ドイツは防空向けの新型フリゲート=F127(排水量1万トン)調達に260億ユーロの投資予定で、さらに興味深いのはF127を補完する無人水上艦艇=LRMV×3隻、K130を補完する無人水上艦艇=FCSS×18隻、U212A/CDを補完する無人潜水艦=LUUV×12隻の取得も予定している点だ。
参考:The German Navy Navigation Plan
参考:Germany To Build Uncrewed Missile-Toting Arsenal Ships For Its Frigates
参考:Large Remote Missile Vessels – Deutsche Marine will unbemannte Arsenalschiffe beschaffen
ドイツ海軍の能力はF127の増強と無人システムの追加で大きく拡張される見込み
ドイツ国防省は2018年にF124の後継艦としてミサイル防衛に対応したF127を計画、これをオランダと共同開発するため両国は2020年に意向表明書に署名したものの、プラットフォームや搭載レーダーについて両国は異なる考えを持っていたためF127はドイツの単独開発になり、TKMSが昨年7月に発表した防空向けの新型フリゲート(MEKO A-400 AMD/排水量1万トン)がF127として採用され「AN/SPY-6搭載」「BMD能力の獲得」が確実視されている。

出典:TKMS MEKO A-400 AMD
POLITICO Europeは23日「TKMSが設計するF127フリゲート調達に260億ユーロ=約4.5兆円の投資が予定されている」と報じ、ドイツのディフェンスメディア=hartpunktも「F127の調達は当初5隻(オプション行使で+1隻)を予定していたが、関係筋から入手した情報によれば現在は8隻調達に変更されている。これはPOLITICOが23日に報道した数字とも一致する」と指摘し、さらに興味深いのはドイツ海軍が無人艦艇で戦力の拡張を計画している点だろう。
ドイツ海軍が最近公開した文書によると「F127フリゲートを補完する無人水上艦艇=LRMV×3隻」「K130を補完する無人水上艦艇=FCSS×18隻」「U212A/CDを補完する無人潜水艦=LUUV×12隻」を2035年までに取得する予定で、ドイツ海軍が考えている有人戦闘艦と無人戦闘艦の関係性は有人戦闘機と無人戦闘機と同じ、つまり「有人戦闘艦の能力を直接拡張するのではなく随伴する無人戦闘艦を戦力構造に追加することで特定能力を付け足す」という意味だ。

出典:Bundeswehr
水上艦艇の戦闘能力はミサイルの携行量が垂直発射装置のセル数に依存する上、洋上でのミサイル再装填が非常に困難なため消耗した戦闘能力を回復させるには港に寄港する必要があり、この問題を更に深刻化させているのは「空からのアプローチが安価になったため垂直発射装置のセル数に依存する水上艦艇は空中の脅威に対して不利」という点で、これを現行の概念でカバーするためには艦艇のサイズを大型化してセル数を増やすか、高価な有人戦闘艦の数を増やすしかない。
艦艇のサイズを無闇に大型化すれば運用関係のインフラを一から見直さなければならず、高価な有人戦闘艦の数を増やせば費用と人手の問題に直面するため、LRMVやFCSSは基本的に有人戦闘艦の弾薬庫=ミサイルを再装填した発射装置の運搬プラットフォームとして機能し、LRMVとFCSSの違いは耐航性を担保する船体の大きさで、LRMVは気象条件が厳しい大西洋での運用を、FCSSはオランダ海軍が導入予定の無人支援艦=追加弾薬庫として機能するプラットフォームと同じ北海やバルト海での運用を想定している。

出典:Bundeswehr
要するに特定海域に弾薬庫として機能する無人戦闘艦を長期間徘徊させることで「これをコントロールする有人戦闘艦の能力=発射装置のセル数を拡張する」という意味で、無人戦闘艦は有人戦闘艦を置き換える存在でも、無人戦闘艦が単独で自律的に脅威と交戦するわけではなく、トラックに例えるなら荷台を物理的に拡張するのではなく「自律並走が可能な無人車輌との同時運用で輸送量を拡張する」といったところだろう。
因みにドイツ海軍はLRMVに防空と海上攻撃、FCSSに水上戦と縁海海域における海上攻撃、U212A/CDを補完するLUUVに偵察と水上戦の役割を求めているため、LRMVはSM-2、SM-6、トマホーク等を装填可能なMK.41を、FCSSはESSMやMSNを装填可能なコンテナタイプの発射装置を搭載する可能性が、LUUVは豪海軍のGhost SharkやAndurilのDive-XLと同じように水中エフェクトの運搬能力を備えた特大の無人潜水艦か、水中センサーとしての役割や自爆攻撃が可能な水中エフェクトである可能性が高い。
関連記事:欧産業界に圧倒的な利益、ドイツは1年間で14.4兆円相当の武器調達契約を予定
関連記事:ドイツのメルツ政権、義務的兵役制度の再導入もあり得る兵役制度法案を承認
関連記事:ドイツは2026年度に約8.2兆円、2041年までに約69兆円を防衛装備品調達に投資
関連記事:メルツ政権が取り組むドイツ軍強化、義務的徴兵制度を復活させるかが焦点
関連記事:ドイツの短距離防空システム再取得、Skyrangerに最大1.4兆円を投資
関連記事:欧州最強を目指すドイツ、ボクサー5,000輌とPatria3,500輌の調達を準備中
関連記事:メルツ政権が調達促進法を承認、ドイツ軍は資金に加え調達ルールの柔軟性も確保
関連記事:ドイツの圧倒的な再軍備資金力、米国に長距離攻撃システムの売却を要請
関連記事:ミサイル競争が欧州でも勃発、米独が長距離攻撃能力のドイツ配備で合意
関連記事:英国、射程2,000kmを超える長距離攻撃兵器の共同開発を発表
関連記事:欧州最強を目指すドイツ、1,000輌のレオパルト2と2,500輌のボクサーを調達か
関連記事:ドイツは5年間で総額6,490億ユーロを国防費として支出、2029年までに3.5%を達成
関連記事:メルツ新首相、ドイツ軍を欧州最強にするため必要な資金を全て出す
関連記事:ドイツ議会が憲法改正を可決、再軍備のため大規模投資が可能になる
関連記事:独首相候補のメルツ氏、安全保障面で米国からの独立を達成すると言及
関連記事:ドイツ海軍の次期フリゲート、イージスシステムとAN/SPY-6を搭載か
関連記事:オランダ海軍、フリゲート艦の追加弾薬庫として機能する支援艦を購入
※アイキャッチ画像の出典:Bundeswehr





















