フランスのマクロン大統領は13日「もはや宇宙空間は聖域ではなく戦場だ」「将来の戦争も宇宙で始まるため備えなければならない」「宇宙能力は陸海空の軍事作戦を成功させる条件だ」と述べ、宇宙分野の軍事予算を42億ユーロ(約7,500億円)増額すると発表した。
参考:Inauguration du Commandement de l’espace à Toulouse.
参考:JEWEL: France and Germany lay the foundation for a European early warning capability
参考:France announces almost $5B in new military space funding
仏独の宇宙分野に対する追加投資額は7兆円を超える見込みで、両国の宇宙産業や関連企業に投資している人々は大きな恩恵を受け取ることになるだろう
欧州の宇宙開発は23ヶ国が参加する欧州宇宙機関=ESAが中心的役割を、その中でもフランスは宇宙分野の研究開発、ESAへの出資、宇宙の軍事利用に年間30億ユーロ以上を投資しており、マクロン大統領は13日「もはや宇宙空間は聖域ではなく戦場だ」「現在の戦争は宇宙空間でも戦われている」「将来の戦争も宇宙で始まるため備えなければならない」「宇宙能力は陸海空の軍事作戦を成功させる条件だ」と述べ、宇宙分野の軍事予算を42億ユーロ増額(2026年から2030年までの5年分)すると発表した。
EN DIRECT | Discours du Président @EmmanuelMacron sur la stratégie spatiale nationale depuis le Commandement de l’espace à Toulouse. https://t.co/OM6w9ZKf4f
— Élysée (@Elysee) November 12, 2025
フランスは2027年までに低軌道上の脅威を監視する哨戒衛星を配備し、脅威となる衛星を妨害するレーザー搭載衛星の準備も進めている最中で、フランスとドイツは10月「弾道ミサイルや極超音速ミサイルの早期警戒能力を確立するためJoint Early Warning for a European Lookout=JEWELの取り組みを共同で進める」と発表し、JEWELは「弾道ミサイルの熱を検出する早期警戒衛星」「超水平線レーダーを含む様々な周波数帯域で作動する地上配備型レーダーのネットワーク化」で構成され、依存している米国の早期警戒システムから脱却するのは目標だ。
マクロン大統領も「この資金はドイツと協力して早期警戒能力の開発加速に役立つ」と述べたが、同時に「今回の投資は欧州の宇宙企業が世界市場で競争力を発揮できるよう育成する意図もある」「そのためには地理的な回帰メカニズムから脱却して競争的な市場に移行しなければならない」「さらに欧州各国は宇宙分野の契約に欧州優先を義務付けるべきだ」「同じことを米国や中国がやっていないと考えるのはナイーブだ」「この欧州優先は汚い言葉でも保護主義でもない」と訴えている。

出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Sebastian Romawac
Airbus、Thales、Leonardoも10月末「宇宙事業を統合するための新会社を設立する」と発表、Reutersは「SpaceXのStarlinkに対抗するためのものだ」と、Defense Newsも「欧州はSpaceXとの激しい競争に晒され、この競争に打ち勝つため巨大な宇宙産業企業を設立する」と報じており、マクロン大統領が言う「欧州の宇宙企業」はこれを指すのかもしれないが、フランスのド・ゴール主義的な投資を加味すると「これまで欧州の宇宙開発を主導してきた仏企業や仏宇宙産業の生き残り」を指しているかもしれない。
特にドイツは10月末「宇宙能力は陸海空の戦場を決定付ける重要な要素だ」「ドイツは宇宙分野においても大きな責任を担う覚悟がある」「サイバーセキュリティを含む宇宙安全保障に5年間で350億ユーロを投資する」と発表し、Breaking Defenseも今後5年間に両国が追加投資する規模(42億ユーロと350億ユーロ)に触れている。

出典:Isar Aerospace
Quilty Spaceのヘンリー氏は欧州宇宙産業の現状について過去「欧州で誰に電話すればいいかという問いに例えるなら、これまで宇宙産業についてはフランスが中心だった」「ドイツの大規模投資でフランスは欧州唯一の宇宙大国でいられなくなるかもしれない」「宇宙産業の中心がフランスからドイツに傾き始めている」「今回の投資はドイツの宇宙分野における自主性拡大に対する願望の集大成で、必要ならば単独でもそれを追求する意思の現れだ」と述べるほどで、フランスが資金力を背景にしたドイツの台頭を(商業的に)危惧しているのはほぼ確実だ。
どちらにしても仏独の宇宙分野に対する追加投資額は7兆円を超える見込みで、両国の宇宙産業や関連企業に投資している人々は大きな恩恵を受け取ることになるだろう。
関連記事:Airbus、Thales、Leonardo、宇宙事業を統合してStarlinkに対抗
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※アイキャッチ画像の出典:Élysée





















各国で衛星コンステレーションを構築すると、低軌道は衛星でミチミチになり、有事にはケスラーシンドローム待ったなしですな。
衛星への攻撃を禁止する国際条約でも作って欲しい。地雷やクラスター爆弾より、よほど深刻。
こんな野蛮な文明を地球外に出すべきではないからケスラーシンドロームが起きるようならそれはそれでいい。このまま閉じ込められて滅びるべき
今の所アメリカと中国に置いて行かれているので焦る気持ちも解りますが維持出来るのかと。SpaceXの収支見ると何社も存続出来る感じでは無いですね。国策ならまだしも多国籍合弁なんて。最近アメリカ外しで何とかてな風潮ですが、中東の独裁者倒したら部族対立で国バラバラみたいな感じに見えます。そもそも仲悪いですよねヨーロッパ諸国。
通貨発行権を持たない共通通貨国に、そんな財政面の余裕があるのでしょうか?
ユーロ懐疑派が台頭して来たので、面白くなって来ました。