チェコ政府は歩兵戦闘車BVP-2の後継にCV90MkIVを選択したと発表して国防省に導入交渉を行うよう指示、これでBAEのCV90MkIVはスロバキア陸軍に続きチェコ陸軍からも支持を獲得した。
参考:Czech Republic selects BAE’s CV90 as next fighting vehicle
不可解で唐突なIFV調達プログラムの結果は、チェコ国防省が実施した入札プロセスに関する不備が原因らしい
チェコ国防省は陸軍の歩兵戦闘車BVP-2を更新するためIFV調達プログラムを開始、これにBAEがCV90MkIV、GDELSがASCOD、RheinmetallがLynxKF41を提案していたものの「全ての提案が要求要件を満たしていない(車輌の技術特性に関する情報の欠落及び不正確さやチェコ防衛産業界との協力に関する情報の不足など)」と異例の発表を行い入札を中止、GDELSとRheinmetallは新しい入札条件の受け入れを拒否したためチェコ政府は「BAEとCV90MkIV導入に関する交渉」を国防省に許可した。
この不可解で唐突なIFV調達プログラムの結果は、チェコ国防省が実施した入札プロセスに関する不備が原因らしい。
単純に言えば手続きの不備で「契約内容の草案を提出していない入札者」や「予定価格を上回る提案をしてきた入札者」が排除されないままIFV調達プログラムの入札が進められていたため、もし「契約内容の草案」を提出していない入札者が選ばれれば契約交渉で揉める可能性が、契約額の約40%をチェコ産業界に直接投資する必要があるため「高額な提案」ほど産業協力で高い評価を得る可能性が高く、入札参加の条件に「損害賠償請求権の放棄」に関する条項を抜けていたため、入札を一方的に打ち切れば訴訟に発展するリスクが高かったと国防委員会は報告している。
つまり「正当な理由を提示することなく入札の打ち切り」や「損害賠償請求権の放棄」などを含む新しい入札条件をGDELSとRheinmetallが拒否したため、これを受け入れたBAEが優先交渉権を手に入れたいう話だ。
因みに国防委員会は主力戦車の更新についても「ドイツと締結したRingtausch=装備交換に縛られるべきではない」とも指摘している。
チェコはウクライナにT-72M1を提供した見返りとして「ドイツからレオパルト2A4を無償で15輌(将来的にA7+へアップグレードを予定)受け取る」と発表、さらに「レオパルト2A7+50輌導入のための交渉も開始する」と言及して注目を集めたが、国防委員会は「ポーランドがコンセプトの異なるM1エイブラムスとK2を導入するので、無償提供を受けてもレオパルト2の新規導入に拘るな=ちきんと入札を実施して複数機種の同時運用になっても構わない」と述べているのが興味深い。
関連記事:ドイツ、ウクライナへ重装備を提供したチェコにレオパルト2A4を寄贈
関連記事:要求する要件を満たしていない、チェコは次期歩兵戦闘車に提案された全提案を拒否
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※アイキャッチ画像の出典:BAESystems CV90
おっとぉ…
ここでもK-2の市場が生まれつつあるぅ…
戦車と歩兵戦闘車の区別をつけましょう。
日本語くらいちゃんと読めるようになろうぜ
日本語を読める能力があるなら、K21歩兵戦闘車で検索してみようね。
くやしいのぉw
3社中2社が撤退するような事業ですら採算化狙えるBAEって本当にスゲーと思う。
三菱重工業がMRJ含め色々事業大失敗しているのとホントに対称的に、色々な事業成功させててリスクマネジメントが上手い。
まぁ三菱重工業だけでなく日本全体なことだけど、BAEのリスクマネジメントの手法を真面目に学ばないとダメだな。
今年4月にBAEの日本法人ができたので、共同開発や売り込みの協力が進めば良いですね。もう色々と話が進んでいるのかもしれませんが。
>「正当な理由を提示することなく入札の打ち切り」や「損害賠償請求権の放棄」などを含む新しい入札条件
