多くの国で始まった中型軍用輸送機の更新で主役に躍り出ているのはC-130JではなくC-390で、パリ航空ショーでも「ポルトガルの追加導入」「オランダの航空医療バージョン導入」「リトアニアのC-390導入」を発表し、C-390関連の売却を3日連続で発表したことに驚きが広がっている。
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技術力が高く良いものさえ作れば売れるのではなく、入札で勝つための条件を整えているからC-130Jに対抗できるのだ
中型軍用輸送機のシェア(1,500機前後)はC-130が独占しているものの平均機齢は30年を越えており、アフガニスタン撤退やウクライナ侵攻を経験した欧州諸国は「旧式輸送機によるロジスティックシステムが時代遅れになっている」と再認識、多くの国で始まった中型軍用輸送機の更新で主役に躍り出ているのはC-130JではなくC-390で、オランダ空軍(5機)、オーストリア空軍(3機+オプション1機)、チェコ空軍(2機)、韓国空軍(3機)での採用が確定。

出典:Embraer
スウェーデン国防省は2024年11月「ブラジルはグリペンE/Fの追加導入を検討しており、我々もC-390導入交渉を開始する準備が出来ている」「両国は航空宇宙分野の協力関係を深化させることで合意した」と、エンブラエルも「スウェーデンは戦術輸送機の近代化のためC-390を選択した」「当社にとって今回の決定は本当に光栄だ」「先進国の間でC-390の実力が徐々に認められつつある」と発表、もはやウォール街さえC-390の勢いを認めており、Capital Alpha Partnersも「Lockheed Martinはドル箱だったC-130の需要をC-390に奪われつつある」と指摘するほどだ。
エンブラエルは今月16日に開幕したパリ航空ショーの初日「ポルトガルがC-390を1機追加購入する」「この契約には10機の追加購入オプションが含まれている」と、2日目には「オランダと航空医療バージョンのC-390に関する契約を締結した」と、3日目には「リトアニアがC-390を3機調達することを決定した」と発表し、C-390の運用国はブラジル、ポルトガル、ハンガリー、オランダ、オーストリア、チェコ、スウェーデン、スロバキア、リトアニア、韓国、非公開の国の11ヶ国に広がった。

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C-390の運用国に加わるリトアニアは「市場で入手可能な軍用輸送機を慎重に研究した結果、C-390が軍事作戦上の要件を満たすのに最も適したプラットフォームでと判明した。今後数ヶ月以内に正式な購入契約を締結する予定だ」と、エンブラエルも「リトアニアに選ばれたことを光栄に思う」「今回の選定結果は欧州の防衛力強化に対する我々のコミットメントを反映したものだ」と述べ、Breaking Defenseも「エンブラエルがC-390関連の売却を3日連続で発表した」と驚いている。
因みにC-390はC-130Jと比較した上で受注を獲得しており、オランダ空軍の評価によればC-390は平均稼働率、運用性、メンテナンス性、技術要件の全てでC-130Jを上回り、基本設計が新しいにも関わらずC-390(5,000万ドル~6,000万ドル)はC-130J(約8,000万ドル)よりも調達コストが安価で、要求要件の2,400飛行時間をクリアするのにC-130Jなら5機必要だがC-390なら4機で済むらしい。

