ウクライナ戦況

ロシア領ノヴォロシースク港で爆発、ウクライナ軍が自爆型USVで攻撃か

ロシア海軍はクリミアにあるセバストポリ港の安全確保が困難なため黒海艦隊の一部をロシア領のノヴォロシースク港に避難させている」と推測されているが、ウクライナ軍が自爆型無人水上艇でノヴォロシースクを攻撃したと報じられている。

参考:Ukraine Situation Report: Possible Drone Boat Attack On Russian Port

ノヴォロシースク港までウクライナ軍の自爆型USVが彷徨いているとなると黒海艦隊の行動は制限を受ける

クリミア半島のセバストポリはウクライナ軍支配地域から250km以上も離れているため安全だと考えられいたが、今年7月下旬頃から何らかの飛行物体がセバストポリを含むクリミア上空に何度も侵入、黒海艦隊司令部も白昼に無人機の襲撃を受けて海軍記念日を台無しにされたが、9月頃になると謎の無人水上艇(USV)がクリミア近海に出没し始め、10月にはセバストポリ港に停泊していた黒海艦隊の艦艇に謎のUSVが自爆攻撃をしかけ3隻が損傷(未確認)したと言われている。

ウクライナは11月に謎のUSVを公開、フェドロフ副首相兼デジタル化担当相は正式に「資金調達プラットホームUnited24を通じて自爆型USV(1隻の価格は約25万ドル)を100隻調達している」と明かしていたが、ウクライナ軍が自爆型無人水上艇でノヴォロシースクを攻撃したと報じられており、爆発シーンを収めた動画がSNS上に出回っているので何からの攻撃が行われたのは確実だ。

今のところ攻撃に関する詳細な情報はないが、ノヴォロシースク港までウクライナ軍の自爆型USVが彷徨いているとなると黒海艦隊の行動は制限を受けるため、ロシア海軍にとっては非常に厄介な事態だと言えるだろう。

もし自爆型USVの数が増えて黒海を徘徊し始めると黒海海上からの巡航ミサイル発射はキロ級潜水艦に依存することなり戦闘効率が落ちることになる。

関連記事:露海軍記念日が台無し、ウクライナ軍が黒海艦隊司令部を無人機で攻撃か
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※アイキャッチ画像の出典:UNITED24

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コメント

    • samo
    • 2022年 11月 19日

    USVの航続距離を考えると、クリミア半島内等で活動するパルチザンなりが攻撃したのでは?
    黒海内を縦横無尽に活動しているとは、ちょっと考え難いですね

    7
      • おわふ
      • 2022年 11月 20日

      作戦行動半径400km、直線移動距離800kmだそうですから楽勝ですね。
      水上艇なのでミサイルなどより簡単に航続距離を伸ばせるはずです。
      ロシア船しかいないところに突っ込ませて自爆攻撃だけならば、コントロールも直接必要ないですから。

      なんともやっかいな兵器ですね。

      24
        • samo
        • 2022年 11月 20日

        おそらくそのデータは嘘ですよ。
        ウクライナ軍が数値をかなり盛っているかと。
        船体サイズを考えると物理法則を色々無視しているとしか思えない数字ですので。

        このあたりは防衛省防衛研究所の高橋氏も航続距離は短いと推察していて、
        以前のセバストポリ攻撃の際にも、近くまで船で運搬したか、クリミア内から放ったのではないかと指摘されていましたね

        6
          • 航空太郎
          • 2022年 11月 20日

          ◆物理的にあり得ない?

