ドイツ政府は14日「米国から35機のF-35Aを購入するための契約に署名した」と発表して注目を集めているが、導入の見返りとして「F-35プログラムに独企業の参加を要求している」と報じられているのが興味深い。
参考:Germany clinches $8 billion purchase of 35 F-35 aircraft from the US
もし非出資国のドイツがオフセットとして「サプライチェーンへの参加」を許可されるなら、今後の新規導入国も必ず要求してくるだろう
ドイツのメルケル政権は米国との核兵器共有協定(ニュークリア・シェアリング/NS)を維持するため核兵器の運搬能力を統合されたトーネードの後継機にF/A-18E/Fを導入(トーネードECRの後継機にはEA-18G、トーネード IDSの後継機にはタイフーンを導入)すると決断したが、この決定に反対する国内勢力との調整に手間取っている内に米国家核安全保障局が戦術核兵器B61/Mod12の統合機種からF/A-18E/Fを除外してしまい、後任のショルツ政権はF-35AとタイフーンECR/SEADの導入を行うよう指示。

出典:public domain ドイツ空軍のトーネード
米国務省は7月「ドイツへのF-35A売却に関する推定84億ドルの対外有償軍事援助(FMS)を承認、これを議会に通知した」と発表していたが、ドイツ政府も今月14日「米国から35機のF-35Aを購入するための契約に署名した」と発表したためF-35Aの導入が確定した格好だが、導入の見返りとして「F-35プログラムに独企業の参加を要求している」と報じられている。
F-35の組み立てに必要な部品やコンポーネントの製造権利はF-35プログラム出資国に分配されており、非出資国がF-35を導入してもサプライチェーンへの参加は基本的にブロックされているのだが、導入の見返りとして「独企業の参加も参加させて欲しい」とドイツ政府は要求しているという意味だ。

出典:Lockheed Martin Aeronautics
現在までに非出資国のサプライチェーン参加が唯一認められたのはフィンランドのみで、ロッキード・マーティンからF-35フロントフレーム製造参加を提案されており、これは自国向けに限られた製造ではなく国際需要向けの部品供給網にフロントフレームを供給するための資格を与えると意味なので、フィンランド産業界は出資国と同じように部品製造で収益を上げられる=F-35A導入に投資する資金の一部を回収できる。
日本はF-35導入にオフセットを要求しておらず、数千億円の費用を負担してMRO&Uやエンジンデポを設置した見返りに「空自向けのF-35Aに使用される部品の一部を製造できる権利(米国製造権利の移転)」を確保したが、日本が製造した部品が国際需要向けに出荷されるわけではないので製造技術の習得的な意味合いが強い。
もし非出資国のドイツがオフセットとして「サプライチェーンへの参加」を許可されるなら、これから新規にF-35Aを導入する国も必ずサプライチェーンへの参加を要求するだろう。
関連記事:トーネード後継機問題、米国務省が推定84億ドルでドイツへのF-35A売却を承認
関連記事:フィンランドが破格の条件でF-35A採用を発表、米国はイスラエル並な独自運用体制を容認
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Kevin Long
今の日本の対米貿易黒字なんてドイツのそれと変わらないくらいなのに
いつまで1980年代のトラウマを引きずるつもりなのかね
あの頃の日本はこのまま成長すればアメリカ超えるかもしれないって勢いだったから全力で潰されただけで
今の貿易収支程度なら弱気にならずに他国と同じようにオフセット要求しても問題ないだろう
敗戦国とか言い出したらドイツも敗戦国
イタリア韓国も敗戦国で対米で貿易黒字の国だけど兵器契約は強気だよね
それは今でも気に入らないとボロクソに経済的制裁を科してくるから。
そして、欧州はそれに乗っかる。
しかし、ドイツに対してはそこまでしない。その違いだろう。(理由は人種〇別かあるいは他の理由か、。)
本邦も防衛費2%枠とかトマホーク500発とか景気のいい話は聞きますが、少しはオフセットで国内還元とかあるんでしょうかね…必要なのは理解するとしてもなるべく増税は避けてねってのが本音のところです(小市民的感想)
そりゃ日本はアメリカの隣国だからじゃないですかね。
