ポーランドとバルト諸国は先月18日「国家を守るためオタワ条約の破棄で一致した」と発表したが、ロシアと接する国境が最も長いフィランドのストゥブ大統領も1日「オタワ条約からの脱退」を表明、オルポ首相も「条約脱退で安全保障環境の変化により柔軟な対応が可能になる」と述べた。
参考:Poland eyes 1 million landmines for borders with Belarus, Russia
オタワ条約から脱退することで安全保障環境の変化により柔軟な対応が可能になる
ポーランドのトゥスク首相は先月7日「我々はウクライナの安全保障に米国関与を期待しているが、希望は決して戦略の代わりにはならない」と述べて「ポーランド軍を50万人に拡張する可能性」や「オタワ条約=対人地雷禁止条約からの離脱も含む防衛力強化の検討」に言及し、ポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニアの国防相は18日「国家を守るためオタワ条約の破棄で一致した」と発表した。

出典:Kancelaria Prezesa Rady Ministrów
ポーランド政府は「オタワ条約批准以降、我々の安全保障環境は著しく悪化し、ロシアやベラルーシと国境を接するNATO加盟国への軍事的脅威が大幅に増大している。これに対応するにはポーランド軍に柔軟性と選択肢を与えることが重要で、ポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニアの国防相は全員一致でオタワ条約の破棄を勧告する。我々の決定は『領土と自由を守るため必要な如何なる手段も用いることができる』という明確なメッセージだ」と説明。
NATO加盟国の中でロシアと接する国境が最も長いフィランドもオタワ条約脱退を示唆してきたが、ストゥブ大統領は1日「我々は安全保障環境の変化に対応するため2つの重要な決定を下した。フィンランドは2029年までに国防費をGDP比3.0%に引き上げ、オタワ条約からの脱退に備える。この決定は関係省庁と国防軍による徹底的な評価に基づいている」と発表。
The Finnish Government has today taken two key decisions, reflecting the changes in our security environment.
First, Finland will raise its defence expenditure to 3% of GDP by 2029. This is a part of Finland’s contribution to Europe taking greater responsibility for our own…
— Alexander Stubb (@alexstubb) April 1, 2025
オルポ首相も「オタワ条約から脱退することで安全保障環境の変化により柔軟な対応が可能になる」と述べ、Defense Newsも「地雷は長期に渡って民間人を危険にさらすかもしれないが、ウクライナは地雷のお陰で領土を効果的に防衛することが出来ている」と指摘した。
地雷は侵略から領土を防衛するのに、侵略者の軍事作戦や行動を制限するのに効果的で、米国、ロシア、中国、インド、イスラエル、エジプト、イラン、サウジアラビア、韓国、北朝鮮、台湾といった国はオタワ条約に署名しておらず、こういった国と陸続きで敵対する国にとってオタワ条約は「主権を守るための効果的な手段を自発的に放棄する行為」であり、対人地雷が引き起こす悲劇よりも「現実的な目の前の脅威」に備える必要がある。

出典:public domain
因みにポーランドはオタワ条約からの脱退手続きについて「内閣、議会、大統領が承認後、国連への脱退を通告することで手続きが完了する(手続きにかかる時間は約6ヶ月間)」と説明、ポーランド軍も「東部国境を保護するのに数十万個~最大100万個の地雷が必要になる」と述べ、政府も地雷を国内調達するため既に動き出している。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Sgt. 1st Class Jon Soucy
軍事力を制限したら平和になるというのがいかに無意味な綺麗ごとであるか
ようやく世界が気づき始めたようですね。
制限というより、戦争が起こるのは仕方ないけど、できるだけ被害を少なくしようという話なんですけど
結局、安価で大量に生産できる地雷に代わるものが無かったという事でしょうね
ワイヤー起動でなければ、条約には引っかからない指向性対人地雷が、イメージ写真になるのは、地雷関係の映える構図が少ないんでしょうかね。
日本ですら、現在も採用し続けている製品を条約脱退の記事にってのはミスリードですけど。
主権国家の判断ですから尊重しますが、もうこれからは覚悟のない綺麗事で他国を責めることのないようにしてもらいたいですね。
ダブスタで他国を叩くのは「国際社会の常識」なので…🙄
常識が人間を腐らすなら、その常識は価値がなく、間違った常識を因習としているだけになる。
ダブスタで他国を叩くのが「19世紀頃から欧米が中心になって作り上げた既存の国際社会の常識」なら、その社会形態は一度解体するべきだろう。今のままでは絶対に碌な未来に繋がらない。
我が国の場合、水際で敵を叩くのに効果的なクラスター弾禁止条約(オスロ条約)から脱退すべきでは?
