欧州関連

ドイツ、F126建造遅延を受けてMEKO A-200の緊急取得を検討中

ドイツ海軍の汎用フリゲートの後継艦=F126建造は設計に使用したソフトウェアの技術的問題で2年以上の遅延が発生し、独ディフェンスメディアのhartpunktは20日「今月中にF126の代替プラットフォームとしてMEKO A-200の予備契約を締結する」と報じた。

参考:BMVg will Vorvertrag für MEKO A-200 DEU mit TKMS schließen

この2つの動きはF126建造とMEKO A-200建造を同時並行で進めることを示唆している

ドイツ海軍の水上戦闘艦戦力は汎用フリゲートのF123×4隻、防空フリゲートのF124×3隻、低強度作戦向けのフリゲートのF125×4隻、汎用コルベットのK130×6隻で構成され、2020年にF123の後継艦としてDamenが提案したF126の建造が決まり、建造を2023年から開始し、1番艦の引き渡しが2028年に予定されていたのだが、設計を担当するDamenと建造を担当するドイツ国内の造船所との間で設計データの共有に問題が発生して大幅な建造遅延(現時点で2年以上)を招いている。

出典:Damen Schelde Naval Shipbuilding

問題の原因に深入りすると話が長くなるので割愛するが、簡潔に言うと「Damenが設計に使用したソフトウェアに技術的問題が発生して解決の目処も立っていない」となり、ドイツは3つの選択肢「Damen主導のF126建造を継続するか」「この計画を放棄するか」「この計画をドイツ主導に再編するか」を検討してきたが、独ディフェンスメディアのhartpunktは20日「国防省とTKMSがF126の暫定的な代替プラットフォームとしてMEKO A-200の予備契約を今月中に締結する」「さらに国防省はF126計画に関する再構築・修正案も提案する予定だ」と報じた。

ドイツ海軍はF123の後継艦を2029年までに必要としており、hartpunktは「この2つの動きはF126建造とMEKO A-200建造を同時並行で進めることを示唆している」「TKMSは2026年末までに契約を締結できればMEKO A-200の1番艦を2029年までに納入できる」と指摘してるため、これは「既に決定されたF126建造に関するドイツ企業のワークシェア配分を白紙化するのが如何に難しいか」「F126建造をドイツ主導に再編するのにDamenがもつ知的財産権の法的処理に如何に時間がかかるか」を浮き彫りにしている。

出典:Bundeswehr

因みにF123の後継艦調達は4隻ではなく6隻に変更され、防空フリゲートの後継艦として準備が進められているF127=MEKO A-400 AMD(排水量1万トン)もF124と比較にならないほど強力で、AN/SPY-6搭載、Mk.41VLS×64セル搭載、BMD能力の獲得が確実視されていたが、F127のMk.41VLSは64セルから96セルに、調達数も6隻から8隻に変更される見込みだ。

さらにドイツ海軍が最近公開した文書によると「F127フリゲートを補完する無人水上艦艇=LRMV×3隻」「K130を補完する無人水上艦艇=FCSS×18隻」「U212A/CDを補完する無人潜水艦=LUUV×12隻」を2035年までに取得する予定で「有人戦闘艦の能力を直接拡張するのではなく随伴する無人戦闘艦を戦力構造に追加することで特定能力を付け足す」という意味になる。

出典:Bundeswehr

水上艦艇の戦闘能力はミサイルの携行量が垂直発射装置のセル数に依存する上、洋上でのミサイル再装填が非常に困難なため消耗した戦闘能力を回復させるには港に寄港する必要があり、この問題を更に深刻化させているのは「空からのアプローチが安価になったため垂直発射装置のセル数に依存する水上艦艇は空中の脅威に対して不利」という点で、これを現行の概念でカバーするためには艦艇のサイズを大型化してセル数を増やすか、高価な有人戦闘艦の数を増やすしかない。

