インドを訪問中のパルリ仏国防相は17日、インド海軍の空母向けにラファールを供給する準備は整っていると発言して現地メディアが注目している。
参考:Ready to provide additional Rafale jets if India requires: French defence minister
3機種ともそれぞれ傷がある状況で、蓋を開けてみるまで誰が笑うことになるかは予想もつかない
インド海軍は空母ヴィクラマーディティヤで運用中のMiG-29K更新や建造中の空母ヴィクラントで使用する艦載機を調達するため海外製戦闘機の調達を発表、これに米国のF/A-18E/F、フランスのラファール、ロシアのMiG-35が手を挙げているものの肝心の国産空母建造が大幅に遅延したことを受けて艦載機調達への具体的な動きも低調に留まっていたが、2022年中の就役(艦載機を使用した発艦テストは2023年に実施予定)に目処がついたため再び注目を集めている。

出典:Indian Navy / GODL-India 公試中の空母「ヴィクラント」
ボーイングはスキージャンプ方式を採用する空母ヴィクラントでF/A-18E/Fが発艦できることを証明するためパタクセント・リバー海軍基地に建設されたスキージャンプ(F-35Bの発艦テスト向けに建設されたもの)を使用して同機の発艦テスト(2020年)を実施、機体側に特別な変更を加えることなく空母ヴィクラントからの発艦が可能だと証明した。
インドメディアは「フランスもダッソーも近々インド国内の試験施設でスキージャンプ方式による発艦テストを行う」と報じており、インドを訪問中のパルリ仏国防相も「空母ヴィクラントが間もなく登場することも、これに新しい戦闘機が必要になることも我々は知っていてラファールを供給するための準備は整っている」と言及しているのでフランス側もインド海軍の艦載機調達が「近々動く」と睨んでいるのかもしれない。

出典:ボーイング
問題は誰がインド海軍の心をつかむかだが、S-400問題との兼ね合いで米国製のF/A-18E/Fを選ぶのはリスクが高く、現行のMiG-29Kはメンテンス面での不満が多いためロシア側が何らかの不満解消を提示(マレーシアの軽戦闘機導入プログラムでも同様の指摘がある)しないかぎりMiG-35を選択するのもハードルが高いため消去法で行けばラファール優位だが、空軍導入時にフランスとの取り引きには不可解な点が多く見つかりフランスとインドの両国でスキャンダルに発展したことを考慮すると3機種ともそれぞれ傷がある状況だ。
さらにインド海軍の艦載機調達を不確かなものにしているのが双発タイプの新型艦上戦闘機をインドが開発すると言われている点で、インドは国産戦闘機「テジャス」を空母で運用できるよう改造した海軍仕様のプロトタイプ(NP)を開発して2020年1月にアレスティング・ワイヤーを使用した空母「ヴィクラマーディティヤ 」への着艦とスキージャンプからの発艦に成功、海軍仕様のテジャスMK.2 Navy開発に弾みがつくものと思われていたが、どうやらインドは単発機のテジャスを海軍仕様に改造するのを諦め双発タイプの艦上戦闘機を新しく開発すると報じられている。

