欧州関連

フィンランド防衛産業のベストセラー、リトアニアもパトリア6×6を936両購入

リトアニア国家国防評議会は27日「2万人以上の兵士を安全に前線へ送り届けるためパトリア6×6を936両購入する」と発表、これでパトリア6×6の発注数は2,200両以上になり、4,000両以上の潜在的需要と合わせるとNATO標準の装甲兵員輸送車といっても差し支えない。

参考:Lithuania to buy 936 Finnish-made Patria armoured vehicles
参考:Patria set for technology transfer to Lithuania in the CAVS programme

リトアニアやドイツの調達量が異常なのではなく「ウクライナの教訓に学んだ現実的な対応」とも言える

リトアニア陸軍は2015年に徴兵制(対象は18歳~23歳の男性、無作為抽選で毎年3,500人を招集、徴兵期間は9ヶ月間)を再導入し、現役12,000人、志願兵5,500人、徴集兵3,500人(2026年から4,000人に増強)で構成され、2025年1月には機械化歩兵旅団や志願兵・予備役に訓練を提供する国防義勇軍(予備旅団)の4個旅団を師団に再編し、戦車大隊を創設するためレオパルト2A8×44両とCV90×100両を発注した。

出典:Ministry of National Defence of the Republic of Lithuania/ Federal Ministry of Defence

さらに再編した第1師団の砲兵大隊向けにカエサルMK.2×48両、HIMARS×16両(ATACMSを含む800発以上の弾薬)を発注済みで、アップグレードしたPzH2000 A2×18両と共に強力な長距離射撃能力を形成し、従来の編成に組み込まれていた無人機部隊も長距離軍用ドローン部隊(Armed Forces have created a new unit for autonomous long-range unmanned operations=ANBO)として独立部隊になり、無人機を使用した偵察、攻撃、防御、長距離攻撃、対ドローン、電子戦能力の一元化も行われている。

リトアニア国家国防評議会は27日「2万人以上の兵士を安全に前線へ送り届けるため、フィンランドからパトリア6×6を936両購入することを承認した」「調達するパトリア6×6には医療搬送向け、MSHORADを搭載した防空向け、工兵向けの車両も含まれる」「2030年までに300両を取得する」「パトリア6×6調達計画には2036年までに約15億ユーロの費用がかかる」「この調達ではパトリア6×6生産の一部を国内で行う」と発表し、パトリアが主導する共通装甲車両システム(CAVS)計画への参加国は8ヶ国に広がった。

CAVS参加国(フィンランド、ラトビア、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、ドイツ、英国、リトアニア)とウクライナからの確定発注だけで2,200両以上、確定発注に含まれる追加調達オプションや潜在的需要を合わせると4,000両以上の需要が見込まれ、パトリア6×6の調達コストも1両あたり100万ドル~200万ドル(車両構成によって変動)で競合よりも圧倒的に安価で、もうNATO標準の装甲兵員輸送車といっても差し支えない。

それでもリトアニア単独でパトリア6×6を936両も購入するのは圧倒的だが、ドイツも349両(オプション行使で追加527両)調達以外にFuchs後継として3,500両調達を検討しており、ウクライナ戦争でも前線に兵士を移動させる車両は消耗が激しいため、リトアニアやドイツの調達量が異常なのではなく「ウクライナの教訓に学んだ現実的な対応」とも言える。

関連記事:フィンランド防衛産業のベストセラー、英国とノルウェーもPatria6×6に合流
関連記事:欧州最強を目指すドイツ、ボクサー5,000輌とPatria3,500輌の調達を準備中
関連記事:納期が早いPatria6×6に発注が集中、デンマークも130輌調達を発表
関連記事:ドイツ、Patria6×6とNEMOを組み合わせた火力支援車両開発で合意
関連記事:リトアニア史上最大の契約、ドイツとLeopard2A8購入契約を締結
関連記事:リトアニアが戦車大隊の創設を決定、Leopard2A8とCV90の導入が濃厚

 

※アイキャッチ画像の出典:Patria

ウクライナがEU資金で新型グリペンを20機調達、スウェーデンは旧型16機を供与前のページ

オーストラリア国防産業相、MQ-28初輸出に向けて潜在的顧客ドイツを優遇次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    フランスのマクロン大統領、年内に7万クラスの次世代空母建造を発表か

    フランスのパルリ国防大臣は23日、空母シャルル・ド・ゴールの後継艦とな…

  2. 欧州関連

    ドイツ、次期主力戦車「MGCS」開発計画に参加する新しいパートナー国を今年9月に発表?

