情報を勝手に発信する事はインタビュー等を含め処罰の対象になりえます。
顔出しの時点で半分公式みたいなものですので徹底抗戦云々の方がプロパカンダでしょう、耳障りの良い情報が聞きたければ他所に行かれては?
ウクライナ不利と聞いた途端、作り話だの信憑性が乏しいなどとあまりにも短絡的で失礼です。
確かにそのインタビューの内容が言わされたものである可能性はあるが、本心である可能性もあるだろう。名無し氏は偏ってるかも知れないけど、あなたも同じぐらい偏ってるように見える。
横ですが・・・
そこまで攻撃的にレスするような事書かれてますかね?
管理人氏も現段階では「こういう話もある」程度に受け取って置いた方がいい。と記載していますし
それほどまで批判するようなレスにも見えないんですが・・・
みんな自分だけは偏ってないと思ってるな
>「こういう話もある」程度に受け取って置いた方がいい。
こう言う前提の話なのに、元コメは作り話だの僕が聞いた話の方が信ぴょう性高いだの言っちゃう時点でなぁ、顔真っ赤までは行かないけど感情が出てて気持ち悪い、過剰反応しすぎだろ。
どっちも信用ならんしこういう事もある、無論ロシアにもな
老婆心ながら…
あなたも顔真っ赤とか気持ち悪いとか強い言葉を使わない方がいい。この元コメについてるレスは相手の無自覚な偏りを批判しつつ自分は偏ってないと言わんばかりに悉くブーメランを投げているように見える。元コメ主含めそんなつもりはないのは百も承知だけど外野からはそう見えてしまうんだ。
いや私もそう言いつつ反省すべき、というかそもそもこういうのって反応してはいけないのだろうが、見るに堪えないので余計なお節介をば一つ…
ロシア軍の能力低下により、もはや国家存亡の危機ではなくなりましたからね。
キーウへの再攻勢も現実的ではなく、現状はウクライナ戦争というよりウクライナ東部戦争となりつつあります。
キーウ内部で争う余裕も生まれるのだと思います。
まだロシアには近代〜最新航空機を投入していないのと、無差別な爆撃(これをやるともう併合無理、西側本格介入の可能性増す)もしてません。
国を潰したいわけではないんですよね、元々。
ガスやパイプライン、経済支援で優遇してきた旧CISが西側にくだる流れを止めたくて、国威を示したかったんだと思います。
それが、ゼレンスキー政権はガス代は相変わらず払わないどころか、
NATO加盟の話などが出てきてまさにキレてしまった。
これまでもヤヌコヴィッチなどが政権取れることもありましたし、
武力行使にしてもクリミアの時と同じようにいけると思ったのでしょう。
さっさとキーウに停戦申し入れさせて、東部のロシア影響力拡大、現政権の交代。
キーウはもう諦め、最低東部二州の完全併合を認めさせるか、最大限譲歩して独立国化なんでしょうね。
誰も受け入れなさそうなので、ロシアがガス代債務全部帳消しにして、引き続きパイプライン代払いますってくらいしか落とし所なさそう。ウクライナからしたら割に合わないですが、大国相手に甘えがあったのも事実。
中国の資本受け入れなんかもそうですが、下心なしに支援してくれる国なんてほとんどないのです・・・
政治しか考えない政治家
軍事戦略しか考えない軍人
どっちも正解で、どっちも間違い
そして苦しむのは軍人で、国民
関係性だけ見るとスターリンとトハチェフスキーみたいで嫌な感じだ。まあ、ゼレっち自体について言うならスターリンとは全然違うけどさ。
昔の歴史群像で、ヒトラーの
「確地戦略」
の特集記事がありましたが、バフムトの死守命令はむしろそれを思い起こさせます。
1944年3月8日付の総統命令第11号、
「≪確地≫はかつての要塞と同じ役割をはたすものとす。その任務は敵の当該戦略要衝占領を防止することにあり。包囲させることにより可及的多数の敵をひきよせ、それによって反攻の基礎を築くべし」
というような命令で、まさに今のゼレンスキーの大統領命令に非常に似ています。
他にもモスクワ攻防戦でのグデーリアンの解任とか、スターリングラードで救出作戦を指揮したマンシュタインの退却要請が無視され、パウルス元帥とシュミット第6軍参謀長が、退却をしなかった、というのにも似ています。象徴云々というのもそうです。スボボダ大隊の隊旗も似ています。
難しいよね。「政治家と軍人」「会議室と現場」みたいな簡単な話ではないと思う。
戦争で言えば、軍事の専門家ではないものの、どう考えても当時は狂気の沙汰の戦争継続を選び、変人政治家の類から偉人となったチャーチル。
一方で、老いたとは言え軍事の専門家であるが故に、どう考えても当時はまっとうな判断だった休戦協定を選び、結果的に先の大戦での名誉をも奪われたペタン。
どっちが正しいか?そんなん、究極的には結果論にならないとわからんやん…と思う。ちなみに俺ならハリファックスと同じ答えを出しただろうと思う。
他にも冬戦争だって、そもそもフィンランドの大統領だったカヤンデルがマンネルヘイムの言う事を聞いてれば、交渉でソ連に譲歩して終わりだったわけで。(そしたら縦深を失ったフィンランド軍はどこでどう守るつもりだったんだろうね?)