果たしてできるのだろうか。
総理云々とか以前の問題として。
現実の国防を考えれば、『地雷反対!」みたない理想論・建前を言ってられなくなったのでしょう。
カレリア地峡が最初から突破されている状態ですから、ヘルシンキ(首都)防衛は、かなり厳しいんですよね。
ウクライナ戦争は、ペレコープ地峡(ウクライナ南部~クリミア)に地雷をまともに設置せずに突破されて、南部奪還が非常に困難なのが戦訓です。
フィンランドは、その防衛の要衝すら、なくなっているんですよね…
ウクライナみたいに条約を批准しているにも関わらず対人地雷をしかも居住地に対して使用している国があるのに何の処罰もないんだからこんな条約既に有名無実化してるだろ
なんでウクライナが脱退しないのか不思議に思っていたら
>対人地雷禁止条約第20条2項によれば、締約国が武力紛争に巻き込まれている場合、武力紛争が終了するまで同条約から脱退することができない。また、同条約は留保ができない。
ウクライナ:禁止の対人地雷、民間人に危害をもたらす:ヒューマン・ライツ・ウォッチ
だそうで、ひでえ条約だな。
まあ戦時中にやっぱ抜けるわって出来るようじゃ条約の意味ないしっていうのはわかる
まさか抜けずに使って何のお咎めもないとは思わんわ
ウクライナがPFM-1を使ってるのは事実だが居住地に使ったとかいうのは真偽不明のプロパガンダでしかないよ。
ファクトチェック組織のWojownicy Klawiaturyも証拠不十分としている。
そもそも両軍が使ってるんだからどこで見つかったのがどっちのものとか明確にはわからない。
ロシアが使ってるのは進攻の邪魔にならないPOM-3でPMF-1の使用は確認されてない
居住地に使ったのがプロパガンダだと?直近でスジャに撒いておいて何いってんの?
いやロシア軍も使ってるのは確か。西側メディア以外にもThe Indian Expressが報じている。
名前空白君はどうしてこうロシアの主張だけそっくりそのまま信じて擁護するのかな?
日本の紹介、領空にたびたび侵入し、北方領土も占領している信用できない国なのに。
ロシア帝国の時代から考えたらフィンランドやバルトはロシア勢力下だったわけであきらかに勢力圏が弱まってるなあ
歴史的に考えるとそこからの反発を見込むのは分からないでもない
戦後の地雷で事故が起きて民間人が死んだなら、それは設置させた側の責任だ。平時なら設置したくせに管理してない軍の責任だがねり
これじゃオワタ条約ですね
出羽守はこういう事では日本も北欧を見習えとは言わない。日本にとって有利になるからね。
ワイヤー式の指向性対人地雷はドローンで操作兵を倒すことや
ワイヤーをひっかけて釣り上げ切断や本体転倒で無効化されそうな気が
やはり昔ながらの地面埋設式が必要かと
マジノ線て地雷原設定していなかったのだろうか。
スロビキンラインは地雷原だけではなかったような。
敗走中に地雷をばらまくのはあるが、そういう地雷は、撤去するときが難儀だからなあ。
しかも、敗走する正義の軍の後を国民がくっついて避難してくるから、その連中は地雷で吹き飛ばしても、
正義の軍隊が残ればよい、という覚悟が必要だろうな。
どこの国も国境線てきっちり確定しているのかな。戦争にならないためには、国境の内側に設定するしかないのでは。
確かに防衛手段が増えるのは、軍にとってはありがたいと思うが、一度地雷原設定すると、道路を拡幅しにくくなると思うなあ。
国境の自由通行が妨げられるのであれば、それによって経済活動が滞り、国債を買ってもらえなくなれば、肝心の工兵が地雷を設定できなくなる。
兵器というのは使い方が難しいのだろうなあ。