欧州関連

欧州の無人戦闘機需要を巡る戦い、FQ-42A、FQ-44A、XQ-58Aが激突

ドイツ空軍は次世代戦闘機の実用化前に「有人戦闘機と協調可能な無人機が必要になる」と表明、AndurilはRheinmetallと提携して欧州版YFQ-44A、KratosもAirbusと提携して欧州版XQ-58Aの現地生産を発表していたが、General Atomicも17日「欧州版YFQ-42Aの現地生産」を発表した。

参考:A New Transatlantic Partnership for European CCA
参考:General Atomics plans robot wingman production for Europe

3社が「ドイツからの受注」を意識しているのは、意志=CCAの必要性と資金=巨額の国防投資の両方が揃っているためだ

米空軍のNGAD、米海軍のF/A-XX、仏独西のFCAS、英伊日のGCAPには有人戦闘機に随伴可能なウイングマン(自律的飛行が可能な無人戦闘機)が設定され、有人戦闘機の代わりにリスクの高い任務の一部を肩代わりしたり、有人戦闘機の認識力や戦場に運搬するペイロードを拡張したり、価格高騰で減少傾向が続く航空戦力の量を補完できると期待されているが、ウイングマンとの協調能力は次世代戦闘機のみが利用できる固有要件ではなく、既存の第5世代機や第4世代機向けに実用化が相当前台しされている。

出典:U.S. Air Force

米空軍は有人戦闘機に随伴可能な協調戦闘機=Collaborative Combat Aircraft(CCA)を1,000機調達する予定で、CCA第1弾調達=Increment1としてYFQ-42AとYFQ-44Aの生産を2026年度に決定する見込みだが、AndurilとRheinmetallは6月「欧州市場に参入するため両社は提携する」「欧州のサプライヤーを活用して無人戦闘機=YFQ-44A、超大規模生産と大量使用を前提に設計された低コスト巡航ミサイル=Barracudaの欧州バージョンを共同開発する方法を検討する」と発表。

KratosとAirbusも今月16日「両社はAirbus製のミッションシステムを組み込んだXQ-58A開発で提携し、2029年までにドイツ空軍向けの戦闘準備が整う予定だ」と、General Atomicも17日「YFQ-42Aに欧州製ミッションシステムを搭載したCCA提供に向けて大胆な一歩を踏み出した」「欧州製ミッションシステムの開発・製造はドイツの現地法人=General Atomics AeroTec Systemsが支援する」「NATOの戦闘機部隊向けに手頃な価格で大量生産が可能なCCAを提供する」と発表し、Anduril、Kratos、General Atomicは欧州市場におけるCCA需要の覇権を巡って激突する格好だ。

出典:EGLIN AIR FORCE BASE

この3社のアプローチは「米国で開発済みのプラットフォームを欧州に持ち込む」「欧州の主権を確保のため欧州で開発されたミッションシステムを採用する」「当面の目標はドイツ空軍からの受注獲得」という点が共通しているものの、欧州進出の方向についてAndurilとKratosは「現地企業との提携」を、General Atomicは「現地法人の活用」を選択し、3社とも欧州で生産したCCA提供を強調している。

欧州製ミッションシステムの採用は「欧州版CCAの制御システムに対する主権」「欧州版CCAに対する統合の自由」「トランプ政権に対する不確実性」に、現地企業との提携や現地法人の活用は「欧州再軍備計画の規制」「欧州域内の防衛産業産業基盤に対する貢献」「欧州域内の雇用創設」に対応するためで、平たく言えば「米国と外交・安全保障政策で対立しても欧州版CCAの運用は妨げられない」「欧州版CCAへの独自能力統合に米国務省の承認は不要」「欧州版CCAに対する投資で最大の利益を得るのは米産業界ではなく欧産業界」と言ったところだろう。

出典:U.S. Air Force

因みにAnduril、Kratos、General Atomicが「ドイツからの受注」を意識しているのは、意志=CCAの必要性と資金=巨額の国防投資の両方が揃っているためだ。

関連記事:KratosとAirbusがXQ-58Aの欧州バージョン開発を発表、ドイツに提案予定
関連記事:前例のないアプローチ、米空軍が開発している無人戦闘機の欧州生産を容認
関連記事:第4世代機とウイングマンの組み合わせ、英国とドイツが共同開発を発表
関連記事:AIRBUS、ベルリン国際航空宇宙ショーで無尾翼の無人ステルス機を公開

 

※アイキャッチ画像の出典:General Atomic

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コメント

  • コメント (10)

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    • p-tra
    • 2025年 7月 19日

    無人戦闘機には質より大量生産を意識した消耗前提のモデルが適切だと思うわ。
    宇露戦争より前はホビードローンなんて実戦の役に立たねーよって意見が主流
    だったのは確かに質的には戦闘機その他には全く劣るという事実があったからだが
    結局消耗可能なシステムこそ実戦で通用するので高価な戦闘機が接近拒否される一方で
    group1.2のドローンだけが前進して違いを作れた訳で。
    現代のGen4.5もあまりに高価で消耗不可能すぎる方向に進化してしまったように見える
    からここらでパラダイムシフト的変化を起こして欲しい。

    10
    • 58式素人
    • 2025年 7月 19日

    最近、MQ-28 ゴーストバットの記事がないですね。
    2021年初飛行だから、早い方だと思うのだけど。
    ボーイングが忙しくなったのかな。

    5
    •  
    • 2025年 7月 19日

    結局空の覇権(金の面も含めて)を米国が握り続ける構造がステルス戦闘機のロッキードに続いて無人戦闘機の米3社も確立させてきただけの話なんでは?
    特にドイツは無人機開発で英国と協調する予定な筈だが、英航空業界は除け者か?

    2
    • 名無しさん
    • 2025年 7月 19日

    日本が一番遅れてる分野
    友人戦闘機しか作れない😭

    2
      • 戦車
      • 2025年 7月 19日

      川崎と三菱重工で試作品を合計3機作っていて、三菱の試作機は今年の11月迄には飛行予定ですよ。

      9
        • バーナーキング
        • 2025年 7月 21日

        スバルやフジインバックの機体も既に納入済みですね。
        もちろん「UAV先進国」には程遠く、民生用無人機では先行してたのにどうしてこうなった、と残念ではありますが「作れない」は間違いだしむしろ有人戦闘機を(少なくとも主導国の一つとして)作れる国が世界にいくつあると…

        3
      • 無印
      • 2025年 7月 19日

      釣りかな?
      ツッコミ待ちかな?

      6
      • ななし
      • 2025年 7月 19日

      まず有人戦闘機を造れる国自体が数カ国しかないけどな

      5
      • AKI
      • 2025年 7月 20日

      作れんことはないが、日本だけの需要だとコストが心配。
      後は、f-35への統合は許可されないかもしれない。

    •  
    • 2025年 7月 19日

    結局ステルス戦闘機でロッキードがやった事(技術的に遅れた欧州に協業持ち掛けるが、結局米国が胴元なのには違いがない)を無人戦闘機でやるだけなんじゃないかな。
    無人機分野の発展を待つほかないだろうな。

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