韓国にしろイタリアにしろ、アメリカとの間に日本やイギリスというアメリカ軍駐留国がありますが、日本とアメリカの間は太平洋しかない。そして人種も違うから決定的に信用ができず、いつでも叩き潰せるようにしとく必要があると。
ところがそうして日本を抑え込みすぎた結果中国が巨大化してしまったので、日韓問題にしろ半導体事業にしろ兵器開発にしろ、日本に対して一定の譲歩をするようになったと思います。
まぁ、無理でしょうね。
中国近いし、韓国と違って明らかに敵対してるからアメリカには頭下げないと。
ドイツやフィンランドにはEUを始め欧州市場がある、それだけのこと。
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そのF35が今日?事故ってるみたい…
核攻撃用の35機だけで採用が終わるならサプライチェーン参加は筋が通らないし、何よりドイツにとっても利点は乏しいと思うんですよね。ライン設置費用まで考えたら絶対割高ですよ。まぁドイツ政府の官僚なら規則に従って国産化比率の最大化を機械的に要求しそうな気もしますが…。
背景として考えられるのは(FCAS遅延に備えて)ドイツ空軍がEF2000の初期ロットの代替もF-35Aでやることを視野に入れているか、これに続いてF-35を採用する国が欧州に現れた際に製造を受注することを狙っているかでしょう。EU加盟国のJSFプログラムへの参加に関しては過去に政治的な軋轢や圧力があったと言われていますし、反JSFを引っ張ってきたドイツ自身がF-35買うならうちでも欲しいという潜在的な需要がまだ眠っているのかもしれません。現時点でその数字を最も正確に把握しているのは多分ドイツでしょうし、そういった国々への供給を仕切ることで欧州軍用機のサプライチェーンから中長期的に締め出されるダメージを回避する意図があったりするのかも…。もっともF-35供給ラインの欧州の中核はイタリアで、今更その地位は動きようがないと思いますが。
イタリアに訓練シミュレータ含めて整備されてるから今更感が強いというのが正直あります。
米国や参加したい部品次第でもありますが、蹴られて終わりそうな…
対中主力兵器であるF-35のサプライチェーンにドイツが加わるということは、台湾有事でも当然ドイツの兵站能力を使えるというわけだ。ドイツの対中包囲網への多大な貢献に期待せざるを得ない。
敗戦国という建付けでも日本とドイツは全然違いますからね。
ドイツは「ナチスという党が暴走して世界を戦禍の渦に巻き込んでしまってすいませんという建付けである一方で
日本は、日本国が世界を戦禍の渦に巻き込んでしまってすいませんという建付けで、
ドイツの中に発生した一部の頭おかしいグループに国を乗っ取られてしまったというのと、国民全体が頭おかしかったという致命的に違う建付けになってます。
だから日本は戦後贖罪史観の教育やメディアの捉え方になるのに対して、ドイツは、ナチスのような狂信的グループを二度と発生させないという方向で法律整備をやってるわけです。だからドイツ人自体は、キチガイに則られて国が暴走した事に対して対外的に贖罪しているので、普段のビジネスではズケズケとものを言いますよね。つまり、ドイツ人という存在自体に原罪なんか無いという建付けですね。
日本は私たちが暴走してすいませんでしたと日本人である事自体が原罪を背負ってますので日本人全員が外国に対して謝るスタンスなので、何事にもまず下手になってしまいます。
だから東條英樹を筆頭とした軍部や霞が関のグループを特定してそのグループを日本国として主体的に名誉剥奪する事で日本人自体は原罪を追わないようにする必要があるんですわ。
日本もほぼ軍部の暴走だし、議会も内閣も傀儡と化していて開戦を阻止する力はなかったと思うのですが
どちらも敗戦国に変わりないでしょう…
建付けの話、と書いてますので実情は関係ないのでは。
当事国の主張と世界の認識は必ずしも一致するわけではありませんよ
だからこそ世界はナチス政権だけではなくドイツという国に対しても相応のペナルティ(ドイツの連合国による東西分割統治や各国からの賠償請求など)があったわけでして
>日本人である事自体が原罪を背負って
これに至っては完全に意味不明ですね、過去の戦争を理由に民族的・国家的な原罪とするのなら原罪がない国や人なんていませんよ
例えば日韓での民族的な記録上最初の戦争行為は元寇での朝鮮半島に住んでいた人たちによる日本列島への侵略行為ですが、これを理由に朝鮮半島の住民は原罪を背負っており、過去も未来もその原罪を贖い続けるべきだという話が政治的にされたことがありますでしょうか?
