Diehl Defenceはウクライナとロシアの戦争で高い評価を獲得し、20以上の国に採用されているIRIS-Tについて「BlockIIの開発・量産に関する契約を締結した」と発表、IRIS-Tは欧州スカイシールド・イニシアチブにも採用が見込まれているためBlockIIの将来性も非常に明るい。
参考:Contract for the further development of IRIS-T Block II signed
IRIS-Tを流用もしくはベースにしたプログラムは非常に広範囲だ
ドイツ、イタリア、スペイン、スウェーデンが開発に参加したIRIS-TはAIM-9の後継として13ヶ国、地上発射型を含めると20ヶ国以上が採用し、これまで5,000発以上が生産されてウクライナとロシアの戦争でも高い評価を獲得している対空ミサイルで、Diehl Defenceは30日「このコンソーシアムを代表してドイツ連邦軍装備情報技術運用庁とIRIS-T BlockIIの開発・量産に関する契約を締結した」「この契約はIRIS-Tの将来にとって重要なマイルストーンになるだろう」と発表した。
Diehl DefenceはBlockIIで実現する能力(次世代シーカーと新しいデータリンクが組み込まれるらしい)について詳しく述べていないが、IRIS-Tを運用するプラットフォームはタイフーン、グリペン、F-16AM、トーネード、EF-18、KF-21、一部のF-5Eと多く、地上発射型のIRIS-T SLS/SLMも採用国が急増しており、ドイツが主導する欧州スカイシールド・イニシアチブ=European Sky Shield Initiative(ESSI)にも中距離をカバーするIRIS-T SLMの採用が見込まれ、この構想には21の欧州諸国が参加を決めているためBlockIIの将来性は非常に明るいと言えるだろう。
因みにIRIS-Tには運用範囲を80kmまで拡張したIRIS-T SLX、極超音速ミサイルの迎撃に対応したIRIS-T HYDEF、第6世代向けのIRIS-T FCAAM、地上目標の攻撃に対応した空対地バージョン、Mk.41VLSに統合された艦艇発射バージョン、潜航中の潜水艦から空中・水上目標を攻撃できるバージョンの開発も進められており、空対地バージョンはノルウェー空軍にテストされ、艦艇発射バージョンはF125に統合される可能性が、潜水艦発射バージョン=IDASはドイツ海軍が今年1月に正式発注している。
IDASは212Aではなく調達が始まった212CDで運用される予定で、これを共同調達するノルウェーもIDASを購入する可能性があり、IRIS-Tを流用もしくはベースにしたプログラムは非常に広範囲だ。
因みにインドの潜水艦調達に唯一の候補として名前が挙がっているドイツは214NGもしくは214Iを提案していると報じられており、外観はアクティブソナーによる探知を軽減させる212CDの技術=ダイヤモンド形状を取りれたものになるらしい。
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※アイキャッチ画像の出典:Diehl Defence
Battle-Provenというのはセールス的に美味しいんですなあ(ゲス顔)。
イラク戦争のロシア戦車みたいな逆効果もありますが。
やはり実戦証明…!実戦証明は全てを解決する…!!
ただ、「一方的な状況でなく、かつ両軍が航空戦力の接近拒否を成立させた状態」が他の地域で起こるのかはちょっと疑問ですが
IRIS-Tってそんな活躍してたんだ
S-300とかはよく聞くけど
2005年開発だからそろそろ後継モデル作っておくのは自然なような…