ドイツはDassaultとAirbusの対立で行き詰まったFCAS問題について「年末までに政治的解決策を見つける」と説明していたが、今月11日に行われた当局者会合では立場の違いが鮮明になっただけで、ドイツのディフェンスメディアは30日「年末までに政治的解決策を見つけるという方針は無期限延期になった」と報じた。
参考:Entscheidung zum weiteren Vorgehen bei FCAS auf unbestimmte Zeit verschoben
FCASの枠組みが崩壊しなくても政治的決定が下されない限り、内部的には何も進まない
フランス、ドイツ、スペインは将来戦闘航空システム(Future Combat Air System=FCAS)の共同開発を進めているものの、Dassaultがワークシェア配分の3ヶ国合意を無視した主導権を要求し、ドイツのメルツ首相は「このままではFCAS計画を続けられない」と、Indraのデ・ロス・モソス最高経営責任者も「Indraとスペイン国防省はFCASに対する立場について完全に一致している」「計画に33%出資するのであれば33%の利益を受け取らなければならない」と述べ、フランス側にFCASのワークシェア比率を守れと要求。

出典:AIRBUS
この問題についてドイツ側は「年末までに政治的解決策を見つける」と説明し、11日に行われたフランス、ドイツ、スペインの当局者会合で協議を行い、マクロン大統領とメルツ首相が出席する18日の欧州首脳会談で「FCASに関する政治的決定が発表される」と予想されていたが、当局者会合の結果は全く足並みが揃っておらず、フランス当局は「FCASに対するコミットメントを再確認することが出来た」と、スペイン当局は「引き続き欧州主権やFCASのような主要プログラムに取り組んで投資していく」と、ドイツ当局は「協議結果について明かせない」「結果の詳細は機密事項だ」と発表。
ドイツ最大の労働組合=IG Metallも「我々の名誉を傷つけてきたDassaultとだけはもう組めない」と政府に要求し、FCASの枠組みの中で2つの戦闘機を開発すべきだと主張し、ドイツのディフェンスメディア=hartpunktは30日「年末までに政治的解決策を見つけるという方針は無期限延期になった」と報じた。

出典:Dassault Aviation
“もう政府が発表していたタイムラインは実現不可能だ。政府の報道官も30日「当初の予定と異なり、FCASを継続するかどうかの最終決定はまだ下されていない。これは外交・安全保障政策に関する独仏の包括的な議題で、まだ両国の首脳間でFCAS問題を議論する環境が整っていないためだ。そのため政治的解決策をいつまでに決定するのか現時点では明言できない」と明かした。FCASは政治的決定が行われなかったため計画の進捗に不確実性が残っている”
ドイツは2020年代後半から2030年代半ばまでにタイフーンT5とF-35Aの導入、さらにタイフーンに随伴可能な無人戦闘機の導入も控えているため、次世代戦闘機への更新ニーズは2040年頃を想定しており、まだ時間的な余裕が残されているのでFCASに関する政治的決定を先送りすることも可能だが、このまま宙ぶらりんの状況が続くと2026年に予定されている有人戦闘機のプロトタイプ製造=フェーズ2に移行するための資金供給が止まる可能性が高い。

出典:Bundeswehr/Patrik Bransmoeller
この状況で最もダメージを受けるのは有人戦闘機の主契約者=Dassaultで、フェーズ1B移行する際も資金が確保できるかどうか不透明だったため、Dassaultは2022年3月「確保していた技術者の解散」を発表し、これは「開発作業の開始が不透明なため確保していた技術者をFCASから引き上げ、他のプログラムに配置転換もしくは解雇して整理した」という意味だ。
つまりFCASの枠組みが崩壊しなくても政治的決定が下されない限り「内部的には何も進まない」と、もっとシンプルに言えば「資金が欠けた壮大な計画」から抜け出せず、早くプロトタイプを製造したいDassaultにとっては今後も厳しい状況が続くことになるだろう。
関連記事:ドイツのGCAP参加問題、イタリアに続き英国も前向きだと表明
関連記事:GCAPは新たな国にプログラムを解放する条件を検討中、ドイツ合流に前向き
