ドイツは10年以上も不毛な議論で時間を無駄にしてきたため、他国に比べて無人機のあらゆる分野で遅れをとっており、ピストリウス国防相は15日「今後数年間であらゆる種類、あらゆる高度、攻撃用及び防衛用ドローンに100億ユーロ=約1.7兆円を投資する」と表明した。
参考:Bundeswehr will 10 Milliarden Euro in Drohnenbeschaffung investieren
高価な大型無人機だけでなく使い捨ての小型ドローンや自爆型無人機の調達も入ってくる可能性が高く、最低でも調達規模は数十万機以上だろう
米空軍がRQ-1の運用を1995年に開始したことで無人機は監視者から攻撃可能な兵器に進化し、ボスニアやイラクなどで有効性が確認されると同盟国もUACV=武装可能な無人航空機の導入を開始したが、ドイツは無人機の武装化を認めず、ドイツ軍がアフガニスタンの治安維持を目的とする国際治安支援部隊(ISAF)に初参加した際、現実の脅威と理想論の間で問題を抱えることになった。
ドイツ軍はイスラエル製無人機=Heronで駐屯地の周囲を警戒中にタリバン兵士による攻撃準備を発見、直ぐに駐屯地内の兵士に身を隠すよう警告を発したため、駐屯地内に着弾したロケット弾で死者や負傷者を出さずに済んだのだが、Heronは武器を搭載できないため画面越しにタリバン兵士が駐屯地を攻撃するのを眺めることしかできず、これが契機となって武装可能なHeron-TP導入が計画されたものの、キリスト教民主同盟と連立を組んでいた社会民主党はHeron-TP導入条件に「搭載する武器や弾薬を購入しないこと」を要求。
そのため武装可能なHeron-TPは「搭載する武器を購入しない」という条件で導入されることになり、キリスト教民主同盟は「未然に防げる敵の攻撃で連邦軍兵士の命が失われている」と訴え武装解禁を求めたものの、社会民主党は「国際法に違反する非戦闘員への攻撃に使用される懸念がある」と譲らず、この不毛な議論はロシアのウクライナ侵攻が勃発するまで続き、戦場の現実を目の当たりにしたショルツ政権はHeron-TPの武装化を許可、2024年にはHelsing製とSTARK製の徘徊型弾薬を購入してテストを行い、2025年に初めてドイツ軍向けの徘徊型弾薬調達を承認した。

出典:STARK Systems
ドイツは10年以上も不毛な議論で時間を無駄にしてきたため、他国に比べて無人機のあらゆる分野で遅れをとっており、ピストリウス国防相は15日「ドイツは今後数年間であらゆる種類、あらゆる高度、攻撃用及び防衛用ドローンに100億ユーロ=約1.7兆円を投資する」と表明して注目を集め、独ディフェンスメディアのhartpunktも「100億ユーロの投資は複数の個別パッケージで構成され、ドイツ軍に最先端のソリューションを可能な限り速やかに配備することが目的だ」と説明している。
hartpunktはパッケージに含まれる可能性としてEuroDroneやHeron-TPといったMALEタイプのUACV、P-8Aと連権して対潜戦任務を実行可能なMQ-9B、ドイツ企業が製造する徘徊型弾薬(HelsingのHX-2、STARKのOWE-V、RheinmetallのHERO)の調達、ドイツ企業のQuantum Systemsが製造する偵察ドローンなどを挙げているが、当然使い捨ての小型ドローンや自爆型無人機の調達も入ってくる可能性が高く、調達規模は最低でも数十万機以上だろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Helsing





















「無人機に武装は許しまへんで!!」から「最低でも数十万機以上の武装無人機」
極端ですね、でもオペレーターは足りるのだろうか
統計的にゼロ%台は無視できると考えるなら、ウクライナやロシアのドローン運用台数は年間200から400万台と考えると運用台数が数万台では持っていないとカウントできるとも考えられる
「無人機に武装は許しまへんで!!」
日本でも空中給油は許しませんとか
相手を攻撃する対地ミサイルは許しませんとかありましたねー
ドイツも同じような感じだったんですね
日本の場合はゆっくりですがドイツは伝統的に極端から極端ですなー
日本はドイツと違って、戦場に自衛隊を派遣していなかったので、おなじみの精力が無人機関連へのちょっかいを出さずに済んできたというところがありますね。
公明党も与党からいなくなって、調達や有事法制整備がまともになるのを期待します。
日本みたいに外地に出る出ないで揉めてるならまだしも、アフガンに既に進駐しているのに何故現地軍に制約を課しに行くのか?