前級のザクセン級が5000tぐらいであったことを考えると、単純計算では2倍のサイズとなり、更に計画数を増やして8隻建造とはまた豪勢ですね。
更に無人の艦艇もとなると、失礼ながら建造能力は足りるのかと心配してしまいます。あまりドイツが造船能力高いイメージが無くて。
それと空からの脅威が激増した現代となっては、それなりの継戦能力を持たせるのに1万トン位は必要なんですかね?
バーデン・ヴュルテンベルク級が、今の状況だととんでもないピンボケ艦艇(非対称戦・人道支援重視で戦闘力が低い)だから、戦力不足が明らかなんで滅茶苦茶慌ててるだけなんじゃないのかな
数作ってないから話題になってないですが、LCS並の大失敗ですよね・・・・
豪州のフリゲート受注でもドイツは安全みたいな言われ方して不思議だったな
みんな実績と口を揃えて言うけど実際の実績なんて興味がないのだろうね
進水から就役まで全艦平均5年ってwww。
設計に問題あったにせよ、製造も酷すぎる。
1万t越えのFF…
ドイツ君さぁ、本邦ですらASEVは観念してCGにするんだから、
いい加減DDかDDGに艦種変更しようよw
現代の各国海軍は艦種詐欺だらけよなぁ…^_^;
ドイツに限らずNATOの海軍は10年以上前から、何でもフリゲートにする感じになってるね
F-126型ことニーダーザクセン級はどうなったのだろうか。最初はこっちが次世代艦だったと思うのだが、いつのまにかF-127が出てきてしまった。F-126型も既に1番艦は建造開始しているはずだが
どうなんだろう…?
言うほどミサイルの総数が足りなくて困ったって事例なくないか。
紅海でミサイルが足らないって話はドローンと交換すると備蓄が
キツイって話だったし、ロシアのモスクワなりイスラエルのハニト
なりそもそも交戦できてないってパターンの方が多くない?
対空ミサイル撃ち尽くして最終的に撃沈させられた例ってちょっと
思いつかないのだが…
多分センサーの方が重要だからミサイルキャリア無人艦は微妙だと思う。
そもそも現代艦はミサイル撃ち尽くす程正規軍同士の戦闘して無いし
誰も経験してないから事例なんてあるわけ無い
金かけて兵器を揃えて徴兵制とかで人が集まっても、メルケルが士官の首切りまくったせいで指揮できる人間の育成にはまだまだ時間がかかるので前途多難。
ワイマール共和国みたいに、全員に士官級の教育だけはしっかりやってましたとかもないからね。
ドイツの心配って、そんなところよりも人じゃないでしょうかね。
メルケル時代に大幅に縮小された影響で、軍隊の要とも言えるベテラン下士官が大幅に減っているはずです。退役した下士官を呼び戻すにしても、あまりにも間が空きすぎているし、失われたノウハウも多いのではないでしょうか。
ドイツですから、兵器は加工機械や設備が揃えて、それなりにスキルのある工員を確保すれば、計画通りに製造できるでしょうけど、兵士の訓練・育成はそうはいかないような気がします。
無人化はある程度緩和してくれるでしょうが、それでもこの急激な軍拡に対応できるだけの人的資源の確保は、限界以上に絞り込まれていたドイツ連邦軍にとっては困難な道のりのような気がします。
それがGDPで日本を抜いたことからもわかるように、異常なほど、ユーロ安・ドル高の影響をもろに受けてとんでもないことになってる
日本のかつて民主党政権時代のような、国内から産業が流出、超絶不景気になってる
果てして、ドイツの産業が復活できるかどうかかなり危険なラインじゃないかな…
フリゲートとは言いつつも弾道ミサイル迎撃も視野に入れたイージス艦と考えたら、一気に8隻は中々インパクトあるな
まあ本来防衛向けの兵器だから、割と優先順位は高いと思うけど、計画通りに行けるか見物だね
ドイツ海軍はロシアに対抗するという建前以上に、北海・バルト海の制海権を握りたいかのような野心は感じる
ただ、人員の数と訓練がね……