関連記事:独仏が次世代戦闘機の共同開発を中止し、協力の範囲を限定する案を検討中
関連記事:スペインもドイツと同じ立場、フランスはFCASのワークシェア比率を守れ
関連記事:仏メディア、FCASの合意を破ればドイツやスペインが怒るのは当たり前
関連記事:FCAS中止に備えたプランB、ドイツメディアはスウェーデンとの共同開発を勧告
関連記事:ドイツがフランスと決裂した場合の選択肢、完成品のGCAP購入か現地生産
関連記事:仏の要求は協力ではなく服従、独与党議員は対等な協力かFCAS中止を要求
関連記事:ドイツ国防相がGlobalEye取得に言及、控えめに言っても最有力候補だ
関連記事:Dassault、ドイツが次世代戦闘機を単独開発したいならそうさせればいい
関連記事:FCASが空中分解の瀬戸際、ドイツが英国やスウェーデンと手を組む可能性
関連記事:次世代戦闘機を巡るフランスの苦悩、戦略的自立か同盟国との相互依存か
関連記事:ベルギーが欧次世代戦闘機に関心、ダッソーは仕事を分け与えた無くない
関連記事:フランス、ドイツ、スペインが次世代戦闘機の開発を進めることで合意
関連記事:仏独の対立は泥沼化、次世代戦闘機の実用化は10年遅れの2050年頃
関連記事:フランス、ドイツがダッソー主導を受け入れないならFCAS崩壊の可能性
※アイキャッチ画像の出典:Dassault Aviation





















>FCASの枠組みの中で2つの戦闘機を開発すべきだと主張し、ドイツのディ>年末までに政治的解決策を見つけるという方針は無期限延期
素晴らしい。
是非あと10年ほど延期した上、英伊の支援でも受けつつ2つめのFCASを共同開発してください(こっち来んな)
ドイツはF-35の生産を貰ったのだから、F-35を爆買いすれば良い話です。
それ自体には全く異論はありませんが、ここは「ドイツが年内にFCAS離脱を決断することはなさそう」に対する反応なので…
F-35の生産シェア獲得によってF-35大量導入が確定し、それでGCAP参加が不要になるのだとすればFCAS離脱の話はむしろ前進するのでは?
政治的解決の先送りって事はドイツはFCASに関してまだ諦めてないって事ですかね
GCAP参加検討の報道もフランスに対する圧力なんじゃないかと思います
2040年代配備なら最悪FCASがコケてもGCAP買えばよいってなるんでドイツにはまだ余裕ありそうですかね
フランスは先日発表した次世代空母に載せる艦載機もFCASで開発したいって思惑もあるでしょうから
自分達で主導権握りたいでしょうしまだまだ揉めそうですね。
そもそもFCAS離脱理由がダッソーにあるならダッソーが関わらない部分ってどれ位の割合で重要技術にどんな物があるのかってのが現時点で分かった上で残留の旨みがある部分があるって事でしょう。
ただ、有人にしろ無人にしろダッソーがかなり関わっているだろうし、機体に関わるソースコードとか機体とかを除いた部分で協力したとして果してどうなのかって感じはする。
ドイツの首相、支持率20%台。
フランスの大統領、支持率10%台。
外交・政治的決定、大胆にできるような政治体力がないので、時間だけが過ぎていきそうですね。
追記です。
スペインの首相も、支持率低下どうしようもない政治情勢みたいですね。
>一方、サンチェス首相のPSOEは2年前の28議席から大きく減らし、18議席にとどまった。
>サンチェス氏の兄弟や妻も、影響力を違法に行使した疑惑などを巡り司法調査の対象となっており、首相は極めて厳しい状況にある。
(2025年12月22日 スペイン首相の社会労働党、自治州議会選で大敗-スキャンダル響く bloomberg)
安倍さんや、現状の高市総理をみても分かるように、支持率が高いと色々決められるけど、低いと内外から抵抗にあって決められないんだよね。
政治家は、思ったよりも世間の支持をみているみたいだ。
まさに仰る通りです。
低支持率のトップリーダー(政権)に、リスクとって貸しをつくったところで、政権交代・次の選挙でいなくなるならば何の意味もないんですよね。
政敵に、報復されるリスクが高くなるだけになります。
独仏て組んだらこうなると思っていた人は多そう
まぁどっちに賭けるか聞かれたら失敗と答えるくらいには…
