ドイツ海軍のF126建造は設計に使用したソフトウェアの技術的問題で大幅な遅延が発生し、今年1月「代替艦としてMEKO A-200の予備契約を締結する」と報じられていたが、ドイツ国防省は24日「海軍向けのF126調達を中止する」「代わりにMEKO A-200 DEUを8隻調達する予定だ」と発表した。
参考:Verteidigungsministerium beendet das Rüstungsprojekt Fregatte F126
参考:BMVg bricht Projekt Fregatte F126 ab und beschafft acht MEKO-Fregatten
ドイツ国防省はF126建造継続を放棄してまで損害賠償請求権を守っているため本当の戦いはこれからだ
ドイツ海軍の水上戦闘艦戦力は汎用フリゲートのF123×4隻、防空フリゲートのF124×3隻、低強度作戦向けのフリゲートのF125×4隻、汎用コルベットのK130×6隻で構成され、2020年にF123の後継艦としてDamenが提案したF126の建造が決まり、建造を2023年から開始し、1番艦の引き渡しが2028年に予定されていたのだが、設計を担当するDamenと建造を担当するドイツ国内の造船所との間で設計データの共有に問題が発生して2年以上も建造遅延を招いている。

出典:Damen
問題の原因に深入りすると話が長くなるので割愛するが、簡潔に言うと「ダーメンが設計に使用したソフトウェア(Dassault Systèmesの3DEXPERIENCE)に技術的問題が発生して解決の目処も立っていない」となり、ドイツは3つの選択肢「ダーメン主導のF126建造を継続するか」「この計画を放棄するか」「この計画をドイツ主導に再編するか」を検討し、ドイツのディフェンスメディア=hartpunktは2026年1月「国防省とTKMSがF126の暫定的な代替プラットフォームとしてMEKO A-200の予備契約を今月中に締結する」「さらに国防省はF126計画に関する再構築・修正案も提案する予定だ」と報じていた。
ドイツ海軍はF123の後継艦を2029年までに必要としており、hartpunktは「この2つの動きはF126建造とMEKO A-200建造を同時並行で進めることを示唆している」「TKMSは2026年末までに契約を締結できればMEKO A-200の1番艦を2029年までに納入できる」と指摘していたが、ドイツ国防省は24日「海軍向けのF126調達(6隻)を中止する」「代わりにMEKO A-200 DEUを8隻調達する予定だ」と発表。

出典:Bundeswehr
“国家やNATOの防衛にとって対潜能力は極めて重要な能力で、ドイツ海軍の能力を強化するためF126フリゲート6隻を調達する予定だった。しかし、請負企業として契約していたダーメン・シェルデ海軍造船所(DSNS/現在はDamen Naval)は合意されたスケジュールおよび資金面の条件を遵守できなかった。国防省は請負企業をNaval Vessels Lürssen(NVL)に変更することで計画の維持が可能かどうか検討したが否定的な結果に終わった。国防省はF126の代替としてMEKO A-200 DEUを8隻調達する予定だ”
“予算委員会が承認すれば最初の4隻は約63億ユーロ=約1.1兆円で調達できる見込みで、残りの4隻を調達するオプションは約53億ユーロ=約9,700億円で行使される可能性がある。逆にF126を6隻調達すれば約180億ユーロ=約3.3兆円の費用が発生すると予測された。さらに請負企業を変更すると連邦政府は契約上、最初の請負企業=DSNSに対する損害賠償請求権を放棄しなければならず、これは責任を持って予算を運用するという理念に反する”

出典:TKMS
この件についてhartpunktは「F126の調達コストは100億ユーロかかると見積もられていたが、請負企業をDSNSからNVLに変更して契約を締結し直すと約152億ユーロになり、当初契約に基づいてDSNSに提供された資金まで合わせるとF126の調達コストは180億ユーロ以上になる。さらに請負企業を変更するとDSNSに対する損害賠償請求権を放棄しなければならず、これは責任を持って予算を運用するという国防省の理念に反すると言及している」「契約上の義務を履行しなかったDSNSに損害賠償請求の可能性を検討しているという意味だ」と報じており、DSNSは今後大きな訴訟を抱え込むことになる可能性が高い。
ちなみにMEKO A-200 DEUの調達コスト=約63億ユーロは建造費ではなく「船体の建造費」「戦闘システムの統合」「契約で合意された初期サポート」「TKMSが提示した最終オファー後の追加要求(コスト上昇は約5%)」を含む取得費用のことで、官給品となるケースが多いエンジン、レーダー、ソナー、指揮管制システム、武器システムの大部分も約63億ユーロ(一部はF126からの流用)に含まれている。

