ドイツはF-35A導入の見返りに「F-35プログラムへの独企業参加」を要求していたが、ラインメタルがF-35の中央胴体を国際需要向けに製造することでロッキード・マーティンと合意したと報じられており、F-35サプライチェーン参加を果たした。
参考:Rheinmetall liefert Teile für F-35
オフセットを利用して自国の防衛産業企業にビジネスチャンス(長期的な収益と雇用)を確保したドイツ
ドイツは核兵器共有協定を維持するため戦術核兵器B61/Mod12を運用可能なF-35Aを35機導入すると発表、昨年12月に総額84億ドルの契約に署名したが「導入の見返りとしてF-35プログラムへの独企業参加を要求している」と報じられていた。

出典:Lockheed Martin
これは「F-35プログラムに出資していないドイツが出資国に限定されているF-35サプライチェーンへの参加を要求している」という意味で、これまで非出資国がサプライチェーンへの参加を認められた例はフィンランドのみだったが「独ラインメタルはF-35の中央胴体製造で米ロッキード・マーティンと合意した」と報じられており、フィンランドと同様に自国向けではなく「国際需要向け」に中央胴体を製造して米国のフォートワース工場に供給するらしい。
非出資国の日本もF-35Aに使用される一部部品を製造する権利を確保しているものの「空自向け需要=規模が小さい」に限定されているため技術習得の意味合いが強く、ドイツやフィンランドが導入の見返りに確保した権利は「国際需要向けの部品製造=規模が大きき」なので意図が異なり、オフセットを利用して「自国の防衛産業企業にビジネスチャンス(長期的な収益と雇用)を確保した」と解釈すべきだろう。

出典:Lockheed Martin スイスで評価テストを受けるF-35A
因みにF-35Aを36機導入するスイスも契約額(63.5億ドル)のほぼ半分=30.5億ドル分のオフセット実行を義務づけており、スイス政府の説明によるとロッキード・マーティンは30.5億ドルの内10.5億ドルをF-35A取得に関連する部品調達やサービスをスイス企業に発注して相殺、残りを間接投資=装備品調達に関連しないスイス産業界への投資もしくは希望する技術移転で相殺しなければならず、戦闘機導入にかかる費用の半分を自国産業界に還流させる計画だ。
ドイツがオフセットで契約額のどこまでを相殺するのかは不明だが、欧州の導入事例を見ていると考えさせられるものがある。
関連記事:ドイツがF-35Aの導入契約に署名、独企業のサプライチェーン参加を要求
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Kevin Long
当事者意識の欠如した日本政府にそんな頭は無いので、オフセットすら付けずに爆買いするだけ
宗主国のアメリカ様には要求できないからね
MRO&UとFACOもらってそれいう?F35プログラム参加してた他国よりよっぽどいい見返り貰ってる気もするけど。そういや韓国のMRO&Uどうするんだろうね。オーストラリアまで行くんかね?
あれを誘致するのに数千億円を負担してるから、貰ったと言うのは違うだろ。
見方を変えれば東アジアに整備拠点が欲しかった米国が日本の金で設置したとも受け取れるし、米国やイタリアのFACOと決定的に違うのは日本需要の組立分にしか対応してないから。
何でもかんでも「日本は優遇されてるんだ」みたいな方向に持っていくのはやめろよ。
日本のFACOは在日米軍や在韓米軍の整備も対応しますが
という記事が過去にここで掲載されていませんでしたか?
FACOって最終組み立てラインのことね。
確かに
とはいっても、日本の需要だけで100機超もの組み立てになる。
イタリアのFACOが国外のオーダーにも対応しているとはいえ、トータルで100機を超える組み立てを行うかどうかは現在かなり微妙
スイス分の内24機をイタリアのFACOで引き受ける方向で調整中で、日本のFACOとは違ってAとBの組み立てに対応してるから自国向けや英国向けのB型も引き受けてるし、総生産数は100機を超えるよ。
根本として、イタリアが削減したF-35の調達をも本当に継続するのかというところで微妙と表現してる
新政権もそうだし、それを選挙で通したイタリア世論が、EUやNATO、軍事費に関してかなりシビアな見方をしているのは間違いがないし…
在日米軍の機体整備を引き受けたお陰で、長い目で見たら建設費分もペイできて黒字になるので、お得どころか嬉しい誤算だったね。
ついでに雇用も生まれるし。
単純に日本の交渉した当時はF-35の製造形態すら計画参加国以外に開示されていなかっただけ。
FACO誘致したのもそれが過去のライセンス生産に類するものだと判断したから。
既に計画の全容が広く知られている今とは状況がまるで違うのに雑すぎます。
言うて輸出向け部品の製造って事は国内の都合で輸出を止めたりできない訳だから現状の日本にはあまりにも越えるべきハードルが高すぎるでしょう。
政府としては、貿易不均衡の緩和手段、くらいの感覚があったのかも?