          プレジャーボートで似たサイズのAR195(YAMAHA)だと諸元は以下のような感じに。
          ・サイズ 5.9m(宇軍:5.5m)
          ・完成質量 1,134kg(宇軍:最大1トン)
          ・時速 ??km(宇軍:最大80km)
          ・航続距離 ???km(宇軍:800km)
          ・183.9kW(250ps)(宇軍:???ps)
          ・燃料タンク容量 152ℓ(宇軍:???ℓ)
          ・定員 8名(宇軍:0名 ※無人制御機構搭載)

           半潜水艇で喫水線が普通の船よりかなり低いのでその分定員は稼げると仮定して+2名。

           定員8+2=10名の重量を以下のように割り振ると仮定。

           1名=無人制御機構
           3名=爆薬(60kg[名]×3=180kg)
           6名=燃料(軽油は比重0.82なので、60kg[名]×6÷0.82=439ℓ相当

           燃料タンクは合計すると約600ℓ。
           プレジャーボートの燃費はせいぜい1.5km/ℓ。
           600ℓ×1.5km=900km、お、結構行けますね。

           なので、最高速度だと航続距離800kmは出ない。
           航続距離800kmなら燃費最優先のゆっくり航行。
           多分、殆どの時は18ノットとかでゆっくり、緊急時やラストだけ最速。

           ということで、そこそこ現実的な数値っぽい気がしますがどうでしょう?

          27
            • samo
            • 2022年 11月 20日

            1.5km/ℓという数値はかなり条件の良い数値で、まず出ません。
            ほとんど空荷の状態です。

            あと、プレジャーボート比較に出している船が19ft級なんで少し大きすぎますね。
            形状、大きさ的には18ft級の改造だと思われます。
            これをベースに船尾モーター部分隠すステルス工事としてカバーを設置した模様です。

            燃料も積めば積むほど喫水線が低くなればなるほど燃費は悪化しますので、実値ではあげた数値の半分もでないと思われます。
            一般的に使用する上では、燃料タンク100ℓオーバーのフィッシュボートでも航続距離は100kmを超えることはあまり無いです。

            10
            • samo
            • 2022年 11月 20日

            あと600ℓってドラム缶3つ分ですからね。
            あの船にドラム缶3つも乗ってるように見えるかって言われると
            かなり厳しくないです?

            4
            • 航空太郎
            • 2022年 11月 20日

            200ℓドラム缶だと直径567㎜×高さ841mmということで、横に3つ並べると幅約90cm、奥行き180cm、厚さ60cm程度なんですよね。中身は水より軽い軽油だから満タン状態でも水に浮きます。
            なので、船として考えるのではなく、船のような形状をした魚雷と考えると良いかもしれません。
            外気を取り込める口さえあれば、極論、中身に空きスペースはゼロでもいい訳です。
            しかも航行するほど燃料は消費していき、USVはどんどん軽くなって速度も出せるようになります。

            人が乗らない分、乗り心地も気にせず水の抵抗低減を最優先にして船型にもできそうです。

            プレジャーボートの燃費悪いんですね。スタートが満タン、ラストがほぼ空とすると、定員の半分を想定した燃費で考えると全体としては丁度よいかもしれません。
            船体はもう一回り小さい感じですか。なるほど。

            ということで、一通り聞いた感じだと、ウクライナ軍の示した性能はちょい盛ってそう、ただ、航空機のように投棄式の増槽を付ければ航続距離は更に伸ばしたりもできそうってとこでしょうか。母艦が近くまで運搬して、という運用だと、殆ど壊滅状態のウクライナ海軍には使い勝手が悪いと思うところです。

            後は、黒海のような穏やかな海でないと使えない兵種とも感じました。駆逐艦すら大破する日本周辺の荒れる海では現実的な運用は厳しいでしょう。

            7
    • JJ
    • 2022年 11月 19日

    自爆型USVやUUVは攻撃を受けた後でどこ製の物なのか、調べられるのでしょうか?
    残骸が海に流れたりして確実な証拠にならなければ、敵対国から嫌がらせに使われそうで恐ろしい。
    テロのように平時に高価な船を攻撃して軍事力を削ぐ、というの非現実的でしょうか?

    1
    • けい2020
    • 2022年 11月 19日

    この地域の潮流とか次第では、あの規模のUSVでも十分なのかもですね
    現地付近まで潮流で、その後は自力なら警戒網をくぐり抜けやすいでしょうし

    2
      • 774rr
      • 2022年 11月 19日

      黒海ってそんなに強い海流が無さそうだから潮流では無いんじゃないかな?
      他の船で近くまで運んだのか、或いは航行距離が結構あるのか。。。?

