欧州関連

欧州最強を目指すドイツ、ボクサー5,000輌とPatria3,500輌の調達を準備中

Bloombergは今月4日「ドイツはレオパルト2とボクサーを計3,500輌調達する計画だ」と報じていたが、29日「ドイツはボクサー×最大5,000輌、Patria×最低3,500輌の調達を準備中だ」と報じ、この中にはSkyranger搭載バージョンのボクサー×600輌も含まれている。

参考:Germany Readies Military Order For 8,500 Armored Vehicles

再軍備計画が順調に進めばドイツ陸軍、ポーランド陸軍、トルコ陸軍だけでロシア陸軍に対抗可能になる

NATO首脳会談で32ヶ国の首脳は「2035年までに毎年GDPの5%を防衛分野(3.5%)と防衛・安全保障関連(1.5%)に投資する」と約束したものの、期限内に従来の国防費に相当する3.5%を達成する道筋が見えている国は一握り(ドイツ、ポーランド、ラトビア、エストニア、ギリシャ)しかなく、ドイツのメルツ政権は6月24日「今後5年間で総額6,490億ユーロ=約109兆円を国防費として支出する法案」を承認し、2029年までに防衛分野への投資=3.5%を達成する見込みだ。

出典:NATO

Bloombergは7月4日「NATOはドイツに対して『10年以内に最大7個戦闘旅団をNATOに提供してほしい』と要請し、これに応えるためピストリウス国防相とドイツ軍上層部が検討している装備調達には最大1,000輌のレオパルト2と最大2,500輌のボクサーが含まれている。業界関係者は「KNDSとラインメタルの受注額は250億ユーロ=4.2兆円に達する可能性もあるが、現在も調達交渉が続いているため最終的な金額は250億ユーロよりも低くなるかもしれない」と述べ、この調達計画は今後数ヶ月以内に最終決定され、議会も計画の承認を年内に与える可能性がある」と報じた。

さらに「この他にもドイツはフクス装甲兵員輸送車を更新するためPatria6×6を1,000輌以上調達する計画も承認(議会の300輌調達に関する承認は年内を予定/調達する全バージョンの合計が約1,000輌)しており、こちらの受注額も最大20億ユーロ=3,400億円に達する見込みで、調達するPatria6×6の約90%はドイツ国内で製造される」と付け加えていたが、これはドイツ軍を欧州最強にする計画の序の口でしかない。

出典:Bundeswehr/Stefan Petersen

Bloombergは29日「メルツ政権は『今後4年間の年間国防予算を最大1,620億ユーロ=27.7兆円に増額する中期財政計画』を30日に承認する予定だ」「この資金を背景した調達リストのトップにはタイフーン×20機、レオパルト2×数百輌、ボクサー×最大5,000輌、Patria×最低3,500輌などが含まれている」と報じ、タイフーン×20機はショルツ政権が調達を約束していたTranche5のことで、契約総額は30億ドル以上になると予想されている。

レオパルト2の調達数は「最大1,000輌」から「数百輌」に表現がトーンダウンしたものの、ボクサーの調達数は「最大2,500輌」から「最大5,000輌」に倍増しており、特筆すべきは「ボクサーの調達にSkyranger搭載バージョンのボクサー×600輌(既に30発注済み)が含まれている」という点で、機械化部隊に随伴可能な低空域をカバーする短距離防空システムを600輌も調達するというのだから驚きでしかない。

ドイツ陸軍が採用したSkyrangerの迎撃手段は「30mm機関砲(射程約2km)」と「ドローンの迎撃に特化した小型ミサイル=DefendAir(射程約5km~6km)」で、後者に関しては9発装填できるため、600輌全てにDefendAirをフル装填するとドローン迎撃用のミサイルを5,400発も配備できる計算だ。

Patria6×6も調達数も「1,000輌以上」が「最低3,500輌」に引き上げられており、ドイツ陸軍は少なくともレオパルト2×数百輌、ボクサー×最大5,000輌、ボクサーの歩兵戦闘車バージョン×148輌、ディンゴ2×115輌、Patria×最低3,500輌、戦術車輌×1,000輌以上、補給・輸送用車輌×10,000輌以上、PzH2000とRCH155を計190輌、新しい多連装ロケットシステムを最大100輌、Patria6×6とNEMOを組み合わせた火力支援車両を最大120輌、タイフォンシステムを調達するつもりだが、これも欧州最強を達成する計画の一部でしかない。

因みに欧州最強を目指すドイツとポーランドは「ロシアに対する危機感」「再軍備に対する本気度」「これを支持する国民の多さ」が他の欧州諸国と比べてずば抜けており、ここに欧州最大の陸上戦力を誇るトルコ陸軍まで加わると「兵数と装備でロシア陸軍に対抗できる体制」が実現する。

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※アイキャッチ画像の出典:Bundeswehr/Jana Neumann

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コメント

  • コメント (16)

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    • PAC3
    • 2025年 7月 30日

    PzH2000に関してはウクライナ軍での運用で色々と不具合が起きたので対策済み車両なのでしょうね。
    詳細はググってみましょう。

    5
    • 匿名
    • 2025年 7月 30日

    週休3日のドイツで、本当に作れるのかな?

