欧州関連

エストニアが3度目となるK9追加調達を発表、2026年までに12輌取得

エストニア国防省は14日「K9を追加調達するための契約を韓国側と締結した。新たに取得する12輌のK9は2026年までに引き渡される」と発表、3度目となる追加調達でエストニア陸軍が保有するK9は24輌からから36輌に増加する。

参考:Eesti ostab Lõuna-Korealt täiendavad 12 liikursuurtükki K9 Kõu

エストニア国防省は「ウクライナ軍とロシア軍との戦いで長距離攻撃能力の重要性が高まった」と述べている

エストニアのラーネト国防相は「ロシア軍の電撃戦がウクライナで失敗したこと」「戦いの様相が第二次大戦の手法=塹壕戦に逆戻りしていること」を挙げて防衛計画の修正を示唆、ポーランドと同じように砲兵装備=K9の追加取得を行う予定だと述べていたが、エストニア国防省は14日「K9を追加調達するための契約(3,600万ユーロ)を韓国側と締結した。新たに取得する12輌のK9は2026年までに引き渡される」と発表した。

出典:Estonian Ministry of Defence

フィンランドとエストニアは自走砲の導入コストを削減するためK9の共同調達で合意し、2018年にエストニアは12輌のK9(韓国陸軍が使用済みの中古K9)を4,600万ユーロで発注、2019年と2021年に契約オプションを行使して6輌づつ計12輌を追加調達していたが、3度目となる追加調達の実行でエストニア陸軍が保有するK9は24輌から36輌に増加する。

エストニアでは自国の防衛産業企業が開設した保守センターで「K9のアップグレード(内容不明)を行う」と報じられているが、韓国でも2023年~2034年までに2兆3,600億ウォンを投じて陸軍のK9(K9+K9A1=1,300輌)をA2BlockIにアップグレードする予定なので何らかの関連があるのかもしれない。

因みにラーネト国防相はK9の追加調達とは別に「装輪式榴弾砲の購入も決定した」と述べているため、リトアニアが導入を決めたCaesarを調達する可能性も浮上している。

関連記事:自由に値段はつけられない、エストニア国防相がK9の追加導入を示唆
関連記事:ユーロサトリ2022で韓国はK9A2をアピール、チェコは自走砲モレーナを発表

 

※アイキャッチ画像の出典:Estonian Ministry of Defence

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コメント

    • TA
    • 2023年 1月 17日

    >韓国でも2023年~2034年までに2兆3,600億ウォンを投じて陸軍のK9(K9+K9A1=1,300輌)をA2BlockIにアップグレードする予定
    とんでもない数の自走砲もってんな。米軍より多くないか

    8
      • ミリオタの猫
      • 2023年 1月 17日

      対立する北朝鮮も火砲を山程持っていますから、韓国としてはこれでも足りない位でしょうね
      それよりもエストニア、発注したK9が届くまで国が持ちますかね…ウクライナ軍がソレダル・バフムート方面で壊滅しつつある今、下手をするとウクライナを片付けたロシア軍がエストニア・ラトビア・リトアニアへ御礼参りにやって来る危険度が高まっているのですが、果たしてK9は間に合うのか?

      9
        • 無無
        • 2023年 1月 17日

        ここで敗けてもウクライナは片付かないし、ようやくウクライナを片付けたからとそのままバルト三国に進軍できるほどロシアは余裕あるんですかね、
        いちいち質問するのが虚しい

        30
        • 幽霊
        • 2023年 1月 17日

        エストニア・ラトビア・リトアニアはNATO加盟国なのでロシアは侵略しないと思いますよ?
        今でさえウクライナに手こずっているのにNATOを相手にする力はロシアに無いと思いますし。
        仮に侵略するとしてもロシアの国力や軍事力の回復に最低でも数十年単位が必要だと思うので軍事力増強が間に合わないとは思えません。

        24
        •  
        • 2023年 1月 17日

        韓国のセールスの仕方は軍事以外も含めて日本の産業界は見習うべきところ。しかしここまで引く手数多だと国内向けの供給に問題ないのかだけ少し心配。あそこが不安定になると日本も火の粉では済まないからなぁ。とりあえず目が離せない。

        11
        • ひきわり納豆
        • 2023年 1月 17日

        バルト三国にはNATO多国籍戦闘群が駐留してるのでロシアが侵攻するにはハードルが高いです。
        リンク

        3
      • にらそば
      • 2023年 1月 17日

      K9自走砲のほかにK55自走砲(M109自走砲を韓国でライセンス生産したもの)を1,180両保有しています。航法システム、半自動装填装置、補助動力などを備えたK55A1への改良が2011~2022年に行われました。

      3
    • 無無
    • 2023年 1月 17日

    ここで敗けてもウクライナは片付かないし、ようやくウクライナを片付けたからとそのままバルト三国に進軍できるほどロシアは余裕あるんですかね、
    いちいち質問するのが虚しい

    4
    • 似非市民
    • 2023年 1月 17日

     エストニアという小国からの三度目の追加発注というのは意義が高いんやな。
     このくらいに小さな国やと兵装の選択ミスは即致命的なものになってまう。
     そんなかで継続受注が得られたということは、世界市場でのアピールポイントを大いに稼いだんとちゃうやろか?

    5
    • 匿名
    • 2023年 1月 17日

    今の内に中国以外の新興勢でロシアの兵器産業の客全部奪ってほしいわ

    6
    • けい2020
    • 2023年 1月 19日

    これ韓国軍のK9アップグレードが圧迫されるんでは、記憶だと数カ国に同時期に納入予定たってない?
    K2も韓国軍納入用を輸出に回してるし大丈夫なんか?韓国軍の装甲兵力って質的には古いやつの比率高くて余裕ないはずだが

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