      4
    • 2022年 11月 20日

    震洋は実戦投入されてもほぼ100%沈められるだろうと思ってたけど、状況は違うといえど同じ戦法が結果をだしているとは・・・

    11
      • k.ziro
      • 2022年 11月 20日

      まあ米軍の魚雷艇が旧海軍の駆逐艦に体当たりされたこともあるから、条件さえよければ可能かもしれないですなあ

    • 航空太郎
    • 2022年 11月 20日

    いずれ、第二次世界大戦時のように、港を守る防潜網を敷設するような話になるかもしれませんね。対潜水艦用よりは簡素なものにできそうですけど、今のロシアにはそれを構築するだけの力は無さそう。

    結論:ウクライナ、もっとやれ。ロシアの艦艇なんか全部沈めてしまえー。

    31
    • パセリ
    • 2022年 11月 20日

    波のない黒海だからこそなのか、それとも外用でも使えるのか•••
    それによって海上戦のあり方が変わるかもしれんね

    3
    • ななし
    • 2022年 11月 20日

    動画でクレーンに吊るされてる様子見ても、このUSVはせいぜい全長5mあるかどうかのサイズに見えるんですよね。
    そんなサイズでオデッサから300kmあるセヴァストポリを攻撃可能な航続距離を持っているのも驚きですが、ノヴォロシスクまで行けるとなると航続距離は倍以上の700kmはあることになる。
    燃費のいい小型ボートでも300~400Lぐらいは燃料積まないとこの航続距離は出せないはずで、ペイロードがほぼ燃料タンクになっているのかも。

    1
      • shkk
      • 2022年 11月 20日

      途中で現地のパルチザンとか特殊部隊が給油してたりするのかも…?

      1
    • 御影渦音
    • 2022年 11月 20日

    「海上を徘徊」というよりは、固定目標(軍港)に突っ込む巡航ミサイルみたいな仕事という気もしますが…
    港に突っ込んだら船を捕捉して終端誘導、とかは出来るのかしら…?

    1
    • タイヤキ
    • 2022年 11月 20日

    パルチザンの可能性で近辺から海上におろした可能性も高いでしょうね。
    ロシア側もウクライナから武器弾薬含めた大量の物資輸送しているせいで、検問所が雑に調べているみたいですし、元々ウクライナ人がロシアに出稼ぎで働いている人たちも多く、クリミア大橋の検問所のようにロシア側の検問所までウクライナ人の出稼ぎ労働者働かせていたみたいに、ロシアに反感持っているロシア国内のウクライナ人出稼ぎ労働者がパルチザンに協力する可能性も高いですからね。

    8
    • makumaku
    • 2022年 11月 20日

    このUSVは、遠隔操作にスターリンクを利用しているので、どこからでも操作は可能。
    ただし、黒海を東西に横断するほどの航続距離はないはずなので、今回そのUSVはジョージアから発進したと考えるのが妥当だろう。

    20
      • 名無しさん
      • 2022年 11月 20日

      ジョージア説は中々説得力ありますね。
      確かにウクライナやロシア国内から送り込むよりもハードルは低いように感じます。

      まあ、ロシアもベラルーシからミサイルを撃ち込んでいるのだからお互い様でしょう。

      9
      • samo
      • 2022年 11月 20日

      目から鱗かも。

      さすがに港から直接発進させるのは目立つにしても、
      漁船なんかにUSVを積み込んで、夜間に沖にでてUSVを投下したらまず見つからない。
      たとえ見つかったとしても、ジョージアEEZ内なら、捕まる可能性も低い。
      漁船に積み込むにしても、ちょっと大きな漁船だったらボートを積み込む事自体、なんの違和感もないし。

