オランダは防衛白書の中で「戦車大隊の再導入」「F-35Aの追加取得」「対潜用フリゲート艦とNH90の調達」に言及して注目を集めたばかりだが、今度はフリゲート艦の追加弾薬庫として機能するプラットフォームを購入すると明かし、イスラエル製のBARAK-ERやHaropを統合するらしい。
参考:Dutch Navy to buy armed sidekick ships for its air-defense frigates
完全な無人艦取得へのファーストステップになる支援艦
オランダはGDP比1.0%前半台の国防予算を2022年に129億ユーロ、2023年に154億ユーロ、2024年に214億ユーロ(GDP比1.95%)に引き上げたが、オンノ・アイヘルスハイム国防長官は「我が国が置かれた現状を考えると現在の予算では全くたりない」「例え国防支出が2.0%に達しても我々は選択を迫られる」「ロシアは侵攻初期の損失から迅速に回復して戦力を増強しているが、我々はそこに至っておらず、手持ちの軍事資産の殆どが十分ではない」と指摘。
今月5日に発表された防衛白書の中で「戦車大隊の再導入」「F-35Aの追加取得」「対潜用フリゲート艦とNH90の調達」に言及して注目を集めたが、今度はフリゲート艦に追加の対空ミサイルや対艦ミサイルを提供するプラットフォームを購入すると明かし、DefenseNewsも「オランダ海軍がフリゲート艦のための支援艦を購入する」と報じている。
この支援艦の大きさは全長53m、全幅9.8m、排水量550トンで、船体中央から後部にかけて広大な貨物スペースを備え、コンテナ化されたイスラエル製のBARAK-ER、Harop、EWシステム、UUVを搭載するものの、これらの兵器を運用するためのセンサーや射撃管制システムは搭載しておらず、支援艦はフリゲート艦の追加弾薬庫として機能するらしい。
トゥインマン国防長官はBARAK-ERを選択した理由について「フリゲート艦で使用しているバージョンのSM-2は生産が中止され、後継のSM-2 BlockIIICUは使用中の射撃管制システムと互換性がない」「MBDAのASTERも検討したがコンテナ化に対応していない」「RafaelのStunner(David’s Slingで使用する迎撃弾のこと)も我々の要求要件を完全に満たしていなかった」と述べ、イスラエル航空宇宙産業はアゼルバイジャン、インド、モロッコ、スロバキアに続きBARAKシリーズの輸出契約を、NATO加盟国から2ヶ国目となる運用国を確保することに成功した格好だ。
因みにトゥインマン国防長官は支援艦の必要性について「対艦ミサイルやドローンによる大規模かつ同時攻撃に対応するには運搬するミサイルの量を増やさなければならない」と言及しており、コンセプト自体は米海軍が調達を予定している自律的運用が可能な無人艦と良く似ているものの、この支援艦は8名で運用する省力化された有人艦で「完全な無人艦取得へのファーストステップになる」と述べている。
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※アイキャッチ画像の出典:Gijs Tuinman
形を変えたアーセナルシップ構想ですかね?
既存の設備を最大限有効活用する為にBARAK-ERを導入するのは分かるけど迫り来る対艦ミサイルやドローン対策と言うなら大型で長射程のミサイル選択はどうなんだろうか?
防空システムを搭載してませんから、敵の攻撃の届かないかなり後方に配置する必要があります。
とすると、必然的に大型長射程ミサイルを積むしかないと思います。
でもその分、前方に展開する戦闘艦には小型兵器を沢山詰めるから良いんじゃないですかね。
電子戦対策でアナログな光通信が届く距離に居なきゃいけないだろうから、離れられても数百メートルくらいじゃないか。撃った瞬間に水平線先に消えてては誘導なんてできないだろうし。
ひきつけて迎撃する前提だと、艦の同時対処能力を少しでも超えた瞬間に防空網を突破されてしまいます
だから長射程のミサイルで敵を遠くにいるうちに削っておかなければなりません
安価な対艦ドローンはシースキミング能力が低いため遠くからでもよく見えます
これらを遠方で早期に迎撃しておき、シースキミング能力の高い高級ミサイルの襲来に備えるわけです
ドローンとはいいましても、艦艇に痛打を与えるに足る弾頭を持ち、また回避運動をする艦艇を追尾できるだけの誘導性能を持てば、シャヘドのように格安で作るというわけにもいかないでしょう
アーセナル・シップは500セルのVLS搭載(タイコンデロガ級の4倍)を想定していたので、圧倒的に小型な分、安く作れる見込み=数量でカバーなのかもしれません。
ただ、コンテナ式武器システムと言えども何かしらのインターフェイス、制御システムは必要になるので、火器管制を行うフリゲート側も含めて開発苦労しそうな気もします。
ハードウェアだけでなくソフトウェア開発も比重が高いのは現代兵器の特徴ではありますが、複雑さを増していく中で「できるだけ早く数を作れる」に転換できる仕組み作りは重要だと思います。
俺もそう思った。
海上で武装の積み替えが厳しいのなら、センサー類は母艦の使って弾だけは隣の船から撃っちゃおうって考えなんですね。ランチャーだけ積んだ船。
巡洋艦2隻造るよりは遥かに安いし、何なら発射地点バレ考えて先にそっちからミサイル撃つのもアリなのかも。
こんな尖った性能の艦は普通だと使い辛いし、安くあげたいからってダメコン最低限で高度な個艦防御も考えないみたいなコンセプトだとあらゆる状況下においてペア艦がいなければ完全な性能もままならない。
人的損失は最低限か無しになるにしても搭載兵器を考えると防御兵器に金かける必要はあると思うしそうなると取得コストやランニングコストに跳ね返ってくるから、どうなるんだろうな。
結局レーダー誘導が必要なら違う艦が発射しようが位置の隠匿の意味無いと思うけど?
