ウクライナ戦況

ゲパルトの弾薬問題が解決、ノルウェーの協力でドイツが製造企業を確保

ドイツはウクライナに提供するゲパルトの弾薬問題を解決したと報じられており、35mm弾薬を製造できる企業が見つかったらしい。

参考:Bundesregierung sichert Munitionsnachschub für den Gepard

ウクライナ人兵士の訓練も進んでいるため「ゲパルトの引き渡しスケジュール」は今のところ順調

ドイツ政府は「ウクライナに50輌のゲパルトを提供する」と4月末に発表したものの陸軍の在庫ではなく「ラインメタルが保管する退役済みのゲパルトをオーバーホールを行い引き渡す」という意味で、しかもエリコン製機関砲が使用する弾薬についてスイスがウクライナ移転を拒否するなど問題を抱えていたが、ランブレヒト国防相は「7月中に15輌のゲパルトを弾薬6万発と共にウクライナへ引き渡す」と約束した。

出典:Derwatz / CC BY-SA 3.0

この6万発の弾薬はブラジルが提供(30万発の提供に応じたと報じられている)したものだが、50輌のゲパルトを運用する量(仮に30万発提供が本当でも1輌辺り6,000発に過ぎない)としては少なく問題視されてきたものの独Der Spiegel紙は「ノルウェー国防省の協力で35mm弾薬を製造できる企業が見つかった。早ければ来週中にもドイツ国内の射撃場で35mm弾薬の試射が行われる予定だ。ドイツはウクライナに提供するゲパルトの弾薬問題を解決した」と報じている。

因みにドイツは8月末までに30輌(7月15輌+8月15輌)のゲパルトをウクライナに提供すると発表済みで、ドイツ国内でもウクライナ人兵士の訓練が進んでいるため「ゲパルトの引き渡しスケジュール」は今のところ順調らしい。

関連記事:ドイツ、7月中に15輌のゲパルトと弾薬約6万発をウクライナに引き渡す

 

※アイキャッチ画像の出典:Hans-Hermann Bühling / CC BY-SA 3.0

スイスのF-35A導入、反対派が国民投票の実施に必要な署名集めに成功前のページ

量産化に向けて順調なテジャスMK.1A、プロトタイプが初飛行に成功次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    フランス提供の自走砲がウクライナに到着、ロシア軍との戦いに投入済み

    ウクライナ軍のザルジュニー総司令官は24日、155mm榴弾砲をトラック…

  2. ウクライナ戦況

    ドイツがウクライナに提供するゲパルト、スイスが使用弾薬の移転を拒否

    ドイツ政府はウクライナに自走式対空砲「ゲパルト」を提供すると26日に発…

  3. ウクライナ戦況

    占領下の街に潜伏を余儀なくされたウクライナ軍兵士、6ヶ月間ぶりに帰還

    ウクライナ国防省情報総局は「ロシア軍占領下の街で潜伏生活を強いられた兵…

  4. ウクライナ戦況

    海上戦闘におけるTB2の威力は想像以上、UCAVは戦争を再定義する存在

    Naval Newsは18日、海上戦闘におけるバイラクタルTB2の威力…

  5. ウクライナ戦況

    水上無人艇の夜間攻撃で損傷したクリミア大橋、道路橋の一部橋桁が崩落

    ウクライナメディアは「クリミア大橋に対する夜間攻撃は海軍と保安庁による…

  6. ウクライナ戦況

    ヘルソン州の戦い、ドニエプル川左岸のオレシキー郊外にウクライナ軍が到達

    ドニエプル川を挟んでウクライナ軍とロシア軍が睨み合うヘルソン戦線は前線…

コメント

    • 折口
    • 2022年 7月 10日

    とにかく贈れるものが増えるのは好ましいことだと思います。

    そのうえで、今のウクライナのような戦場環境でゲパードのようなSPAAGがどれくらい役に立つのかというところは興味ありますね。対レーダーミサイルによる長射程攻撃をロシア空軍が実施していないのでアウトレンジで撃破確実とはならないかもしれませんし、むしろ撹乱できない弾幕によって敵攻撃機の低高度爆撃を封じられるかもしれないし、逆にレーダーで検出できないUAVに一方的にやられる可能性も…というのは実際やってみるまで分からないですからね

    10
      • 浅見真規
      • 2022年 7月 10日

      >対レーダーミサイル

      それ、不思議と言えば不思議です。
      もしかしたら、旧ソ連時代に西側に対抗して対レーダーミサイルを造ったものの、その効果・用法を知る技術者や将校が退職してしまって、現在のロシア空軍では誰も知らず、お蔵入りになってるのかもしれないと憶測したくなるくらい不思議です。まあ、既に使用されていてウクライナ軍が対レーダー・ミサイル封じをしている可能性も排除できませんけど。

      4
        • くらうん
        • 2022年 7月 10日

        緒戦のSEADでは使われなかったんですかね

        3
      • ミリオタの猫(やっぱり、アンツィオ…いや、ロシア軍は強い!)
      • 2022年 7月 10日

      Wikipedia情報ですが、ゲパルトはカタールが今冬に開催されるサッカーW杯期間中、テロリストによるドローン攻撃に対処する為に15輌を導入するそうなので、対UAV・ドローン用としての運用が期待されているのかも知れません。

      6
      • 浅見真規
      • 2022年 7月 10日

      侵攻初日にはKh-31P空中発射対レーダーミサイルを使用してたみたいですね。在庫がわずかだったんでしょうかね。
      リンク

      2
    • ミリ猫
    • 2022年 7月 10日

    Redditでもこの話題が談義されていました。
    リンク
    興味深いことに、ノルウェーでもスイス同様に紛争中の国への武器の供与は、禁じられていたそうです。
    リンク
    >>また、ノルウェーには「戦争をしている国には(同盟国でない限り)武器を輸出できない」というルールがあるが、ノルウェー政府は侵攻開始のわずか3日後にそのルールを例外化することに成功した。<<

    日本もこれくらい融通がきけばいいのに。

    20
      • ネコ歩き
      • 2022年 7月 10日

      ノルウェーはNATO加盟国ですから、2月25日のNATO合意に従い義務を果たさねばならない大義名分がありますからね。国際的義務を国内法に優先させたということでしょう。

      8
    • 58式素人
    • 2022年 7月 10日

    ゲパルトは、今回が初実戦なのでしょうか。
    そうならば、今回の実戦でどんな教訓が得られるかですね。
    それにより同種の兵器類の今後が変わってくるのでしょう。
    今回対処する必要があるのは、多分、
    近距離での同時(飽和)攻撃なのだと思っています。

    3
    • sage
    • 2022年 7月 10日

    探知もできずアウトレンジされるだけで兵站や人的リソースの無駄遣いになる可能性もありますが、野戦という究極的な現場で活路を見出せるか期待します でもゲパルトも87式も戦車より大きく見えて存在感は凄いですね 動画を見る限り近くに居ると頼もしいと思います

    9
    • きっど
    • 2022年 7月 10日

    双方ともSu-25が超低空での近接支援を行っている現状、対空機関砲の類が活躍できる条件は整っているのでは?
    超低空では見通し線距離の問題でアウトレンジが出来るとは限らず、逆に偽装された対空火器のキルゾーンに飛び込んで奇襲で叩き落されるのではと

    9
    • 名無し
    • 2022年 7月 10日

    ありがたくないとは言わないが、相変わらずロシアと直接ことを構えたくない姿勢が垣間見えるのがなんとも。ダラダラ長引いて一番損するのはドイツ自身ですよ。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  2. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  3. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  4. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  5. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
PAGE TOP