    ドイツの国防当局者は9月に開催されるMGCSプログラムの独仏協議後に新…

  3. 欧州関連

    スイスが急ぐ第二の防空システム導入、フランスと韓国の一騎打ちか

    スイスはパトリオット納入に関する米国やドイツとの協議が決裂して第二の防…

  4. 欧州関連

    キーウは無事、クロピヴニツキーの飛行場にロシア軍の巡航ミサイルが命中

    今日もロシア軍はウクライナを巡航ミサイルとイラン製無人機で攻撃、空軍の…

  5. 欧州関連

    ポーランド陸軍向けK2PLは2028年配備、対ドローン対策は3段構え

    ポーランドは韓国とK2を1,000両購入する枠組みで合意し、2025年…

コメント

  • コメント (16)

  • トラックバックは利用できません。

    • 無印
    • 2026年 5月 29日

    MSHORADってストライカーに載ってるアレかな?と思ったら、よく似た名前の防空システムがサーブにあるのね

    2
    • hogehoge
    • 2026年 5月 29日

    日本もLAV後継はpatria6x6でいいよ
    イーグルとかハウケイとかって話もあったけど、そんなに値段変わらないなら普通にこの6輪装甲輸送車の方が良いと思う
    その上で古い高機動車も新しいエアコン付きの高機動車にさっさと入れ替えてやれ

    21
      • ss
      • 2026年 5月 29日

      LAVとはサイズが違うし、日本国内でこの車両だと入っていけない場所が多すぎて使い物にならない
      日本のあらゆる田舎道や道幅の狭い市街地に入っていける装甲車両ってなかなかなくて今のLAVでも難しい

      そもそもLAV後継は兵員輸送車じゃないし、偵察や後方で使うもの
      96式後継としてAMVが高価で数が揃わない時の代わりなら考えられる

      11
        • ななし
        • 2026年 5月 30日

        96式後継は96式再生産か82式CCV/87式RCVをベースに兵員輸送車型を開発で良かったと思うわ、物価変動加味しても大量調達なら1両2~4億で済んだろう、AMV高コスト過ぎ且つ共通戦術装輪車と規模と価格が類似する高コストのプラットホームを平行調達は馬鹿げてる

        2
          • 無印
          • 2026年 5月 31日

          小松は防衛事業もうやらないので、小松製装甲車の未来は、無い
          むしろ装輪装甲車(改)やNBC偵察車の出来を見たら、小松が撤退して、その代わりにパトリアが入って来たのは、良かったって話だ

          5
          • 特盛
          • 2026年 6月 02日

          82式CCV/87式RCVをベースってさすがに設計が古すぎるし容量も小さいという問題があって後継のはずが劣化している事態になるのだが。

      • ななし
      • 2026年 5月 30日

      LAV後継はLAVで良いと思うわ、纏まった数あるんだから既存車両の延命と新規調達を平行して行い数の確保を最優先する

      2
      • 薄目
      • 2026年 5月 30日

      偵察・連絡用にはパトリア6×6は向いてないけど、APC代わりに使ってるLAVの後継はこれが良い。というかなんで陸自は6×6と8×8のハイ・ローミックスで運用を考えなかったのか不思議。ベストだったのはパトリア6×6と三菱8×8での運用だったと思うけど。

      4
        • nachteule
        • 2026年 5月 31日

         車両の素性的に16式ベース車両を海外の高脅威度環境に持っていくってのは考えにくいので現状がベターでしょうね。何でハイローミックスで考えなかったかと言うならベストと言う理由を列挙するのが筋です。
         もがみ型整備時と同じ理由でお金が無いからAPC代わりにしているLAV運用が歪な状態であって、それを正として考えるのが間違いでしょう。