艦艇のサイズを無闇に大型化すれば運用関係のインフラを一から見直さなければならず、高価な有人戦闘艦の数を増やせば費用と人手の問題に直面するため、LRMVやFCSSは基本的に有人戦闘艦の弾薬庫=ミサイルを再装填した発射装置の運搬プラットフォームとして機能し、LRMVとFCSSの違いは耐航性を担保する船体の大きさで、LRMVは気象条件が厳しい大西洋での運用を、FCSSはオランダ海軍が導入予定の無人支援艦=追加弾薬庫として機能するプラットフォームと同じ北海やバルト海での運用を想定している。

出典:Bundeswehr

要するに特定海域に弾薬庫として機能する無人戦闘艦を長期間徘徊させることで「これをコントロールする有人戦闘艦の能力=発射装置のセル数を拡張する」という意味になり、無人戦闘艦は有人戦闘艦を置き換える存在でも、無人戦闘艦が単独で自律的に脅威と交戦するわけではなく、トラックに例えるなら荷台を物理的に拡張するのではなく「自律並走が可能な無人車輌との同時運用で輸送量を拡張する」といったところだろう。

関連記事:ドイツ海軍、F127の8隻調達に加えて無人水上艦艇や無人潜水艦を取得
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関連記事:オランダ海軍、フリゲート艦の追加弾薬庫として機能する支援艦を購入

 

※アイキャッチ画像の出典:TKMS

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コメント

  • コメント (8)

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    • たむごん
    • 2026年 1月 20日

    ソフトウェアの問題で、生産が2年遅延するとは難しいものですね。

    海上は、対フーシ派の戦闘では水上艦の対空ミサイル消耗が問題になりま。
    陸上は、ウクライナ戦争などでは陸上の安価なドローン・無人機の対処が問題になりました。

    日本目線で見ても、専守防衛を掲げるわけですが、この4.5年くらいで格段に対処が難しくなったなあと感じてしまいますね。

    9
    • tkms
    • 2026年 1月 20日

    オーストラリアはa200選ばなくて正解だったね
    これじゃあ手に入らないよ

    28
    • 幽霊
    • 2026年 1月 21日

    アーセナルシップ構想の再来かな?

    4
    • あうあうあー
    • 2026年 1月 21日

    F126はなんだか微妙なコンセプトのフリゲートだったので、むしろド直球の汎用フリゲートであるMEKO A-200でギャップ埋めをして時間を稼ぎ、腰を据えてF126を再設計することができれば、結果的にはドイツ海軍にとって望ましい状況になるのではないでしょうか。
    国内向けに製造ラインがあれば、輸出にも有利になるかもしれませんし。

    15
    • まる
    • 2026年 1月 21日

    ニーダーザクセン級1番艦は既に起工しているみたいですが、設計が完了していないのに建造したら、何が出来上がるのか・・。この分だとMEKOの方も技術的トラブルで建造遅延になりそうな予感もします。

    8
      • ネコ歩き
      • 2026年 1月 22日

      Damenでの基本設計は完了してるのでしょう。
      そのデータを基に造船所側が詳細設計を行うのが建造の流れですが、Damen側と独造船所側でフトウェアの違いによりデータ共用ができなかった、ということのようです。
      緊急の解決策は、例えば現在の技術者たちが不慣れなデジタル設計以前のやり方(紙図面と設計計算書)をデジタル化することになり大幅な工程遅延を招いてしまったのでは。恐らくは造船所のスケジュールもあり詳細設計を確定させた部分から起工したのではないかと。
      MEKOはブローム・ウント・フォスの設計ですから同様の問題は生じないでしょう。

    • kitty
    • 2026年 1月 21日

    ゲルマン「カエル食いどもの作ったダッソー・CATIAなんか使えるか!ドイツ製のを使え!」

    とか言ってこのザマだったりして。
    MS Officeを排して、失敗したのもドイツの自治体だったな。

    5
    • 2026年 1月 21日

    A-200も遅れるんですねわかります

    8

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