欧州関連

ドイツ軍が装輪装甲車を最大5,500両調達する可能性、契約額は13兆円超え

ブルームバーグは2025年7月「ドイツ軍が最大5,000両のボクサー調達を検討中」と報じたが、この調達の枠組みは「アルミニウス計画」と呼ばれており、確定発注1,800両の契約は年内に締結される見込みで、全オプションを含めると調達規模は5,500両、契約額は750億ユーロ=13兆円を超える。

参考:Arminius ante portas – Großvertrag für Boxer-Radpanzer soll im Dezember geschlossen werden
参考:OCCAR beauftragt die ARTEC mit der Lieferung von 69 weiteren Radschützenpanzern Schakal
参考:Portugal und die Niederlande wollen offenbar Boxer-Radpanzer beschaffen

既に2,000両以上の調達契約が締結済みで、最大5,500両も新規調達される可能性のボクサーのエコシステムは非常に強力かつ魅力的なものになるだろう

ブルームバーグは2025年7月4日「NATOはドイツに最大7個戦闘旅団を10年以内に提供してほしいと要請した」「これに応えるためピストリウス国防相とドイツ軍上層部が検討している装備調達にはレオパルト2×最大1,000両とボクサー×最大2,500両が含まれている」「業界関係者はKNDSとラインメタルの受注額が250億ユーロに達するかもしれないと言う」「現在も調達交渉が続いているため最終的な金額は250億ユーロよりも低くなるかもしれない」「他にもフクス装甲兵員輸送車を更新するためPatria6×6を1,000両以上調達する計画も承認しており、こちらの受注額も最大20億ユーロに達する見込みだ」と報じた。

出典:Bundeswehr/Jana Neumann

さらに2025年7月30日「ドイツのメルツ政権は今後4年間の国防予算を年1,620億ユーロ=27.7兆円に増額する中期財政計画を承認する見込みだ」「この資金を背景にした調達リストのトップにはタイフーン×20機、レオパルト2×数百両、ボクサー×最大5,000両、Patria×最低3,500両などが含まれている」と報じ、メルツ政権は欧州最強の通常軍を構築するため、2041年までに4,002億ユーロ=約73兆円を防衛装備品調達へ投じる予定で、2025年に829.8億ユーロ=15.3兆円の装備調達を承認し、2026年も議会の夏季休会前までに判明しているだけで推定130億ユーロ=約2.4兆円の装備調達が承認している。

8×8装輪装甲車のボクサーを大規模調達する枠組みは「アルミニウス計画」と呼ばれており、約1,800両の確定発注契約は2026年12月の締結を目指して交渉中で、KNDSとラインメタルはボクサー調達契約を均等分割することで合意しており、ラインメタルのアルミン・パッパーガー最高経営責任者は「最初の確定発注のうち約124億ユーロを我々が獲得する」「ドイツ軍との最終協議は9月の第2週に予定されている」「この提案に関する議会審議は12月9日に行われ、全てが順調に進めば年内にアルミニウス計画の契約に署名される可能性がある」と明かした。

パッパーガー氏によればアルミニウス計画には約1,800両の確定発注に加え、2030年から2035年の間にラインメタルだけで140億ユーロ相当のボクサー追加発注など計2つのオプションが含まれ、全てのオプションを合わせるとアルミニウス計画の枠組みは750億ユーロを超えることになるが、この提示された枠組み内容でドイツ軍が協定に署名するかは保証されていない。

hartpunktは「確定発注1,800両の大部分は指揮車両とスカイレンジャー対空砲を搭載する車両で構成され、兵員輸送車両、架橋車両、自走砲バージョン(RCH155のこと)、医療車両、訓練車両、対空ミサイル搭載車両、火力誘導・観測車両なども含まれる」「アルミニウス計画を通じて直接火力支援車両(ランス砲塔搭載)やジャッカル装輪歩兵戦闘車(RCT30砲塔搭載)も調達される」「産業界が提示した1つ目のオプションが行使されるとアルミニウス計画のボクサー調達規模は3,500両になり、2つ目のオプションも行使されると調達規模は5,500両に増加する」と報じている。

出典:Rheinmetall

つまり産業界が提案しているアルミニウス計画は「確定発注1,800両でボクサーの大規模調達に関する土台を作り、ここに1,700両と2,000両の追加発注オプションを設定している」という意味で、ドイツ軍が産業界の提案を全て受け入れればアルミニウス計画の枠組み規模は750億ユーロ=13兆円を超えることになり、これをKNDS Deutschland(実質的には旧KMW)とラインメタルが375億ユーロずつ分け合う格好だ。

そしてアルミニウス計画に含まれるジャッカル装輪歩兵戦闘車はオランダ軍(34両)、ウクライナ軍、カタール軍も調達を決定しており、ポルトガル軍もEUがSAFE融資を通じて提供する資金で2種類のボクサー(計90両)を調達する予定で、既に2,000両以上の調達契約が締結済みで最大5,500両も新規調達される可能性のボクサーのエコシステムは非常に強力かつ魅力的なものになるだろう。

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※アイキャッチ画像の出典:Rheinmetall

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コメント

  • コメント (17)

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    • p-tra
    • 2026年 8月 08日

    どーなんすかね。
    兵士の防護に取り組んでいるようでそれは素晴らしいことだが
    1つの車両に10人も詰め込むのは本当に安全だろうか?
    ボクサーでもHEATに抗堪できるのは前面だけのようだし、
    FPV環境なら数量のジープに分散した方が安全なこともありえる、
    そして何よりも空を警戒して車からさっさと降りることが大事だ。

    5
      • NHG
      • 2026年 8月 08日

      化学兵器とか核兵器が使用された環境を考えてるんじゃない?

