欧州関連

海外からの受注が集中する仏製戦闘機、クロアチア空軍も次期戦闘機にラファールを選択

クロアチア空軍はMiG-21の後継機としてラファールを選択したと報じられており、この契約が成立すればフランスは1年で60機分のラファール受注(ギリシャ18機/エジプト30機/クロアチア12機)を獲得したことになる。

参考:Hrvatska kupuje francuske borbene avione Rafale, evo koliko će koštati

グリペンC/DやF-16Vを破ってクロアチア空軍の次期戦闘機需要を勝ち取ったフランスのラファール

クロアチアは空軍の旧ソ連製戦闘機「MiG-21bisD/UMD」8機を更新するため、イスラエル空軍から中古のF-16を12機導入しようとしたが米国の承認を受けられなかったため後継機調達計画が頓挫したが、昨年9月に再び次期戦闘機の入札を実施した。

出典:Lipnopower / CC BY-SA 3.0 クロアチア空軍のMiG-21UMD

この入札に参加を予定していた国はスウェーデン、米国、フランス、イタリア、イスラエル、ギリシャ、ノルウェーの7ヶ国で当日に入札に応じたと発表したのはスウェーデンのみと情報が少なく、残りの国が入札に参加したのか謎だったのだが現地メディアによれば入札に応じた国はスウェーデン、米国、フランス、イスラエルのみで中古のF-16を提案する予定だったノルウェーは入札基準を満たせなかったため撤退、同じく中古のF-16を提案する予定だったギリシャと中古のタイフーンを提案する予定だったイタリアも入札に応じなかったらしい。

そのためクロアチア空軍の次期戦闘機調達を巡って激突するのは新規製造のグリペンC/Dを提案したスウェーデン、新規製造のF-16Vを提案した米国、中古のラファールを提案したフランス、中古のF-16を提案したイスラエルで管理人はクロアチアの年間国防予算(2020年実績で約9.5億ドル/約1,030億円)を考慮するとグリペンC/Dが最も有力な導入候補ではないかと予想していたが、クロアチア空軍が次期戦闘機としてラファールを選択したという報じられている。

出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Alexander Cook AtlanticTrident21に参加中のラファール

クロアチアメディアによれば政府はフランスの提案を受け入れ中古のラファールを12機導入することを決定したらしい。

フランスがクロアチアに提案したラファールは製造から10年が経過した機体だが最新のF3R仕様機(フランス軍向けにはF4へのアップグレードが開始されている)で関連費用を含むパッケージ全体の取引額は10億ユーロ弱/1,330億円弱だと報じており、これが事実ならフランスが提案したラファールの導入コストは10年落ちとはいえ1機あたり110億円(関連費用を含むF-16Vの導入コストは200億円前後:ブルガリア契約)なので相当お買い得だ。

因みにフランスとの契約交渉はこれから始まる予定で年内に契約が成立した場合、2024年と2025年に6機づつラファールがクロアチア空軍に引き渡されるとクロアチアメディアが説明している。

関連記事:クロアチアの次期戦闘機を巡ってスウェーデン、米国、フランス、イスラエルが激突
関連記事:ラファール導入契約を結んだギリシャ、国防相がF-35導入を明言
関連記事:フランスとの関係強化に動くエジプト、ラファール30機を37.5億ユーロで追加導入

告知:軍事関係や安全保障に関するニュースが急増して記事化できないものはTwitterの方で情報を発信します。興味のある方は@grandfleet_infoをフォローしてチェックしてみてください。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Alexander Cook AtlanticTrident21に参加中のラファール

自動空中給油システムの開発が完了したA330MRTT、欠陥の修正に忙しいKC-46A前のページ

UAVがすり抜けるの時間も問題? イラン製UAVによる厳しいテストに晒されたアイアンドーム次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    英国、主力戦車のアップグレード「チャレンジャー3」を1,210億円で発注

