欧州関連

マクロン大統領も関与? 仏検察はラファール売却に絡む汚職調査のため調査官を任命

フランスの国家金融検察庁(PNF)はインドへのラファール売却に関する汚職を調査するため調査官を任命したと現地メディアが報じている。

参考:Ventes de Rafale à l’Inde : un juge d’instruction saisi pour des soupçons de corruption

インドへのラファール売却に関する汚職調査に国家金融検察庁が調査官を任命

この問題を簡単に説明すると2012年にフランスはラファール×126機の受注をインドから獲得、現地生産やオフセットの部分に関する交渉を国有企業のヒンドスタン航空機と行って完全合意(2015年3月時点で95%)に近づいていたのだが翌月に訪仏したインドのモディ首相は突然交渉を打ち切った。

表向きな打ち切り理由は「ラファール購入契約に必要な金額が当初見積もりを越えて高騰したためだ」と言われておりインドは現地生産を諦め導入数も126機→36機に削減した契約を締結したのだが、問題はオフセットの部分に関する交渉権をヒンドスタン航空機から航空宇宙産業とは全く無縁の民間企業「リライアンス」に変更している点で、フランソワ・オランド大統領(当時)の身内が同社に出資していたことから何らかの影響力が働いたのではないかと疑われている。

出典:Indian Air Force / GODL-India

さらにオランド大統領時代に経済産業相を務めていたマクロン氏(現大統領)はリライアンスの関係者と会談後、同社が所有するフランス企業への課税評価(1億4,370万ユーロ)を取り消しており、ラファール契約と課税評価の取り消し時期は完全に一致しているためオランド大統領や複数の関係者がラファール売却に関連して何らかの利益を受け取ったのではないかと疑われているのだ。

このような嫌疑を現地のNGOが告発したことでPNFが汚職を調査するため調査官を任命したという話なのだが、実際に汚職を調査を本格に行うのかどうかは任命された調査官の判断にかかっているので今のとことは何とも言えないが、仮に大規模な汚職調査に発展するとマクロン大統領も無傷ではいられないのかもしれない。

関連記事:核兵器搭載を容認? ラファールがインドに採用された本当の理由

告知:軍事関係や安全保障に関するニュースが急増して記事化できないものはTwitterの方で情報を発信します。興味のある方は@grandfleet_infoをフォローしてチェックしてみてください。

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain インド空軍のラファール

メッキが剥がれてきたF-35Aの運用コスト、スイスに提示した155億フランは空手形か前のページ

兵器の無人化に積極的な英国、L118 105mm榴弾砲の後継に無人自走砲を検討次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    反トルコ同盟構築を目指すギリシャ、インドと軍事協力強化で合意

    トルコとの軍事的緊張に晒されているギリシャのデンディアス外相は29日、…

  2. 欧州関連

    トルコ、武器輸出を通じた2ヶ国関係の強化は利益の数字よりも価値がある

    トルコ国防省調達部門のトップを務めるイスマイル・デミール氏は「国産兵器…

  3. 欧州関連

    欧州の第6世代戦闘機開発は山場、6月下旬までにフェーズ1Bへ移行出来なければ悪夢

    エアバスの広報担当者であるアントワーヌ・ブービエ氏と防衛・宇宙部門の総…

  4. 欧州関連

    アルメニア首相の失言にロシア激怒、政治的にも道徳的にもミサイルを扱う資格はない

    アルメニアのパシニャン首相が発した不用意な一言はロシアを怒らせるのに十…

  5. 欧州関連

    奇妙な事故?|仏空軍所属の戦闘機「ラファール」、射出座席が離陸中に作動し搭乗者を放り出す

    フランスが誇る戦闘機、ラファールが離陸中に射出座席が作動し搭乗員が機外…

コメント

    • 匿名
    • 2021年 7月 04日

    来年の大統領選が楽しみになってきたな

    1
    • 匿名
    • 2021年 7月 04日

    ゴーンの時もそうだったけどeu以外からの脱税国際捜査ではフランスの捜査当局とeuの捜査当局を外してアメリカに頼んでドルを追跡するんだよね。

    アメリカはケースバイケースでフランスに対して外交カードに使えそうな時は積極的に協力してくれる。

    フランスの議員が日本に爆弾落としてやるとか喚いてたが、半年前に武器取引でアメリカから巨額の制裁金を課されててソッコーでアメリカに官僚を送って土下座してたもんな。

    フランスの議員と捜査機関が積極的に賄賂がらみの脱税に協力してるのは状況を見ても確かだよ。

    15
    • 匿名
    • 2021年 7月 04日

    国立行政学院、高等師範学校、理工大学校その他
    エリートがつるんで国をコントロールしてるってのは、要するにお仲間が儲けを独占する構造なんだね
    ゴーンもその一味だし

    27
      • 匿名
      • 2021年 7月 05日

      このうち理工大学校が国防省所管の理系エリート育成機関というとこに、フランスの強みと闇を感じる。
      テクノロジーそのものである軍事産業と軍部の接点として機能することで、フランスの兵器開発と輸出の原動力であり、同時に軍産複合体の癒着の温床を生んでるんだろうね
      それでこんな事件も起こる

      3
    • 匿名
    • 2021年 7月 04日

    フランスは汚職大国

    11
      • 匿名
      • 2021年 7月 04日

      ヨーロッパは何処も似たようなモンじゃないかと。

      9
    • 匿名
    • 2021年 7月 04日

    マックロンだったのか

    8
      • 匿名
      • 2021年 7月 04日

      Mcロンて事はスコットランド系なんかな?
      Mcで誰々の息子ってなる
      マッカーサーはアーサーの息子、マクドナルドはドナルドの息子みたいな

      4
      • 匿名
      • 2021年 7月 04日

      真っ黒ん、てことだろう。

      4
    • 匿名
    • 2021年 7月 04日

    スイス空軍のF-35採用の記事の次にこれ持ってくる管理人は良い性格してるぜ

    17
    • 匿名
    • 2021年 7月 04日

    ドイツ →左傾化、緑の党が台頭
    フランス→右傾化、左派政党が沈んで保守と極右連立(?)

    ……変なフラグ建ってそうで怖いわ

    2
      • 匿名
      • 2021年 7月 04日

      後の英国人はEU離脱を世紀の英断と評価しそう

      11
      • 匿名
      • 2021年 7月 04日

      またパリが燃えるのか……

      2
        • 匿名
        • 2021年 7月 04日

        パリは可燃物だからね仕方ないね

        19
        • 匿名
        • 2021年 7月 05日

        「翼よ、あれがパリの火だ」

        3
        • 匿名
        • 2021年 7月 05日

        ヒトラーが命じなくとも独りで勝手に発火してるしw
        ノートルダムは気の毒でしたがね

        2
        • 匿名
        • 2021年 7月 05日

        英国代表がEUでの最後の演説する場面に対して、画面を白黒にしてBGMに「パリは燃えているか」を当てた動画があったのだけど、
        それを見た時、歴史的な1場面なんだと改めて思ったのを思い出しました。

      • 匿名
      • 2021年 7月 05日

      大喜利大会乙www

    • 匿名
    • 2021年 7月 05日

    マクロンなら汚職捜査に自信が持てます♫

    3
    • 匿名
    • 2021年 7月 05日

    マクロンなら、マネロンに自信が持てます(^0_0^)

    2
    • 匿名
    • 2021年 7月 06日

    ここは笑点か

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  2. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  3. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  4. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  5. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
PAGE TOP