ドイツと韓国の言い訳は世界に受け入れられなかったから、敗戦国として連合国に分割統治されたと思うんだけど
ドイツは「ユダヤ人虐殺してすいません」であって「世界を戦禍の渦に巻き込んでしまってすいません」なんて謝ってない
むしろこっちがあんなもんと一緒にすんな案件
あの若宮啓文ですらこの点は認めてる
>日本は、「ドイツの謝罪」のようにはいかず、なぜ過去にけじめが付けにくかったのか、という話ですけれども、日本の場合とドイツの場合とでは、いくつかの違う要素があります。
一つは、ドイツが裁かれたのは、大きく分けると二つの理由があるのです。それは、一つは侵略戦争をしたということですが、もう一つ、より大きな問題は、ユダヤ人に対する大量虐殺、ホロコーストです。
例えば、ヴィリー・ブラントがドイツの謝罪をしたというのは、ユダヤ人のホロコーストに対する謝罪です。それから、ヴァイツゼッカーの演説もよく読んでみると、明確にその謝罪の対象としているのは、やはりホロコーストの部分だと思います。
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>これは1952年12月3日にコンラート・アデナウアー首相の行った軍の名誉回復演説
>私は本日、本会議場において連邦政府の名において宣言したいと思います。われわれは皆、気高き軍人の伝統の名において、陸・海・空で名誉ある戦いを繰り広げたわが民族のすべての兵士の功績を承認します。われわれは近年のあらゆる誹謗中傷にもかかわらず、ドイツの軍人の名声と偉大な功績がいまなおわが民族のもとで命脈を保ち、今後も生き続けることを確信します。
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大体ジェノサイドにしたってヘレロ・ナマクアなんかごく最近になってちょろっと謝るポーズ取っただけで奴ら反省なんぞしてねえよ
えっ、自国兵器のサプライチェーンすら維持できてないドイツが?参加要求?
引受できる企業が残ってるのか?
日本の場合は下手にサプライチェーンに参加してしまうとF-3開発不要論が出かねないので、不参加で良かったかと
ことの成り行きを見守りたい
ダメ元で要求するだけしてみるのが正解なのか、アメリカに対して大人しすぎる感あるこちらからは、考えさせられる
すでにフィンランドという先例があり、次はドイツとなし崩しになれば、正直者がバカを見る印象を受ける
管理人の日本のF-35A導入に関する認識は間違っていますね。日本は開発参加国ではないにも関わらず、MRO&Uの設置と後部胴体とエンジンのライセンス生産を許可される破格の扱いを受けています。しかし三菱は後部胴体の生産は採算が取れないと辞退しています。恐らくロッキードマーティンとの納入価格交渉が上手くいかなかったのでしょう。国の支援がないとライセンスできないと報道されていましたから。そもそも、武器輸出三原則に代わって防衛装備品等移転三原則ができたのもF-35Aのライセンス生産が絡んでいたからです。表向きは攻撃的兵器は輸出できないことになっていますが、日米共同開発やライセンス生産品は開発元への輸出が認めれており、第三国への輸出も可能なんです。三菱も赤字を被ってまでライセンスすることはしなかったのです。
ドイツが絡むと面倒になる
こういう流れはドイツのためにならないと思うんだが、政治的には必要なのかね?
オーストラリアのコリンズ後継みたいにあやふやじゃないのはマシだがレオパルド後継でもなんか俺様的な主張してるような。
ドイツ、どこを目指してるん?