欧州関連

ドイツ、ゲパルトの供給切れを見越してウクライナ向けにSkyNexを発注か

独Handelsblatt紙は9日、Rheinmetallが受注した拠点防空に特化した防空システム「SkyNex」を受け取るのはウクライナだと報じており、ゲパルトの供給切れを見越したドイツ政府が発注した可能性が高い。

参考:Rheinmetall baut neue Skynex-Flugabwehr für die Ukraine

従来の方法と比較してロシア軍のドローンや巡航ミサイルの迎撃コストが最大99%削減できる

RheinmetallのSkyNexは拠点防空に特化した統合型の防空システムで、ロケット弾、砲弾、迫撃砲弾、小型ドローン、精密誘導兵器、巡航ミサイルなどの攻撃を無効化する手段=GPSや通信を妨害するシステム、EO/IRセンサーとレーダー追尾を組み込んだRevolver Gun Mk3、牽引式のTwin Gun GDF009TREO、指向性エネルギー兵器のレーザーガン、UAE企業が開発した専用迎撃弾のSkyKnightが用意されており、RCS値の小さな目標検出に特化したX-TAR3DやMulti Sensor Unitを組み合わせれば効果的に拠点を保護することができる。

Rheinmetallが今回受注したのはRevolver Gun Mk3搭載車輌を含むSkyNexシステムで、ドイツ政府の関係者は「ウクライナが受け取る(2024年初頭の納品を予定)」とHandelsblatt紙に明かしており、従来の方法と比較してロシア軍のドローンや巡航ミサイルの迎撃コストが最大99%削減できると報じているのが興味深い。

因みにウクライナ向けのSkyNexは1億8,200万ユーロ(+トラック調達費用として1,200万ユーロ)で2セット発注されており、RMMV HX2の調達コストが1輌あたり約40万ユーロ(相当大雑把な推定金額)なので、SkyNex×2セットに含まれるRevolver Gun Mk3搭載車輌は30輌前後と予想されゲパルトの供給切れを見越した措置だろう。

関連記事:ラインメタル、トラック搭載のエリコン・リボルバーガンMk3で小型ドローンを無力化

※アイキャッチ画像の出典:Rheinmetall

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コメント

    • 無無
    • 2022年 12月 10日

    ドイツも決して出し惜しみしてるシブチンではないということかい
    ウクライナ関連では出します、でも出せませんの与太話が多すぎる。
    無い袖を振るだの口先だけの国でないのならそれで良し

    15
      • ミリオタの猫
      • 2022年 12月 10日

      そう言えば、先日ドイツと米国との会談の中で、ドイツがレオパルド2をウクライナヘ供給する事を米国が支持していると報じられたので、最近のドイツはウクライナ支援を巡っての方針が変わって来ているのかも知れませんね。

      8
        • 7c
        • 2022年 12月 10日

        ドイツって、アメリカ・イギリスに次いで3位の支援国なんだけど、初期の件や戦車の件があったからシブチン扱いよねぇ。
        カワイソス。

        9
    • ミリ飯食べたい
    • 2022年 12月 10日

    エリコンはスイスだからまた弾の生産で揉めるのではと思ったら99年にラインメタルに売却していたんですね。
    エリコンFFのイメージしかなかった。

    4
    • 58式素人
    • 2022年 12月 10日

    勝手なことを言いますが、
    35mmではなく、12.7mmのガトリング形式のものはないでしょうか。
    35mmでは、コストが掛かりそうな。7.62mmミニガンでも可かと。
    時限信管で飛ばす散弾と同程度の大きさの弾を使えないでしょうか。

    2
      • ネコ歩き
      • 2022年 12月 10日

      有効射程が問題になるでしょう。

      21
        • 58式素人
        • 2022年 12月 10日

        思うのですが。
        低空目標に限って言えば、こういうの(35mm砲)は、
        巡航ミサイルや自爆無人機などを優先して目標にして欲しいような。
        12.7mm以下の口径はいわゆるドローン(クアッドコプター等)
        で対処した方が、コスト的に良いのでは。棲み分け(?)ですね。
        当然、射程距離の話もあります。

        2
          • ネコ歩き
          • 2022年 12月 10日

          おっしゃる通りで、万能にコスパが良い機械装置てのはまずありません。最もコスパの良い使用範囲を設定した上で必要に応じて開発されるのが普通です。
          小型ドローンに遠距離からの攻撃能力付与は当面難しいので、小口径弾の射程で必要十分な目標なのかなと思います。
          手のひらサイズの偵察/自爆ドローンも開発されてますが、それらには何らかの携帯型対抗兵器が必要になるかもしれませんね。

          1
            • 58式素人
            • 2022年 12月 10日

            多分ですが。
            歩兵分隊の基本装備に、12ゲージの散弾銃が含まれるようになるかと。
            米軍などでは、ドローン以前から近接戦闘武器として標準装備されていますね。
            陸上自衛隊では含まれてはいないようですが。
            これに、見越し計算機能の付いた照準器が増えるかなと。

            2
      • 成層圏
      • 2022年 12月 10日

      76mm対空砲を復活させてみたら?威力もあるし、射程距離も長い。
      自走式かトラックの車台に搭載したら、対装甲車にも使えるよ。

      2
        • 58式素人
        • 2022年 12月 11日

        オトマティック76mm自走対空砲みたいなものですね。
        南アで、ほぼ同じ砲身を持つロイカットが、APFSDS弾で
        T54/55/62を全方位から撃破した(?)という話もありますね。
        増加装甲(複合/ERAなど)無しの状態だと想像しますが、
        威力があるのは間違いないと思います。
        低空のドローンには威力がありすぎるような気もしますが、
        十分に検討の対象でしょうか。
        イタリアが採用したと言う話も聞きますね。

        2
      • nachteule
      • 2022年 12月 12日

       その考えだとコストばかり気にして本来の目的である被害低減に目が入っていないと思う。
       高価なシステムなのに射程距離が減って撃墜率が減りそうだし35mm調整破片弾のタングステンより7.62mmや12.7mmの弾頭は3倍〜11倍くらい重く流れ弾による被害も増えるだろう。
       やるなら射界確保と長距離飛翔防止に撃ち下ろせるように高所建造物屋上に設置したRWSもシステムに組み込む試みはありかもしれない。

      1
    • 折口
    • 2022年 12月 10日

    何だかんだ言いつつも必要な時にカタログからサッと類似品を見繕って提案できるのはさすがヨーロッパ最王手の武器商人って感じですね。供与できなかったら意味ないですが。

    20
      • 名無し2
      • 2022年 12月 10日

      本当それ。悪しざまに言われすぎでしょドイツ

      2
    • ブルーピーコック
    • 2022年 12月 10日

    受け取りが2024年初頭なら1年半後くらいか。実戦デビューできるかは趨勢次第だな。

    2
    • もり
    • 2022年 12月 10日

    こう言うアドバンスド・レガシィな兵器大好き
    好きな人多いでしょ?

    7
      • 七面鳥
      • 2022年 12月 11日

      近接信管が心強いですよね。
      ドローンといえど、カミカゼ相手には、、、

      1
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