独ラインメタルのパッパーガー最高経営責任者は「KF51パンターの輸出についてキーウと話し合っている。発注さえあれば15ヶ月~18ヶ月で納品できる」と明かしたが、この取引をまとめるには独政府から許可と資金を引き出す必要がある。
参考:Rheinmetall-Chef Papperger: „Wir reden mit Kiew über den Export des Panthers“
パンターをラインメタルの裏切り行為と表現するKMWが妨害してくるのは確実で、このアイデアが実現するかどうかはラインメタルの政治力次第
ユーロサトリ2022で発表された130mm滑腔砲搭載の主力戦車「KF51 Panther(パンター)」は独ラインメタルが独自に開発したもので、ドイツ陸軍が関心を示していると噂されているものの正式なテストを受けているわけでもなく、運用実績のないパンターを購入するというチャレンジャーな国も登場していないため量産車両も生産ラインも存在しない。
しかし同社のパッパーガー最高経営責任者は「KF51パンターの輸出についてキーウと話し合ってあっており、KF41リンクスにも関心を示している。まだパンターはプロトタイプモデルしか存在しないものの発注さえあれば15ヶ月~18ヶ月で納品できる」と明かし、ウクライナに対する戦車供給の選択肢にパンターが含まれることを希望している。
仮にキーウとの話し合いがまとまってもパンターのウクライナ輸出には独政府の許可が必要で、パンターを購入する資金を誰が負担するのかという問題にも解決しなければならない。
パンターを輸出するためにはドイツ政府を巻き込んだ形で交渉(KMWがウクライナから直接受注したRCH155調達も独政府が資金を負担している)を進めなければならないが、独仏が進めている主力戦車開発プログラム(MGCS)を主導するKMWはパンターについて「ラインメタルの裏切り行為」と怒っており、政府の資金でパンターをウクライナに送り実戦経験と運用実績を積ませることに反対(妨害)するのは目に見ている。
そのためパンターをウクライナに供給できるかどうかはラインメタルの政治力に懸っていると言っても過言ではない。
関連記事:独仏の主力戦車開発プログラム、Rheinmetallの裏切りとK2の登場で危機感
関連記事:独ラインメタル、130mm滑腔砲を搭載する主力戦車Pantherを発表
※アイキャッチ画像の出典:Rheinmetall/CC BY-SA 4.0
例え政府の輸出許可が明日認可されたとして、まだ試作車1両しか存在しない車を18ヶ月でライン設置から初号機ロールアウトは相当に厳しいスケジュールなのでは(試作車を量産化するためには生産ラインの設計や手配、量産性に配慮した図面引き直しなど膨大な作業が挟まる)。よしんば生産できたとして主砲弾も前例のない新型規格ですし、車両システムの統合や試験だってどこまで済んでいるか分からないですもんね。KF51は企業提案で作られた製品ですから、実地の部隊の要求に車両コンセプトが合致するとも限らないです。
ラインメタルとしてもマジで通るとは思ってないでしょうし、積極的な姿勢を見せて他の兵器供与に発破をかけつつ新製品の名前もさりげなく売っておくといった雰囲気を感じますね…
設定した期限内に開発と生産ライン構築が完了して「NATOの同盟国にはライセンス生産もOK」とかなら値段次第でK2の対抗馬になれるかもしれませんが、可能性は低いでしょうね。更にはMGCSの進捗次第では商売敵になるでしょうし。
MGCSがFCAS同様に、いつものアレで開発が遅延した時の保険にはなるかもしれませんが、クラウスマッファイとラインメタルの間に溝が残ること間違い無し。
KF51はレオ2A4がベースの筈だし完全新規なのは砲塔だけの可能性がある。それだとそこまでタイトなスケジュールでも無いのでは?砲弾以外はレオ2とそれなりに互換性があるかもしれないし初期だけ主砲を120mmにするぐらいは普通に出来そうだと思う。
