スイスの公共メディア「SRG SSR/スイス放送協会」は次期戦闘機の選定で最も高い評価を獲得したのはF-35Aだと21日に報じて注目を集めている。
参考:Amherd will den «Ferrari der Lüfte» kaufen
参考:Lockheed Martin F-35 leads in Swiss fighter jet evaluation – TV
評価プロセスで圧倒的に高い評価を記録したF-35Aを本当に次期戦闘機の選定結果として発表するのかは政治的な決断次第
スイスの国民は昨年9月に実施された国民投票で政府が進めている約65億ドル/約6,750億円の次期戦闘機調達プログラムを承認、これを受けて政府はF/A-18C/Dの後継機として提案されているF-35A、F/A-18E/F、タイフーン、ラファールの中(グリペンE/Fは2023年引き渡し開始の条件を満たせなかった除外)から1機種を選び2022年までに契約を結ぶ予定なのだが、選定結果は6月中に発表される見通しで6月上旬には「フランスが提案したラファールが最も勝者に近い」と現地メディアが報道していた。
ラファール勝利の理由は幾つかの根拠で構成されており、1つ目はスイス軍が新たに調達した空中監視システムがフランスのタレス製でラファールとシームレスな情報共有で他機種よりも有利だという点、2つ目は少なくないスイスの政治家が米国製戦闘機の導入に反対(スイスはデータの主権に厳格でブラックボックスの多い米国製はスイスの主権を犯すと考えている)している点、3つ目はスイス議会で安全保障の議論の際に政府側がラファールを例に出してきた点などを挙げて「ラファール勝利」を報じていたのだが、ここに来て現地メディアのSRG SSRが最も高い評価を獲得したのはF-35Aだと主張して注目を集めている。
SRGのドイツ語放送プログラム「Rundschau」は複数の関係者に取材を行い裏をとった確かな情報だと説明した上で「F-35Aがスイス政府の評価プロセスで圧倒的に高い評価を記録したためヴィオラ・アムヘルト国防相は議会にF-35Aの調達を要請するしかない」と報じており、選定結果を発表するためメディア向けのプレスリリースも作成済みらしい。
もう少し具体的に説明すると提案された4機種の中で唯一の第5世代戦闘機「F-35A」は最も技術的に優れているのだが、未解決の不具合や高価な運用コストの問題に加えスイス特有の地形に対する疑念=つまり狭い山岳地帯で運用するため上昇性能が劣るF-35Aでは不安があるとスイス側は見ていた。
しかしロッキード・マーティンは評価プロセスの過程でスイス側が問題視していた全ての疑念を払拭することに成功、さらに同じ調達コストで競合機よりも多く機体を調達できることが確認され資金面でも高い評価を獲得したが、競合機よりも特に優れていたのはF-35のシミュレーターが提供できる訓練プログラムの豊富さで「実機を飛ばすことなく様々な環境下でのシナリオを実行できるため運用コストの削減や環境保護にも役立つと評価された」とRundschauは報じている。
しかし次期戦闘機選定の勝者に高い評価を獲得したF-35Aが選ばれるのかは未知数だ。
米国製戦闘機の導入はEUとスイスの関係に影響を及ぼすだけでなく、F-35A導入に反対する議員や一部の団体の抵抗に直面することが予想されるため政治的リスクが大きい=つまりF-35Aを導入するなら再び国民投票を実施する必要があり次期戦闘機導入スケジュールを守ることが難しくなるとRundschauは予測して「政治判断によってF-35A以外の選択肢に変更される可能性も十分ありえる」と主張しているのが興味深い。
実際、次期戦闘機の選定結果は今週の23日に発表される予定だったのだが政治的な調整がつかず30日に延期されたとRundschauは報じており、評価プロセスで圧倒的に高い評価を記録したF-35Aを本当に次期戦闘機の選定結果として発表するのかは政治的な決断にかかっているという意味だ。
恐らく30日までの1週間で様々な憶測が飛び交うことになると思われるが、F/A-18E/Fとタイフーンを勝者に予測するメディアが皆無なのが何とも残念で仕方がない。
関連記事:破竹の勢いを見せるフランス製戦闘機、スイスもF-35Aではなくラファール導入に傾く?