出典:Damen
今回の件は「F126建造をドイツ主導に再編するのにダーメンがもつ知的財産権の法的処理に如何に時間がかかるか」「この6年間で如何にインフレによる資材や人件費が高騰しているか」を浮き彫りにしており、これまでにDSNSへ投資した23億ユーロ=約4,220億円の大部分も直接回収が不可能と判断され、損害賠償請求を通じてDSNSからどれだけ回収できるのかも不明だが、ドイツ国防省はF126建造継続を放棄してまで損害賠償請求権を守っているため本当の戦いはこれからだ。
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※アイキャッチ画像の出典:Damen





















次の戦場は法廷か…
ダーメンってアメリカのマックラング級の設計もやってたな
アメリカの造船能力と合わさって、不安になる話だ
MEKO A-200 DEUの調達コストの解説が、ジャパネットの通販番組の値段のシーンみたいw。
>問題の原因に深入りすると話が長くなるので割愛するが、簡潔に言うと「ダーメンが設計に使用したソフトウェア(Dassault Systèmesの3DEXPERIENCE)に技術的問題が発生して解決の目処も立っていない」となり
これは誤読では?
むしろダーメンが設計・計画に使用したソフトウェアが独自のもので、それが問題だったという風になっていませんか?
正直、無駄にデカいだけの126型よりMEKO A-200を数揃えたほうが役に立つような気がしますね。
アメリカもですが無駄に凝った船を作ろうとして、失敗を繰り返しているように感じてなりません。
排水量1万tにも届いてるのにVLS16セルと航続距離は排水量半分程度の前級から据え置きで最高速度は3kt低下して26kt、対潜装備に至っては固有の対潜武装全廃、ソナーは艦底装備式が無くなり曳航式だけに限定とカタログ上は対潜能力劣化と何でこんなにデカくなるのか疑問しか浮かばないカタログスペックですからね
RAMによりVLSを使わず個艦防空が可能になりVLSもSM-2に対応したので艦隊防空戦闘が可能になったのが唯一の売りですが汎用艦が対潜能力捨ててまで防空に特化してどうするんだと……
デカいのは将来的な拡張性の確保、長い航海やミッションのための航洋性と居住性、そしてフリーダム級やインディペンデンス級と同様に作戦に対応したミッションモジュールの交換能力ぅ・・・ですかねぇ。
アーレイ・バーク級みたく余裕があるのは良いことですが、ミッションモジュール交換は中国ですらやっていないというか、兵器システムを積んだコンテナを交換する事で対応しようとしてるようなので、米独ともに搭載艦が失敗するようなら・・・
高付加価値の物を作らないと金取れないから気持ちは分かるけどね
日本の家電と同じ道を辿ってるな
こうしてみると日本の防衛調達に不満が色々出るのはわかりますがこと護衛艦に関してだけは超優秀なのがよくわかりますね…
納期を守れる、って凄い事だったんだな……
日本のもがみをたくさん作ってドイツにあげよう
オランダ企業がフランスのソフトウェアを使ってドイツの造船所で下手こいたと。こういう事例は他人事じゃないから困る。
欧州の艦艇の記事見る度に単純な建造費でなくても価格バグってるよなぁって思うなぁ。
一体何と戦っているんだ、ドイツ人達は…
独が自国分の建造すらままならないとなると、西側諸国の軍艦建造の日・韓へのシフトが進みそうな気配。。
ドイツさんへ、日本製を買いませんか?
日中韓のネットユーザーが口を揃えて「同じ予算でウチの◯◯をn隻作れるじゃん…」とか言っててダメだった
日韓は分かりますが中国も入っていて草
量産得意ですもんね
たかがVLS16セルのフリゲートがSPY-7にVLS128セル積んだASEVよりたけぇんだぜ、ぶったまげるわ
MEKO A-200なら新型FFMよりもかなり安くなるってオーストラリアで競った時には言ってませんでしたか?
8隻で63億+53億 = 116億ユーロ
1隻あたり14.5億ユーロ、すなわち2600億円??
契約しちまえばこっちのもんだから色々出任せ言ってるんだろうね
基準排水量12000t、VLS128セルのASEVが2隻で維持費込みで約1兆円と考えれば、あまりに割に合わないと言わざるをえないです。
軍事解説ブログで俺達の戦いはこれからだエンドな事あるんだ
高品質さが売りのドイツ人には安かろう早かろうな兵器は受け入れ難いんだろうな
英国もそうだけど長期航行等を求めたから大型になって必然的にコスト高だったのに、小さな船で置き換えて間に合うの?って感じ
オーストラリア「(あっぶねえええええ……)」
西側のこの体たらくを見てると、日韓で西側軍艦用造船ドックを作ってもワンチャンペイ出来るんじゃないかという気がしてきた…………。
まあアメリカは下院が海外建造阻止する条項可決しちゃったんだけどさ…………アメリカ海軍バチギレてるだろこれ(なお設計の進め方の不味さは棚上げ)。
支援艦ならいけそうなので、それだけでも日韓で作るとか…
米国は戦闘艦にだけリソースを集中すれば……無理ですかね