「目前の問題に対する理性的な判断」が、マクロでは合成の誤謬や部分最適化になる事も十分にあり得ると思うし、何とも難しいと思うんだよ、本当に。
同意。
バフムートを固守するならするで、ロシアにも出血を強いてるから悪くは無い。
ただしそれも頭がしっかりと動いていればこそ。
劣勢の戦時下での権力闘争ほど滑稽で無意味な物はないと気付いて欲しいな。
バフムトの戦略価値も短期なら無価値だが、ロシア軍が半年とか長期視点でみると川はおさえられて、鉄道補給線つくれるから、ロシア軍がかなり有利になるですよね。
バフムトが長期的にも無価値になるのがウクライナ軍がクレミンナ奪えた場合だから、ウクライナ軍がクレミンナ奪える可能性は元から余り高くなかったのでバフムト防衛した感じですかね。
この権力闘争話は、敵対しているロシアが情報流したり、メディアに話つくり話して金もらう人がいる時点で、余り信用出来ないというか、直ぐには検証できない。三十年後ぐらいに、詳細わかったりするだろうな。
ロシア側の世論工作もあるでしょうし、実際どうだったかは、終戦後にそれぞれの手記でも出てこないと分からないでしょうね
この戦争は、欧米の支援の限界と、ウクライナ、ロシア共にの戦争疲れが限界まで来たところで停戦か終戦かもしれないですね…。
フィンランドみたいに国土の一部を割譲で、結局は落とし所になるような気がする…。
ウクライナ、ロシア共に、それまでにどれだけ領土を奪還、もしくは占領できるか、なんでしょうね……。
また、ロシア軍にも向こう10年はまともな戦争ができないくらいには打撃を与えておかないと、すぐに再戦になるかもしれないですからね…。
その条件で停戦となると中国は台湾を侵攻するでしょうね。
武力での現状変更が達成できる訳ですから。
今回で軍事同盟を締結していない国家に対しての国際的な支援は時間がかかる、最初から強力な兵器は提供されないなどが判明しました。
中国はこれに学んで最初から最大戦力で一気に侵攻して占領してしまえば、上陸作戦をしてまで台湾奪還をする国家は無く、1国2制度適用程度の条件での交渉で停戦できると判断すると思います。
素人様の実質的死守命令とは総統閣下・・・
セベロドネツク、リシチャンシクから撤退した時もギリギリまで似たようなことを言ってたので今回も同様でしょう。
ロシア軍を削る橋頭堡としてこれまで重宝したにしても、バフムートは砲撃を受けすぎて既に都市機能を喪失するほどボロボロなのでこれ以上の抗戦は被害の方が大きい。
正直2月中に落ちると思っていたので、かなり粘ったというかそれだけロシア軍の攻撃力も低下しているのだと思います。
純軍事的に言えば、バフムートで無駄遣いされていたあれだけの戦力があるならスバトボクレミンナ方面に持っていってオスキル川以東の再制圧に来られた方がウクライナ軍としては余程痛かったはずなんですが。何であんなに固執したのか本当に不思議です。
色々言われているように、やはり正規軍とワグナーの権力闘争の結果がこれなんでしょうかね。
バクムトはもうずっとウクライナの方が被害甚大ですよ
ソースありますか ?
あるならぜひとも知りたい。
NATOの分析では損害比5:1でウクライナ軍の優勢ですよ
他の誰がそのような分析をしているのかは分かりませんがあまり適当な事は言わない方が・・・
そもそもバフムートで戦っていたのはワグナーとドネツク人民共和国兵だけだったでしょ
DNRの目的はドネツク州=領土開放なのでハルキウやヘルソンには興味がない
ワグナーは2014年にドネツク人民共和国に雇用された形なのでそれ以外は仕事ではない
バフムート以外はロシア兵が配置されてるので、春になって準備万端になるまで動かしたくなかったというのもある
消去法で冬や泥濘期に軍を動かさず、捨て駒のワグナーに戦わせ続けてウクライナの正規兵を消耗させるのは妥当
スバトボクレミンナと違って要塞だからな
逆にスバトボクレミンナは装甲車と正規兵を有効活用できる
ワグナーは基本歩兵
バフムート戦線は昨年末の段階ではワグネルが中心でしたが
今年に入ってからはロシア空挺軍が参戦してます