むしろ各国提供で1番数があるレオ2A4のアップグレードプログラムと考えてもいいかもしれない。
謳い文句を信じると専用APSや高度な自動化、情報認識能力の拡張が含まれていてそもそもフルスペックは未完成だと思われるので、恐らく殆どの機能が未実装のほぼハリボテなのでは…
Leopard2の生産ラインが、閉じて久しいし、生産会社もクラウスだし。
だったらクラウスマッファイもティーガー(事実上のレオパルト2A8)を作ればいいじゃない。
それはそれとして、ウクライナでの戦いが長期化して実戦投入出来るとの判断しての提案なんだろうが、ドイツ政府からOKが出たとしても一年半という期間でMBTの開発と量産が順調に行くとは思えないんだが。間に合っても合わなくともリスキーな投資になりそう。
その提案は予想してなかったわ
でもそんなライン構築するくらいならレオ1とレオ2、保管状態のその他装備の再整備ラインをガンガン回してさっさと有り物の装備を寄こしてくれってウクライナは思いそうですけどねw
ドサクサに紛れて130mm砲搭載戦車の調達を現実化しようというのだろうが、これはさすがにブッ飛んだ話だなあ。
最近押され気味のラインメタル社としては、K2なんかよりスゴイ戦車がありまっせ~と売り込むチャンスではあるが・・・。
オタクとしては面白い限りだが、流石に色々無理があるだろ
ラインメタルの政治力は知らんけど、直でウクライナに送るより、レオパルド送った補充に売り込む方が現実的なのでは?
このアイディアはワンチャンス中のワンチャンスなんだけど、もう生産準備はすべて整っていて、発注があればいつでも生産できるレベルでは?
リンクス系の生産ラインを流用できて、べトロニクスや主砲や砲弾も既存設備で生産可能とすれば、組み立て部品の生産で一年目、二年目に組み立てを始めれば、一年半で初号機納品はできなくはないだろう。
現地部隊の要求とのすり合わせは急を要する調達なので、妥協されるだろうし。
でも105mm、120mm、130mm弾の同時生産とか大丈夫なのか?
上と関係ないけど、レオ2A5からはレオ2の生産はKMWが行っているが、レオ2A4まではKM(99年にKMWとなる)を主契約者として、副契約者としてMaKという会社がレオ2を生産していた。でMaKがレオ2を生産していた工場を今はラインメタルが持っているらしい。
なので、さらにもうワンチャンス、供給されるレオ2A4をラインメタルの工場で整備しながらアップデートするプランではないだろうか? しらんけど。
率直な感想を言うと、戦争に便乗して失敗しかけてるプロジェクトをなんとかしたいように見える
レオ2の供与が決まった以上、次世代戦車はレオ2の実戦を見てから仕様を固めていく方が合理的だろう。というか、欧州各国の早急な穴埋めが必要になるから次世代戦車より実戦改良型レオ2の需要が増えそうだが。
戦場を兵器の試験場とする意図が露骨すぎて乾いた笑いしか出てこない。
道徳心あふれる日本としてはそのような意図はまったくないので、ウクライナ政府と協議を行い、10式戦車や19式榴弾砲、中距離多目的誘導弾といった先端的な装備を積極的に供与すべきではないだろうか。
なんだか、砲塔ビジネスの話に落ち着きそうな気がします。
砲塔(主砲も)と車体が別メーカーというのは結構あったと思います。
以前のの記事でKF51は車体がレオ2のものという話があったと思います。
ですから、砲塔だけ作って既存車体と組み合わせるのでは。
砲塔にはAPUも付けて、車体からの動力供給はなしという形で。
それならば、例えば、古い車体でもOKなのでは。
KMWが怒るのも分かるけど、ドイツはヘーネルとヘッケラー&コッホのゴタゴタみたいな兵器会社間の確執はみたいなのが伝統的にありそう。
第二次大戦の時にも色々あったような。
2A6といい西側のMBTに比べて破壊力を重視してるドイツ戦車だけど元々の仮想敵はなんなんでしょうね?
チャレンジャー辺り?