    英国防省は7日、BAEシステムズとラインメタルが共同で設立した装甲車輌…

  2. 欧州関連

    西側標準の地位を手に入れたイスラエル、米独に続き英国も主力戦車のAPSに「トロフィー」を選択

    英国防省は24日、アップグレードされた主力戦車「チャレンジャー3」に搭…

  3. 欧州関連

    スウェーデンとオランダが潜水艦輸出で協力、カナダ海軍にC-71を提案

    韓国と英国は「グローバル市場の潜水艦受注やポーランドやカナダの入札で協…

  4. 欧州関連

    休息中のウクライナ軍指揮官、自分たち戻れば失った領土を必ず取り戻せる

    クレナンミ南西の森林地帯から帰還したウクライナ軍部隊の指揮官は「領土を…

  5. 欧州関連

    エアバスがA400Mの正式受注をカザフスタンから獲得、累計受注数は176機に到達

    エアバスは1日、カザフスタンから2機のA400Mを正式に受注したと発表…

  6. 欧州関連

    ギリシャ、フランスから戦闘機「ラファール」18機調達を正式に発表

    ギリシャのミツォタキス首相は12日夕方、フランスから戦闘機ラファールを…

コメント

    • 匿名
    • 2021年 5月 21日

    第4.5世代は米露以外だと中か仏かって市場になってきたな

    16
      • 匿名
      • 2021年 5月 21日

      昔からそんな感じだと思うが

      4
      • 匿名
      • 2021年 5月 21日

      むしろ米露中仏以外に何かあったっけ

      8
        • 匿名
        • 2021年 5月 21日

        スウェーデン?

        5
        • 匿名
        • 2021年 5月 21日

        ブリかす

        • 匿名
        • 2021年 5月 22日

        欧の押し売りがどんどん通用しなくなって、
        代わりに仏が苦境を脱した感じかね。

    • 匿名
    • 2021年 5月 21日

    整備支援と予備部品と武装とサポート込みで110億円は中々安いな
    しかしフランスはギリシャにも同じように中古で早期引き渡し契約してたけどラファールは年産何機なんだろ

    ここ一年だけで24機の中古契約が入ったわけだが戦力的にも大丈夫なのか?

    13
      • 匿名
      • 2021年 5月 21日

      本国に侵攻する勢力は無いし、影響力を行使できる戦力は残してあるから問題ないって判断だろう。
      敵対国と現在進行形で争ってる国には出来ない芸当よ。

      20
      • 匿名
      • 2021年 5月 21日

      新造ラファールで埋める算段もついているからだろうね。

      4
        • 匿名
        • 2021年 5月 21日

        >新造ラファールで埋める算段

        FCASまでの時間を長めに考えるのにも都合が良いね

        5
    • 匿名
    • 2021年 5月 21日

    対地対空対艦一通りこなせるしこれだけお買い得なら選択肢としてありだな

    2
      • 匿名
      • 2021年 5月 21日

      ステルスの必要性が低めで、あとミサイルなど米国製の装備に拘らないのなら、良い機体だよね。

      8
        • 匿名
        • 2021年 5月 22日

        ミーティアも統合できたから、視程外空対空ミサイルの射程不利も解消したしね

        6
    • 匿名
    • 2021年 5月 21日

    やはり機体だけではなく装備品までトータルで提案できる国は強いですね。

    24
    • 匿名
    • 2021年 5月 21日

    バイデン民主党が続いてる間は
    フランス防衛産業のボーナスステージになったりして

    22
    • 匿名
    • 2021年 5月 21日

    F-16が高騰した結果フランスが棚ぼただな
    そのうちなんだかんだとユーロファイターの中古もあちこちで飛ぶようになる予感

    7
      • 匿名
      • 2021年 5月 22日

      運用コストの高さがネックかもね
      オーストリアのトランシュ1で知れ渡ったけど・・・

      4
    • 匿名
    • 2021年 5月 21日

    それにしても本当に綺麗な飛行機だ…

    空中給油のプローブ以外は

    14
      • 匿名
      • 2021年 5月 21日

      ラファールの給油プローブだけど、あれでもタイフーンの物よりはシンプルなデザインだよ
      因みにタイフーンは機種右側に格納式で設置されているんだが、そこの部分がミミズ腫れの様な形状になっていて見苦しいの何のってw