日本の国際競争力、過去に比べて相対的に低下しているし、
防衛費の増大に伴い、このままだと国富の海外流出も馬鹿に出来なくなるだろうし、
そろそろ対応も変わって欲しいと思っている所です。
F-3開発とかが、その切っ掛けになっていたら良いのですが。
確かIHIのF35のエンジン組み立て工場が東京の瑞穂にあって一部部品も作ってるらしいが、P&Wの下請けだと、オフセットって呼べないのかの。
オフセットは、契約額の一定割合を自国に還流させろという話だからね。
オフセット交渉の結果かどうかによる。
輸出実績が多いアメリカ戦闘機は国内の製造業に仕事が回らないパターンになりますね
早々コロナのような事はおきませんが、非常時になるとまたアメリカに部品が予定通りに届かない騒動が起きたりして
もうアビオニクス以外、機密を守れる国ならおkになりそう。
F‐22+F‐35をF‐15の代替えにしてくれないかな、そのための増税なら喜んで払うぞ。
F-22は早期退役決まっているのと、生産ライン無い(復活に7兆円必要)のでこだわらない方が良いのでは?どうせなら外見YF-23でサイズと中身がB-21とか狙って欲しい(無人機母機兼爆撃機?)ですね、無いと思いますけど。
リンク
F‐3は当初の日本の要望通り機体設計になるとかなりの大型機になりそうで通常のスクランブル機向きとはいかなそう(イギリスと共通機体になればサイズは小さくなるかもしれませんが)
RMが日本に提示したF‐22にF‐35のアビオニクスを移植した機体ならアメリカの兵装をそのまま使うことができる(アメリカが売ってくれればという前提)ことと、F‐35共通のアビオニクスのアップデートが比較的容易だろうこと。いちから機体設計をしなくていいので流用可能ならセンサー類の新規設計とそれに伴う膨大なソフトウェアの手間も省ける。F135EEPを載せてアップデートで開発されたステルス性の増槽付けてデジタルリフレクターでスクランブル機もできそう。何より今後、最重要になる情報の共有ネットワーク化、無人機運用という点に於いて基本アメリカ製であることは有用だろう。
RM側から日本の50%以上の関与まで提示されてたので自前の技術を導入できる部分もあったはず。
とは云え、1機300億円、ライン再開に1兆円、予備のエンジン等々で10兆円は必要になるだろうけど。
自衛隊は3機種運用としてきたので、入手可能で現実的なのはRMの提案だと思う。
F‐3造って、もう1機種というのは日本はお金がないから無理というか夢物語だね。
✕RM
〇LM
F-22は更新余地無さそうなのでF-35とNGADで代替して欲しい
機密は人の往来、技術者のやり取りでもあるのでそっちもめっちゃ厳しい
日英伊で共同開発する機体は?国産で代替したほうが良いと思うのだが。
中央胴体ということは、トルコが製造予定だった分をドイツが製造する感じかな。
結局、トルコ系の移民が作ることになるかもしれませんね。
そうかトルコ生産予定分って、どこが作るかとか話し出てなかったですね
これ開発パートナー国にはどのような根回しをして実現できたんでしょうね
こんな後出しじゃんけんが簡単に成立するのであれば、次の戦闘機開発では誰もアホらしくて出資国として参加しないですよね
中央胴体って断面を見ると竹輪かバウムクーヘンみたいですね。
正直導入機が桁一つ違う気がするんですけどー>ドイツ
型落ち兵器買わされてるとか感情的な批判するより、こういう問題に切り込んでくれと思う
F-35を交渉した時期も、導入を決めた時の国際情勢も全く違うのに
日本とドイツでどっちが有利不利なんて比較に何か意味あるんですかね?
今ならまだしも、F-35の導入を決定した当時の日本では組み立てられた機体や部品が
日米以外の第3国に輸出される事は、許される状況ではなかったと思いますが。
以前も指摘しましたが、管理人の認識は間違っていますよ。
>「非出資国の日本もF-35Aに使用される一部部品を製造する権利を確保しているものの「空自向け需要=規模が小さい」に限定されているため」
三菱重工の部品生産は空自向けに限定されていません。
日本がF-35採用を決めた後、日本は非出資国であるにもかかわらず後部胴体のライセンス生産を認められています。更に2013年3月には当時の菅官房長官談話でF-35のライセンス生産部品のアメリカ以外の国への輸出が認められています。安倍政権は三菱重工を始めとする企業にF-35の国際供給網へ参入させたかったみたいですが、当の三菱重工は国の金銭的な支援がなければライセンス生産や国際供給網への参加はできないと断っています。空自向けだけだったらライセンス費用を上乗せすれば良いでしょうが、国際供給網へはLMが提示した金額で納入せねばならず、三菱重工は赤字を被ってまで国際供給網へ参加する覚悟はなかったようです。
出資国のF-35サプラチェーンに解放されている部品製造とは別に、非出資国の導入国にもF-35を構成する数百ものコンポーネント整備作業が解放されており、2016年と2019年に米国防総省が28分野463品目を民間の請負企業に開放しています。
この作業は地域毎に請負う企業(地域整備業者)が異なっており、太平洋地域では日本企業(アビオニクス分野の4品目/受注した三菱電機によればレーダー関係ではないらしい)と韓国企業(射出座席など計4品目)がF-35のコンポーネント整備事業を受注しており、2014年に菅官房長官が「F-35の部品供給を容認した」というのは地域整備業者に日本企業が参入するための話であって、ロッキード・マーティンからP&Wが製造する日本向けに製造する一部の権利を譲ってもらって空自向けに日本企業が製造している部品が国際需要向けに供給されている訳ではありませんし、日本製造分の部品が国際需要向けに米国のフォートワース工場に供給されているニュースを見かけたことがありません。