オランダは5月に発表した報告書の中で「潜水艦でのトマホーク運用を断念する」と明かしたが、トゥインマン国防長官が議会に宛てた17日の文書の中で「トマホークの代わりにJoint Strike Missileの潜水艦発射バージョン=JSM-SLを採用することにした」と明かした。
参考:‘Verwerving Maritime Strike’
参考:Dutch submarines to get European Tomahawk alternative; Military buying Israeli missiles
参考:Países Bajos apuntala el camino iniciado por España y opta por misiles europeos NSM para sus submarinos en vez de Tomahawk de EEUU
オランダは水上艦艇で運用するトマホーク=RGM-109Eの調達は継続する
オランダ軍の長距離攻撃能力はPzH2000の砲撃と航空戦力の対地攻撃=JDAMに依存し、ウクライナとロシアの戦争を受けて「より射程の長い長距離攻撃能力の必要性」を認識したため、2022年7月に発表された国防白書に「新たな長距離攻撃能力の確保」が盛り込まれ、2023年4月「イスラエル製のPULS、米国製のJASSM-ERとトマホークを取得する」と発表。

出典:ロッキード・マーティン JASSM-ER
JASSM-ERについて「オランダ空軍のF-35Aは近距離の地上目標を攻撃するための武器(JDAM)しか保有しておらず、敵の防空システムがカバーするエリアの目標を攻撃するには長距離攻撃兵器が必要だ」と、トマホークについても「海軍の艦艇は敵のバンカーを破壊するのに十分な威力と射程を備えた攻撃手段を持っておらず、導入するトマホークはフリゲートと潜水艦に搭載される」と述べ、現行のワルラス級潜水艦と新たに4隻取得するオルカ級潜水艦(Naval Groupのバラクーダ級)にトマホークを統合する予定だったが、21日に公開した報告書の中で「潜水艦でのトマホーク運用を断念する」と明かした。
オランダ海軍はフリゲート艦で運用するVLSバージョンのRGM-109Eと、潜水艦の魚雷発射管から発射するバージョンのUGM-109Eを要求したが、後者は2014年に受注した英海軍分を最後に生産が中止されており、オランダはUGM-109Eの共同購入を模索したものの「生産再開に必要な費用」を分担してくる国が見つからず、オランダ単独での発注は費用対効果が悪い判断して潜水艦でのトマホーク運用を断念したらしい。

出典:Koninklijke Marine
Naval Newsは「代替システムとしてオルカ級潜水艦へのMdCN統合が考えられる」と指摘していたが、トゥインマン国防長官が議会に宛てた17日の文書の中で「既存の潜水艦と将来の潜水艦でトマホークを運用したいと考えていたが、これを検討していた時点で魚雷発射管から発射するバージョンのトマホークは生産中止になっていた。この決定を下した時点でJoint Strike Missileの潜水艦発射バージョン=JSM-SLは現実的な選択ではなかったが、トマホークの代わりにJSM-SLを採用することにした」と言及。
さらにトゥインマン国防長官は「水上艦艇で運用するトマホーク=RGM-109Eの調達は継続する」「最初の引き渡しは2028年を予定している」と明かし、NL Timesも17日「スペインなどの欧州諸国が共同開発しているJSM-SL計画にオランダも参加する」「JSM-SLは2032年に運用開始が予定されている」と、スペインのディフェンスメディア=Infodefensaも24日「オランダ政府はオルカ級潜水艦にNaval Strike Missileを搭載することを確認した」「これによりトマホークをオルカ級潜水艦に統合する初期計画を正式に放棄した」と報じている。

出典:Navantia
JSMベースのJSM-SLなのか、NSMベースのNSM-SLなのか、このプログラムは異なる別々のものなのか、それとも同じものなかのかはよく分かっていないものの、UGM-109Eの射程は2,000km以上と、MdCNの射程も約1,000kmと推定されているため、これを200km~300km程度のJSM-SLもしくはNSM-SLに置き換えると潜水艦に要求していた対地攻撃能力の射程は大幅に縮小する格好だ。
因みにスペイン海軍の潜水艦はNSM-SLの運用を予定している。
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※アイキャッチ画像の出典:Kongsberg Defence & Aerospace AS





















オランダの国防戦略には全然詳しくないが、あんまり良い調達計画に見えない。
中小国の調達計画にはありがちだけど能力の次元に拘りすぎだと思う。
潜水艦を運用できる、とか長距離攻撃ができる、とか空挺部隊がいる、という
ユニークな能力は確かに軍隊の能力の次元を上げてくれる、冷静に考えれば
ほとんどの国が持ってない能力だし。
でも中小国には高価すぎて数が揃わない。どうせ実際の戦いは消耗戦だから
平時に倹約すればギリギリ手が届く…という兵器は実戦では役に立たない。
トマホークはトマホークを運用できる国力があって初めて意味がある…
オランダ海軍は、魚雷発射管からの運用を考えているのでしょうね。
VLSは、おそらくは使わないのかな。
比較的に小型(それでも航洋型だけれど)の潜水艦では、
VLSは場所塞ぎ、と考えられているのかな。
確かに、発車後のVLSはデッドスペースなのだけど。
十分な太さがある潜水艦でないと、トマホーク対応のVLSの装備は不可能だと思います。
素人もそんな気がします。
直径が21in未満であれば、魚雷発射管から運用できるし。
トマホークも、元々は、そうして作られているし。
7000tを超えるバージニアでも12発とかなので潜水艦SLCMは相当に金がないと満足な弾数稼げないが…
海上自衛隊の偉い人が、本当はやりたくない態度見え見えで、談話をしていましたねえ。
10年かけてかけて研究するって、実は研究だけして時間を稼いで、実際には作らない気なんじゃないだろうか。
AIPもあっさり切ったし、潜水艦乗りは相当合理的な印象。
バラクーダならVLS積めんのかな?
たいげいよりでかいし、攻撃型原潜用の在庫が大量にありそうだが
てか日本も潜水艦用にトマホーク導入するらしいけど、これとは別口?
潜水艦搭載用は、まだトマホークか12式の改良型なのかも決定はしていませんよ。
VLS搭載潜水艦の研究から始めている段階で。
日本の潜水艦搭載型VLSの開発計画は島嶼防衛用高速滑空弾を潜水艦に搭載すると言う話もあるので、結構無茶な計画なんですけどね(島嶼防衛用高速滑空弾はblock1で全長7m、block2で全長12mある。
それはブースター込みのサイズでしょう。高速滑空弾本体は2.〜4m程度では?
VLSに積むなら当然それ用のブースターを開発するでしょうし。
トマホークの短いヤツが長さ約6.25メートル程度らしいので、12式を元にするならblock1ベースに射程を犠牲に調整するんでしょうね。