    17
    • Mr.R
    • 2025年 7月 30日

    これはすごい。兵員を賄えればもっとすごい。

    15
      • 素人
      • 2025年 7月 30日

      意欲的は調達計画ですが、兵員はどうするつもりなんですかね?
      徴兵制アレルギーが強いと、NHKの報道でもありましたから、外人部隊でもつくるのかは。

      10
        •  
        • 2025年 7月 30日

        相対的な話になっちゃいますが、本邦よりはずっとマシなんじゃないですかね。ドイツには徴兵経験者も居ますし国民の半数以上がやむなしと判断する国なので、その辺日本よりは危機感と責任感が強いように思います。

        24
          • 山田さん
          • 2025年 7月 30日

          国民の半数以上がやむなしと考えているのは事実なのですが、世代間で調べると
          徴兵される世代の支持率は3割、徴兵
          されない世代の支持率は6割とかなんですよね。
          これに男女の要素を加えると、たぶん徴兵世代の男性の支持率は、かなり低いんじゃないかと…。
          とこの国もこういう傾向はあるんでしょうけど、ちょっとグロテスクですね。

          36
        • ののの
        • 2025年 7月 30日

        プロイセン主導のドイツ建国以来、徴兵が無かった時代なんて1次大戦後のワイマール共和国時代か、2010年代の徴兵廃止以降の10年ぽっちくらいしかなくて、後は常に国民皆兵でやってきた国だからアレルギーなんて大してないよ。毎日新聞はそう書いていた。NHKの誤報か誘導報道じゃないの

        13
      • トーリスガーリン
      • 2025年 7月 30日

      もしかして相応の数が戦時損耗補充用の予備だったりするんですかね?

      1
    • 無印
    • 2025年 7月 30日

    スカイレンジャーいいなぁ、日本も24式の派生型に採用できないものか…
    レーザーに力入れるのは良いんですけど、いつ完成するんだよー、って思っちゃう

    16
    • たむごん
    • 2025年 7月 30日

    ものすごい規模ですから、人員をどう確保するのかが問題になりそうですね。

    (民間防衛の観点からも)男女・年齢関係なく、徴兵や賦役を、平等に課してやっていくべきでしょう。

    AfDは若年層の支持を集めて支持率首位になっており、徴兵制の制度設計も上手にやらないと、ますます現役世代の支持を集める事に繋がりますよ(日本も比例得票数が変わってきますね)。

    2
      • 名無しの権兵衛
      • 2025年 7月 31日

      年20兆円規模の防衛費って、凄まじい。
      しかし、大部分を国内で消費するなら公共投資でもある。
      アメリカ兵器を買わされて、国内に金を落とさない日本とは違うなぁ。

      1
    • p-tra
    • 2025年 7月 30日

    宇露戦争の戦訓からゲパルトのようなSPAAGが再評価されているけど…
    個人的にはこういう対空機関砲でドローンに対抗できるとは思えないな。
    最初期はシャヘドのようなOWAUAVの対処に良いと思われていたが、高空を
    飛ぶことで無効化されるし…カバー範囲も狭いのでもはや特効薬とは言えない。
    最前線を飛んでるFPVには純粋に交戦して勝てると思えない。
    レーダーが検出してオペレーターが反応できて実際に撃墜できる確率は
    どれくらいだろう? 実戦の動画を見ると大して高いとは思えない。
    良くできたSPAAGで8割くらいじゃないか、それではコストの交換としては負けだろ。
    (もちろんFPVに有効に対処できる対空システムなんて他にも無いのだが)
    固定翼ISRUAVなら確実に撃墜できる、でもそれなら別に機関砲である必要性はない。
    Apkwsか対空FPVでもいいし、コスパも機関砲以上に優れている。
    総合的にSPAAGじゃないと出来ないことなんて無いと思うんだよな。

    2
    • p-tra
    • 2025年 7月 30日

    small anti drone missile ことSADMはいつの間にかDefend Air なんて
    名前に変わったんだ。
    新近SAMがUAV対処に投入される予定と知った時はIRシーカーのコストは
    撃墜対象とあまりに釣り合って無くないか、と思って批判的だったのだが
    ドイツのSADMはやってるしアメリカもApkwsをIR化しようとしているし…
    意外にも全世界的な傾向に見える。
    ペットボトルを燃料タンクして飛んでるオルランが10万ドルなんて過大評価
    かコストの8割くらい汚職のどっちかだろうから、実戦じゃオルランの相手すら
    費用対効果的にキツいように思うけどなあ。

    1
    • NHG
    • 2025年 7月 30日

    西側兵器で武装したウクライナ軍の反攻を挫折させたのがロシア軍の攻撃ヘリによるアウトレンジ(10km)であったことを考えると、射程がいささか心もとない気がする

    1
      • 名無し
      • 2025年 7月 31日

      ヘリや無人機に空対空戦闘でもしてもらうしかないかな
      地平線やらレーダーの大きさやら詰める車両の大きさやらで地上側からはどうにもならないので

    • DEEPBLUE
    • 2025年 7月 31日

    ドイツ人がロシア人怖いと公言できるようになるとは時代は変わったな、もう一つの敗戦国とは真逆で。そして一度動き出すと相変わらず思い切り振れる。

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