トルコはF-16Vの代わりにタイフーン購入を検討中で、最大の障害だったドイツも交渉を許可したため予備交渉が開始されていたが、スペインメディアは19日「この交渉を主導している英国はトルコにタイフーン売却に関する正式な提案をおこなった」と報じた。
参考:Reino Unido emite la primera oferta formal para vender a Turquía los 40 cazas Eurofighter que el país quiere
参考:Potential upcoming developments regarding the lifting of CAATSA
ギリシヤの心配はトランプ大統領が制裁を解除してトルコにF-35Aを売ること
トルコとギリシャの間にはキプロス問題、エーゲ海の領海・領空問題、東地中海の排他的経済水域問題など多くの対立点が存在し、2020年にトルコが「自国のEEZ圏内」と主張する海域で油田の掘削調査を始めると両国の緊張は武力衝突寸前まで高まり、これが契機となってギリシャはF-16C/Dのアップグレード、ラファール、F-35A、FDI導入を決定、さらにトルコのF-16C/Dアップグレードも米議会へのロビー活動で阻止。

出典:SAC Helen Farrer RAF Mobile News Team / OGL v1.0
トルコもスウェーデンとフィンランドのNATO加盟問題に乗じ、米議会から「F-16V新造機×40機売却」と「既存機をV仕様にアップグレードするためキット80機分売却」を引き出すことに成功したものの、米国依存を引き下げるため「V仕様へのアップグレード」を「独自技術によるアップグレード」に切り替え、トルコ航空宇宙産業は既に35機のBlock30を独自のAESAレーダー、ソフトウェア、電子機器でアップグレード済みだ。
F-16Vの新規取得もタイフーン取得に置き換える予備交渉が進められていたが、スペインのディフェンスメディア=Infodefensaは19日「この交渉を主導している英国はトルコにタイフーン売却に関する正式な提案をおこなった」「タイフーンは国産戦闘機=カーンが完成するまでのギャップを埋めることになる」「タイフーンの取得は戦闘機に関する技術的ノウハウの獲得も意味する」と報じているものの、ギリシャの関心は別のところにある。
ギリシャメディア=Η Καθημερινήは21日「トランプ大統領とエルドアン大統領が電話会談後、ワシントンでは制裁解除(敵対者に対する制裁措置法=CAATSA)が決定された場合に備えて法的・政治的手段の模索が始まっている」「まだトランプ大統領は最終決定を下しておらず、政権関係者もトルコ制裁解除を全員が支持している訳ではなく、最終決定はイスラエルの強い反対やギリシヤの懸念も考慮されなければならない」「大統領が議会に通知するだけ制裁解除の手続きは完了するものの、トルコへのF-35販売は議会の承認が必要になるため簡単ではない」と指摘。
要するにギリシャは「トルコへのミーティア売却阻止」に失敗したタイフーンよりも「トランプ大統領が制裁を解除してトルコにF-35Aを売るのではないか」と心配しており、F-16C/Dのアップグレード、ラファールとF-35A導入で「ギリシャに大きく傾いた優位性が失われるかもしれない」という意味だ。
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※アイキャッチ画像の出典:Gian Marco Anzellotti from Roma/CC BY 2.0
ギリシャ=トルコは、NATO加盟国と言っても隣国関係は複雑ですし。
EU加盟国と言えども、EU域外国に武器を売るために、後回しになるというのも興味深い事例ですね。
エルドアン大統領=トランプ大統領は、電話会談を行っており首脳会談が決まってましたが、政情不安が発生したんですよね。
欧米各国が、何らかの注文を再び付けて武器売却に影響してくるのか、F35売却などに動きが出るのか注目しています。
(2025.3.17 米トルコ首脳が電話会談、ウクライナ・シリア問題を協議 ロイター)
(2025.3.18 トルコのエルドアン大統領、トランプ大統領と米国での初会談を調整 ブルームバーグ報道 産経新聞)
(2025年3月19日 トルコリラ最安値、株・債券も急落 野党有力政治家拘束で ロイター)
(2025年3月20日 トルコ イスタンブール市長拘束 大統領選の有力候補 野党反発 NHK)
都市国家の時代からお互いに仲悪いですね、エーゲ海の雅な風景でも愛でて上手いことやれればいいけど現在もキプロスで揉めてるし永遠に揉めてそうですね。
コンスタンティノープルを陥落させて中世キリスト教時代を終わらせた不倶戴天の敵なので、この二国の恨みは1000年単位ですぞ
仰る通り、のんびやればいいのでしょうね。
3000年?近く、文明が代わりながらも争ってる地域ですから難しいのでしょうね…
文明や政権が幾度も変わってるのに争うことだけは変わらないとは。ナチスもソ連ももはや無いのに、ドイツとロシアは未だに犬猿で争ってますし、何だかなぁ
独露も、仰る通りで、なんかそんなものなかなあと。
露普同盟・三帝同盟・独ソ不可侵条約・冷戦、これらを挟みながら戦争やってきてるんですよね…
『欧州情勢は複雑怪奇』これは素晴らしい表現と思うわけですが、コロコロ変わりすぎた歴史があるため、日本が巻き込まれるメリットが何一つないと感じてしまいます。
米露関係が急速に変化してますが、2.3年後くらいにドイツ=ロシアが資源取引から再接近していたとししても、まあそんなもんかなくらいに感じています。
民意含めて国をまとめる手っ取り早い手段は「外敵を作る」ことですからね。
で、縁もゆかりもない相手を1から外敵に仕立て上げるよりは過去の怨恨をほじくり返した方より手っ取り早く、そうして怨恨の溝が重ね掘りされていく、と…
どこぞの半島で見慣れた光景だなぁ…
まさに仰る通りですね。
どこぞの半島も、今クーデターのようにグラグラですから、注意深く見守っています。
領土問題で実際に何度何度もも血を流して、今だに解決の余地もなく。
事実上単なる休戦状態で、簡単に開戦してしまうレベル
だから一応落ち着いている半島と同一視はあまり適切な例えではないかと
natoがなくなったら、トルコとギリシャは紛争起きかねないからな。eu加盟も絶望的だし。
有史以来の宿敵みたいな感じなので、仰る通りですね…
ええい、タイフーンはいい!KAANを映せ、KAANを!