こうゆう艦とか船って無人化(省人化?)とかしやすいのかな?
ダメコンとか考えなければ
GFFFでGMⅡ、Ⅲ組換でGディフェンサーセットなら、幾らでも買ってしまう。
母艦以外の支援艦を完全無人化・ランチャー化するというのは、地上の対空兵器の思想をそのまま海上に持ち込んだような話ですね
非常に興味深いですが、実運用にこぎつけるまでに5~10年ぐらい掛かりそうな予感
追加ランチャーとしてフリゲートに追随するのでしょうけど、自衛力の低さが気になりますね。
前線には出せないし1列下がって弾薬庫に徹するとしても、センサーすら積まないのであれば無人機の鴨にされると思います。護衛を付ければそもそもフリゲートとして建造しろという話になる。
どのような運用が行われるのか興味深いですね
個艦防空ミサイル扱いのESSMですら30km+の射程を持つ現代、生存するための能力を自弁しなければならないとは限らないでしょう
本文の最後にファーストステップとあるように、あくまで無人化までの繋ぎ目的でしょうし、オランダ海軍の現行フリゲート艦が艦齢20年以上なので、後継艦の計画次第では様変わりするかもしれませんね。
一列下げたらむしろカバーしなきゃならないかと。
艦隊防空の傘の下の最後尾、現地着いたら極力撃つもん撃ってとっとと退避、攻撃受けたら即総員退艦、みたいな運用じゃないですかね。
排水量は全く違うけれど。
艦形が、昔のSボートに似ているような・・・。
北海で行動するのはこの形が良いのでしょうか。
仮に日本が同じ構想をこつなら、どんなフネになるのかな。
冬の日本海を考えれば、全長100mは必要だろうし、
イージス艦に併走するなら、30ktで長時間航走は必要だろうし。
広大な平甲板が必要だろうし。
推進機関は手間の掛からない物が必要だろうし。
シータ『いまはアーセナルシップがなぜ滅びたのかあたしよく分かる。ゴンドアの谷の歌にあるもの…
船に根をおろし、波と共に生きよう。友と共に海を越え、ラッパで共に春をうたおう。
どんなに恐ろしい武器を持っても、…たくさんのかわいそうなAIを操っても…
人のいない兵器は役に立たないのよ!!!!!!』
ムスカ『アーセナルシップは滅びぬ。何度でも甦るさ!!アーセナルシップこそ、男のロマンだからだ!!!!』
ステルス性を考慮してなさそうな船首楼型の船型と迷彩塗装のおかげで第二次大戦時の軍艦のように見えますねこれ。
個人的に海の弾薬庫の正解は有人潜水艦をハブにチーミングしたLXUUVにVLS増し増しだと思うな
割と安全に潜める、対象までの接近の容易さ
有人でないことによる大幅なコストダウンと作戦の自由度
小規模海軍の小型洋上艦は沿岸部からのUAVに狩られる未来しか見えん
海自の『戦闘支援型多目的USV』も新しいポンチ絵で後部に搭載区画が出来てたのでもしかすると似たような使い方を考えているかも。
哨戒艦にもコンテナ型のミサイル発射機搭載を匂わせてたし。
陸や空に続き海でもセンサーとシューターの分離が進みそう。
コンセプト画像のミサイルコンテナはISOコンテナの規画で合ってるのかね。それなら平時や災害派遣時の物資輸送もできるから無駄飯食いにはならんか。航続距離は短そうではあるが。
>航続距離は短そう
無人艦艇への燃料補給を実用化した海軍ってありましたっけ?
艦艇への補給は人力に頼る所も多いので、無人化しちゃったら今の洋上補給のやり方は使えないですよね
無人なので水と食料は不要としても、燃料は補給できるようにしてないと、有事の時に「ガス欠」はシャレにならないと思うのですが
無人で安く作ってひたすら交代を繰り返すのか、究極は原子力…?
当面は「省力化有人艦」だし、無人化したとしても給油時は人が乗り組んでサポートしたっていいでしょう。
それで「無人艦じゃないじゃないか!」と騒ぐ輩もいないでしょうし仮にいたところで気にする必要もありませんし。
ウクライナのように黒海限定ならともかく、長距離移動できる無人艦艇はどこもテスト段階ですからね。去年から今年初めにDARPAとアメリカ国防省がほぼ無人での約86000kmもの試験航海をしていましたが。
正式採用時に無人艦艇用の補助艦艇を作るのか、既存の補給艦から補給するのかとか、そういった話も出てくるのではないでしょうか。