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Mary Begy
グリペンは…
グリペンNGじゃダメか…
F-16Vにシェアを駆逐されかねん勢いだし。
というか、元々グリペンにするはずだったのが国民投票で否決されたのがことの始まり
そんな経緯なんでサーブは最初から不参加
ちなみに、その時は評価そのものはラファールが一番高得点だったりする
が、コストでグリペンになって、それが国民投票で否決と言うオチ
NGだけに
領空も狭い上にEUという肉壁に囲まれてるから、グリペンでも性能的には大丈夫だろうが、政治的に色々あったからなグリペン。
勝利者については続報を待つとして、人口が日本の13分の1程度の国が、65億ドルで戦闘機プログラムを進めるというのが。
海軍の要らない国、トップクラスの富裕国とは言え、自主自立の道を歩むのは楽では無いって思うよ
何でも反対していれば平和が続くと信じてるお花畑は、現実の平和国家には存在しないのね
リヒテンシュタインみたいに軍がない平和国家だってあるしルクセンブルクみたいに国に見合った程度のミニ軍しかないところだってある
本当に周りに敵さえいなければ軍事費なんていくらだって削減しようと思えば削減できはするさ。敵さえいなければ、だが
日本も一部のネトウヨが敵視してるだけで基本的に近隣諸国には「敵」なんてないのでは?
自衛隊を無くせば高齢者の生活支援へ莫大な経費を出せ、それは回り回って高齢化社会に置ける今と将来の若者達の負担を劇的に軽減させる事になるでしょう
その理屈をまず近隣国とやらで語ると良い
相互の平和保証に反論はしないよw
軍事力はあってもなくても戦争を誘発するんだから、真に平和を望み歴史に学ぶ人間なら「どの様な軍備なら地域の平和が維持されるか」という議論はあっても
自衛隊を無くせばなんて決して言えないし、本気で言ってるなら歴史から何も学んでない
社会保障費が100兆超えてるのに、たった5兆増えた程度で劇的に軽減とか、算数もできないエバグレか何かですか。社会保障費を4%増やしたら少子高齢化が劇的に改善するならとっくの前に解決しとるやろ。
日本を含め、台湾やアメリカも望んでるのは現状維持
それを一方的に破ろうとしてるのは中国
香港にでも行って直接中国共産党に言ってくれ
帰ってこれるかは知らんけど
冷戦時代から北方でにらみ合ってる国や、レーダー照射してくる国や、尖閣諸島を奪おうとしてくる国が仮想敵でなくて何なのかw
日本との国境線の画定交渉すら拒否しているような国に
日本に対する敵意が無いと見做すのは
流石に無理があるぞ
因みに日本の隣国で、日本との国境線が画定されているのは
アメリカとパラオだけだ
中国、韓国、北朝鮮、ロシアは日本との国境線の画定交渉自体を拒否している
隣国との国境線の画定交渉を拒否する・・・というのが安全保障上
どういうメッセージを意味するのくらいは解るよね?解るよね?
またお前かよ、そういうのは自分のマジキチ速報でやってろ
周辺国に敵国がいない?
ネタなのかもしれませんが・・・。
ロシア→北方領土を占領中。
韓国→竹島を占領中。
中国→尖閣諸島を侵略中。
北朝鮮→日本国民を拉致中。
むしろ、これだけ周辺が敵国ばかりの国はなかなか存在しないと思います。
それでもルクセンブルクなんかNATOにも加盟してるし、ナチスドイツの侵攻に対してはわずか400人の国防軍で立ち向かってる
小さな勇者ですよ
リヒテンシュタインは自前の軍備がないだけでスイスの軍事的庇護下でしょ
政治的(外交とか財政面とか)にも性能的にもF-35いらないんじゃないの。
現実問題として敵いないんだし。同盟関係にもないから義理で軍隊派遣することもない。
維持費かからないお飾りで十分でしょ。
一応脅威としてロシアを意識していて、NATOに加入してはいないけどパートナーとして参加することはある
という意味で全く無意味ではないんだろうけど
別にF-35でなくてよかったのでは感すごいな
まあ、運用コストで叩かれてはいるけど導入コストは安いし
将来の戦場の変化とか、記事中にある
> 実機を飛ばすことなく様々な環境下でのシナリオを実行できるため運用コストの削減や環境保護にも役立つと評価された
というあたりも含めて、結果的に安くつくと踏んだのかもしれない
スイス空軍にF-35ってよくわからねぇな
そら一番強いのはって言えばF-35だろうけど、ヨーロッパの中でも比較的差し迫った危険もなさそうだし性能的にラファールでも十分だったんじゃ?
グリペンすら高くて要らないって言ったんだからステルス機なせいで維持費が絶対に一定以上かかるF-35は評価こそしても選びはしないと思うけどね
ラファールで決まるんじゃない?
飛行時間辺りの運用コストはF-35の方が高くても
訓練の大半をシミュレーターで済ませて
飛行時間を大幅に削減できるのであれば
全体の運用コストは圧縮出来るんじゃない?
>政治家が米国製戦闘機の導入に反対(スイスはデータの主権に厳格でブラックボックスの多い米国製はスイスの主権を犯すと考えている)している点
従来機のF/A-18C/Dとかで、何かトラブルあったのかな?
