EUは国連が定めたリビアへの武器禁輸措置に違反したとしてトルコ、ヨルダン、カザフスタン、リビアの企業に対して制裁措置を発動すると報じられている。
参考:EU to announce sanctions for embargo violations in Libya
参考:France backs calls for EU sanctions on Turkey
江戸の仇を長崎で討つ構えのフランス、事なかれ主義のEUを動かすことが出来るか?
匿名を条件に情報を提供したEUの外交官によれば、21日に開催されるEU外相会議にトルコ、ヨルダン、カザフスタン、リビアの企業や個人に対する制裁措置が正式に発表される予定で、リストに挙げられた国の企業はEU内での保有資産が凍結されるらしい。
問題はリビアのシラージュ暫定政権が率いるリビア国民統一政府(GNA)に公然と武器を供給、さらには正規軍まで派遣していたトルコ(国)自体を制裁から除外している点で、もし国としてトルコを制裁対象に加えれば反政府組織側を支援しているロシア、エジプト、UAE、フランスと言った国も制裁対象に加える必要があるため、リビアへの武器輸出に加担した企業に制裁を留めたのだろう。
EUの外交官によれば「制裁内容は控えめだが制裁を実行することに意味があり合図だ」と語っているが、逆に企業レベルに制裁を留めているためEUの事なかれ主義がより強調されていると映る。
特にロシア企業が制裁対象に含まれていないのは制裁基準が偏っていると言わざるを得ない。

出典:United States Africa Command リビアで確認されたMiG-29
ロシアは民間軍事会社を隠れ蓑にロシア人傭兵をリビアに送り込んでおり、今年5月には国籍マークを塗りつぶした戦闘機「MiG-29」や戦闘爆撃機「Su-24」をリビアの反体制派が支配する基地に派遣しているのが確認されているにも関わらず、これらに関与したロシア企業を制裁対象のリストに含めないのは欧州とロシアの対立に発展するのを恐れているからだ。
しかしEUの制裁には続きがある。
フランスはトルコ海軍によるレーダー照射事件(※)で煮え湯を飲まされ、リビアへの武器禁輸措置に違反したトルコに対する制裁をEUに強く働きかけていたにも関わらず、今回の制裁は企業レベルに留まっており、この内容でフランス側が納得するとは到底思えない。
※補足:NATO主導の海洋安全保障作戦「シーガーディアン」に参加していた仏海軍フリゲートが、リビアに武器を輸送していると疑われるトルコ輸送船に接近して通信を試みるも無視して航行を継続、この輸送船を護衛中のトルコ海軍のフリゲートからのミサイル攻撃を意味する「レーダー照射(火器管制レーダーによる電波の照射のこと)」を3回受けた事件のこと。フランスはトルコ海軍の行為について「NATOの交戦規定に照らせば敵対行為とみなされる」と主張、これに対しトルコは仏海軍艦艇に向けてレーダー照射は行っていないと否定したため互いに相手を「嘘つき」だと罵り合っていたが、フランス側がNATOに問題を持ち込んだため両国の争いのは加盟国を巻き込む騒動に発展したが、結局NATOは具体的な是正措置を講じなかったためトルコはフランスに謝罪を要求している。
実は国連が定めたリビアへの武器禁輸措置に違反した制裁措置と別に、ギリシャとキプロスの排他的経済水域(EEZ)での海洋調査を強行するトルコに対してキプロスが厳しい制裁をトルコに課すようEUに要求中で、フランスはキプロスの要求を強く支持している。
フランスは「トルコがEU加盟国の安全と主権を危険に晒し続ける場合、EU加盟27ヶ国による制裁を検討するべきだ」と主張してEU加盟国に支持を訴えており、本気で江戸の仇を長崎で討つ構えだ。

出典:Franck Dubey / CC BY-SA 3.0 ラファイエット級フリゲート
ただレーダー照射事件でフランスの主張を退けたNATOとEUの加盟国は似ており、特にNATOやEUで影響力が大きいドイツはトルコへの武器輸出で大きな売上(2019年実績で約80億ドル:約8,600億円)を得ているため極端な制裁には同意しない可能性が高く、イタリアも難民問題でトルコの協力を必要としているため無駄にトルコを刺激することは好まないだろう。
果たしてEUは加盟国を守るためトルコに制裁を加えるのか、NATO加盟国トルコとの摩擦を避けるため制裁を見送るのか、非常に難しい決断を迫られている。
関連記事:トルコへの圧力か? ロシア、リビアに戦闘機MiG-29や戦闘爆撃機Su-24を配備
関連記事:弱みを握られたEU、リビア停戦合意の裏でトルコは戦略的要衝を確保
関連記事:レーダー照射問題、フランスがNATO主導の軍事作戦参加を見合わせ
関連記事:レーダー照射問題、NATO調査を乗り切ったトルコがフランスに謝罪を要求
※アイキャッチ画像の出典:Christiaan Colen / CC BY-SA 2.0
と、言うたってフランスがブリカスよろしくEU離脱なんでできんやろしw
なんだかんだ丸め込まれて終了な予感
そもそもEU離脱してもフランス単独でトルコを下せるとはこれっぽっちも思えん
本質的にフランスは戦争が下手くそで弱い国だからね…EUを最大限活用して欧州全体を巻き込もうとしている
ガチで戦争になったらエジプトとギリシャとUAEは確実に参戦するかと
EUは同床異夢の国家体だから、すべて玉虫色で治まるだろう。
ドイツは、フランスのみならず、中東欧の国々にとっても頭痛の種だね。
メルケルが消えれば、先のことは判らないが。
火器管制レーダー照射に対しては、フランス位の対抗措置をすべきなんですよ。ねえ岩屋さん?