やはりトラキアとコンスタンティノープルはギリシアのものでは?(メガリイデア並の感想)
トルコにF-35売却を中止したのはS-400を買ったからでしょ?それともトランプ政権ではロシアは仮想敵国ではないので解析されても問題ないとか。
あぁ。。。そんな理屈も出せるっちゃ出せるんやね
戦闘機が売れれば成果として発表出来るし
トルコには有利な流れになってそう
にしても何がトランプ王をココまでロシア贔屓にしてるんやろか?
やっぱボケてて判断力とかが失われてるんかね?
F-35Bをトルコに売れたら、アナドルが空母として機能する様になる。
S-400を買ったというよりもF-35とS-400をリンクさせようとしようとしてたから怒られたんじゃなかったでしたっけ?
今回F-35販売許可出したのはトルコとアメリカでS-400を共同管理する条件での許可だったハズです。
仮にトランプ政権のアナウンス通りにF-47が近く戦力化の見通しが立てば、トルコやインドにF-35を売却して、ロシアにすっぱ抜かれても米国としては何も問題なしになるから積極的に売り出す可能性が高いんだろう。
どうせF-47なんて実現しないから考慮に値せずなる意見もあるだろうが、そうやって自分達に都合が良いように決めつけて、一切何の対策も立てないと時間が立つほど手がつけられなくなるのは対ロシア戦争で痛いほど理解しただろと。早い内から対策打つに越したことない
他国からするとF-35みたいな、常時システムのアップデートをかけないと動かせない機体は、サービスが受けられなくなったら、飛ぶ事すらままならないので、導入を避ける可能性がありますけどね。
それ言い出したらイギリス製、フランス製、ロシア製全部駄目になるし、だからこそ新興国は各国の兵器を混在させて対策取ってるんだろと。
そんな事を言い出してるのはトランプ外交に付いて行けてない今の欧州各国くらいで、新興国はそんな事百も承知、何なら何度もその手の制裁なり持ち逃げなりを欧米或いはロシアの歴代政権から食らってるから今更でしょ。
イランが反米になってもF-14を飛ばせてるように、旧世代機は高度に電子化されてないからF-35とは違うんだよね。
それは新興国が4.5世代相当の非ステルス戦闘機を国産化して、今の4.5世代機が売れなくなる原因にはなり得ても、現状唯一の量産型ステルス機たるF-35が売れなくなる理由にはならないと思います。
とはいえ、それなラファールやユーロファイターなら大丈夫なのかと言われると何とも言えず
イランのF-14にしても、自力で予備府品から何から製造できるような国でないとそんなことはできず
イランも世界的に見れば結構な大国だからこそそんなことができるわけで…
KAANの動画、しっとりとしたBGMで意外
この手の動画はもっと勇ましい曲を使うものかと思ってたので
トルコにとってギリシャ、クルド、アルメニアとの問題は建国以来のものだから、エルドアンであろうがなかろうがトルコに一定水準の実力さえあれば燻るのは時間の問題で、止めようがない…
お互いにNATO加盟国かつアメリカとの関係を重視する必要性を考えると
有事になった際に両国ともF‐16やF-35は前線制空に投入できなくて
ラファール対タイフーン どちらが強いか・・・
というのが、実際に見れる可能性があるとは。
今のエルドアンなら軍事的な手段は取り得ないかと思います。
あり得るなら経済力、軍事力でギリシャを圧倒して、ギリシャを支持する各国を札束と実力で黙らせ、不利な条件をギリシャに呑ませる…少し前の中台関係が似たところでしょうか?
KAANがいつ戦力化するのかは不明ですが、トルコが無人機+有人機連携を何処まで進めてくるか、大変興味深い。
ギリシャには災難でしょうし、アメリカ兵器は敵だみたいな今のEU内の風潮の中でF-35に頼り続けるのか?トルコに味方し続ける英伊のGCAPを買うのか?お友達のフランスに頼ってFCASを買うのか?
トルコの状況を考えるとギリシャが軍事的優位性を求める必要性は低いのでは?
国内向けのアピールなんですかね?
エルドアン大統領がガチの独裁者化してきてるからギリシャ的には前より焦ってるでしょ
侵略はしないんでしょうが、トルコ空軍、艦隊、巡視船、調査船、漁船その他がギリシャの主権下で跋扈することになるんでは?
まぁよく聞く話ですが。
何かをやるにはタイミングが悪いね
今回のデモはかなり規模が大きくて勢いあまって死人が出てもおかしくない状況みたいだし
BBCが騒いでる中でタイフーン売却とかできるとも思えないけど