出典:NDTV
印メディアの報道によれば新型艦上戦闘機は単発機の国産戦闘機「テジャス」を単純に双発化したものではなく全く別の完全な新型機として設計されるらしいが、第5世代戦闘機のようなステルス性能はそなえておらず、さらに新型戦闘機がテジャスと同じ無尾翼+ダブルデルタ翼になるのか、開発中のテジャスMK.2と同じ無尾翼+カナード+ダブルデルタ翼なるのか、それとも全く別のデザインになるのか不明だが少なくとも3つの機体デザインがコンピューターシミュレーションと風洞実験でテストされているらしい。
まぁ開発が初期段階の新型艦上戦闘機が空母ヴィクラントの実戦配備までに間に合うとは到底考えられないため常識的にいえばF/A-18E/F、ラファール、MiG-35の中から選択するのがベターだが、空母ヴィクラントの実戦配備が何らかの不具合で再び遅延することになれば新型艦上戦闘機の開発が追いつくという可能性もあるので、蓋を開けてみるまで誰が笑うことになるかは予想もつかない。
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※アイキャッチ画像の出典:Indian Air Force / GODL-India
>S-400問題との兼ね合いで米国製のF/A-18E/Fを選ぶのはリスクが高く、現行のMiG-29Kはメンテンス面での不満が多いためロシア側が何らかの不満解消を提示(マレーシアの軽戦闘機導入プログラムでも同様の指摘がある)しないかぎりMiG-35を選択するのもハードルが高いため消去法で行けばラファール優位だが、空軍導入時にフランスとの取り引きには不可解な点が多く見つかりフランスとインドの両国でスキャンダルに発展したことを考慮すると3機種ともそれぞれ傷がある状況だ。
問題の大きさなら、MiG-35が優位な気がするんだが。
そもそもフランスもオフセットしてないくせに、よく入札しようと思うなぁ。
面の皮が厚いってのは、日本も真似してほしいところだが。
MiG-35はこれまでのインド空海軍やマレーシア空軍でのMiG-29のメンテナンス上の実績が酷いですからね…。
フランスは最近ラファールが良く売れる様になったので、インドに対してこれまで以上に強気に出ている気がします。
インドは自国の空母艦載機に当面はステルス性は不要と考えているのだろうか?
まあ、インド洋周辺には海洋航空戦力がほとんどないからしばらくは不要かもしれないが
パキスタンに中華ステルス戦闘機が配備されても、そのままでいけるのかな
作れないし買える戦闘機がない、だけ
徹底的にF-35を無視するインド先輩
まあアメリカの許可がないと発進出来ない戦闘機なんて
マジモンの属国以外買わんわな
本音は、F-35Bがベストなのだろうが。
b型はアレスティングワイヤ掴めないし翼も畳めないからベストとは言い難いのでは
B型ならアレスティングワイヤもいらないし、そもそも翼面積も小さい
想像すればわかることだけど垂直着陸は運用効率悪めだし、大がかりな機構がある分性能も低めだからCの方が望ましいのでは
?
甲板にバリアー設置できるし、ブラスト熱を防御できるから、着艦と発艦を同時に行えて、むしろ運用効率挙げられるぞ
想像できてないのは、むしろ君なんだが…
しかもワイヤーを展開する必要がないので、着艦中も甲板に機材、人材が展開し続けられる
運用効率が下がるとは?
f-35Cじゃない?スパホができるならCもスキージャンプ発艦できそう
スウェーデンがアメリカの属国だって?
おい…最近F-35を採用した北欧の国はスウェーデンじゃ無くてフィンランドだった気がするんだが?
グリペン…
北欧諸国ごっちゃにする人が現れるところまで
テンプレになってない?
KFXネイビー(Coming soon)があるではないか
ラファールってカタパルトがあればまだしも、スキージャンプでは推力の問題で空母で使えるのかね?
イギリスのクイーンエリザベス級がCVFだった頃に、CTOL機のカタパルトとスキージャンプの検討をしたにラファールも検討に含まれて、早々にラファールとスキージャンプも消えていたはず。
まあ、CVFの時にはタイフーンも検討の対象に含まれていた記憶が有るから、その辺は御察しかな?
空軍導入時に不可解な、ね。
つまりはインドフランス双方ともまともに純軍事的な取引はやってないてことだ
とくにフランスは叩けばいくらでもホコリが出そう
ボーイング救済のために、
海軍だけじゃなく、空軍でもF/A-18EFを採用させて、大量発注の見返りでS-400の配備を黙認するっていう折衝案がでたりするかも?
性能面で見たら、まずラファールでしょう。
スパホは基本が(再設計年では無く)古く能力が低め。
Mig-35はメンテを別にしても戦闘行動半径が短く攻撃力も限定的(インド海軍がそれを求めるか不明だが)。
そもそも空軍はMig-35&スパホを蹴ってラファールを選んでる。
ラファールは低速性能も高いのでスキージャンプ運用は問題ないだろうし、空軍とも共通化できる。
政治面で見たら、スパホはアメリカの意向に背けなくなるし、Mig-35はよく分らないが、フランスは金さえ払えば文句は言わないだろうし。
ラファールの基礎設計は1980年代初頭で、レガシーホーネットと比較しても、さして目新しいモノはないよ
スパホ比較でも、基本的にアビオニクスではスパホ有利
飛行性能ではラファールって感じで長短ある感じ
亀レスだけど
>ラファールの基礎設計は1980年代初頭で、レガシーホーネットと比較しても、さして目新しいモノはないよ
それはない。
ホーネットは60年代のP-530の空力設計(60年代水準でもさして先進性は無い)を受継いでる上、スパホでもCCVでなく(水平尾翼はマイナスリフト)抵抗が大きい。
ラファールは空力面で最良なクロースカップルドカナード(特に主翼性能の最大化に注力)、ブレンデッドウィングボディ、CCVで空力設計は別次元(推力重量比で勝るタイフーンにも格闘戦で完勝)。
結果としてラファールMはスパホに対し、自重は2/3でペイロードは1.2倍(ペイロード自重比は1.8倍)、行動半径は1.3倍、スーパークルーズ可能で、それを3/4の推力で実現。軽量で空力が良いので燃料消費量が少なく、空母の継戦能力に直結。小型で搭載数や取回しも有利。スパホは重くて抵抗過大な機体を大パワーで無理やり飛ばしており、様々な「効率」に歴然と差がある。
アビオニクスも当初からESAを搭載してる他、光学センサ内蔵、EWも統合されてる。
重要なのはそれらが完全にセンサーフュージョンされてることで、これ以上はF-35しかなく、センサーフュージョンは地味だが機体性能やアビオニクスと同じくらい戦闘力に影響がある。
またレガホはステルス性は考慮されずスパホは後付。ラファールは設計当初から考慮され4.5世代機最良。
総括するとラファールは空力性能は非ステルス機であるが故に最適化され、それに 基づく機動性・ペイロード・航続力はトップクラス、ステルス性も4.5世代機として良好、センサーフュージョンは5世代機レベル。60年代の基本設計を事後改良で厚化粧してきたスパホとは基本性能に大差がある。