      ウクライナやクリミアでやるよりよっぽど安全で現実味ある

      5
      • 漢と書いておとこと読ませたい
      • 2022年 11月 20日

      鋭い切り口ですね
      ジョージアが紛争に直接関与するという外交的リスクを容認できるなら現状最も実現可能性が高い手段ですし、ジョージアの国益にも適っている
      何より国民感情的に今回の一件は14年前の自分達を見ているようで絶対にロシアを許せないはずですから国民的コンセンサスも得やすい

      6
    • 折口
    • 2022年 11月 20日

    ウクライナのUSVは今のところ神出鬼没ですが、低速かつ軽量で炸薬量も少ないので艦艇に被害を与えられるかというと厳しそうです。先のクリミアへの一斉攻撃でも直撃をうけたとされるロシア艦艇の被害は表面が焦げて凹んだ程度で、もう戦線復帰しているとか。
    いくら軽量と言ってもボートですからなまじの地対艦ミサイルよりは炸薬量が多いと思うんですが、目標への衝突速度が遅すぎて船体に侵徹できず、爆風が船体表面を逃げてしまっているんでしょう。先端に先駆用の形成炸薬弾でも乗せてれば違うのかもしれませんが、ペイロード的にあんまり重いものは乗せられなさそうだし…

    まぁそれでもロシアにとっては脅威には違いないでしょう。スクリューや舵が喫水線下に隠れている現代水上艦はまだしも、浮上状態で舵が露出している潜水艦がUSVに出くわしてしまったらと考えると、潜水艦隊母港のノヴォロシースクに同USVが到達した事実は小さくないはずです。

    7
      • 航空太郎
      • 2022年 11月 20日

      米空母「ジェラルド・R・フォード」の耐衝撃性能試験では至近弾想定で18トンの爆薬を水中爆発させてました。ウクライナUSVの搭載してる爆薬だとその1%、180kgってとこでしょうか。
      至近距離なので威力は高まる、でもほぼ水面付近なので少なくとも爆発の半分は空中に逃げる。
      そう考えると、船体構造(やスクリュー)にほんのりダメージを与える程度で、対艦ミサイルや長魚雷のように派手な威力は期待できなさそう。
      せめて、命中直前に沈降して水中起爆すれば、それだけでも威力は段違いなんですが。

      それでも船乗りからすれば、至近距離で現代の装甲のない艦船で、200kg近くの爆薬の爆発を受けても平気、気にしないとはできる筈もなく、ウクライナ軍に海軍なし、と無警戒に航海できた状況は遠い過去になったと思います。

      戦術的な意味では嫌がらせに近い。戦略的な意味だとウクライナ軍=ゼロから、要厳重警戒となったので十分ってとこでしょうか。
      あと、狙う艦艇もコルベット級くらいの小さな船なら、それなりの被害を期待できそうではありますね。

      6
    • お!?
    • 2022年 11月 20日

    昔、アーレイバーク級DDG-67のコール襲撃事件ってあってな….。チープキルって恐ろしいもんだよ。

    8
      • 無無
      • 2022年 11月 20日

      沈めなくても一時的な無力化は可能ということ、だから小型USVを軽視してはならない
      相手から時間を奪うだけでこちらは勝利を得やすくなるし、また時間を奪われることで敗けにつながる

      3
    • 通りすがりの動物号
    • 2022年 11月 20日

    同型のUSV 1・2隻で1隻のUSVをけん引する。途中でけん引した1隻を切り離して突入させる。けん引していたUSVは切り離し後に母港に帰還する。この方式なら、射程を約1.5倍に延伸できる。
    たぶん、実際は、けん引専用USVとセットになった「システム」になっていると思います。ウクライナ軍が公開したのは単独のUSVユニットで、システム全体の情報は秘匿されたまま。「システムの射程」は「単独のUSVの射程」の2倍以上に延ばせるでしょうね。

    2
    • Natto
    • 2022年 11月 20日

    適当な母船があるなら太平洋側みたいに遠方の港も狙える?

    1
    • rara
    • 2022年 11月 21日

    キロ級とて 入港し整備補給を受けないといけない事に誰もふれない件
    仮に洋上補給だとしても、それを監視されていれば同じことですよね
    キロ級の運用すら制限がされれてますよ

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