むしろ「今度は上手くいく。何の心配もない」と言い切れた人が独仏の政治家含めて存在したのだろうか…
ラファールII、タイフーンIIだろうと思ってたけどこんなに早いとは思わなかった…
何がなんでもGCAPには絶対入ってこないでくれ
ライセンス料タダで作らせてやってもいい
イスラエルの米製戦闘機優遇みたいにソースコード全開示してやってもいい
その代わりに2035年の初飛行が終わるまで一切口出さないでくれ
ホント金だ何だより時間が…
フランスが全面的に悪いにしても開発は遠慮して欲しい
無人機開発ならいくらでも良いから…
目標の2035年は初飛行ではなく一応の完成に到達したタイプのGCAPデリバリー開始時期です。当然ながら試作一号機の初飛行はもっと早い時期(2030年頃?)を目指していると思われます。
これを強く主張しているのは本邦で、日英伊政府はこの目標を達成すべく一致協力することで合意済みです。更に、追加の参加については現参加国全会一致の承認が必要です。つまり、この合意を阻害する条件での追加的参加が承認されることはないでしょう。
2035年にデリバリー開始を目指すのは基本形になる日本仕様機(或いは日英仕様機)かと思います。英国や追加の参加国の要求を完全に満たすタイプはその後継続的に開発が進行することになるのでは。
とにかく今こっち来んな、には同意するけど、だからって何でそんな破格の好条件を提示する必要があるんだろう…。
てかその条件だと英が認めないでしょう。ライセンス料タダで作らせる、ってそれじゃ開発費がビタ一文回収できない上に輸出顧客(特にEU内)までごっそり持ってかれますよ?
せめて開発に使えるITドカタぐらいはくれよ。参加するなら・・・
武器について他国にあれこれ言われたくなければ。
ドイツの場合、MTUエアロエンジン社に頑張ってもらって、
自国製の戦闘機エンジンを作らねばならないのでは?。
機体メーカーも民族系の会社を育てないと、では?。
などと妄想します。
妄想はいりません
記事で兵器メーカーを書く時は、メーカーの国籍も書いて欲しい。
エアバスの本社はフランス、オランダですよw
ダッソーがフランス企業なのは明白ですが、エアバスグループは複雑です。
金もあって技術もある国なんてそうそうないと思うが、どうするんだろ。単独開発も厳しいだろうし。もう韓国と共同開発した方がいいのでは?
必ずしも技術と金の両方持ってる国集めなくても、どちらか(と出来れば近い将来の導入予定)持ってる国を集めて、両方それなりにあるドイツが上手く舵取りすれば、成立する可能性はあると思います。
あくまで「「「「ドイツが上手く舵取りすれば」」」」ですが。
こっちに来ない為にずっと泥沼してて
FCASは大推力エンジンの開発が最大のネックだと言われていましたが、仮にFCASを実用化できたとしても、第6世代機としては機体規模が小さすぎるのでは?と思います。
F-47の最大離陸重量は推定45トン級、J-50は50-55トン級、J-36に至っては60トン超えという話もあり、いずれもステルス性を保ったまま大量の燃料や兵装を携行可能な継戦能力の高い機体と考えられます。
欧州だけで運用するなら良いのかもしれませんが、将来の発展性が制約されそうです。
ただその小さく軽い機体はおそらく艦載運用のための要件なのでフランスが主導する限り変わらないでしょうねぇ。
アメリカ以外のG7とオーストラリアを含めた7カ国は本来ミドルパワーとして協力するべき状況ですが、なかなか上手く行きませんね。
GCAPへのドイツの参加は「開発には参加できない」「生存分担は基本的にはない。注文分をライセンス生産はある程度は可能」という前提を明確化し絶対ラインとする前提ならば、むしろ歓迎するべきであると考えます。
GCAP本体以外の部分でドイツにも花を持たせるような取引を提示すれば合意成立の余地は十分にあるのではないでしょうか。
もう飲み込める程度の妥協してこっちに来てとっとと終わらせよう。ヨーロッパが軍事的に安定しないとこっちも滅びかねん。
とはいえ「ドイツの飲み込める条件」でGCAPがすんなり進むと思えないんですよね。こちらから誘うと特に。
ドイツが「離脱してGCAPに合流することも選択肢だ(チラッチラッ」とかやってないで「すいません、仕様には口出さないんでGCAP入れてくれませんか」と言って来てもらわないと…