日本もそうですが、何故制約だらけのまま紛争地に送り出す?何故現地で問題が発生しているのに現地の裁量に更に制約を課す?政界の対応は不思議です。
目につくところの投入が増えたけど、その裏で707型補給艦の納入が今年から2027年に延期されたり大丈夫だろうか。
日本だと主に陸自からドローン配備が進むので、予算的に苦しいかも。
逆のドローン対策も含め、大変。
これくらい予算を投入してくれればいいけど。
逆にドイツの場合は急に金をドカドカ出し始めたけど、投資に見合った成果は得られるんですかね。
それにしてもドローン調達に兆円単位の金をポンと出すというのは本邦の感覚からはかなりかけ離れているように思えます。
海自に導入予定のシーガーディアンはベルギー取得時点の価格で4機6億ドル
海自は23機、海保も買ってることを鑑みるとドローンに兆円単位はなくもない事例
ドイツ君、軍事予算を凄まじい勢いで増やしているけど、仕様の検討や調達に係る人材の育成って、追い付いているんだろうか?
自衛隊は追い付いていないせいで、地獄のような業務環境になっているけど。
人材育成に掛かる金も含まれてると思う
自衛隊のドローン配備もスムーズに行けば良いが。現時点では各種ドローンを試験的に導入して、予算が増やせそうな段階で一気に増強だろうか?個人的にはMALEよりFPVや徘徊爆弾みたいな単価が安い、かつより最前線に投入されるものから調達した方が良いように思う。
>キリスト教民主同盟と連立を組んでいた社会民主党はHeron-TP導入条件に「搭載する武器や弾薬を購入しないこと」を要求
>キリスト教民主同盟は「未然に防げる敵の攻撃で連邦軍兵士の命が失われている」と訴え武装解禁を求めたものの、社会民主党は「国際法に違反する非戦闘員への攻撃に使用される懸念がある」と譲らず
ほんと社民党と名の付く輩はどこの国でも録なこと言わないな。
自分の国を守るための力をわざわざ削ぐようなことをして何がしたいんだ。
本邦では中韓露あたりの息が掛かってるんじゃないかと疑ってしまうが、ドイツの場合はどこの国の影響が疑われるのだろうか、やっぱり露とか?
それとも単に頭お花畑の平和理想論者なのか?
>ドイツは10年以上も不毛な議論で時間を無駄にしてきたため、他国に比べて無人機のあらゆる分野で遅れをとっており
なんだろう、全く他人事とは思えない。
本邦も無人機の導入を急いでる状況が重なって見えるからかな。
ドローンの怖い所が1回気合い入れて導入してもすぐ陳腐化しそうな所
継続して生産して古い在庫を先入れ先出しして処理してかなければいけない
財政負担ヤバそう
こんな世界情勢の中、本邦はどうしようもない奴が防衛大臣を務めるようで不安しかないですが
ただ頭の軽さについては信頼感があるため、周りが上手く誘導して「今はドローンの時代です!」を連呼するだけのロボットになってくれたら意外と大きく自衛隊の無人機へのコミットが進むかもしれないという希望がなくもない
特殊作戦群を、セクシーコマンドーと呼ぼうとか言う大喜利がXでやってた。