フランスからフリゲート導入を発表したギリシャに対して米国務省は10日、マルチミッション水上戦闘艦を売却すると発表したため物議を醸していたがフランスは直ぐに「もう米国の提案はテーブルの上にない」と発表した。

参考：Le contrat de vente de frégates à la Grèce vient d’être signé, annonce Paris après une offre américaine

潜水艦契約を失ったことで傷ついたフランスのプライドや自信がまだまだ立ち直っていなことを感じさせる興味深いニュース

ギリシャ海軍のフリゲート需要には最終的に7ヶ国から9つの提案が行われ「世界一激しい受注競争」と呼ばれていたが、正式な入札を実施する前に二ヶ国間の相互防衛協定を提供したフランスがギリシャから中型フリゲート/FDIの受注を今年9月に発表、アタック級潜水艦の契約を米国に盗まれたフランス国民にとって溜飲を下げる結果（潜水艦契約を盗まれたと怒るフランスを慰めるため米国が譲ったという噂もある）と言われていた。

出典：Public Domain フリーダム級沿海域戦闘艦

しかし今月10日、米国務省はギリシャに対して「マルチミッション水上戦闘艦/MMSC（フリーダム級沿海域戦闘艦の改良バージョン）4隻を対外有償軍事援助を通じて売却することを承認して議会に通知した」と発表したため、FDI導入に関する条件などを詰める交渉を続けていたフランス側は驚き「再び米国に契約を盗まれるのではないか？」という主張が仏メディアにあふれることになり、これに慌てたフランス政府は直ぐにギリシャとの契約を完了させて「もう米国の提案はテーブルの上にない」と発表して注目を集めている。

参考：GREECE – MULTI-MISSION SURFACE COMBATANT (HELLENIC FUTURE FRIGATE (HF2))

米メディアも国務省の発表に首を傾げていたが、フランス政府は米国務省のMMSC売却通知に関して「これはフランスとギリシャの契約が発表される前に米国国内で進んでいた行政上の手続きに従った発表であり、米国側にギリシャとの契約を進める意志はないと事前に通告を受けていた」と明かし、AUKUSを契機に改善された米国関係と国内メディアが心配したギリシャとの契約が維持されていることを強調しているが印象的だ。

出典：Royal Australian Navy アタック級潜水艦の完成イメージ

ギリシヤ政府も「フランスとの合意が米国によって脅かされたことは1度もなく『本契約とAUKUSは無関係だ』と何度も説明した」と述べており、契約の当事者であるアテネ側としては「仏メディアで取引中止を心配する主張が極端に高まったことが理解できない」と感じているらしい。

まぁ米国にアタック級潜水艦の契約を盗まれたと感じているフランスのメディアや国民にすれば事前の説明がなかったため「またか」と思わせるのに十分な状況がだったとも言えるが、潜水艦契約を失ったことで傷ついたフランスのプライドや自信がまだまだ立ち直っていなことを感じさせる興味深いニュースと言えるだろう。

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※アイキャッチ画像の出典：Naval Group 中型フリゲート/FDI