      3
        • 匿名
        • 2021年 5月 21日

        必死過ぎて草

        個人的にはラファールの給油プローブ好きだけどな
        格納できるなら性能的にその方が良さそうだけど

        2
          • 匿名
          • 2021年 5月 21日

          見掛けなら、F-16とかの方式が良い。

          • 匿名
          • 2021年 5月 22日

          別にラファールの給油プローブに関しては必死で書いて無いぞ…因みにイカロス出版のラファール本(世界の名機シリーズ)によると、ラファールの固定式給油プローブは空気抵抗と視界の面で格納式よりも不利だが燃料移送量を増やして空中給油時間を短縮する為に採用したそうだ
          更にこの給油プローブ、意外にもRCSの増大にはあまり影響しないとの事

          2
            • 匿名
            • 2021年 5月 22日

            意外にも、っつーか見るからにRCS気にした造りでは。
            もちろんこれがF-35の鼻先に飛び出してたら大変だが、
            4.5世代機のRCSであれば誤差の範囲なんだろ。

            3
      • 匿名
      • 2021年 5月 21日

      ヨーロッパはプローブアンドドローグ好きですよね

        • 匿名
        • 2021年 5月 22日

        というかフライングブーム式が米空軍系特化仕様。
        他は基本プローブアンドドローグ

        大型機への給油需要が少ないし、コストも安いので

        2
    • 匿名
    • 2021年 5月 21日

    これみんなが中古のF-16持ち寄ったらライセンス権持ったアメリカがガチギレしてほとんど脱落した入札か
    もう今は戦闘機は買うもんじゃなくて買わせていただくものになっちまった

    6
      • 匿名
      • 2021年 5月 22日

      いや、意外とダークホースが、増えるかも

      1
    • 匿名
    • 2021年 5月 21日

    ラファール、最近は結構ガンばってるよね
    F2仕様機をアップデートするより新造して取り換えてお古はうっぱらった方がコスパが良いのだろうか。

    14
      • 匿名
      • 2021年 5月 21日

      「中古だからお安くしまっせ」で導入国を増やして、武装やサポートで稼ぎ、他の武器輸出への窓口も作るという戦略が一気に回ってきた感じだな
      自国としても、新しい機体の方が何かと良いし(FCASが遅延しても、機体寿命に余裕が出来るし)、生産ラインも維持できるしな