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韓国メディアも「防衛事業庁が実施した5つの評価項目(性能、運用適正、価格、オフセット、国内企業との協力体制)でC-390は運用適正以外の項目でC-130Jを上回った」と報じ、防衛事業庁も「C-390とC-130Jでは契約条件、トレードオフ、国内企業の関与で大きな違いがあった」と証言、エンブラエルのゴメス・ネト最高経営責任者も「韓国との契約にはC-390の整備権限とMROに必要な技術移転が含まれていた」「欧米企業は武器を売っても整備権限を与えることに消極的で運用に支障をきたすことがある」と指摘したことがある。
整備権限とは武器システムのブラックボックスを指しており、導入国が手が出せないブラックボックスを整備するには開発元に送る必要があるが、C-390は整備権限を運用国に与えられるため「必要な整備作業を国内で完結できる=運用効率が高い」という意味だ。
さらに韓国メディアは「C-390導入で韓国企業は同社のサプライチェーンに参加する機会が開かれた」「ブラジルとポルトガルに加えてオランダ、オーストリア、ハンガリー、チェコの導入が確定し、中東諸国やアジア諸国でもC-390が検討されているため、導入国が増えれば増えるほど韓国企業にもたらされる利益が大きくなる」と、ゴメス・ネト最高経営責任者も「エンブラエルの民間機の翼と胴体部品は韓国で作られている」「韓国製部品の割合は製造コストの約10%」「今後も韓国製部品の採用を増やしていく」と述べている。
要するにC-390が売れるのは基本的な機体性能でC-130Jを上回るか同等であることは勿論、整備権限、技術移転、サプライチェーンへの参加という「武器輸出における3大要素」を満たしているからで「技術力が高く良いものさえ作れば売れる」のではなく「入札で勝つための条件」を整えているからC-130Jに対抗できるのだ。
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※アイキャッチ画像の出典:Embraer
ほんと、どこにも売れないC-2とは違って世界中で売れまくってるね
石破首相の提案によって、検討され続けてきたC-17の生産ライン復活が現実味を帯びてきてるし、C-2の調達を中止してC-17にし、C-130の後継はC-390にすべき
C-2はダウンサイジングした戦略輸送機、一方C-390はC-130の後継機を目指している戦術輸送機なので全くの別物
例えるなら10tトラックと軽トラ
そんな変な事書いてるか?C-2の代わりにC-390買えなら分からないでもないけど、C-2はC-17にしてC-130はC-390にしろと書いているなら棲み分けはで来ている。
>無駄に高い上にC-2と被る
C-17が高価かはトータルの性能を見た上で考えるべきだと思うしC-2が各要因加味して性能の割にお買い得だと思っているので?
C-2とC-17比較したら単純な重量ペイロードは2倍位だが、サイズに問題無ければC-2で1両しか運べない物が3両運べるケースすらあって、その場合だと最大で3倍の差があってコストの差が吸収されやすい状況すら発生する。被るもなにもC-2では出来ない事がC-17で出来るし、C-17で出来ない事もC-2で出来るが世界にはそれが刺さらない。
そのクソデカいC-17は一体全体どこで運用するんですかね……
一度要らないと決まった話なのに蒸し返すことがそもそもおかしいんよ
>C-17
いや石破の与太話なんざ無視でええ
なんで生産ライン再立ち上げが必要で無駄に高い上にC-2と被るC-17なんぞ調達する必要がある?ナンセンスの極み。頭清谷か?
売るために作った訳じゃなくて我が国独自の要求を満たすために作ったんだからあれでいいのです
結局輸送機ってこのぐらいのサイズが一番使いやすいんですかね
サイズのみで判断すると、A400MやC2と比べ一回り小柄なC390は使い易いとは言えないでしょう
ただA400MやC2、C130Jなどには中小規模の第3国的な立場からすると過剰な機能が多く、
航空輸送に大国の要求水準(短距離離着陸性能、強力な不整地運用性、機体の頑丈さ、貨物スペースの広さ、大きな最大積載量など)まで求めてないことが殆どです
そのため調達コストが安く、整備し易いC390というのは「固定翼輸送機を保有する」ことのみを目的とする割り切った考えの場合、最適解となります
HIMARSの車体に使ってるようなトラックだと8tくらいらしいから20t級輸送機でもいいはずだし
30tくらいあってもそれなりに重量級な装甲車輸送の仕事がどのくらいあるのか?って考えるとそりゃこのクラスが一番ほしいというか…
M2:「C-130がやられたようだな」
B52:「フフフ…奴は四天王の中でも最弱…」
F-16:「ブラジル兵器ごときに負けるとはアメリカ兵器の面汚しよ…」
ターボプロップ4発機ってのも今じゃ面倒くさいだけなんだろうな。
なんで自分に無関係の外国機の契約で勝ち誇るのか
なんで自分が関わっていない国産機を貶すのか
C-390は
(1) ジェット旅客機と同じ高速路線を飛べる
(2) 同じ条件なら航続距離はC-130と同等かそれ以上
(3) C-130と比較し全長は長いが全幅はC-130より短い
(4) エンブラエルがグローバルサプライチェーン構築も兼ねて積極的にオフセット契約している
とC-130を狙い落とすスペックと条件で提供しているのが大きいですね。
空自のC-130Hもそろそろ交代が必要ですし、海自のC-130Rは流石に無理があるので、C-130JかC-390のどちらに軍配が上がるのか気になるところです。
C-2は「日本が必要としている機体」なのでC-130/C-390とは別枠と認識しています。
C-390のSTOL性能はC-2以下です。自衛隊での立ち位置的には戦略輸送機C-2と戦術輸送機C-130であり、C-130の後継機でSTOL性に劣るC-390という選択肢は、予算的に背に腹は代えられない以外では無いのでは?
もうC-2は輸出狙いのエアショーには参加しなくていいでしょう。言われなくても予定はもうないかもしれませんが。
もちろんP-1も。
国産エンジンのままで売れると本気で思っていたんでしょうか