もう忘れよう、岸の時代だ(笑)
10:00時点で、防衛省HPの大臣のページはまだ河野太郎のまま…
そうやって絡むから喜ぶんだよ、奴等は
徹底的な無視、放置プレイ
これに限る
アホは相手にしないこと
>もう忘れよう、岸の時代だ(笑)
前首相の実弟で、脱韓入台の急先鋒って知ってるの?
あ
漢字は読めるけどハングルも得意だったね(笑)
ねー、そこで絡んで因縁つける意味がないんだけど?
バカ?
ねえ、君は日本語のニュアンスつかめない人たち?
>もう忘れよう、岸の時代だ(笑)
韓国艦艇から、火器管制レーダー照射を受けた現役自衛官の前で言ってもらえるかね?
その絡み方が日本語を理解してないあっちの人たちの粘着丸出しだけど、自覚ないのか
トルコはNATO加盟国でEU加盟を交渉中の国。一方でロシアとの友好関係もある。
リビア情勢ではトルコはロシアと共にEUの政策に対抗する陣営に組している。
それを踏まえて、ロシアはトルコをNATOから切り離し取り込もうと画策中。
経済の権益だけではなく、現時点では政治的にもトルコの切捨てはできかねるかと。
リビア情勢ではトルコはロシアの敵対勢力を支援してますよ。
・シラージュ暫定政権(国連正式認定、イスラム原理主義)←支援国:トルコ、カタール、イタリア、イスラム同胞団
・リビア国民軍(カダフィ系譜、世俗主義)←支援国:フランス、ロシア、エジプト、サウジアラビア、UAE
リビア情勢への関与はおっっしゃる通りで勘違いでした。
指摘感謝。
フランスだってべつに真っ当な正義の国じゃないし、トルコはくせ者だけど悪人とまでは言えないし
高みの見物で
外交力を失ったらフランスという国は終わりなんだから、何があってもフランスがここで引くわけがない
殴られたら絶対に殴り返すのがあの国
ドイツほどの経済力があるわけでもないからとにかく舐められたらおしまいなんだよフランスは
なんとなく納得、ド・ゴール以前からフランスって見えはりの意地っ張りだよな
NATO加盟してても核は独自だのにこだわるし
こういう馴れ合いをしているからトルコが今の姿に育ったのでは。
そうですね。
アメリカがアルカイダを手先にしようとしてあんなになっちゃたように、NATOがトルコを手懐け様としたらこんな風になっちゃった感がありますね。
アルカイダとトルコに共通しているのは、どっちもイスラム教徒が主流派って事ですね
米国やNATOが十字軍遠征の時に何をやったか忘れているのか、それともアルカイダやトルコが抱く欧米に対する恨みが根深いのか……
今度はEUがただの癌でしかないとフランスが気付くターンですかね?いや、ないか…
EUは法を統一化した連邦国家にならない限りただの鉛の塊だといつ気付けるのでしょうか。
ロシアに塩を送るだけだし地中海周辺ですら秩序が崩壊しつつある。
そもそもEUというのは基本的には経済共同体な訳で。
2009年のリスボン条約までは西欧同盟というEUとNATO両方の加盟国だけの軍事機構も存在してましたし
「欧州の顔は誰?」等と米国に怒られて共通外交とかに手を出したのが無理筋だったのでは
そう思いますね。
素直にただの経済共同体ポジでいればよかったものを。
トルコへの制裁が及び腰になればますますエルドアンは調子づくだろう
ヒトラー相手になあなあで外交してた頃のヨーロッパを思い出す
正直フランスが必死になっているから碌な理由ではないというのは分かる
引きずり込まれる連合体としてのEU
エルドアンは最悪の独裁者として歴史に残る
自国の経済と政権批判を軍拡と戦争で解決しようとしている
クルド人迫害問題もある
素人目にも軍拡を始めた頃から好戦的で独裁者だと分かった人物なのに、今まで米国やEUが仲間扱いしてたのだから世界の指導者って危機感不足過ぎというか、利益重視でしかないのだと改めて思う
シリアよりトルコこそがISISの黒幕に見えたし
シリアがISISの黒幕は有り得ないですよ
設立に関わったのはサウジ諜報部と言われてます
恐らくはシリア弱体化のため、手に負えなくなるのは良くあること(モサドがハマスを作ったのと同じ)
肥え太らせたのはトルコでしょうね、ISISの資金源は石油密貿易、出来るのはあの国しかない
史上最低最悪な独裁者はアベでしょ?(笑)
あたおかやん
ロシアが関係していないのにかってにNATOが崩壊していってるように見える
これも偉大なるぷーやんのお導きなのか…