      18
      • 匿名
      • 2021年 5月 21日

      使い古しなのを下取りして新品購入
      庶民的だね

      2
      • 匿名
      • 2021年 5月 22日

      中古なら新造するよりは早く納入できるし、安くすむ。
      製造元は新しく作れるし、顧客が増える。
      取り敢えずはいい事じゃないか。

      8
    • 匿名
    • 2021年 5月 21日

    MiG-21なんて維持費クッソ安いから、そこらの戦闘機じゃよっぽど安くしないとダメだろうなぁ

    3
      • 匿名
      • 2021年 5月 22日

      まぁ旧ソ連系の機体なので中華製のものとは互換性がないから、
      パーツの供給不足なのかもしれないですね。>MiG-21bis

      双発になった上に21C仕様の電装系と運用経費がお高くなる要素が
      てんこ盛りなので稼働率は期待できないですね。

      3
    • 匿名
    • 2021年 5月 21日

    MiG21からラファールって、誰かパソコン(CPU)かモビルスーツで例えてくれ

    2
      • 匿名
      • 2021年 5月 21日

      モビルスーツに例えて言うなら、旧ザク(MS-05)から一気にギラ・ドーガへ機種転換した様な物かな

      7
        • 匿名
        • 2021年 5月 21日

        一応MiG21も2000年ごろに近代化改修されてるやつだから、ビームライフル装備旧ザクくらいになってそう

        5
          • 匿名
          • 2021年 5月 22日

          U.Cで、狙撃してた奴かな。

          1
        • 匿名
        • 2021年 5月 22日

        MiG-21は完全に戦闘機として開発され始めてから代重ねてるんで
        何気にグフ辺りだと思う。

        1
      • 匿名
      • 2021年 5月 21日

      Sandyが5900xになるくらいだろうか

      1
      • 匿名
      • 2021年 5月 21日

      無人機やドローンがモビルスーツなら
      自衛隊大ピンチだね

      2
        • 匿名
        • 2021年 5月 21日

        パワードスーツの開発はしてるけど

        2
      • 匿名
      • 2021年 5月 22日

      CPUで例えると
      元々i8086で組まれていたPCがフルリファインされてi486sx仕様になった物にK6へ載せ替えたPCを

      i5-3000系搭載中古PC(リビルド済み)に買い替えた感じかな?

    • 匿名
    • 2021年 5月 21日

    なんでクロアチアはイスラエルからF-16売ってもらえなかったんだ?
    (アメリカが差し止めた理由がわからん)

    2
      • A
      • 2021年 5月 21日

      アメリカに言わせりゃ「ウチから直接買え」って感じかなと。
      しかもより高いF-16Vを。

      8
        • 匿名
        • 2021年 5月 21日

        もうちょい相手の財布を考慮しろ、と言いたくなるね。

        11
          • 匿名
          • 2021年 5月 22日

          軍の総予算が1000億円じゃねぇ・・・。
          グリペンですら新品じゃ買えないのは納得の御財布事情。

          6
          • 匿名
          • 2021年 5月 22日

          まあ、そんな態度ばっかしてると他国に軍事兵器を買ってもらえなくなるなって……

          8
      • 匿名
      • 2021年 5月 22日

      実はイスラエルがクロアチアに売ろうとしたF-16は、イスラエルがSEAD用に魔改造した「F-16Dブラキート(胴体上部にドーザルスパインがあるのが特徴)」なので、搭載の電子戦機器がイスラエル製とは言えども機密度の高いSEAD関連の情報が漏れるのを米国側が恐れた可能性はある

      9
        • 匿名
        • 2021年 5月 22日

        そんなの売るなよ、と聞いてて思った

        10
          • 匿名
          • 2021年 5月 22日

          イスラエルは、クロアチアにロシアの防空網を叩かせる気だったのか!

          4
        • 匿名
        • 2021年 5月 22日

        どこ情報?

    • 匿名
    • 2021年 5月 22日

    ユーロ建て決済したかったんでしょ。ドイツの保護国みたいなもんだから。

    1
    • 匿名
    • 2021年 5月 22日

    先週朝鮮日報が「6カ国で計325機のラファールを導入する交渉が進んでいる、とニュースチャンネル「BFM」は報じた」と引用してて

    インド   :110(36機とは別)
    フィンランド:64
    UAE    :63
    スイス   :40
    インドネシア:36
    クロアチア :12

    と載ってたのは眉につば付けて読んでたが、いきなりクロアチア的中。低予算なのでラファールはないと思ってた。インドは110機かはともかく追加はありそう。

    3
    • Breaking Defenseによると、エジプトは今回追加した30機のF3Rに加え、更に18〜46機のF4仕様を追加しラファール72〜100機を保有する意向とのこと。

      エジプトのF3Rは米国・ロシア・欧州製の航空機とデータリンク可能に改良され、衛星と地上の指揮管制センター経由でMig-29、Su-35と情報共有可能。

      「アメリカにF-35の導入を断られた2019年以降、エジプトは第5世代機に近い技術水準の戦闘機を探してきた。空軍は開発計画も必要としており、既存のF-16を改良する動きが米国に無いため、ラファールで埋め合せることになる」

      ここのサイトの過去記事でもインドにはラファールは現実的に入手可能なステルス機と映るとあったように、第5世代機(F-35)を入手できない国にとってそれに最も近い準5世代機(4.75世代機?)としてラファールが選択されているらしい。競合機に無い優位性なので、今後さらに売れそう。

      1
    • 匿名
    • 2021年 5月 22日

    他国にお下がり販売して自国は新造とか理想的

    2
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  2. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  3. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  4. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  5. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
PAGE TOP