         パトリア6×6のサイズ感は最も大きい10tのコンクリートミキサー車レベルです、LAVのサイズ感はハマーH2とかランクル300レベルで重量だって最低2倍位の差はあるでしょう、そもそも比較対象にすらならないんですよ。
         可能な限り日本のあらゆる所での使用を想定した場合、どちらが使いやすいですかね?と言うか離島とか山岳地帯での狭い道での運用とか考えていますか?
         平時に移動させるにしたってすれ違いとかでも気を遣い小さい橋を渡るにしても慎重になる必要がある、襲撃を受けた時に動かしづらくて的になるとか輸送の問題とか装甲車両の最低レベルがPatria 6×6と言うのはランニングコストや規模感で言うなら行きすぎでしょう。

         例を変えますが想像してみて下さい、現状軽装甲機動車でやっている任務を直近で生徒が死亡した磐越道マイクロバス事故の車両を一回り位大きくしたサイズの車両でやると言うのは現実的な解なのか、自分は層は思いません。

        6
    • SB
    • 2026年 5月 29日

    6×6とAMV XPってどれくらい防護力違うんだろうと思って調べたら、6×6が標準でSTANAG Level2、オプションでLevel4でまあこんなもんかと思ってたら、AMV XPの弾道耐性がLevel5~相当、防爆でLevel4a/4bでビックリした

    日本は将来的な後方用APCもAMV派生を検討してるそうだけどちょっと過剰性能じゃないか?

    8
    • m
    • 2026年 5月 29日

    パトリアって性能もデザインも良いから秀逸な設計だと思う。正面から見たキリッとした顔がたまらん。

    17
    • たむごん
    • 2026年 5月 29日

    基本に立ち返ってる感じがしますね。

    『乗り物は道具』道具の損耗が、今までの想定を上回ったのであれば、大量調達しておくのは正しいのかなと感じています。

    『平和だからこそ使われなかった』実戦に使われなければ無駄だという批判もでるかと思いますが、平和の配当ということで(抑止力強化の)恩恵を得られたということでしょう。

    4
    • YF
    • 2026年 5月 29日

    日本のパトリアAMVの導入は紆余曲折あったためで、時期的にウクライナ戦争は影響ないとは思いますが810両の大胆な購入数はウクライナ戦争の経験考えると正解だったように思われますね。
    (日本ではウクライナや欧州が想定するような陸戦は、そうそう無いとは思いますが)
    これに24式装輪戦闘車が231両導入される事考えると軽装甲機動車の後継が宙に浮くのもある意味当然かもしれませんね。

    6
    • ななし
    • 2026年 5月 29日

    名だたる自動車メーカーが無いフィンランドからこういうベストセラー兵器が出るのが不思議
    これに限らず兵器ってたまに特定の国が得意なジャンルあるよね
    ボフォース 砲とかオート・メラーラ砲とか

    9
    • いそきち丸
    • 2026年 5月 29日

    FPVドローンの活躍は相当インパクトがあったんだな
    最近はヒズボラもFPVドローンを使い始めてイスラエルが苦戦してるようだし、他にもサヘルや大湖地方でも急速に広まってる。
    数だけ揃えるんじゃなくて戦術もどんどん取り入れるべきだと思うな。ヒズボラが公開してる1人称ドローンの動画を見ると、いつもイスラエル軍は開けたところに多数の戦車や装甲車両を密集させてるからすぐに狙われてる。ネットを張って守ってるけどほぼ無意味。
    これだけ数を揃えても、ウクライナ戦争の現場の戦術をより詳細に分析してフィードバックしないと全く無意味になってしまう

    9
    • 特盛
    • 2026年 6月 02日

    AMVxpを大量導入することに決めた日本も、その一部を6×6に振り替えてコストを圧縮することも考えていいのでは?とは思います。AMVとは共通のコンポーネントも多いため、車種を増やすことによる維持コストもさほど問題にならないように思います。

    1

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  2. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  3. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  4. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  5. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
PAGE TOP