デンマーク国防省は10日「F-35Aを16機追加調達する」「さらにCCAも複数調達する」と発表し、まだ正式契約には至っていないもののF-35Aに対する新しい需要は久々で、Lockheed Martinの航空部門にとってもポジティブなニュースだ。
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デンマークは第5世代機の代替品が存在しないため、F-35Aの追加取得に踏み切ったのだろう
デンマークはグリーンランド問題に関連して「米国は信頼できるパートナーではない」という認識が急速に広まり、ラスムス・ヤルロフ国防委員長も「デンマークのF-35A購入決定に関与した1人として私は後悔している」と発言して注目を集めたことがある。
I dont know if there is a kill switch in the F35’s or not. We obviously can not take your word for it.
As one of the decision makers behind Denmark’s purchase of F35’s, I regret it.
The USA can certainly disable the planes by simple stopping the supply of spare parts. They… https://t.co/rDucWMUXDz
— Rasmus Jarlov (@RasmusJarlov) March 19, 2025
“F-35にキルスイッチがあるかどうかは知らないが、これを否定するLockheed Martinの言葉も信じることができない。デンマークのF-35A購入決定に関与した1人として私は後悔している。米国はスペアパーツの供給を止めるだけで間違いなくF-35Aを無力化できる。彼らはロシアを強化し欧州を弱体化させたいと考えており、そのためならカナダのような平和的で忠実な同盟国に多大な損害を与えることも厭わない”
“米国はデンマークにグリーンランドを要求し、これを拒否すれば「米国製システムを使用できなくしてロシアに攻撃させる」と脅してくる状況は容易に想像できる。従って「米国製システムの購入」は安全保障上のリスクでしかない。我々は今後数年間、戦闘機、防空、大砲などの武器システムに莫大な投資を行うことになるが、その中で可能な限り米国製システムを避けなければならない。同盟国や友好国も我々と同じことを行うよう勧める”

出典:MBDA
デンマーク国防省も検討していた長距離防空システムに欧州製のSAMP/Tを選択、ポールセン国防相もSAMP/Tを選択した理由について「米国を拒否したのではなくデンマークにとって最善の解決策を選択しただけ」「政治的理由ではなく運用面、経済面、戦略面の総合的な評価に基づいて選定した結果である」と強調したが、Defense Newsは「トランプ政権が欧州からの米軍撤退をチラつかせ、NATO加盟国のデンマークやカナダを脅迫したため米防衛産業に依存するリスクが高まっている」「デンマークはパトリオットシステムではなく欧州製の代替品=SAMP/Tを選択した」と評価。
デンマークも「米防衛産業と完全に手を切るのは現実的に不可能だ」と理解しており、SAMP/Tを選択したことは「可能な範囲で依存リスクを引き下げる」という意味だと思われ、デンマーク国防省は10日「F-35Aを16機追加調達する」「さらにCCAも複数調達する」と発表し、Breaking Defenseも「デンマークは274億デンマーク・クローネ(約42億ドル)を投じてF-35Aを16機追加調達する」「今回の追加調達には複数のCCAも含まれる」「デンマークはCCAについて作戦上の課題解決に大きく貢献すると説明した」と報じた。

出典:U.S. Air Force
つまりデンマークは第5世代機の代替品が存在しないため「F-35Aの追加取得に踏み切った」という意味で、まだ正式契約に至っていないもののF-35Aに対する新しい需要は久々で、Lockheed Martinの航空部門にとってもポジティブなニュースだ。
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※アイキャッチ画像の出典:Forsvarsministeriet





















代わりがあったらF-35Aは選んで無いのか…
でもF-35Aの代わりになりそうな戦闘機なんて10年は出そうにないけど
何と言いますか、「これもまた現実」という感じがひしひしと
まあアメリカ(というか大統領)の発言はアレですけど、欧米が胸を張って「我々に非はない」って言えるかと言われたら全然そんな事ないので…
> “米国はデンマークにグリーンランドを要求し、これを拒否すれば「米国製システムを使用できなくしてロシアに攻撃させる」と脅してくる状況は容易に想像できる。
冷戦期なら、アメリカ大統領が同盟国を「ソ連に攻撃させる」と公然と脅すことは夢にも考えられず、今がいかに複雑怪奇な時代か実感させられますね…。