      12
      • のー
      • 2026年 8月 08日

      クルスクの例を見れば分かるとおり、ドローンで戦線が膠着するのは、強固な防衛線がある場合に限られます。
      NATOとロシアの境界はウクライナとロシアより遥かに長大ですから、全部に兵力を貼り付けるのは不可能です。
      それにドローンだけでは防衛線を突破されたら終わりですよ。
      第二次大戦時にはマジノ線があるから大丈夫とか油断してたフランスは、
      簡単に迂回されてやられてしまいました。

      23
      • あるまじろ
      • 2026年 8月 08日

      ウクライナでもロシアでも装甲車の需要はあるので状況によるんじゃないですかね?

      10
      • nachteule
      • 2026年 8月 09日

       結局の所、こう言う物はトータルでどう考えるかなので特定のデメリットだけに目を向けてボクサー導入に疑問符付けるのはどうなのか。そもそも装輪車両で基本装甲だけで全周HEAT対抗している装甲車ってどれだけあるのか?基本は機銃弾でその上を目指すなら、増加装甲やケージ装甲なりAPSでしょう。
       そしてジープクラスでボクサーレベルの装甲防御を持つ車両なんて有りません。FPV対抗する為に全周STANAG 4569 レベル Ⅳの耐弾/Ⅲb対爆能力を捨てるとかおかしくないですかね。ボクサーなら範囲が限定されるだろうがより上の防御力も狙えます。

       乗員にしたって、ボクサーの兵員輸送型だと乗員数3名(ドライバー+指揮官+砲手)+兵員7~8名だが、ジープクラスならⅠ台で乗員4名でしょう。似たような乗員構成にするなら4台に分乗する感じになると思うし、ただでさえ人手不足なのにそんな余剰人員がいるのか?

       そして悪路走破性だって違うでしょう、8輪と4輪どちらが上かと言えば数が多い方です。FPVの被害も考えるべきでしょうが対抗策が現実的な選択肢として成り立つのかも考えるべきでは?

      4
    • Kaeru
    • 2026年 8月 08日

    流石にそんな要らないだろ…。
    一気に大量調達しすぎじゃないの

    10
      • のののの
      • 2026年 8月 08日

      フォルクスワーゲンのリストラ分を補完する為じゃないかと邪推してみる。

      16
      • ななしのシロウト
      • 2026年 8月 08日

      強大なドイツ陸軍の存在がNATO全体の抑止力強化になるのでは・・・

      3
      • ユーロビート大好き
      • 2026年 8月 08日

      載せる兵士と運転する兵員が集まらない予感がしますね。

      12
        • 7743
        • 2026年 8月 09日

        運用する兵士が用意できてからの調達でも遅くないと思うんですよね…
        兵隊は兵器ほど短期間に簡単には増やせないので

        2
          • 他人事では無い
          • 2026年 8月 09日

          RCH155やスカイレンジャーも含みますから、早いところ欲しいでしょうね。

          1
        • ネコ歩き
        • 2026年 8月 09日

        ロシアのウクライナ侵攻を踏まえ、危機感を持ったドイツは今年度から新たな兵役制度をスタートさせています。
        強制徴兵制復活ではないですが、2008年以降誕生の男性は適性検査を受けることが義務化され、有事に徴兵可能な人員数と適性職種が政府によって把握されることになります。待遇面では最低月給が2,600ユーロ(約40万円)でその他魅力的な優遇措置が採られるようです。
        国民にも危機意識があるようなので集まるんじゃないですかね。それが前提の調達計画かと。

        6
    • 7743
    • 2026年 8月 08日

    メルツ政権が数年後も続くとは思えないがこの計画は続くのだろうか

    8
    • 足柄
    • 2026年 8月 09日

    固めるのは東のポーランド国境と南西のフランスだけでいいような
    スイス、オーストリは山
    東欧は仕事もらう立場かつ貧乏
    ベネルクス+デンマークは平坦なんでドイツに仕掛けるとか狂わないと無理

    対露というか対ポーランド+宇が敵にまわる想定かいな

    4
      • YF
      • 2026年 8月 09日

      なんとなくですがポーランド警戒してる空気を感じるんですよねドイツの軍拡

      3
    • おるか
    • 2026年 8月 09日

    欧州は既に米国抜きでの防衛にシフトするんだね。
    米国の防衛費負担圧力は欧州に対して特段強いのか、日本に対しても同様の圧力がかかっているのか。
    外野からだと判断が難しいですね。
    富国強兵を同時進行するだけの体力がなければ国民負担増に繋がるだけに、防衛費増額で先行する他国の状況は気になります。
    資金に余裕のあるドイツはともかく、他のNATO諸国は資金をどうやって捻出するつもりなのかな。

    8
    • 58式素人
    • 2026年 8月 09日

    どうなのでしょうね。素人は思うのですが。
    敵FPVドローンが多数予想される場所では、小型の方が良いのでは、
    と思ったり。小型で素早く動ける物。乗員は2+4名程度で。
    前にも書いたけれど、自国製のウィーゼルIIとか英国製のCVR(T)では?。
    と思ったり。
    30mm機関砲も良いのですが、全ての車両がAHEAD弾を運用するのかな?.
    そうでないならば、20mmで良いのでは?、と思ったり。

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