>高価な運用コストの問題に加えスイス特有の地形に対する疑念=つまり狭い山岳地帯で運用するため上昇性能が劣るF-35Aでは不安があるとスイス側は見ていた。
運用コストは、シミュレータの活用とかの総合的な方向で解消するようだけど、
上昇性能はどう対処したのだろう?
搭載燃料を減らすなどダイエットするのかな?
>スイス側が問題視していた全ての疑念を払拭することに成功
と言ってるんだから評価してみたら上昇性能を含めて
要求性能を満たしてたんだろ。
まあ少なくともF/A-18E/Fよりその辺り優れてるはずだから基準は満たしてるんじゃないかな
あるいは、可変サイクルエンジンによって改善する見込みとか
知らんけど
F-35の調達数が増えるなら日本としては歓迎すべきかな
それな
こっちにオイデ…オイデ…
F-35を選ぶと整備や訓練を周辺国の施設に委託出来るメリットはあるかもですね。
短距離離陸ならF-35Bだと思うがなあ。
スイスって機種選定にも国民投票すんの!?
国民投票の基準が知りたい
一定の人数が集まればいろんな議題を年4回ある国民投票にかけられるんだそうな
決まっていたグリペンNG導入が国民投票で拒否されたときは戦闘機更新事業そのものが争点。
今回は昨年の国民投票において賛成50.1%という僅差で可決された。
それを受け今年夏までに選定機種決定という流れのようです。
機種選定を国民投票で行うわけじゃないですね。
スイスでは所定の署名を集めることで「国民発議」という形で国民投票を実施できるらしいですよ。
公布後100日以内に5万人以上の署名を集めるか8つ以上の州の請求で国民投票に進める
ちなみに、18ヶ月で10万人以上の署名を集めると、憲法改正の国民投票までできちゃう
教えてくれてありがとうございます
すごいコストかけてやってるねえ
必要経費感覚なんだろう
国民に政治への主体感と責任を自覚させる手続きとして有効だよ
民度の高さが伺える
個人的には物価の高いのが辛かったが
以前取り上げられていた件だけど、次世代機の導入数はいかほどに?
今のスイス空軍は、F-18を33、F-5を30+α保有しているが
ちょっと前の記事を読み返して見たらオフセット契約でタイフーンが~とかラファールがとかあったね。インドネシア程ではないにせよこっちもかなり混沌としてますな。
国の予算規模からすると豪華に見えるけど地政学的にも必要な投資で維持しなきゃ蹂躙されてきた歴史があるもんね
F-35はブラックボックスが権利を侵害し国益を損ねるのはほんとにそう思う
永世中立国という性質上ブラックボックスが多いのはF-35を導入する上ではネックだな
東西にやや長い国土だが約300km 亜音速900km/hでも20分
対空SAMとか哨戒機充実させた方がいいのでは?
>対空SAM
なんだその頭痛が痛いみたいなやつ
ラファールちゃんつよす
F-35は当然最強だけど飛行時間あたりのコストがF-15の倍の350万円と言うのが…
スクランブル貧乏になってしまう
日本もラファールちゃん買いましょうよ
なんか日本だとタイフーンが次期F-X候補だったせいもあるかもしれんけど、タイフーンと比べて否定的なニュアンスで語られることが多かった気がするけど
存在感をどんどん失っていくタイフーンに比べてめちゃくちゃ頑張ってるな、ラファール
でも日本には要らないと思う
スイスが永世中立で空軍機も旧式で稼働率が低いのをいいことに
ロシア軍機が勝手にスイス領空を通過していったり
ロシア軍機の領空侵犯機に対処する旧式のスクランブル機が追いつけず警告も無視された事例とかがあるわけなので
スイスの国民はともかく軍部は真剣にF-35が欲しいんだろ
もう何年もスイスとEUの二者交渉はうまく回ってなくて、市場アクセスや人の移動に関する最低限の協定の存続も怪しいくらいには両者は関係がこじれている。F35という選択は、スイスのヨーロッパに対するプライドが反映されたブラフじゃないか。
とはいえ隣国オーストリアはF35よりいくらか廉価なタイフーンですら持て余しているというのに、国民投票で否決されず本当に買うことになったらどうするつもりなんだ。
至って当然。
今後下手をすると50年は使うわけで、国際関係や補修部品の調達とかも絡んでくる。
部品関係なんかは、すぐに入手できるか?というのもあるし、アメリカがAH-64DブロックIIの調達がが終了して、部品の入手が困難になり日本のAH-64Dの調達中止したとかを見ると当然先を考えないといけないわな。
F35に決まりましたね