もしこれが実際に起これば採算も何もないように見える
MHI 自体は増収増益なんだよなぁ
数年前にGEから産業用ガスタービンのシェア1位取ったり米国の水素発電事業も受注したりしてるし
他の重工系と併せて脱炭素関連事業への期待で株価も上がってるけど
リンク
K2の市場もそうだけどドイツぇ…
BAEもここに来て存在感を増してきたな。栄枯盛衰というか欧州情勢は複雑怪奇というか。
すでに欧州7か国、チェコとスロバキア加えれば9ヶ国採用の、いわばNATO標準装備に近い立ち位置になりますからね、いざロシアと揉めたときになってアレコレ理由つけて支援を渋るような国からは買えないっていう東ヨーロッパ諸国の不安も察します
この辺は流石のブリテン仕草。
M1やK2を導入するポーランドから旧型になるレオパルド2A4を譲ってもらい、ドイツでA7にアップグレードとも想像しましたが、戦車数を増すことに重点を置いているためA4も売却は無理でしょうし、ドイツもA7の改造が手一杯でしょうね。
チェコの導入するMBTはポーランドが大量購入するK2系になるのでしょうか…
コンペを行う時期にもよるが、レオ2A7、M1エイブラムス、K2、K2PL、アルタイ、MGCS、KF-51、伊西共同開発戦車と選択肢はいっぱいあるぞ。
コンペ参加は企業次第だが
89式も正式化から30年たってるから新型に替わっていておかしくないんだが、その気配もなく、第七機甲師団の演習はさながら旧式兵器のオンパレード。せめて改修ぐらいはしてほしいもの。
これどうぞ
リンク
後継の共通装軌が試験中なんですがそれは…
異論は覚悟ですが、
第7師団は、将来の情勢変化に対応するため機甲部隊の運用ノウハウを継承・研究する部隊で、その装備は演習機材、と割り切れると気が楽になりますよ。
機甲部隊を投入する状況は蓋然性が極めて低い、てのが政府の情勢分析です。それでいて機甲師団を維持しているのは前述の理由によります。
現場は維持に苦労するでしょうが、89FVなども実動に問題無いうちは使い続けるでしょう。情勢判断に変化が生じない限り、後継装備導入の検討は物理的な退役時期を睨んで、ということになると思います。
だったら何で主力戦車だけ10式に切り替えたんですか感が強いですね…
IFVとセットで初めて力を発揮するのでは > MBT
単に予算が足りてなかったとしか。89式だって他国の機甲兵力に比べて異様なほど生産数の少ないのは、単価が高価で数が揃えられなかったと聞いてる
それに、ATMまで搭載した重武装でいくのか、軽武装で装甲強化する方向でいくのか、運用と要求にもブレのあったのを記憶してる
予算不足なわけがないでしょう、日本で運用がより制限され価格が高い90式なんて89式の7倍程の数を揃えてるんですよ。マトモな用兵家なら戦車の数を減らしてでもIFV増やすでしょう。
陸自の考えが偏りすぎているだけな気がします。
陸自がまともでないという話にするしかないのか、
いやIFVへの過大評価だよ、価格は大差ないのに火力も装甲も戦車に劣り戦車の代用にはなれないから
これはBMPを大量生産したソ連軍すら同じ論争になってるよ
普通の軍隊であればMBT2に対してIFV1で配備するのが普通だから、陸自と言う組織では真面な運用は期待できない。
90MBTは冷戦体制におけるソ連軍の北海道侵攻に備えることを最優先に開発された戦車です。その関係で通行可能な橋梁数等全国で運用するには問題があった。冷戦終結後にその点を改善する意味もあって、同等以上の戦闘力を持ちつつ全国展開への適合化を図り新規開発されたのが10MBTです。
89FVは全国運用に問題は無かったが、冷戦終結後の情勢下では調達費が高すぎた。少数生産で打ち切られたのはそれに尽きます。その後に計画された装輪IFVも白紙化されたわけで、ましてや装軌IFVをやです。
現在、第7師団第11普通科連隊は89FVと73APCで編成されていますが、ぶっちゃけ同部隊の73APCは89FVの代用です。演習では仮想IFVとして扱われたりしています。同師団の存続理由的にはそれでも良いわけなのかと。